212 / 300
第二部
向かった先
しおりを挟む
その屋敷は王都の外れにあった。洗練された造りの屋敷は上位貴族向けだけど、規模からすると隠居した前当主やその夫人が余生を過ごすためのものかしら。細かいところまで意趣を凝らした外装や自然を上手く利用した彩りのある庭は所有者の趣味の良さが感じられた。
「ここの持ち主って……」
「心当たりが幾つかありますが……」
そう言って首を左右に振った。この辺りだといくつかの貴族の別邸があったと記憶しているけれど確証がない。ヴォルフ様か影の誰かは気付いてるかもしれないし、今から調べるでしょうけれど。馬車が玄関ホールに着くとここの使用人らしい中年の男性が二人と侍女が一人待っていた。先にヴォルフ様たちに乗った馬車が正面に停まり、続けて私たちの乗った馬車が止まる。ここからは私も殿下も使用人だから振舞いに気を付けないと。私も念のためにお忍びで使った茶のかつらを被っていた。万が一に備えて持って来てよかったわ。
殿下は早々に馬車を下りて主人役のハリマン様を出迎えるように立ち、私はその後ろに立った。前の馬車からはギュンター様がまず降り、ハリマン様、ヴォルフ様と続きた。ヴォルフ様は緩慢な動きで馬車から降りたけれど、それは薬によって前後不覚の状態ということになっているから。その通り足元も危なっかしいもので、演技だとわかっているけれど真に迫っていて思わず駆け寄りたくなったわ。こんなに演技がお上手だとは思わなかったと、妙なところで感心してしまった。
ふらつくヴォルフ様をギュンター様が支えてもハリマン様は顔色を悪くして半ば呆然としていた。そう言えば馬車に酔いやすかったわね。あの人選ならいつも以上に悪酔いしたのかもしれない。近くにいたこの屋敷の使用人の一人が近づいて二人がかりで寄り添いながら屋敷に入って行き、ハリマン様が力なく続いた。その後ろを殿下が続き、私は不安を隠しきれないといった雰囲気を醸し出しながらついていった。屋敷の中は日がよく取り込まれて趣味のいい内装を引き立てていた。
「ヴォルフ様!」
とある部屋にヴォルフ様の姿が消えると室内から感極まった風の可憐な声が私の夫の名を呼んだ。殿下たちについて部屋に入ると、予想通りクラリッサ様とフリーデル公爵、その後ろに高齢の男性が控えていた。ギュンター様から聞いてはいたけれど、やっぱりこの人たちが後ろにいたのね。
クラリッサ様は愛らしく清楚な水色のドレスを纏い、髪には同じ色の花の形を模した小さな飾りを多数散りばめて、色も相まってか清純さが際立っていた。あんな装いは私には似合わないわね。そんな彼女にハリマン様が見惚れていた。そのクラリッサ様はヴォルフ様に駆け寄って心配そうに顔を覗き込み、大丈夫ですかと声をかける。その表情は今にも泣きそうだった。どうしてこうなっているのか彼女は理解していないのかしら? もしかして麻薬や自白剤のことをご存じない? 使用人らにベッドへ運ぶように指示を出し、奥の部屋へと消えていった。
「お前はここまでよ」
ヴォルフ様の後を追おうとしたらここの侍女に止められた。申し訳ございませんと消え入りそうな声で謝罪して殿下の側に控える間に高齢の男性二人が奥の部屋へ消えていった。ヴォルフ様が心配だけどここは大人しく待つしかないわ。ギュンター様を見るとにこやかに公爵と挨拶を交わしていた。今のところ裏切る気配はなさそうだけどここは敵の手の内、油断は出来ない。身体の前で組んだ手に力がこもった。
「首尾は?」
「はい。伯爵が侯爵の隊列を襲った隙に馬車ごと奪いました。寄子の別邸に移してから託された薬を」
「ちゃんと飲ませたのか? そう言えばミュンターの若造はどうした?」
「あの者はお尋ね者、ここに出入りしていると知られれば公爵にご迷惑をおかけしましょう。あれは屋敷に置いてきました。その代わりといっては何ですが、侯爵の世話をしていた者を連れてきました。薬を飲ませたのもあの娘です」
そう言ってギュンター様が私を見た。つられてフリーデル公爵が私を見たけれど、それはゾッとする程冷たい目だった。これがこの人の本性なのね。
「この娘は?」
「寄子の家の使用人です。男爵家の娘で子爵が信用して側に置いている者です」
「そうか。娘、ちゃんと薬を飲ませたか?」
居丈高にまるで汚物を見るような目で私を見ながら公爵が尋ねてきた。かつらで目元を隠しているお陰で私とは気づいていないみたいね。
「は、はいっ。あの……お、お客様が仰ったように、お薬を……量もお客様に確認していただいてから飲ませました……」
内気で貴族を恐れている娘風に、声を高くして怯えた様に答えた。私は今メイド、下級メイドだと心の中で繰り返す。緊張のせいで声が詰まってしまったけれどかえっていい感じになったわ。
「お客様?」
「ああ、公爵、あの若者のことです。念のため使用人には名を伏せていましたので」
「そういうことか。で、彼が持ってきた薬も飲ませたのか?」
「はい、飲ませたのはあの娘ですが、私と令息が立ち合いました。間違いございません」
敢えて名を出さないのは警戒してのことかしら。
「そうか。この娘は?」
「このまま連れて帰りますよ。下位とはいえ貴族の末端、行方不明になったと騒がれては面倒ですからな」
「そうか……この国は下位貴族相手でもお優しいんだったな」
こちらに聞こえないと思っているようだけど、その声は微かだけどこちらに届いていた。この人は国では下位貴族など人とも思っていないのね。アーレントだったら口封じのために殺されていたってことね。全くろくでもない人だわ。
「それで……侯爵は吐いたか?」
「実は……薬が効き過ぎたようで、あのように会話もままならず……」
「何だと? そうか……ではあの情報は?」
「まだでございます」
「……わかった。おい、医師に投薬を待てと伝えろ」
側にいた使用人にそう伝えると、直ぐにヴォルフ様が消えた奥の部屋へと向かった。話声がするから公爵の指示を伝えているのね。ここで飲まされたらどうなるかと心配だったから心が軽くなった。
「フリーデル公爵、ゾルガー侯爵に一体何を……」
完全に空気になっていたハリマン様が恐る恐るといった風に話しかけた。これは彼に命じていた質問。フリーデル公爵に尋ねるよう、屋敷に出る前に頼んであったものだ。
「ああ、ハリマン卿、前にも言った通り治療ですよ。心のね」
「治療、ですか」
「ハリマン卿には感謝していますよ。娘のためにこのような面倒を引き受けて下さって父親として嬉しい限りです」
浮かんだ笑顔は王宮や我が家の応接室で見たものだけど、相変わらず人を見下した意識は隠せていなかった。秀麗で年よりも若く見えるのもあって夫人たちに騒がれていたけれど、これがこの人の本質なのね。
「あ、ありがとうございます。では……」
「ええ、もちろん、あなた様を娘の嫁ぎ先の第一候補と認めましょう」
「ほ、本当ですか!」
青かったハリマン様の頬に赤みが増したわ。本気でクラリッサ様との婚姻を望んでいるのね。でも大丈夫なのかしら。シリングス公爵家ではクラリッサ様を満足させられるほどの資産はなさそうだけど……いえ、フリーデル公爵が援助するのなら問題ないわね。でもこの人の本性を見た後では不安しかないわ。ハリマン様も体のいい使い捨ての駒にしか見られていないのではないかしら? いえ、低くても王位継承権はお持ちだし、クラリッサ様からの印象もいいのであれば予備として簡単には切り捨てないとは思うけれど。
「ええ、もちろんですよ。そのためにもハリマン様、この国であの子を守るために、この国で不安なく暮らせるよう我々に協力をお願いしたいのです」
公爵が蕩けるような笑顔を向けた。華やかな顔は花のよう。ハリマン様も美形だけどこの厚かましいほどの華やかさや艶やかさは彼には出せないわね。
「ええ、それはもちろんです。妻となる女性を支えるのは夫の役目。クラリッサ様のお心を沈ませるなど許されないことです」
「おお、それを聞いて安心しましたよ。やはりハリマン卿にお声をかけてようございました。どうか娘のためにご尽力いただきたい」
「お任せください」
ハリマン様は騎士がするように胸元に手を当てたけれど、安請け合いしていいのかしら? 絶対にろくなことにならないと思うのだけど。
「ああ、では一つお願いがあるのですよ」
「私に、ですか?」
直ぐに示された申し入れにハリマン様が一瞬だけ怪訝そうな表情を浮かべたけれど、それは公爵の笑顔で絆されていた。あの笑顔は毒ね、人を惑わせるわ。
「ここで話すのもなんですのでこちらへ。ギュンター卿も」
声を掛けられたギュンター様が恭しく頭を下げて是の意を示し、公爵の後に続いた。ハリマン様も少し迷ったように見えたけれど、奥の部屋を一瞥すると彼らの後を追った。
「ここの持ち主って……」
「心当たりが幾つかありますが……」
そう言って首を左右に振った。この辺りだといくつかの貴族の別邸があったと記憶しているけれど確証がない。ヴォルフ様か影の誰かは気付いてるかもしれないし、今から調べるでしょうけれど。馬車が玄関ホールに着くとここの使用人らしい中年の男性が二人と侍女が一人待っていた。先にヴォルフ様たちに乗った馬車が正面に停まり、続けて私たちの乗った馬車が止まる。ここからは私も殿下も使用人だから振舞いに気を付けないと。私も念のためにお忍びで使った茶のかつらを被っていた。万が一に備えて持って来てよかったわ。
殿下は早々に馬車を下りて主人役のハリマン様を出迎えるように立ち、私はその後ろに立った。前の馬車からはギュンター様がまず降り、ハリマン様、ヴォルフ様と続きた。ヴォルフ様は緩慢な動きで馬車から降りたけれど、それは薬によって前後不覚の状態ということになっているから。その通り足元も危なっかしいもので、演技だとわかっているけれど真に迫っていて思わず駆け寄りたくなったわ。こんなに演技がお上手だとは思わなかったと、妙なところで感心してしまった。
ふらつくヴォルフ様をギュンター様が支えてもハリマン様は顔色を悪くして半ば呆然としていた。そう言えば馬車に酔いやすかったわね。あの人選ならいつも以上に悪酔いしたのかもしれない。近くにいたこの屋敷の使用人の一人が近づいて二人がかりで寄り添いながら屋敷に入って行き、ハリマン様が力なく続いた。その後ろを殿下が続き、私は不安を隠しきれないといった雰囲気を醸し出しながらついていった。屋敷の中は日がよく取り込まれて趣味のいい内装を引き立てていた。
「ヴォルフ様!」
とある部屋にヴォルフ様の姿が消えると室内から感極まった風の可憐な声が私の夫の名を呼んだ。殿下たちについて部屋に入ると、予想通りクラリッサ様とフリーデル公爵、その後ろに高齢の男性が控えていた。ギュンター様から聞いてはいたけれど、やっぱりこの人たちが後ろにいたのね。
クラリッサ様は愛らしく清楚な水色のドレスを纏い、髪には同じ色の花の形を模した小さな飾りを多数散りばめて、色も相まってか清純さが際立っていた。あんな装いは私には似合わないわね。そんな彼女にハリマン様が見惚れていた。そのクラリッサ様はヴォルフ様に駆け寄って心配そうに顔を覗き込み、大丈夫ですかと声をかける。その表情は今にも泣きそうだった。どうしてこうなっているのか彼女は理解していないのかしら? もしかして麻薬や自白剤のことをご存じない? 使用人らにベッドへ運ぶように指示を出し、奥の部屋へと消えていった。
「お前はここまでよ」
ヴォルフ様の後を追おうとしたらここの侍女に止められた。申し訳ございませんと消え入りそうな声で謝罪して殿下の側に控える間に高齢の男性二人が奥の部屋へ消えていった。ヴォルフ様が心配だけどここは大人しく待つしかないわ。ギュンター様を見るとにこやかに公爵と挨拶を交わしていた。今のところ裏切る気配はなさそうだけどここは敵の手の内、油断は出来ない。身体の前で組んだ手に力がこもった。
「首尾は?」
「はい。伯爵が侯爵の隊列を襲った隙に馬車ごと奪いました。寄子の別邸に移してから託された薬を」
「ちゃんと飲ませたのか? そう言えばミュンターの若造はどうした?」
「あの者はお尋ね者、ここに出入りしていると知られれば公爵にご迷惑をおかけしましょう。あれは屋敷に置いてきました。その代わりといっては何ですが、侯爵の世話をしていた者を連れてきました。薬を飲ませたのもあの娘です」
そう言ってギュンター様が私を見た。つられてフリーデル公爵が私を見たけれど、それはゾッとする程冷たい目だった。これがこの人の本性なのね。
「この娘は?」
「寄子の家の使用人です。男爵家の娘で子爵が信用して側に置いている者です」
「そうか。娘、ちゃんと薬を飲ませたか?」
居丈高にまるで汚物を見るような目で私を見ながら公爵が尋ねてきた。かつらで目元を隠しているお陰で私とは気づいていないみたいね。
「は、はいっ。あの……お、お客様が仰ったように、お薬を……量もお客様に確認していただいてから飲ませました……」
内気で貴族を恐れている娘風に、声を高くして怯えた様に答えた。私は今メイド、下級メイドだと心の中で繰り返す。緊張のせいで声が詰まってしまったけれどかえっていい感じになったわ。
「お客様?」
「ああ、公爵、あの若者のことです。念のため使用人には名を伏せていましたので」
「そういうことか。で、彼が持ってきた薬も飲ませたのか?」
「はい、飲ませたのはあの娘ですが、私と令息が立ち合いました。間違いございません」
敢えて名を出さないのは警戒してのことかしら。
「そうか。この娘は?」
「このまま連れて帰りますよ。下位とはいえ貴族の末端、行方不明になったと騒がれては面倒ですからな」
「そうか……この国は下位貴族相手でもお優しいんだったな」
こちらに聞こえないと思っているようだけど、その声は微かだけどこちらに届いていた。この人は国では下位貴族など人とも思っていないのね。アーレントだったら口封じのために殺されていたってことね。全くろくでもない人だわ。
「それで……侯爵は吐いたか?」
「実は……薬が効き過ぎたようで、あのように会話もままならず……」
「何だと? そうか……ではあの情報は?」
「まだでございます」
「……わかった。おい、医師に投薬を待てと伝えろ」
側にいた使用人にそう伝えると、直ぐにヴォルフ様が消えた奥の部屋へと向かった。話声がするから公爵の指示を伝えているのね。ここで飲まされたらどうなるかと心配だったから心が軽くなった。
「フリーデル公爵、ゾルガー侯爵に一体何を……」
完全に空気になっていたハリマン様が恐る恐るといった風に話しかけた。これは彼に命じていた質問。フリーデル公爵に尋ねるよう、屋敷に出る前に頼んであったものだ。
「ああ、ハリマン卿、前にも言った通り治療ですよ。心のね」
「治療、ですか」
「ハリマン卿には感謝していますよ。娘のためにこのような面倒を引き受けて下さって父親として嬉しい限りです」
浮かんだ笑顔は王宮や我が家の応接室で見たものだけど、相変わらず人を見下した意識は隠せていなかった。秀麗で年よりも若く見えるのもあって夫人たちに騒がれていたけれど、これがこの人の本質なのね。
「あ、ありがとうございます。では……」
「ええ、もちろん、あなた様を娘の嫁ぎ先の第一候補と認めましょう」
「ほ、本当ですか!」
青かったハリマン様の頬に赤みが増したわ。本気でクラリッサ様との婚姻を望んでいるのね。でも大丈夫なのかしら。シリングス公爵家ではクラリッサ様を満足させられるほどの資産はなさそうだけど……いえ、フリーデル公爵が援助するのなら問題ないわね。でもこの人の本性を見た後では不安しかないわ。ハリマン様も体のいい使い捨ての駒にしか見られていないのではないかしら? いえ、低くても王位継承権はお持ちだし、クラリッサ様からの印象もいいのであれば予備として簡単には切り捨てないとは思うけれど。
「ええ、もちろんですよ。そのためにもハリマン様、この国であの子を守るために、この国で不安なく暮らせるよう我々に協力をお願いしたいのです」
公爵が蕩けるような笑顔を向けた。華やかな顔は花のよう。ハリマン様も美形だけどこの厚かましいほどの華やかさや艶やかさは彼には出せないわね。
「ええ、それはもちろんです。妻となる女性を支えるのは夫の役目。クラリッサ様のお心を沈ませるなど許されないことです」
「おお、それを聞いて安心しましたよ。やはりハリマン卿にお声をかけてようございました。どうか娘のためにご尽力いただきたい」
「お任せください」
ハリマン様は騎士がするように胸元に手を当てたけれど、安請け合いしていいのかしら? 絶対にろくなことにならないと思うのだけど。
「ああ、では一つお願いがあるのですよ」
「私に、ですか?」
直ぐに示された申し入れにハリマン様が一瞬だけ怪訝そうな表情を浮かべたけれど、それは公爵の笑顔で絆されていた。あの笑顔は毒ね、人を惑わせるわ。
「ここで話すのもなんですのでこちらへ。ギュンター卿も」
声を掛けられたギュンター様が恭しく頭を下げて是の意を示し、公爵の後に続いた。ハリマン様も少し迷ったように見えたけれど、奥の部屋を一瞥すると彼らの後を追った。
3,065
読んで下さってありがとうございます。
感想・お気に入り登録・エールも励みになります。
また誤字脱字を報告して下さる皆様に感謝申し上げます。
新たに「黒茨の魔女と金眼の下僕」の連載も始めました。
こちらもよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/687112907/698925653
感想・お気に入り登録・エールも励みになります。
また誤字脱字を報告して下さる皆様に感謝申し上げます。
新たに「黒茨の魔女と金眼の下僕」の連載も始めました。
こちらもよろしくお願いします。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/687112907/698925653
お気に入りに追加
10,429
あなたにおすすめの小説
ローザとフラン ~奪われた側と奪った側~
水無月あん
恋愛
私は伯爵家の娘ローザ。同じ年の侯爵家のダリル様と婚約している。が、ある日、私とはまるで性格が違う従姉妹のフランを預かることになった。距離が近づく二人に心が痛む……。
婚約者を奪われた側と奪った側の二人の少女のお話です。
5話で完結の短いお話です。
いつもながら、ゆるい設定のご都合主義です。
お暇な時にでも、お気軽に読んでいただければ幸いです。よろしくお願いします。
あなたの破滅のはじまり
nanahi
恋愛
家同士の契約で結婚した私。夫は男爵令嬢を愛人にし、私の事は放ったらかし。でも我慢も今日まで。あなたとの婚姻契約は今日で終わるのですから。
え?離縁をやめる?今更何を慌てているのです?契約条件に目を通していなかったんですか?
あなたを待っているのは破滅ですよ。
旦那様、その真実の愛とお幸せに
おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」
結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。
「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」
「え?」
驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。
◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話
◇元サヤではありません
私の婚約者は失恋の痛手を抱えています。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
幼馴染の少女に失恋したばかりのケインと「学園卒業まで婚約していることは秘密にする」という条件で婚約したリンジー。当初は互いに恋愛感情はなかったが、一年の交際を経て二人の距離は縮まりつつあった。
予定より早いけど婚約を公表しようと言い出したケインに、失恋の傷はすっかり癒えたのだと嬉しくなったリンジーだったが、その矢先、彼の初恋の相手である幼馴染ミーナがケインの前に現れる。
婿入り条件はちゃんと確認してください。
もふっとしたクリームパン
恋愛
<あらすじ>ある高位貴族の婚約関係に問題が起きた。両家の話し合いの場で、貴族令嬢は選択を迫ることになり、貴族令息は愛と未来を天秤に懸けられ悩む。答えは出ないまま、時間だけが過ぎていく……そんな話です。*令嬢視点で始まります。*すっきりざまぁではないです。ざまぁになるかは相手の選択次第なのでそこまで話はいきません。その手前で終わります。*突発的に思いついたのを書いたので設定はふんわりです。*カクヨム様にも投稿しています。*本編二話+登場人物紹介+おまけ、で完結。
一体だれが悪いのか?それはわたしと言いました
LIN
恋愛
ある日、国民を苦しめて来たという悪女が処刑された。身分を笠に着て、好き勝手にしてきた第一王子の婚約者だった。理不尽に虐げられることもなくなり、ようやく平和が戻ったのだと、人々は喜んだ。
その後、第一王子は自分を支えてくれる優しい聖女と呼ばれる女性と結ばれ、国王になった。二人の優秀な側近に支えられて、三人の子供達にも恵まれ、幸せしか無いはずだった。
しかし、息子である第一王子が嘗ての悪女のように不正に金を使って豪遊していると報告を受けた国王は、王族からの追放を決めた。命を取らない事が温情だった。
追放されて何もかもを失った元第一王子は、王都から離れた。そして、その時の出会いが、彼の人生を大きく変えていくことになる…
※いきなり処刑から始まりますのでご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる