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第二部
侵入者
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身を低くしたヴォルフ様とソファに挟まれて何も見えない。それでもきつく抱きしめられた力強さとヴォルフ様の口調が今の状況が尋常ではないと伝えてくる。ヴォルフ様が大きな声を出すことはあっても、今のように鋭い声を出すのは珍しいわ。暗殺者ではないの? 狙われたのは誰? ヴィムって……初めて聞く名よね?
「ヴォルフ、役目を忘れたか?」
投げられた声は知り合いに話しかけるような柔らかさがあったけれど、ヴォルフ様の拘束は緩まなかった。暗殺者ではないようだけど、その落差に嫌な予感が増していく。この人は誰? 役目って、ヴォルフ様の筆頭侯爵としての?
「忘れてなどいない」
「だったらさっきの言葉は何だ?」
その問いは私の疑問でもあったから気になるけれど、何故かそれを聞くのは危険な気がした。この人は一体……役目って、筆頭侯爵の?
「何をする気だ?」
問いには答えずにヴォルフ様が尋ねた。ヴォルフ様にこんな風に話せるこの人は何なの? 姿が見えないから声だけが頼りだけど、どこかで聞いたことがあるような気がする。でも、思い出せそうで思い出せない……
「決まっているだろう? ゾルガーを導くのが俺の役目。その責務を果たすだけだ」
ゾルガーを導く? そんな話、聞いたことがないわ。
「……俺は役目を全うしている」
「今はな。だがこの先もそうだとは言い切れないだろう?」
「無用な心配だ」
ヴォルフ様の答えに相手が納得しているようには感じなかった。ソファに背を預ける形で守るように抱きしめられる。重くて痛い……
「いいや、その娘は危険だ」
「イルーゼに手を出すことは許さん!」
突然ヴォルフ様が叫んだ。その語気の強さと鋭さに思わず身が竦んだ。狙われたのは私なのね。でも何故なの? 危険って……感情を取り戻そうと考えたから?
「ははっ、思った通りだったな。お前自身がたった今証明したよ。そんなにその娘が大事か? だったら手放せ。そうすれば見逃してやる」
私が大事……? その言葉に心が跳ねたけれど、続いた言葉に心が冷えるのを感じた。手放せ? そうしなかったらどうするというの?
「断る。イルーゼには俺の子を産ませる。邪魔はさせん」
「お前はゾルガーの血を引いていない。子を産ませるなら分家の娘だろう。そうすればゾルガーの血は続く」
「ゾルガーの血を引く後継が必要なら分家から養子をとればいい。お前が見繕え。俺の子として育てる」
それは貴族家なら当然の考えだわ。ヴォルフ様もフレディ様もゾルガーの血を引いていない。本来ならヴォルフ様は分家の娘を娶って後継を産ませるのが筋よね。私とではゾルガーの血を残せないもの。それでもゾルガーは血より能力を重視すると言うからそれでもいいのだと思っていたけれど……血を重視するこの人は……一族の人なの?
「だったら尚のこと、その娘を側に置く必要はないだろう」
「俺の妻はイルーゼ一人だ。そう約束した」
頑ななヴォルフ様の言葉にヴィムと呼ばれた男性のため息が聞こえた。
「……面倒なことを言い出したな。そんなにその娘が気に入ったか?」
「…………」
「チッ、図星かよ……」
こんな状況なのに頬が熱くなるのを感じた。私を気に入ったって……そりゃあ根性が気に入ったと言われたことはあったけれど……そういう意味でってことよね。ダメよ私、期待しては……
「……はぁ、厄介なことになったな……ったく、どこに……ったんだ? 俺の……は完璧だった筈なのに……」
独り言なのか声は切れ切れではっきり聞き取れなかったけれど、その言葉には呆れと嘆き、あとは自嘲も含まれているように感じた。さっきよりも空気は緩んでいる? でもヴォルフ様の拘束は変わらない。
「……ヴォルフ様……」
ヴィムとやらが一人で何か呟き出したので声をかけたけれど、抱きしめる腕の強さが僅かに緩むだけで返事はなかった。どうしたらいいの? 私が身を引けば……でも、離れたくない。
「旦那様、どうされました?」
入って来たのはティオの声だった。さっき大きな声を出されたから不審に思ったかしら。
「ティオ! 侵入者よ! 下がって!」
ヴォルフ様との会話からかなりの手練れ、それもヴォルフ様に匹敵するような気がする。ティオを巻き添えには出来ないと声を上げた。
「奥様、何を? っ! ヴィム殿!?」
ティオが息を呑んだ後彼の名を呼んだ。ヴィムで間違いないのね。使用人の名簿にはなかった名前だわ。
「ヴィム殿、どういうことです? 何故ここに? それにこの状況……まさか奥様を!?」
ティオは直ぐに状況を把握したらしく語気を強めて問い詰めた。切り替えが早いわ、さすがはこの屋敷を束ねているだけある。そして彼がどういう立場なのか知っているのね。
「ああ、ティオか。まぁ、見ての通りだ」
「……奥様に何を? まさか……」
「ティオ、お前は何をしていた? どう考えても今の状況のまずさがわからないとは言わせんぞ」
「それは……」
ティオが言葉を返せなかった。それはつまりティオも今の状況が、私の存在がゾルガーにとってよくないと感じていたってこと? どうして……ティオも知っている上、殿を付けたということは彼はティオよりも上の立場だということよね。一族の者、それもかなり地位が高いのね。もしかして……
「まさか……ゾルガーの、影……?」
私の呟きを拾ったヴォルフ様の腕に力がこもった。正解なのね。だってヴォルフ様にあんな物言いが出来る人なんて限られているもの。私が知る限りでは国王陛下と王妃様、王太子殿下、後は五侯爵家の当主くらい。それ以外でとなれば……例えば、影になったヴォルフ様を育てた人や……その長くらい、かしら。でも、影はヴォルフ様に、当主に絶対服従ではないの? 王家の影はそうだと聞くけれど……
「ははっ、やっと気づいたか。度胸はあるようだが鈍いな」
そう言って笑われたけれど……この声、やっぱりどこかで……
「顔を合わせるのは二度目かな、夫人。俺はヴィム。ゾルガーの影の長であり番人だ」
「番人?」
影はわかるけれど、番人ってどういうこと? 影のことは長年この家に仕えているティオもよく知らないと言っていたけれど……その様子からすると当主しか知らない何かがあるのね。顔を見たくて身をよじると少しだけ拘束が緩んだので顔を傾げて声のする方に視線を向けた。そこにいたのは茶の髪と目を持つ、中肉中背の男性だった。年は……三十代半ば、くらいかしら? 顔立ちは特徴がなくて平凡と言えば平凡だわ。想像していたのとは随分違う……どこからどう見ても一般人にしか見えないわ。
「ティオ……もしかして、ヴォルフ様が熱を出した時……」
「はい、グレンと共に旦那様をベッドに運んだ者です」
どこかで聞いた覚えがあったのはあの時の……でも、室内は暗かったから顔などはわからなかったのよね。わかったのはグレンよりも少し背が低いことくらいだったし。
「知らなくて当然だ。顔を出すつもりはなかったんだからな」
「じゃ……どうして」
「ヴォルフがお前さんに執着し出したからだ。全く面倒なことをしてくれたな」
「わ、私は……何もしていないわ。そんな風に言われても……」
そもそもそんなことあるはずがないでしょう? ヴォルフ様には散々愛せないって言われているのよ。
「無自覚なのが一番厄介なんだよなぁ……」
「……ヴォルフ様は私に執着なんかされていませんから」
「今までの会話でそう思うならよっぽど鈍感か自信がないかのどっちかだな。おいティオ、どうなんだ?」
何故か尋ねた先はティオだった。話を振られたティオは困ったような笑みを浮かべた。
「左様でございますね、旦那様のこれまでの言動にも一因があるかと」
「ヴォルフの?」
「愛せない、愛を求めるなと繰り返し仰っていましたから。そして奥様は自己評価が低くていらっしゃる。こちらはご実家のせいでございましょう」
「面倒くせぇ……」
何よ、面倒って。いきなり現れて難癖付けてきたのはそちらじゃない。一方的に呆れられてなんだか腹が立ってきたわ。
「ヴォルフ、役目を忘れたか?」
投げられた声は知り合いに話しかけるような柔らかさがあったけれど、ヴォルフ様の拘束は緩まなかった。暗殺者ではないようだけど、その落差に嫌な予感が増していく。この人は誰? 役目って、ヴォルフ様の筆頭侯爵としての?
「忘れてなどいない」
「だったらさっきの言葉は何だ?」
その問いは私の疑問でもあったから気になるけれど、何故かそれを聞くのは危険な気がした。この人は一体……役目って、筆頭侯爵の?
「何をする気だ?」
問いには答えずにヴォルフ様が尋ねた。ヴォルフ様にこんな風に話せるこの人は何なの? 姿が見えないから声だけが頼りだけど、どこかで聞いたことがあるような気がする。でも、思い出せそうで思い出せない……
「決まっているだろう? ゾルガーを導くのが俺の役目。その責務を果たすだけだ」
ゾルガーを導く? そんな話、聞いたことがないわ。
「……俺は役目を全うしている」
「今はな。だがこの先もそうだとは言い切れないだろう?」
「無用な心配だ」
ヴォルフ様の答えに相手が納得しているようには感じなかった。ソファに背を預ける形で守るように抱きしめられる。重くて痛い……
「いいや、その娘は危険だ」
「イルーゼに手を出すことは許さん!」
突然ヴォルフ様が叫んだ。その語気の強さと鋭さに思わず身が竦んだ。狙われたのは私なのね。でも何故なの? 危険って……感情を取り戻そうと考えたから?
「ははっ、思った通りだったな。お前自身がたった今証明したよ。そんなにその娘が大事か? だったら手放せ。そうすれば見逃してやる」
私が大事……? その言葉に心が跳ねたけれど、続いた言葉に心が冷えるのを感じた。手放せ? そうしなかったらどうするというの?
「断る。イルーゼには俺の子を産ませる。邪魔はさせん」
「お前はゾルガーの血を引いていない。子を産ませるなら分家の娘だろう。そうすればゾルガーの血は続く」
「ゾルガーの血を引く後継が必要なら分家から養子をとればいい。お前が見繕え。俺の子として育てる」
それは貴族家なら当然の考えだわ。ヴォルフ様もフレディ様もゾルガーの血を引いていない。本来ならヴォルフ様は分家の娘を娶って後継を産ませるのが筋よね。私とではゾルガーの血を残せないもの。それでもゾルガーは血より能力を重視すると言うからそれでもいいのだと思っていたけれど……血を重視するこの人は……一族の人なの?
「だったら尚のこと、その娘を側に置く必要はないだろう」
「俺の妻はイルーゼ一人だ。そう約束した」
頑ななヴォルフ様の言葉にヴィムと呼ばれた男性のため息が聞こえた。
「……面倒なことを言い出したな。そんなにその娘が気に入ったか?」
「…………」
「チッ、図星かよ……」
こんな状況なのに頬が熱くなるのを感じた。私を気に入ったって……そりゃあ根性が気に入ったと言われたことはあったけれど……そういう意味でってことよね。ダメよ私、期待しては……
「……はぁ、厄介なことになったな……ったく、どこに……ったんだ? 俺の……は完璧だった筈なのに……」
独り言なのか声は切れ切れではっきり聞き取れなかったけれど、その言葉には呆れと嘆き、あとは自嘲も含まれているように感じた。さっきよりも空気は緩んでいる? でもヴォルフ様の拘束は変わらない。
「……ヴォルフ様……」
ヴィムとやらが一人で何か呟き出したので声をかけたけれど、抱きしめる腕の強さが僅かに緩むだけで返事はなかった。どうしたらいいの? 私が身を引けば……でも、離れたくない。
「旦那様、どうされました?」
入って来たのはティオの声だった。さっき大きな声を出されたから不審に思ったかしら。
「ティオ! 侵入者よ! 下がって!」
ヴォルフ様との会話からかなりの手練れ、それもヴォルフ様に匹敵するような気がする。ティオを巻き添えには出来ないと声を上げた。
「奥様、何を? っ! ヴィム殿!?」
ティオが息を呑んだ後彼の名を呼んだ。ヴィムで間違いないのね。使用人の名簿にはなかった名前だわ。
「ヴィム殿、どういうことです? 何故ここに? それにこの状況……まさか奥様を!?」
ティオは直ぐに状況を把握したらしく語気を強めて問い詰めた。切り替えが早いわ、さすがはこの屋敷を束ねているだけある。そして彼がどういう立場なのか知っているのね。
「ああ、ティオか。まぁ、見ての通りだ」
「……奥様に何を? まさか……」
「ティオ、お前は何をしていた? どう考えても今の状況のまずさがわからないとは言わせんぞ」
「それは……」
ティオが言葉を返せなかった。それはつまりティオも今の状況が、私の存在がゾルガーにとってよくないと感じていたってこと? どうして……ティオも知っている上、殿を付けたということは彼はティオよりも上の立場だということよね。一族の者、それもかなり地位が高いのね。もしかして……
「まさか……ゾルガーの、影……?」
私の呟きを拾ったヴォルフ様の腕に力がこもった。正解なのね。だってヴォルフ様にあんな物言いが出来る人なんて限られているもの。私が知る限りでは国王陛下と王妃様、王太子殿下、後は五侯爵家の当主くらい。それ以外でとなれば……例えば、影になったヴォルフ様を育てた人や……その長くらい、かしら。でも、影はヴォルフ様に、当主に絶対服従ではないの? 王家の影はそうだと聞くけれど……
「ははっ、やっと気づいたか。度胸はあるようだが鈍いな」
そう言って笑われたけれど……この声、やっぱりどこかで……
「顔を合わせるのは二度目かな、夫人。俺はヴィム。ゾルガーの影の長であり番人だ」
「番人?」
影はわかるけれど、番人ってどういうこと? 影のことは長年この家に仕えているティオもよく知らないと言っていたけれど……その様子からすると当主しか知らない何かがあるのね。顔を見たくて身をよじると少しだけ拘束が緩んだので顔を傾げて声のする方に視線を向けた。そこにいたのは茶の髪と目を持つ、中肉中背の男性だった。年は……三十代半ば、くらいかしら? 顔立ちは特徴がなくて平凡と言えば平凡だわ。想像していたのとは随分違う……どこからどう見ても一般人にしか見えないわ。
「ティオ……もしかして、ヴォルフ様が熱を出した時……」
「はい、グレンと共に旦那様をベッドに運んだ者です」
どこかで聞いた覚えがあったのはあの時の……でも、室内は暗かったから顔などはわからなかったのよね。わかったのはグレンよりも少し背が低いことくらいだったし。
「知らなくて当然だ。顔を出すつもりはなかったんだからな」
「じゃ……どうして」
「ヴォルフがお前さんに執着し出したからだ。全く面倒なことをしてくれたな」
「わ、私は……何もしていないわ。そんな風に言われても……」
そもそもそんなことあるはずがないでしょう? ヴォルフ様には散々愛せないって言われているのよ。
「無自覚なのが一番厄介なんだよなぁ……」
「……ヴォルフ様は私に執着なんかされていませんから」
「今までの会話でそう思うならよっぽど鈍感か自信がないかのどっちかだな。おいティオ、どうなんだ?」
何故か尋ねた先はティオだった。話を振られたティオは困ったような笑みを浮かべた。
「左様でございますね、旦那様のこれまでの言動にも一因があるかと」
「ヴォルフの?」
「愛せない、愛を求めるなと繰り返し仰っていましたから。そして奥様は自己評価が低くていらっしゃる。こちらはご実家のせいでございましょう」
「面倒くせぇ……」
何よ、面倒って。いきなり現れて難癖付けてきたのはそちらじゃない。一方的に呆れられてなんだか腹が立ってきたわ。
3,722
読んで下さってありがとうございます。
感想・お気に入り登録・エールも励みになります。
また誤字脱字を報告して下さる皆様に感謝申し上げます。
新たに「黒茨の魔女と金眼の下僕」の連載も始めました。
こちらもよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/687112907/698925653
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