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第二部
執着と弱点
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「おい、お前さんもまだ死にたくないだろう? 今なら見逃してやるから実家に帰れ。望むなら次の嫁ぎ先も用意してやる。五侯爵家は無理でもそれなりの家ならどうとで……」
「お断りします」
考える間もなく拒絶の言葉が出てしまった。でも考えたって答えは変わらないわ。ヴォルフ様以外の方に嫁ぐなんて考えたくもない。それくらいなら実家でお義姉様と家を守って一生を終えるわ。
「……おいおい、即答かよ。わかっているのか? このままじゃ俺はお前さんを消すしかない。ヴォルフが執着する相手など見過ごせないからな」
「ヴィム殿!」
声を上げたのはティオだった。ヴォルフ様は何も答えないけれど私を抱きしめる腕の力が強まる。離したくないと言われているようで、こんな時なのに頬と心に熱が溜まった。
「ティオ、邪魔するな。わかっているだろう? これもゾルガーとヴォルフを守るためだ」
「ヴィム殿、強引なやり方はあつれきを生みます。落ち着いて下さい」
「俺は落ち着いているぞ」
「そうでしょうか? 私にはムキになっているように見えます。旦那様は奥様を大切に思われています。そのお心を無下にしてはわだかまりが残りましょう。それはいずれ大きな軋みに育つやもしれません。その弊害はヴィム殿とてお分りでしょう?」
ティオの冷静な指摘に小さな舌打ちと髪をかいているらしい音が聞こえた。抱きしめられているからヴィムの様子が見えない。
「ヴィム、何度も言わせるな。俺はイルーゼを側に置く。邪魔をするなら……」
「俺を倒すか?」
「やむを得ん」
室内の空気が一気に重く冷たくなった気がした。どうしてこんな話になっているのかわからない。私はゾルガーの、ヴォルフ様の妻としてそんなにも相応しくないの? 今朝の幸せな気分が一気に色褪せて心が冷えていく。
「本気か?」
「俺が冗談を言ったことがあったか?」
「……そうだな。どうしてもと言うなら俺を倒してからにしろ」
ヴィムの言葉にヴォルフ様は答えなかった。倒すって……
「ティオ、イルーゼを頼む」
「ヴォルフ様!?」
「直ぐに終わらせる」
真っ直ぐに目を見てそう言われてしまったけれど、不安が消えることはなかった。視界の端にティオが近づくのが見えて、それに合わせてゆっくりとヴォルフ様が私から離れる。何をする気なの? 思わず服の裾を取った。今手を離したらいけないような気がした。
「心配するな、俺は負けん」
いえ、そうではなくて。倒すとか負けないとか、どうしてそんな話になっているの?
「ティオ、この二人は何を言っているの? 意味が解らないのだけど」
「奥様、私にも理解不能です」
「この二人を止めて」
「私には無理です」
一番冷静で二人を止められそうなティオがあっさりと白旗を上げた。何なの、この流れは?
「ヴォルフ様、危険なことはお止めください! 意味が解りません!」
「こいつを説得するのは無理だ。力でわからせるしかない」
「そういうことだ。部外者は黙っててくれ」
そう言われても戦う必要性を全く感じなかった。それに部外者って……
「お、お二人が戦う理由は私、なのですよね?」
「ああ、そうだな」
返事をしたのはヴィムだった。ヴォルフ様は私をじっと見ている。
「だったら……部外者じゃありませんよね」
「あ、ああ……まぁ……」
「それで、どうして戦う必要が?」
「ヴォルフがお前を側に置くというからだ」
「それの何がいけないんですの?」
「お前がヴォルフの弱点になるからだ。執着する対象が出来ればそれが弱点になるだろうが」
苛立ちを見せながらヴィムが断言した。そんな風に考えているのね。でも……
「そうでしょうか? 私はそうは思いません。執着する相手がいるからこそ生きようとするのではありませんか? 何も持たない人は自身の命にも頓着しませんから」
大切なものがあればそのために生きようとするのではないかしら? エマは余命宣告されてもルーディーのために必死に生きようとしている。私だって覚悟を持ってヴォルフ様のお側にいるけれど、簡単に死ぬつもりはないわ。ヴォルフ様と一緒に孫やひ孫に囲まれて賑やかに暮らすつもりだから。
一方でヴォルフ様は何事にも執着していないように見える。ご自身の生にすらも興味がないように感じることもあるわ。どうしようもない事態に陥った場合、ご自身が犠牲になることで乗り切れると判断したらためらいなく死を選びそうな危うさがある……それが怖い。
「……それは、まぁな……」
ヴィムにも思うところがあるらしい。さっきまでの軽そうな表情が消え、眉をしかめて難しい表情になっていた。
「ヴォルフ様は私に執着していると、そうお考えなのですよね?」
「ああ。こいつに弱みが出来ちゃ困るんだよ」
そう言われても実感がないけれど抱きしめられている現実がそうだと言っているような気がした。この人もヴォルフ様を心配しているのだ。
「ヴォルフ様、お願いがあります。叶えて下さいますか?」
「何だ? 出来る限りのことはする」
「ありがとうございます。それでは」
一旦言葉を止めて息を整えた。
「何があっても生き延びて下さい。最後まで生きることを諦めないで下さい」
ヴォルフ様の目を真っ直ぐに見上げてそうお願いした。
「……は?」
「イルーゼ……」
私に執着していると言うのが本当ならこの言葉を理由に生きてほしい。最後まで生き残るために足掻いてほしい。
「一緒に孫の誕生を祝って下さい。出来ればひ孫もです。ご自分を犠牲にして先に死のうなんて絶対にしないで下さい。そんなことをしたら直ぐに追いかけて、うんざりするくらい文句を言い続けます」
こんな時、可愛らしくお願い出来たらいいのに。私じゃ脅迫しているように見えるかもしれないわね。でも生きてほしいと願う気持ちは本物よ。白髪になるまで共にと願うわ。
「外に出るなと言うのならそうします。病気になったことにしても構いません。鍛錬の時間も増やします。他にも出来ることがあるなら言って下さい。別れる以外のことなら出来ることは何でもしますから」
次に向き合ったのはヴィムだった。彼の懸念は私のせいでヴォルフ様が窮地に立つこと。だったらそうならないようにするしかない。ヴォルフ様のお側にいられるのなら何だってするわ。
「ぶっは! ははははははっ!!」
突然笑い声が室内に響いた。見ればヴィムが口とお腹に手に当てて身体を折って笑っていた。何がそんなにおかしいの? そんなに変なことを言ったかしら?
「あ~変な女だと思っていたけれど、そう来るかよ。なぁヴォルフ。お前に死ぬなってよ! よぼよぼの爺になるまで生きろってさ!」
笑いが止まらないらしい。何がどうおかしいのかさっぱりわからないわ。私は真剣なのに。何気に失礼よね。
「奥様、お気になさらず。ヴィム殿はいつもああなのです」
「ティオ、何の擁護にもなっていないわ」
それでもさっきまでの肌を刺すような張り詰めた空気は薄れていた。ヴォルフ様を見上げるとじっとこちらを見下ろしていた。
「イルーゼ」
「は、はい」
名を呼ばれて思わず背筋が伸びてしまった。ヴィムとは対照的にいつも通りのヴォルフ様。もしかして機嫌を損ねてしまったかしら。ただ戦うのをやめてほしかったのだけど調子に乗り過ぎたかもしれない……
「……え? ヴォルフ様! 人前です!」」
突然目の前が暗くなった。いつの間にか抱きしめられていたわ。ティオもヴィムもいるのですけれど。
「あ~あ、今日の報告会は延期だな……」
「その様ですね」
「な、何言っているのティオ? 延期って……今から……」
「まぁ頑張れ」
頑張れって何を? 話が見えないのだけど……
「ははっ、奥方様、男ってのは大仕事の後は滾るもんなんですよ」
「はぁ?」
急にお前呼ばわりから奥方様に変わったわ。どういうつもり?
「昨夜は自重したらしいけど……あんなこと言われちゃあ、なぁ?」
「左様でございますね」
ティオまで同調しているけれど何を言っているの? 滾るって何が? 昨夜は自重って……
「ぅひゃあ!!」
突然視界が高くなって変な声が出てしまったけれど……ええ? どうして抱き上げられているの? ちょっと! ヴォルフ様!?
「まぁ、頑張れ」
「旦那様、どうか程々に。奥様はまだ疲れが抜けておりませんから」
……ティオ、どうして寝室に続く扉を開けているのよ?
「お断りします」
考える間もなく拒絶の言葉が出てしまった。でも考えたって答えは変わらないわ。ヴォルフ様以外の方に嫁ぐなんて考えたくもない。それくらいなら実家でお義姉様と家を守って一生を終えるわ。
「……おいおい、即答かよ。わかっているのか? このままじゃ俺はお前さんを消すしかない。ヴォルフが執着する相手など見過ごせないからな」
「ヴィム殿!」
声を上げたのはティオだった。ヴォルフ様は何も答えないけれど私を抱きしめる腕の力が強まる。離したくないと言われているようで、こんな時なのに頬と心に熱が溜まった。
「ティオ、邪魔するな。わかっているだろう? これもゾルガーとヴォルフを守るためだ」
「ヴィム殿、強引なやり方はあつれきを生みます。落ち着いて下さい」
「俺は落ち着いているぞ」
「そうでしょうか? 私にはムキになっているように見えます。旦那様は奥様を大切に思われています。そのお心を無下にしてはわだかまりが残りましょう。それはいずれ大きな軋みに育つやもしれません。その弊害はヴィム殿とてお分りでしょう?」
ティオの冷静な指摘に小さな舌打ちと髪をかいているらしい音が聞こえた。抱きしめられているからヴィムの様子が見えない。
「ヴィム、何度も言わせるな。俺はイルーゼを側に置く。邪魔をするなら……」
「俺を倒すか?」
「やむを得ん」
室内の空気が一気に重く冷たくなった気がした。どうしてこんな話になっているのかわからない。私はゾルガーの、ヴォルフ様の妻としてそんなにも相応しくないの? 今朝の幸せな気分が一気に色褪せて心が冷えていく。
「本気か?」
「俺が冗談を言ったことがあったか?」
「……そうだな。どうしてもと言うなら俺を倒してからにしろ」
ヴィムの言葉にヴォルフ様は答えなかった。倒すって……
「ティオ、イルーゼを頼む」
「ヴォルフ様!?」
「直ぐに終わらせる」
真っ直ぐに目を見てそう言われてしまったけれど、不安が消えることはなかった。視界の端にティオが近づくのが見えて、それに合わせてゆっくりとヴォルフ様が私から離れる。何をする気なの? 思わず服の裾を取った。今手を離したらいけないような気がした。
「心配するな、俺は負けん」
いえ、そうではなくて。倒すとか負けないとか、どうしてそんな話になっているの?
「ティオ、この二人は何を言っているの? 意味が解らないのだけど」
「奥様、私にも理解不能です」
「この二人を止めて」
「私には無理です」
一番冷静で二人を止められそうなティオがあっさりと白旗を上げた。何なの、この流れは?
「ヴォルフ様、危険なことはお止めください! 意味が解りません!」
「こいつを説得するのは無理だ。力でわからせるしかない」
「そういうことだ。部外者は黙っててくれ」
そう言われても戦う必要性を全く感じなかった。それに部外者って……
「お、お二人が戦う理由は私、なのですよね?」
「ああ、そうだな」
返事をしたのはヴィムだった。ヴォルフ様は私をじっと見ている。
「だったら……部外者じゃありませんよね」
「あ、ああ……まぁ……」
「それで、どうして戦う必要が?」
「ヴォルフがお前を側に置くというからだ」
「それの何がいけないんですの?」
「お前がヴォルフの弱点になるからだ。執着する対象が出来ればそれが弱点になるだろうが」
苛立ちを見せながらヴィムが断言した。そんな風に考えているのね。でも……
「そうでしょうか? 私はそうは思いません。執着する相手がいるからこそ生きようとするのではありませんか? 何も持たない人は自身の命にも頓着しませんから」
大切なものがあればそのために生きようとするのではないかしら? エマは余命宣告されてもルーディーのために必死に生きようとしている。私だって覚悟を持ってヴォルフ様のお側にいるけれど、簡単に死ぬつもりはないわ。ヴォルフ様と一緒に孫やひ孫に囲まれて賑やかに暮らすつもりだから。
一方でヴォルフ様は何事にも執着していないように見える。ご自身の生にすらも興味がないように感じることもあるわ。どうしようもない事態に陥った場合、ご自身が犠牲になることで乗り切れると判断したらためらいなく死を選びそうな危うさがある……それが怖い。
「……それは、まぁな……」
ヴィムにも思うところがあるらしい。さっきまでの軽そうな表情が消え、眉をしかめて難しい表情になっていた。
「ヴォルフ様は私に執着していると、そうお考えなのですよね?」
「ああ。こいつに弱みが出来ちゃ困るんだよ」
そう言われても実感がないけれど抱きしめられている現実がそうだと言っているような気がした。この人もヴォルフ様を心配しているのだ。
「ヴォルフ様、お願いがあります。叶えて下さいますか?」
「何だ? 出来る限りのことはする」
「ありがとうございます。それでは」
一旦言葉を止めて息を整えた。
「何があっても生き延びて下さい。最後まで生きることを諦めないで下さい」
ヴォルフ様の目を真っ直ぐに見上げてそうお願いした。
「……は?」
「イルーゼ……」
私に執着していると言うのが本当ならこの言葉を理由に生きてほしい。最後まで生き残るために足掻いてほしい。
「一緒に孫の誕生を祝って下さい。出来ればひ孫もです。ご自分を犠牲にして先に死のうなんて絶対にしないで下さい。そんなことをしたら直ぐに追いかけて、うんざりするくらい文句を言い続けます」
こんな時、可愛らしくお願い出来たらいいのに。私じゃ脅迫しているように見えるかもしれないわね。でも生きてほしいと願う気持ちは本物よ。白髪になるまで共にと願うわ。
「外に出るなと言うのならそうします。病気になったことにしても構いません。鍛錬の時間も増やします。他にも出来ることがあるなら言って下さい。別れる以外のことなら出来ることは何でもしますから」
次に向き合ったのはヴィムだった。彼の懸念は私のせいでヴォルフ様が窮地に立つこと。だったらそうならないようにするしかない。ヴォルフ様のお側にいられるのなら何だってするわ。
「ぶっは! ははははははっ!!」
突然笑い声が室内に響いた。見ればヴィムが口とお腹に手に当てて身体を折って笑っていた。何がそんなにおかしいの? そんなに変なことを言ったかしら?
「あ~変な女だと思っていたけれど、そう来るかよ。なぁヴォルフ。お前に死ぬなってよ! よぼよぼの爺になるまで生きろってさ!」
笑いが止まらないらしい。何がどうおかしいのかさっぱりわからないわ。私は真剣なのに。何気に失礼よね。
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それでもさっきまでの肌を刺すような張り詰めた空気は薄れていた。ヴォルフ様を見上げるとじっとこちらを見下ろしていた。
「イルーゼ」
「は、はい」
名を呼ばれて思わず背筋が伸びてしまった。ヴィムとは対照的にいつも通りのヴォルフ様。もしかして機嫌を損ねてしまったかしら。ただ戦うのをやめてほしかったのだけど調子に乗り過ぎたかもしれない……
「……え? ヴォルフ様! 人前です!」」
突然目の前が暗くなった。いつの間にか抱きしめられていたわ。ティオもヴィムもいるのですけれど。
「あ~あ、今日の報告会は延期だな……」
「その様ですね」
「な、何言っているのティオ? 延期って……今から……」
「まぁ頑張れ」
頑張れって何を? 話が見えないのだけど……
「ははっ、奥方様、男ってのは大仕事の後は滾るもんなんですよ」
「はぁ?」
急にお前呼ばわりから奥方様に変わったわ。どういうつもり?
「昨夜は自重したらしいけど……あんなこと言われちゃあ、なぁ?」
「左様でございますね」
ティオまで同調しているけれど何を言っているの? 滾るって何が? 昨夜は自重って……
「ぅひゃあ!!」
突然視界が高くなって変な声が出てしまったけれど……ええ? どうして抱き上げられているの? ちょっと! ヴォルフ様!?
「まぁ、頑張れ」
「旦那様、どうか程々に。奥様はまだ疲れが抜けておりませんから」
……ティオ、どうして寝室に続く扉を開けているのよ?
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