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第二部
関係者の処分
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熱が下がってから半月後、私はヴォルフ様と共に王宮を訪れていた。この日は王宮に軟禁されていたフリーデル公爵一家がアーレントに向けて出発した日でもある。厄介事が一つ消えることに安堵したのは言うまでもない。
あれから王太子殿下の指示で取り調べが行われ、ヴォルフ様も交えて今後の対応を話し合ったという。今回は王太子殿下も巻き込まれただけにアーレントには分の悪い話になったのだとか。でも……殿下は自ら首を突っ込んで行ったから半分言い掛かりのようなものだけど。アーレントにはお気の毒様としか言いようがないけれど、それも彼らが招いたことだから自業自得だわ。
案内されたのは王宮の中でも王族が住まう奥宮の談話室だった。妃殿下や王子様方も国王陛下ご夫妻もまだ離宮にいらっしゃる。殿下は後処理のために王宮に残っていらっしゃったけれど、時々我が家にお忍びでやってきたりもして羽を伸ばしているように見えたわ。
「ああ、義姉上。もう大丈夫そうだね。元気になってよかったよ」
「その節はわざわざご足労いただきましてありがとうございました」
「そんな他人行儀な……ほら、私たちは義理とは言え兄弟なんだから。もう少し気楽に接してくれていいんだよ」
にこにことご機嫌な殿下だけど、さすがにその言葉を真に受ける気にはなれなかった。どれだけ血筋と年が離れていると……寝込んだ私が心配だと言ってお見舞いにまでいらっしゃった時には驚きと恥ずかしさが過ぎてまた熱が上がりそうになったわ。あれは私を口実にヴォルフ様に会いに来たのよね。
「それで。用件を話せ」
困惑する私を助けるかのようにヴォルフ様が今日の目的に言及された。久しぶりの正装姿が凛々しくて顔が緩んでしまう。こんな時は隣りではなく向かい側に座りたいわ。
「もう、兄上はせっかちなんだから……」
「俺も暇ではない。報告だけなら書面で済む」
「わかったよ、もう」
兄上冷たいと呟きながら殿下が側にいた侍従に振り返ると、その手にあるトレイの上の紙の束を取り、テーブルに置いた。
「今回の報告はそこにまとめてあるから、詳しいことは後で読んでおいて」
そう言って殿下がこの件に関する処分を説明してくれた。まずアーレント国には関税を我が国の希望の率にすることとこの件に対する賠償金の支払い、公爵家への罰を求めた。公爵が特使としてこの国を訪れていたから国にも責任の一端があると押し通したらしい。公爵家への罰をアーレント国王に押し付けたのはアーレント国内の反発を避けるためだという。あんな人たちだけどあの美貌もあって国内では人気らしい。
フリーデル公爵とゲオルグ様は個別に迷惑料という名の賠償金の支払いと我が国への終身の入国禁止が課せられた。王妃様もこの案には大層乗り気だったとか。クラリッサ様には我が国が望む相手との婚姻と私やヴォルフ様への接触の禁止を命じた。
「ま、関税だけでもこっちとしては御の字だよ。ついでに人質も手に入れたし」
「人質、ですか?」
随分と物騒なことを口にされたわね。人質って、まさか……
「クラリッサ嬢だよ」
「どうされるのですか? グレシウスに?」
「いや、彼女はハリマンに嫁がせる」
「ハリマン様に?」
それは想定していなかったわ。てっきりグレシウス王太子に嫁がせるのだと……
「グレシウスにと思っていたんだけど、あんな甘ったれではさすがに無理だろう? 送り出してもかえって禍根を残しそうだし。本人も嫌だ、それくらいなら死んだ方がましだって泣くしね。それでハリマンはどうだって尋ねたら二つ返事で了承したよ」
確かにクラリッサ様ではやっていけるとは思えないわ。ちやほやされて育ったから冷遇への耐性もなさそうだし。
「それに公爵の妻の父親はアーレント国の宰相でね。孫のクラリッサ嬢を溺愛しているんだって。彼女がこっちにいれば手を出しにくいでしょ? まぁ、表向きは両国の関係強化だけど、グレシウスへの牽制にもなるしね」
ヴォルフ様に視線を向けると頷かれたからご存じだったのね。それなら反対する理由はないわ。クラリッサ様や公爵がハリマン様に何を囁いても、弱みを握られていて事なかれ主義の彼がヴォルフ様に逆らうなんて出来ないもの。嫁いだ後で彼女がヴォルフ様に突撃してこないかが心配だけど。
「あ、兄上や義姉上には近付かせないから心配しないで」
「そ、そうですか」
本当に大丈夫かしら? あんなにヴォルフ様に執着していたのに。
「うん。でもまぁ、彼女も目が覚めたというか、今は兄上を怖がっているから」
「怖がって?」
「うん、騎士たちを戦闘不能にしちゃっただろう? あれを見て怯えちゃったみたいでね」
「そうなのですか? とっても素敵でしたのに」
あんなにかっこいいお姿、滅多に見れないのにもったいないことを仰るのね。そう思っていると殿下が何とも言えない笑みを浮かべた。何か変なことを言ったかしら?
「さすが義姉上。兄上、とっても素敵だったそうですよ」
殿下がニヤニヤしながらヴォルフ様に話しかけたけれど、ヴォルフ様は話を続けろと言って取り合わなかった。
「はいはい。あ、クラリッサ嬢はこのまま我が国に滞在して貰うよ」
「このまま? 帰国されないのですか?」
「うん、彼女は人質だからね。このまま母上預かりにして公爵夫人としての教育を受けて貰う。アーレントと我が国では公爵家の在り方が全然違うからね」
そうね、我が国の公爵家は他国とは随分違う。公爵家が増え過ぎるるのを防ぐためでもあるし、王位簒奪を防ぐ意味合いもある。同じ公爵家でも彼の国とでは権力や財力が大違いだわ。
「ギュンターは兄上が駒にするって言うからしばらく様子を見ることにしたよ。ま、変な動きをしたらそこで終わりだけど」
弱みを握っているからもう余計なことはしないと信じたいわね。ヴォルフ様は影を送るなりして監視するのでしょうけれど。
「シリングス公爵夫妻にはクラリッサ嬢の監視を命じたよ。こっちからも人を送るし、夫人はしっかりした方だから大丈夫だろう。アーレントの侍女は付けないと認めさせたしね」
それなら大丈夫かしら? 多分ヴォルフ様も人を送るでしょうし。
「ザイデル夫妻はお家乗っ取りを企てたとして爵位はく奪の上で処刑だ。伯爵と前妻の子は前妻の実家が助命を願ったから、息子は寄子の男爵家へ婿入り、娘も同様に男爵家への嫁入りで手を打った」
そこは妥当かしら。子どもたちはまだ成人していないし、何かあれば前妻の実家が責任を取ると言っているのなら。結局利用出来るかどうかと公表した後の混乱具合で処分が分かれたわね。ザイデル伯爵夫妻の処刑は付き合いのあった貴族には牽制になるでしょうし。
「最後にエクトルだけど、彼は処刑、幽閉中の家族も後を追うことになる」
「そう、ですか……」
考えないようにしていたけれど、今の法律ではそうなってしまう。本来なら一族全員処刑だったのだ。それを温情で幽閉に留めたのに今回の事件。アルビーナ様たちが共犯であろうとなかろうとこうなっては処刑するしかない。
「家族は毒杯にと父上にお願いはしたよ。彼らは何も知らなかったのが証明されたからね」
「そうですか……ご厚情ありがとうございます」
同じ時間を過ごした級友の死。彼女とは色々あったけれど、実家での境遇が似ていたのもあって親近感を持っていたわ。何とも重い気分になる。それでも毒杯なら苦しまずに済む。それだけがせめてもの救い。だからと言ってそれで割り切れるものではないけれど。
それにアルビーナ様には申し訳ないことをしてしまったわ。私が願わなければ彼女は再びハリマン様の婚約者になることはなく、余計な期待を持たせることもなかった。彼女が領地にいたらもしかしたらエクトル様を止めてくれたかもしれなかった。あの時は良かれと思ったけれど、こんな結果になるなんて……
「ごめんね、こんなことになって。でも義姉上のせいじゃないから。気に病まないで」
「いえ。お気遣いありがとうございます」
殿下のせいではないのに厳しい決断をしなければいけないそのお立場に胸が痛んだ。ゾルガーの当主に代々暗示をかけているのもこんな気持ちに押しつぶされないためなのだったのと思い知らされる。確かにこんなことが日常茶飯事になったら心が負けてしまうもの。ヴォルフ様の暗示が解ければ私への愛の言葉を囁いてくれるかもしれないなんて思っていたけれど、とてもじゃないけれどそれを望む気にはなれなかった。
あれから王太子殿下の指示で取り調べが行われ、ヴォルフ様も交えて今後の対応を話し合ったという。今回は王太子殿下も巻き込まれただけにアーレントには分の悪い話になったのだとか。でも……殿下は自ら首を突っ込んで行ったから半分言い掛かりのようなものだけど。アーレントにはお気の毒様としか言いようがないけれど、それも彼らが招いたことだから自業自得だわ。
案内されたのは王宮の中でも王族が住まう奥宮の談話室だった。妃殿下や王子様方も国王陛下ご夫妻もまだ離宮にいらっしゃる。殿下は後処理のために王宮に残っていらっしゃったけれど、時々我が家にお忍びでやってきたりもして羽を伸ばしているように見えたわ。
「ああ、義姉上。もう大丈夫そうだね。元気になってよかったよ」
「その節はわざわざご足労いただきましてありがとうございました」
「そんな他人行儀な……ほら、私たちは義理とは言え兄弟なんだから。もう少し気楽に接してくれていいんだよ」
にこにことご機嫌な殿下だけど、さすがにその言葉を真に受ける気にはなれなかった。どれだけ血筋と年が離れていると……寝込んだ私が心配だと言ってお見舞いにまでいらっしゃった時には驚きと恥ずかしさが過ぎてまた熱が上がりそうになったわ。あれは私を口実にヴォルフ様に会いに来たのよね。
「それで。用件を話せ」
困惑する私を助けるかのようにヴォルフ様が今日の目的に言及された。久しぶりの正装姿が凛々しくて顔が緩んでしまう。こんな時は隣りではなく向かい側に座りたいわ。
「もう、兄上はせっかちなんだから……」
「俺も暇ではない。報告だけなら書面で済む」
「わかったよ、もう」
兄上冷たいと呟きながら殿下が側にいた侍従に振り返ると、その手にあるトレイの上の紙の束を取り、テーブルに置いた。
「今回の報告はそこにまとめてあるから、詳しいことは後で読んでおいて」
そう言って殿下がこの件に関する処分を説明してくれた。まずアーレント国には関税を我が国の希望の率にすることとこの件に対する賠償金の支払い、公爵家への罰を求めた。公爵が特使としてこの国を訪れていたから国にも責任の一端があると押し通したらしい。公爵家への罰をアーレント国王に押し付けたのはアーレント国内の反発を避けるためだという。あんな人たちだけどあの美貌もあって国内では人気らしい。
フリーデル公爵とゲオルグ様は個別に迷惑料という名の賠償金の支払いと我が国への終身の入国禁止が課せられた。王妃様もこの案には大層乗り気だったとか。クラリッサ様には我が国が望む相手との婚姻と私やヴォルフ様への接触の禁止を命じた。
「ま、関税だけでもこっちとしては御の字だよ。ついでに人質も手に入れたし」
「人質、ですか?」
随分と物騒なことを口にされたわね。人質って、まさか……
「クラリッサ嬢だよ」
「どうされるのですか? グレシウスに?」
「いや、彼女はハリマンに嫁がせる」
「ハリマン様に?」
それは想定していなかったわ。てっきりグレシウス王太子に嫁がせるのだと……
「グレシウスにと思っていたんだけど、あんな甘ったれではさすがに無理だろう? 送り出してもかえって禍根を残しそうだし。本人も嫌だ、それくらいなら死んだ方がましだって泣くしね。それでハリマンはどうだって尋ねたら二つ返事で了承したよ」
確かにクラリッサ様ではやっていけるとは思えないわ。ちやほやされて育ったから冷遇への耐性もなさそうだし。
「それに公爵の妻の父親はアーレント国の宰相でね。孫のクラリッサ嬢を溺愛しているんだって。彼女がこっちにいれば手を出しにくいでしょ? まぁ、表向きは両国の関係強化だけど、グレシウスへの牽制にもなるしね」
ヴォルフ様に視線を向けると頷かれたからご存じだったのね。それなら反対する理由はないわ。クラリッサ様や公爵がハリマン様に何を囁いても、弱みを握られていて事なかれ主義の彼がヴォルフ様に逆らうなんて出来ないもの。嫁いだ後で彼女がヴォルフ様に突撃してこないかが心配だけど。
「あ、兄上や義姉上には近付かせないから心配しないで」
「そ、そうですか」
本当に大丈夫かしら? あんなにヴォルフ様に執着していたのに。
「うん。でもまぁ、彼女も目が覚めたというか、今は兄上を怖がっているから」
「怖がって?」
「うん、騎士たちを戦闘不能にしちゃっただろう? あれを見て怯えちゃったみたいでね」
「そうなのですか? とっても素敵でしたのに」
あんなにかっこいいお姿、滅多に見れないのにもったいないことを仰るのね。そう思っていると殿下が何とも言えない笑みを浮かべた。何か変なことを言ったかしら?
「さすが義姉上。兄上、とっても素敵だったそうですよ」
殿下がニヤニヤしながらヴォルフ様に話しかけたけれど、ヴォルフ様は話を続けろと言って取り合わなかった。
「はいはい。あ、クラリッサ嬢はこのまま我が国に滞在して貰うよ」
「このまま? 帰国されないのですか?」
「うん、彼女は人質だからね。このまま母上預かりにして公爵夫人としての教育を受けて貰う。アーレントと我が国では公爵家の在り方が全然違うからね」
そうね、我が国の公爵家は他国とは随分違う。公爵家が増え過ぎるるのを防ぐためでもあるし、王位簒奪を防ぐ意味合いもある。同じ公爵家でも彼の国とでは権力や財力が大違いだわ。
「ギュンターは兄上が駒にするって言うからしばらく様子を見ることにしたよ。ま、変な動きをしたらそこで終わりだけど」
弱みを握っているからもう余計なことはしないと信じたいわね。ヴォルフ様は影を送るなりして監視するのでしょうけれど。
「シリングス公爵夫妻にはクラリッサ嬢の監視を命じたよ。こっちからも人を送るし、夫人はしっかりした方だから大丈夫だろう。アーレントの侍女は付けないと認めさせたしね」
それなら大丈夫かしら? 多分ヴォルフ様も人を送るでしょうし。
「ザイデル夫妻はお家乗っ取りを企てたとして爵位はく奪の上で処刑だ。伯爵と前妻の子は前妻の実家が助命を願ったから、息子は寄子の男爵家へ婿入り、娘も同様に男爵家への嫁入りで手を打った」
そこは妥当かしら。子どもたちはまだ成人していないし、何かあれば前妻の実家が責任を取ると言っているのなら。結局利用出来るかどうかと公表した後の混乱具合で処分が分かれたわね。ザイデル伯爵夫妻の処刑は付き合いのあった貴族には牽制になるでしょうし。
「最後にエクトルだけど、彼は処刑、幽閉中の家族も後を追うことになる」
「そう、ですか……」
考えないようにしていたけれど、今の法律ではそうなってしまう。本来なら一族全員処刑だったのだ。それを温情で幽閉に留めたのに今回の事件。アルビーナ様たちが共犯であろうとなかろうとこうなっては処刑するしかない。
「家族は毒杯にと父上にお願いはしたよ。彼らは何も知らなかったのが証明されたからね」
「そうですか……ご厚情ありがとうございます」
同じ時間を過ごした級友の死。彼女とは色々あったけれど、実家での境遇が似ていたのもあって親近感を持っていたわ。何とも重い気分になる。それでも毒杯なら苦しまずに済む。それだけがせめてもの救い。だからと言ってそれで割り切れるものではないけれど。
それにアルビーナ様には申し訳ないことをしてしまったわ。私が願わなければ彼女は再びハリマン様の婚約者になることはなく、余計な期待を持たせることもなかった。彼女が領地にいたらもしかしたらエクトル様を止めてくれたかもしれなかった。あの時は良かれと思ったけれど、こんな結果になるなんて……
「ごめんね、こんなことになって。でも義姉上のせいじゃないから。気に病まないで」
「いえ。お気遣いありがとうございます」
殿下のせいではないのに厳しい決断をしなければいけないそのお立場に胸が痛んだ。ゾルガーの当主に代々暗示をかけているのもこんな気持ちに押しつぶされないためなのだったのと思い知らされる。確かにこんなことが日常茶飯事になったら心が負けてしまうもの。ヴォルフ様の暗示が解ければ私への愛の言葉を囁いてくれるかもしれないなんて思っていたけれど、とてもじゃないけれどそれを望む気にはなれなかった。
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また誤字脱字を報告して下さる皆様に感謝申し上げます。
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