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第二部
領邸の医師
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国王陛下ご夫妻が離宮に移動した翌日、ゾルガー領に務める医師が王都の屋敷に到着した。避妊薬を飲まされていたと聞いた日から十日目のことだった。
ヴォルフ様の執務室のソファにかけ、私とヴォルフ様、ティオとオーベルでテーブルを囲む。今日はアベルがお茶を淹れてくれた。領邸に勤める医師はオーベルと言い、ティオと同じくらいの年だけど、ティオよりも少し上に見えた。灰色がかった薄茶に見える髪は半分白くなったせいで、瞳は髪色と同じ茶色だった。
「旦那様、お久しゅうございます」
「ああ」
相変わらず不愛想なヴォルフ様に対し、気を悪くした風もなくオーベルはニコニコしていた。小柄でのんびりした風貌と口調から穏やかな人柄に見えた。
「これはこれは、奥方様。領地のお屋敷で侍医を務めさせていただいておりますオーベルと申します」
「イルーゼです。初めまして」
人懐っこい笑みで話しかけられた。殆ど話さないルーザー医師とは対照的だわ。
「さてさて、こんな爺に何のご用ですかな?」
カップを手にニコニコと話す姿は好々爺といった感じで、ティオのそれよりも皴の多い手には古い傷痕が見えた。そのせいか年は近いはずなのに老けて見える。
「ヴォルフ様の感情についてです」
「旦那様の……」
途端に纏う空気が僅かに変わったように感じた。弓型に細められている目の奥に力が入ったようにも見える。
「ええ。ヴォルフ様が感情を失っていると伺っています。それは過去に起きた凄惨な事件のせいで、心を守るために感情に蓋をしたと。ですが……もし蓋が開いた時ヴォルフ様がどうなるのか、私たちはどうすべきなのかを知りたいのです」
今すぐどうにかなるわけじゃないと思うけれど、全く経験がないからわからない。それが怖い。せめてそうなった時にどうすべきか、その道標が欲しい。
「……旦那様の……それは、旦那様の傷を治したいと、癒したいと、そういうことでございますか?」
「それが可能ならそうしたいわ。でも、ティオの話を聞いてそれは難しいと思ったの。簡単ではないと」
「左様、簡単ではございません。治ると見込んだ者ですら突然命を断つこともございます。このお役目を頂いて三十年余り経ちますが、何が最善なのか、未だに答えが見つかりません」
やっぱり治すのは簡単ではないのね。長年騎士の心の傷を診てきた彼が言うのなら。
「そうなのね。でも、ヴォルフ様に何かあってはゾルガー家が揺らいでしまうわ。そうならないためにも先に手を打っておきたい。その為にも力を貸してほしいの」
難しいと言われても引き下がれないわ。ヴォルフ様のためにもゾルガー家のためにも、そして私自身のためにも。真っすぐオーベルの目を見る。さっきまでの穏やかさはそのままだけど、細い目の下にはさっきよりも強い光があった。
「……どうやら奥方様は無茶な要求を平気でなさるお方のようだ……」
「否定はしませんわ」
「……出来る、との保証は出来かねます」
「それは承知の上よ。だからと言って諦める気はないけれど」
「……私が旦那様と接したのは領地にいた二十年ほど前の一時です。先ずは旦那様について知らねばなりません」
「どうするかはお任せします。先生が納得のいくようにして頂ければ」
専門的なことは私にはわからない。先生に任せるしかない。
「旦那様を知るための時間が必要です。当面はこちらに滞在して旦那様のお側に控えても?」
「お願いします。領地の方の医師は?」
「未熟ではありますが私の弟子がおります。彼の者なら大抵のことは対応出来るでしょう」
「そう。もし不足があれば言ってくれる? 出来る限りのことはしますから」
「かしこまりました」
オーベルは東棟に部屋を用意して当分はヴォルフ様と共に過ごすことになった。ティオたち古参の使用人やルーザーたちからも話を聞きたいという。聞けばルーザーとは王都で学んでいた時からの顔見知りだとか。ルーザーはあまりこの手のことは得意ではないそうだけど、医師としての知見は豊富だから二人が協力してくれれば心強いわ。
後は影だけど……ヴォルフ様からは何の話もなかった。尋ねてみようかとも思ったけれど領邸の医師は手配して下さったし、催促するようで気がとがめたのでもう少し待つことにした。ヴォルフ様にも都合がおありでしょうし、該当する影が任務中で動けなのかもしれないから。
医師がティオに連れられて用意された部屋に下がると二人きりになった。
「あの、ヴォルフ様はよろしいのですか?」
疑問に思っていたことがあったので思い切って尋ねてみた。
「何がだ?」
「ヴォルフ様の、感情のことです。ヴォルフ様の意向を聞かずに勝手に動いてしまいましたから……」
そう、今更なのだけど、ヴォルフ様の意向を全く聞いていなかったのよね。あの時は避妊薬のことでヴォルフ様に非があったからその流れで動いてしまったけれど、よくよく考えたらこういうことって本人の意向が大事なのではないかとここ数日思うようになっていた。
「お前がそうしたいのだろう?」
「それは……そうなのですけれど……でも、ヴォルフ様がどう思われるかが大切です。ヴォルフ様は……感情を取り戻したいと思われますか?」
ヴォルフ様の状態がどんなものか私も想像したけれど、正直言って全くわからなかった。感情がないということは喜びも楽しみも感じなくて、それは酷く寂しいことのように思えたわ。でも……
一方で怒りや悲しみを感じないのは筆頭侯爵として立つヴォルフ様にとって幸いかもしれないとも思う。比類なき立場は常に嫉妬や憎悪、殺意を向けられる。それは仕方がないとわかっていても心が傷つかない訳ではないわ。私も向けられる悪意にはまだ慣れないし、一生慣れることはないように思う。
それに、何かを決断する時、相手の立場や周囲の反応を考えれば心が乱れるのは避けられない。私だってミュンターの前当主の断罪で痛む心はなかったけれど、それに連座してアルビーナ様が何もかもを失うのを見た時は平静ではいられなかった。この苦しみを感じないのなら……それはもしかしたら救いなのかもしれないとも思う。そんな風に思うのは私だけかもしれないけれど。
「ゾルガー当主として筆頭侯爵として感情は不要だと俺は考える。俺に求められているのは王家を支え貴族家を抑え、国をよりよく導くことだ。そういう意味で俺もまた国民の命を預かっているとも言える。情に流されて決断を違えれば多くの命を失うことになる」
ヴォルフ様の声には僅かな揺らぎもなかった。心からそうお考えだと、そこに迷いはないと伝わってくる。そう言われてしまうと反論出来ないわ。仰る通りだもの。
でも、どこにヴォルフ様の幸せはあるのかと言いそうになって……でもその声が空気を震わすことはなかった。感情があることが幸せだと言い切れないと、そう思ったばかりだから。悪意という剣で心を刺され続けるくらいなら何も感じない方が幸せかもしれない。そしてそれは誰にもわからない。私は不幸に感じてもヴォルフ様がそう思うとは限らない。どう感じる方人それぞれだから。
「俺が背負っているのは国だ。だがその中にはお前も含まれている」
「え?」
「フレディもティオたち使用人もだ。俺は俺を支える者たちのためにも間違えられない」
そんな風に言われてしまったら……何も言えないわ。改めてこの方の背負うものの重さを思い知らされた。私などとは比べ物にならないほどの重圧と責任。人は間違える生き物だとは言っても、そこに人命がかかっていたら間違えたらやり直せばいいなんて言えない。失われた命は二度と戻らないのだから。
「どうしてそんな顔をする?」
「え?」
「俺はまたお前を困らせたか?」
ヴォルフ様の執務室のソファにかけ、私とヴォルフ様、ティオとオーベルでテーブルを囲む。今日はアベルがお茶を淹れてくれた。領邸に勤める医師はオーベルと言い、ティオと同じくらいの年だけど、ティオよりも少し上に見えた。灰色がかった薄茶に見える髪は半分白くなったせいで、瞳は髪色と同じ茶色だった。
「旦那様、お久しゅうございます」
「ああ」
相変わらず不愛想なヴォルフ様に対し、気を悪くした風もなくオーベルはニコニコしていた。小柄でのんびりした風貌と口調から穏やかな人柄に見えた。
「これはこれは、奥方様。領地のお屋敷で侍医を務めさせていただいておりますオーベルと申します」
「イルーゼです。初めまして」
人懐っこい笑みで話しかけられた。殆ど話さないルーザー医師とは対照的だわ。
「さてさて、こんな爺に何のご用ですかな?」
カップを手にニコニコと話す姿は好々爺といった感じで、ティオのそれよりも皴の多い手には古い傷痕が見えた。そのせいか年は近いはずなのに老けて見える。
「ヴォルフ様の感情についてです」
「旦那様の……」
途端に纏う空気が僅かに変わったように感じた。弓型に細められている目の奥に力が入ったようにも見える。
「ええ。ヴォルフ様が感情を失っていると伺っています。それは過去に起きた凄惨な事件のせいで、心を守るために感情に蓋をしたと。ですが……もし蓋が開いた時ヴォルフ様がどうなるのか、私たちはどうすべきなのかを知りたいのです」
今すぐどうにかなるわけじゃないと思うけれど、全く経験がないからわからない。それが怖い。せめてそうなった時にどうすべきか、その道標が欲しい。
「……旦那様の……それは、旦那様の傷を治したいと、癒したいと、そういうことでございますか?」
「それが可能ならそうしたいわ。でも、ティオの話を聞いてそれは難しいと思ったの。簡単ではないと」
「左様、簡単ではございません。治ると見込んだ者ですら突然命を断つこともございます。このお役目を頂いて三十年余り経ちますが、何が最善なのか、未だに答えが見つかりません」
やっぱり治すのは簡単ではないのね。長年騎士の心の傷を診てきた彼が言うのなら。
「そうなのね。でも、ヴォルフ様に何かあってはゾルガー家が揺らいでしまうわ。そうならないためにも先に手を打っておきたい。その為にも力を貸してほしいの」
難しいと言われても引き下がれないわ。ヴォルフ様のためにもゾルガー家のためにも、そして私自身のためにも。真っすぐオーベルの目を見る。さっきまでの穏やかさはそのままだけど、細い目の下にはさっきよりも強い光があった。
「……どうやら奥方様は無茶な要求を平気でなさるお方のようだ……」
「否定はしませんわ」
「……出来る、との保証は出来かねます」
「それは承知の上よ。だからと言って諦める気はないけれど」
「……私が旦那様と接したのは領地にいた二十年ほど前の一時です。先ずは旦那様について知らねばなりません」
「どうするかはお任せします。先生が納得のいくようにして頂ければ」
専門的なことは私にはわからない。先生に任せるしかない。
「旦那様を知るための時間が必要です。当面はこちらに滞在して旦那様のお側に控えても?」
「お願いします。領地の方の医師は?」
「未熟ではありますが私の弟子がおります。彼の者なら大抵のことは対応出来るでしょう」
「そう。もし不足があれば言ってくれる? 出来る限りのことはしますから」
「かしこまりました」
オーベルは東棟に部屋を用意して当分はヴォルフ様と共に過ごすことになった。ティオたち古参の使用人やルーザーたちからも話を聞きたいという。聞けばルーザーとは王都で学んでいた時からの顔見知りだとか。ルーザーはあまりこの手のことは得意ではないそうだけど、医師としての知見は豊富だから二人が協力してくれれば心強いわ。
後は影だけど……ヴォルフ様からは何の話もなかった。尋ねてみようかとも思ったけれど領邸の医師は手配して下さったし、催促するようで気がとがめたのでもう少し待つことにした。ヴォルフ様にも都合がおありでしょうし、該当する影が任務中で動けなのかもしれないから。
医師がティオに連れられて用意された部屋に下がると二人きりになった。
「あの、ヴォルフ様はよろしいのですか?」
疑問に思っていたことがあったので思い切って尋ねてみた。
「何がだ?」
「ヴォルフ様の、感情のことです。ヴォルフ様の意向を聞かずに勝手に動いてしまいましたから……」
そう、今更なのだけど、ヴォルフ様の意向を全く聞いていなかったのよね。あの時は避妊薬のことでヴォルフ様に非があったからその流れで動いてしまったけれど、よくよく考えたらこういうことって本人の意向が大事なのではないかとここ数日思うようになっていた。
「お前がそうしたいのだろう?」
「それは……そうなのですけれど……でも、ヴォルフ様がどう思われるかが大切です。ヴォルフ様は……感情を取り戻したいと思われますか?」
ヴォルフ様の状態がどんなものか私も想像したけれど、正直言って全くわからなかった。感情がないということは喜びも楽しみも感じなくて、それは酷く寂しいことのように思えたわ。でも……
一方で怒りや悲しみを感じないのは筆頭侯爵として立つヴォルフ様にとって幸いかもしれないとも思う。比類なき立場は常に嫉妬や憎悪、殺意を向けられる。それは仕方がないとわかっていても心が傷つかない訳ではないわ。私も向けられる悪意にはまだ慣れないし、一生慣れることはないように思う。
それに、何かを決断する時、相手の立場や周囲の反応を考えれば心が乱れるのは避けられない。私だってミュンターの前当主の断罪で痛む心はなかったけれど、それに連座してアルビーナ様が何もかもを失うのを見た時は平静ではいられなかった。この苦しみを感じないのなら……それはもしかしたら救いなのかもしれないとも思う。そんな風に思うのは私だけかもしれないけれど。
「ゾルガー当主として筆頭侯爵として感情は不要だと俺は考える。俺に求められているのは王家を支え貴族家を抑え、国をよりよく導くことだ。そういう意味で俺もまた国民の命を預かっているとも言える。情に流されて決断を違えれば多くの命を失うことになる」
ヴォルフ様の声には僅かな揺らぎもなかった。心からそうお考えだと、そこに迷いはないと伝わってくる。そう言われてしまうと反論出来ないわ。仰る通りだもの。
でも、どこにヴォルフ様の幸せはあるのかと言いそうになって……でもその声が空気を震わすことはなかった。感情があることが幸せだと言い切れないと、そう思ったばかりだから。悪意という剣で心を刺され続けるくらいなら何も感じない方が幸せかもしれない。そしてそれは誰にもわからない。私は不幸に感じてもヴォルフ様がそう思うとは限らない。どう感じる方人それぞれだから。
「俺が背負っているのは国だ。だがその中にはお前も含まれている」
「え?」
「フレディもティオたち使用人もだ。俺は俺を支える者たちのためにも間違えられない」
そんな風に言われてしまったら……何も言えないわ。改めてこの方の背負うものの重さを思い知らされた。私などとは比べ物にならないほどの重圧と責任。人は間違える生き物だとは言っても、そこに人命がかかっていたら間違えたらやり直せばいいなんて言えない。失われた命は二度と戻らないのだから。
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また誤字脱字を報告して下さる皆様に感謝申し上げます。
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