243 / 332
第二部
湖へ
しおりを挟む
その日の夜、ヴォルフ様が寝室に来たのはかなり遅くなってからだった。私は既に寝る準備を終えて寝室で一人、ベッドに横になって風が窓をゆする音を聞いていた。ヴォルフ様はお忙しい。フォルカーたちが忙しく立ち回り、たくさんの人の気配を感じたからそれだけ来客も多いのでしょうね。午後からはフレディも一緒に対応していると聞くわ。分家や大きな商会、手がけている事業の責任者などその方面は多岐に渡る。領地が広い分、商会や手がけている事業も多いのは仕方がない。
「明日は晴れそうだ。湖に行くぞ」
夜着に着替えたヴォルフ様がベッドに乗りながらそう告げる。明日? お仕事は片付いたの?
「よろしいのですか?」
「大方片付けた。問題ない」
「本当ですか? 嬉しい! ありがとうございます」
領邸近くの森にある湖はとても綺麗で、その上流には滝もあるという。夏は涼しくてとても気持ちがいいのだとも。
「明日は馬になるぞ。大丈夫か?」
「問題ありませんわ。ちゃんと乗馬用の服も持ってきましたから」
事前にそう言われていたから準備に抜かりはないわ。ヴォルフ様が攫われたあの一件で乗馬は随分上手くなったのよ。ここまで来たのなら楽しまなきゃ。そう言えば……
「ヴォルフ様、フレディの婚姻についてどうお考えですの?」
昼間彼の想い人を知った。彼とザーラの様子を伺ったけれど、ザーラにフレディ様を気にする様子はなかったわ。仮に二人が思い合っても、決めるのはヴォルフ様だ。
「ザーラ次第だな。あれがフレディを受け入れるかによる」
既にご存じだったわ。って、当り前よね。オリスは報告しているでしょうし、影だっている。彼の婚姻相手は我が家の今後にも関わってくるのだから。
「ヴォルフ様はどうお考えですの。ザーラが相手だとして……」
「問題ない。あれはよく仕えてくれる。後継争いになることもないだろう。そういう意味では望ましい相手だ」
そうね、忠誠心の強いザーラなら後継争いなんてしないわ。フレディもヴォルフ様との争いなんて望まないでしょうけれど。それにしても不思議な組み合わせよね。フレディは何が切っ掛けでザーラを好きになったのかしら。そのうち聞いてみたいわ。
「どうしてもと願うならフレディがどうにかするだろう」
「ふふっ、そうですわね」
仰る通りだわ。私だって望む未来のために自ら動いたのだから。それなら手助けするのは悪手かもしれないわ。自分で掴み取るからこそ価値があるのだから。
「どうする? 今日は止めておくか?」
顔を覗き込んでそう尋ねられた。閨のことを言っているのね。そんな至近距離で言われると恥ずかしいのだけど……でも明日のことを気遣って下さっているのかしら。だったら嬉しい。暗示のせいで距離が出来ても気遣いを感じる。それはヴォルフ様の本心が漏れたものだといいのにと思ってしまうわ。
「……お願いしますわ」
「いいのか?」
「手加減はして下さいね」
「難しいことを言う奴だな」
何が難しいのかしら? でもヴォルフ様のお子が欲しいのよ。今の私にはそれが最優先事項。ヴォルフ様がお嫌でなければお願いしたいわ。それに大きな身体に包まれるのが好き。大きな手が顎を掴む。それだけで顔の半分が包まれてしまいそう。下りてくる口づけを受け止めて身体の力を抜いた。
目が覚めるとまた一人だった。今日くらいはと思ったけれど、遊びに行くからその前に仕事を片付けに行ったのでしょうから文句なんか言えないわ。今度はどれくらい経ったら一緒に朝を迎えてくれるかしら? それを楽しみに待つしかないわね。必要なことだってことは理解しているもの。
呼び鈴を鳴らすとザーラが現れた。今日はフレディも一緒に来る予定だから、ザーラやマルガも一緒に来て貰う。少しはフレディにとっていい結果になるといいのだけど。それも彼次第ね。もういい大人なのだから手を貸すのは極力控えるわ。
朝食を終えて乗馬用の服、つまりはゾルガー騎士の服に着替える。夫人たちの集まりなら乗馬服を誂える必要があるけれど、ヴォルフ様と遊びに行くならこれで十分。動きやすいし着慣れているもの。ザーラとマルガと一緒に玄関に向かうと、既にヴォルフ様もフレディもいたわ。二人とも私たちと同じで一般の騎士の服。ヴォルフ様とお揃いなのが嬉しい。ヴォルフ様と私、フレディとオリス、ザーラとマルガ、それ以外に護衛十騎が少し離れて同行する。念のために馬車も後からついてくる予定。
領邸は領都の西側の丘の上にあるけれど、湖は街とは反対側の方角になる。その先は森が続き、その先は山になっている。湖は森の奥の方に、滝は山を登った先だという。馬で一刻ほどの距離だけどそれくらいなら苦にはならない。馬は大人しい気性だしよく躾けられていて乗りやすいわ。楽しい。そしてヴォルフ様の騎乗姿が凛々しくて見惚れてしまう……
なだらかな丘を下り森に入る。鬱蒼とした森を想像していたけれど下草の茂りは少なく日差しが入り込んで明るい。馬車が通れるほどの道があるのはこの先にも町や村があるからだという。景色を楽しめる速度で進む。どれくらい経ったか、道が二手に分かれている場に出た。真っすぐ進むと町や村へ、左に逸れる道だと湖だという。少し細くなった道を進む。ここを過ぎたらもう少しだと聞いていたから期待に胸が膨らむわ。森が徐々に深くなって開けた場所に出た。その先には……
「わぁ……」
目の前に青みの深い緑色が広がった。蹄の音と風が葉を揺らす音、そして時々囀る鳥々の声が静けさの中に響き、微かな波が湖面を揺らしていた。王都の庭園の池などとは比べようもない大きさに圧倒されるわ。
「綺麗だな……」
フレディの呟きが微かに聞こえた。声を出すのも忘れるほど目の前の景色に目を奪われたわ。この景色の前では自分が小さく思えてしまう。王都での喧騒など吸い込んで消してしまいそうだわ。湖畔に立つヴォルフ様の隣に立った。
「凄いわ……水面があんなに光って……」
頬を優しく撫でる風が心地いい。こんな素敵な景色をヴォルフ様と見れるなんて嬉しい。二人きりだったらもっとよかったけれど……さすがに警備の問題からそれは難しいわね。恋人同士のように腕を組んだり……は無理よね。夫婦だけどそんな甘い空気は私たちにはないもの。こうして連れて来て下さっただけでも十分すぎるわ。
オリスとザーラ、マルガが畔の側の木陰に敷物を広げ、護衛たちも少し離れた場所の木陰に馬を繋いでいた。何人かは周囲を見回りに行ったみたいね。王都ほど危険はないと思うけれど、それでも警戒を緩めることは出来ない。
「旦那様、奥様、お待たせしました」
オリスが湖畔に立つ私たちに声を駆けてきた。敷物の上には小さなテーブルがあって、マルガが籠から水筒や食べ物を入れた箱を取り出していた。それを見てお腹が鳴りそうになったわ。いい運動だったのだから許してほしいわ。
「美味しい……」
少し温くなった水だけど、喉が渇いているし、こんな素敵な場所では美味しく思えるわ。それにヴォルフ様が一緒だから余計に。テーブルには木の実を生地に練り込んだパンやパンにハムを挟んだだけのもの、果物や焼き菓子が並んだ。ヴォルフ様とフレディ様がいるせいかかなりの量だわ。外でこんな風に食べることも初めてではないかしら。子どもの頃に一度だけ領地の屋敷の庭でこんな風に食べたことがあったくらいね。
食べ終わった後は少し歩くかとヴォルフ様が誘ってくれた。湖畔に沿って歩くヴォルフ様の後を追う。湖を覗き込むと水が透き通っていて水底まで見えるわ。
「ヴォルフ様、あれは?」
何かが動いているわ。しかもたくさん。
「ああ、魚だ」
「魚? あれが?」
実際に泳いでいる姿を見るのは初めてだわ。あんな風に泳ぐのね。もっと大きな魚もいるのかしら? それ以外でも動いているものが見えるわ。あれは何かしら? 凄いわ、湖には色んな生き物がいるのね。
「落ちるぞ」
「へ?」
夢中になって覗き込んでいたら腕を掴まれたわ。
「あ、ありがとうございます」
落ちそうに見えたかしら? そんなことはないのだけど。
「ここは見た目以上に深い。気を付けろ」
「え、ええ」
底が見るのに深いなんて驚いたわ。でも、泳いだことがないから落ちたら大変だわ。着替えも持って来ていないし。
「もしかして、ヴォルフ様も落ちたことが?」
「それはない。泳いだことはあるが」
「泳いだことがあるのですか?」
驚いたわ。貴族が泳ぐなんて聞いたことがないもの。
「明日は晴れそうだ。湖に行くぞ」
夜着に着替えたヴォルフ様がベッドに乗りながらそう告げる。明日? お仕事は片付いたの?
「よろしいのですか?」
「大方片付けた。問題ない」
「本当ですか? 嬉しい! ありがとうございます」
領邸近くの森にある湖はとても綺麗で、その上流には滝もあるという。夏は涼しくてとても気持ちがいいのだとも。
「明日は馬になるぞ。大丈夫か?」
「問題ありませんわ。ちゃんと乗馬用の服も持ってきましたから」
事前にそう言われていたから準備に抜かりはないわ。ヴォルフ様が攫われたあの一件で乗馬は随分上手くなったのよ。ここまで来たのなら楽しまなきゃ。そう言えば……
「ヴォルフ様、フレディの婚姻についてどうお考えですの?」
昼間彼の想い人を知った。彼とザーラの様子を伺ったけれど、ザーラにフレディ様を気にする様子はなかったわ。仮に二人が思い合っても、決めるのはヴォルフ様だ。
「ザーラ次第だな。あれがフレディを受け入れるかによる」
既にご存じだったわ。って、当り前よね。オリスは報告しているでしょうし、影だっている。彼の婚姻相手は我が家の今後にも関わってくるのだから。
「ヴォルフ様はどうお考えですの。ザーラが相手だとして……」
「問題ない。あれはよく仕えてくれる。後継争いになることもないだろう。そういう意味では望ましい相手だ」
そうね、忠誠心の強いザーラなら後継争いなんてしないわ。フレディもヴォルフ様との争いなんて望まないでしょうけれど。それにしても不思議な組み合わせよね。フレディは何が切っ掛けでザーラを好きになったのかしら。そのうち聞いてみたいわ。
「どうしてもと願うならフレディがどうにかするだろう」
「ふふっ、そうですわね」
仰る通りだわ。私だって望む未来のために自ら動いたのだから。それなら手助けするのは悪手かもしれないわ。自分で掴み取るからこそ価値があるのだから。
「どうする? 今日は止めておくか?」
顔を覗き込んでそう尋ねられた。閨のことを言っているのね。そんな至近距離で言われると恥ずかしいのだけど……でも明日のことを気遣って下さっているのかしら。だったら嬉しい。暗示のせいで距離が出来ても気遣いを感じる。それはヴォルフ様の本心が漏れたものだといいのにと思ってしまうわ。
「……お願いしますわ」
「いいのか?」
「手加減はして下さいね」
「難しいことを言う奴だな」
何が難しいのかしら? でもヴォルフ様のお子が欲しいのよ。今の私にはそれが最優先事項。ヴォルフ様がお嫌でなければお願いしたいわ。それに大きな身体に包まれるのが好き。大きな手が顎を掴む。それだけで顔の半分が包まれてしまいそう。下りてくる口づけを受け止めて身体の力を抜いた。
目が覚めるとまた一人だった。今日くらいはと思ったけれど、遊びに行くからその前に仕事を片付けに行ったのでしょうから文句なんか言えないわ。今度はどれくらい経ったら一緒に朝を迎えてくれるかしら? それを楽しみに待つしかないわね。必要なことだってことは理解しているもの。
呼び鈴を鳴らすとザーラが現れた。今日はフレディも一緒に来る予定だから、ザーラやマルガも一緒に来て貰う。少しはフレディにとっていい結果になるといいのだけど。それも彼次第ね。もういい大人なのだから手を貸すのは極力控えるわ。
朝食を終えて乗馬用の服、つまりはゾルガー騎士の服に着替える。夫人たちの集まりなら乗馬服を誂える必要があるけれど、ヴォルフ様と遊びに行くならこれで十分。動きやすいし着慣れているもの。ザーラとマルガと一緒に玄関に向かうと、既にヴォルフ様もフレディもいたわ。二人とも私たちと同じで一般の騎士の服。ヴォルフ様とお揃いなのが嬉しい。ヴォルフ様と私、フレディとオリス、ザーラとマルガ、それ以外に護衛十騎が少し離れて同行する。念のために馬車も後からついてくる予定。
領邸は領都の西側の丘の上にあるけれど、湖は街とは反対側の方角になる。その先は森が続き、その先は山になっている。湖は森の奥の方に、滝は山を登った先だという。馬で一刻ほどの距離だけどそれくらいなら苦にはならない。馬は大人しい気性だしよく躾けられていて乗りやすいわ。楽しい。そしてヴォルフ様の騎乗姿が凛々しくて見惚れてしまう……
なだらかな丘を下り森に入る。鬱蒼とした森を想像していたけれど下草の茂りは少なく日差しが入り込んで明るい。馬車が通れるほどの道があるのはこの先にも町や村があるからだという。景色を楽しめる速度で進む。どれくらい経ったか、道が二手に分かれている場に出た。真っすぐ進むと町や村へ、左に逸れる道だと湖だという。少し細くなった道を進む。ここを過ぎたらもう少しだと聞いていたから期待に胸が膨らむわ。森が徐々に深くなって開けた場所に出た。その先には……
「わぁ……」
目の前に青みの深い緑色が広がった。蹄の音と風が葉を揺らす音、そして時々囀る鳥々の声が静けさの中に響き、微かな波が湖面を揺らしていた。王都の庭園の池などとは比べようもない大きさに圧倒されるわ。
「綺麗だな……」
フレディの呟きが微かに聞こえた。声を出すのも忘れるほど目の前の景色に目を奪われたわ。この景色の前では自分が小さく思えてしまう。王都での喧騒など吸い込んで消してしまいそうだわ。湖畔に立つヴォルフ様の隣に立った。
「凄いわ……水面があんなに光って……」
頬を優しく撫でる風が心地いい。こんな素敵な景色をヴォルフ様と見れるなんて嬉しい。二人きりだったらもっとよかったけれど……さすがに警備の問題からそれは難しいわね。恋人同士のように腕を組んだり……は無理よね。夫婦だけどそんな甘い空気は私たちにはないもの。こうして連れて来て下さっただけでも十分すぎるわ。
オリスとザーラ、マルガが畔の側の木陰に敷物を広げ、護衛たちも少し離れた場所の木陰に馬を繋いでいた。何人かは周囲を見回りに行ったみたいね。王都ほど危険はないと思うけれど、それでも警戒を緩めることは出来ない。
「旦那様、奥様、お待たせしました」
オリスが湖畔に立つ私たちに声を駆けてきた。敷物の上には小さなテーブルがあって、マルガが籠から水筒や食べ物を入れた箱を取り出していた。それを見てお腹が鳴りそうになったわ。いい運動だったのだから許してほしいわ。
「美味しい……」
少し温くなった水だけど、喉が渇いているし、こんな素敵な場所では美味しく思えるわ。それにヴォルフ様が一緒だから余計に。テーブルには木の実を生地に練り込んだパンやパンにハムを挟んだだけのもの、果物や焼き菓子が並んだ。ヴォルフ様とフレディ様がいるせいかかなりの量だわ。外でこんな風に食べることも初めてではないかしら。子どもの頃に一度だけ領地の屋敷の庭でこんな風に食べたことがあったくらいね。
食べ終わった後は少し歩くかとヴォルフ様が誘ってくれた。湖畔に沿って歩くヴォルフ様の後を追う。湖を覗き込むと水が透き通っていて水底まで見えるわ。
「ヴォルフ様、あれは?」
何かが動いているわ。しかもたくさん。
「ああ、魚だ」
「魚? あれが?」
実際に泳いでいる姿を見るのは初めてだわ。あんな風に泳ぐのね。もっと大きな魚もいるのかしら? それ以外でも動いているものが見えるわ。あれは何かしら? 凄いわ、湖には色んな生き物がいるのね。
「落ちるぞ」
「へ?」
夢中になって覗き込んでいたら腕を掴まれたわ。
「あ、ありがとうございます」
落ちそうに見えたかしら? そんなことはないのだけど。
「ここは見た目以上に深い。気を付けろ」
「え、ええ」
底が見るのに深いなんて驚いたわ。でも、泳いだことがないから落ちたら大変だわ。着替えも持って来ていないし。
「もしかして、ヴォルフ様も落ちたことが?」
「それはない。泳いだことはあるが」
「泳いだことがあるのですか?」
驚いたわ。貴族が泳ぐなんて聞いたことがないもの。
3,070
読んで下さってありがとうございます。
感想・お気に入り登録・エールも励みになります。
また誤字脱字を報告して下さる皆様に感謝申し上げます。
感想・お気に入り登録・エールも励みになります。
また誤字脱字を報告して下さる皆様に感謝申し上げます。
お気に入りに追加
10,504
あなたにおすすめの小説

純白の牢獄
ゆる
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

【完結】私の嘘に気付かず勝ち誇る、可哀想な令嬢
横居花琉
恋愛
ブリトニーはナディアに張り合ってきた。
このままでは婚約者を作ろうとしても面倒なことになると考えたナディアは一つだけ誤解させるようなことをブリトニーに伝えた。
その結果、ブリトニーは勝ち誇るようにナディアの気になっていた人との婚約が決まったことを伝えた。
その相手はナディアが好きでもない、どうでもいい相手だった。


【完結】美しい人。
❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」
「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」
「ねえ、返事は。」
「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」
彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
[完結]「私が婚約者だったはずなのに」愛する人が別の人と婚約するとしたら〜恋する二人を切り裂く政略結婚の行方は〜
日向はび
恋愛
王子グレンの婚約者候補であったはずのルーラ。互いに想いあう二人だったが、政略結婚によりグレンは隣国の王女と結婚することになる。そしてルーラもまた別の人と婚約することに……。「将来僕のお嫁さんになって」そんな約束を記憶の奥にしまいこんで、二人は国のために自らの心を犠牲にしようとしていた。ある日、隣国の王女に関する重大な秘密を知ってしまったルーラは、一人真実を解明するために動き出す。「国のためと言いながら、本当はグレン様を取られたくなだけなのかもしれないの」「国のためと言いながら、彼女を俺のものにしたくて抗っているみたいだ」
二人は再び手を取り合うことができるのか……。
全23話で完結(すでに完結済みで投稿しています)

【完結】仕事を放棄した結果、私は幸せになれました。
キーノ
恋愛
わたくしは乙女ゲームの悪役令嬢みたいですわ。悪役令嬢に転生したと言った方がラノベあるある的に良いでしょうか。
ですが、ゲーム内でヒロイン達が語られる用な悪事を働いたことなどありません。王子に嫉妬? そのような無駄な事に時間をかまけている時間はわたくしにはありませんでしたのに。
だってわたくし、週4回は王太子妃教育に王妃教育、週3回で王妃様とのお茶会。お茶会や教育が終わったら王太子妃の公務、王子殿下がサボっているお陰で回ってくる公務に、王子の管轄する領の嘆願書の整頓やら収益やら税の計算やらで、わたくし、ちっとも自由時間がありませんでしたのよ。
こんなに忙しい私が、最後は冤罪にて処刑ですって? 学園にすら通えて無いのに、すべてのルートで私は処刑されてしまうと解った今、わたくしは全ての仕事を放棄して、冤罪で処刑されるその時まで、押しと穏やかに過ごしますわ。
※さくっと読める悪役令嬢モノです。
2月14~15日に全話、投稿完了。
感想、誤字、脱字など受け付けます。
沢山のエールにお気に入り登録、ありがとうございます。現在執筆中の新作の励みになります。初期作品のほうも見てもらえて感無量です!
恋愛23位にまで上げて頂き、感謝いたします。

【完結】私の婚約者の、自称健康な幼なじみ。
❄️冬は つとめて
恋愛
「ルミナス、済まない。カノンが……。」
「大丈夫ですの? カノン様は。」
「本当に済まない。、ルミナス。」
ルミナスの婚約者のオスカー伯爵令息は、何時ものように済まなそうな顔をして彼女に謝った。
「お兄様、ゴホッゴホッ。ルミナス様、ゴホッ。さあ、遊園地に行きましょ、ゴボッ!! 」
カノンは血を吐いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる