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第二部
真相
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執務室に入るとソファにはお茶の用意がされていた。ヴォルフ様がいつもの席に座られたのでその向かいに腰を下ろす。ティオがお茶を出してから少し離れた場所に立った。その間何も言えず、ヴォルフ様の視線を感じても顔を上げることも出来ず、テーブルをただ眺めていた。多分あの子のことだと思うけれど……何を仰るのかと心がひりつく。あの子は俺の子だと言われたら? その可能性を想像するだけで心臓を地面にこすり付けられたような痛みが襲う。逃げ出したいのに動けない。沈黙が苦しい。その時、私は取り乱さずにいられるかしら……
「イルーゼ」
まとわりつく様な重い沈黙の中、名を呼ばれた。はいと答えながら合わせた両手を強く握る。いつもと変わらない声色も今は憂いを払う材料にはならない。いつだってヴォルフ様は冷静だから。きっと隠し子がいても淡々と説明されるわ。
「あの子どもは俺の子ではない」
耳に届いた言葉にはっと顔を上げた。今、何と仰ったのか。見上げた先にあるヴォルフ様の表情はいつものそれと変わりなかった。聞き取った言葉が何かに邪魔されたように頭に入ってこない。今の言葉は現実を受け止めたくない私が作り出した妄想だったら……そう思いたくなるほどに私の都合のいい内容だった。
「もう一度言う。あれは俺の子ではない」
「……う、嘘……」
「お前に嘘はつかん」
視界がぼやけてヴォルフ様の表情が霞んでくる。側に控えていたロッテが近づくのが視界の端に見えた。柔らかい何かが私の頬に当たる。呆然とロッテを見上げると今度は反対の頬にそれが当てられた。ロッテが微かな笑みを浮かべて頷く。ティオが旦那様と囁くのが微かに聞こえた。ロッテからハンカチを受け取って目元を拭いていると急に身体が浮いた。驚いて視線を向けるとヴォルフ様が隣に座り私の顔を覗き込んでいた。
「も、申し訳ございません……」
話の最中で泣いてしまうなんて恥ずかしい。感情を制御出来ないなんて筆頭侯爵夫人として失格なのに。そう思って止めようとするのに涙が止まらない。
「泣くな」
「申し訳……」
「謝らなくていい」
そんな風に言われたら余計に涙が止まらなくなるわ。涙が黒い感情を洗い流していくみたいに心が晴れていく。横でティオが旦那様と再び囁くと、そっと抱きしめられた。これは何? 何が起きているの? いえ、ティオが何か言ったのでしょうけれど。ロッテもいるのに恥ずかしい……
「止まったか?」
混乱して動けなくて暫くそうしていたら声が下りてきた。何のことかと思ったのは一瞬で、確かに涙は止まっていた。待っていて下さったの? だったら嬉しい。ティオに何か言われたのだとわかっているけれど、それもヴォルフ様が私を気にかけて下さったのだから。冷静になってきたら泣いたことが急に恥ずかしくなって思わずヴォルフ様の肩に顔を押し付けた。いつもの香りに心のわだかまりが解け、身体に再び血が巡っていくのを感じる。そっと胸に手を置くと抱きしめる力が強まった。安直だと自分でも思うけれど嬉しいと思う心を止められない。また目元がじんわりと熱くなってきたから目を強く瞑ってそれをやり過ごした。
落ち着いたところでティオがお茶を淹れ直してくれた。ヴォルフ様と並んだままそれを口にするとお茶の熱が身体を一層温めてくれた。私が落ち着いたところでヴォルフ様があの子のことを話してくれた。ヴォルフ様はあの場に居合わせたティオたちから詳しく話を聞いていた。ついでに当時の日記を確かめていたとも。
「それでは、あのお子は……」
「あれは俺の子ではない。八歳だと言っていたが、その頃の俺は女の相手をしている暇などなかった。騎士団に足を向けることもなかったしな」
「では、本当に……」
「ああ。それに言っただろう、種の管理は厳重だと。俺は常に監視されていたし自由になる時間もなかった。父は安全のためだと言っていたがな」
「お義父様が……」
「ゲオルグの出自に疑問を持っていたのもあるだろうが、種をばら撒くことを危惧したのだろう。子に銀髪紫瞳が出ると厄介だからな」
確かにその通りだわ、ヴォルフ様は陛下のお子だから王家の色を持つお子が生まれる可能性がないとは言えない。ゲオルグ様の件を別にしてもお義父様が神経質になるのは当然よね。
「では、どうしてあの子を……」
屋敷に留めると仰るからてっきりそうなのだと思ったわ。それにゾルガーの家紋入りの指輪を持っていたし。
「ザイデル伯爵の意図がわからなかったのが一つ、もう一つはあの指輪だ」
「あの家紋入りの?」
「ああ。確かにあの指輪は本物だ」
やはりそうだったのね、すり減っているのは代々使われてきたからだと思ったけれど。
「だがあの指輪はゲオルグの失踪時に失われている。持って逃げたのだと思っていたが……」
そんな指輪をどうしてザイデル伯爵が……確か夫人はそのゲオルグ様の最初の妻だったわよね。
「それでは、夫人が?」
「あの女が盗み出したのか、持ち出したゲオルグが金に困って売り払ったのをザイデル伯爵が手に入れたのか、その辺りはわからない」
それでは、あの指輪を持ったあの子の正統性は成立してしまうの? でも、それくらいあの指輪には重みがある。
「心配しなくていい。あの指輪は無効だ。王家に紛失届けを出して作り直している」
当主の指輪と次期当主の指輪、どちらも唯一無二のもので複製は厳しく禁じられている。もしかしたらと思ったけれど本物だったのね。紛失届を出しているなら安心かしら。でも気になるわね。
「何の思惑があるのか気になるが、母親にも子供にも影を付けた。怪しい動きをしても直ぐにわかる」
「影を……」
だったら大丈夫ね、ザイデル伯爵が何を企んでも。残念なことに母親が暗殺者……なんて可能性も考えなきゃいけない。本当の親子かも確認出来ていないのだから。
「あれの母親の診断結果も先ほど届いた。病気だけでなく栄養失調で衰弱が激しい。明日にでも別邸に移動する」
「別邸へ? 大丈夫ですの?」
「関係のない者を屋敷に入れるわけにはいかない。だが放ってもおけぬ。ザイデル伯爵の意図がわからないからな」
確かにザイデル伯爵は信用ならないわ。執拗に母親を屋敷に招けと言っていたもの。しかも夫人はゲオルグ様に媚薬を盛った方。疑う理由は十分よね。
「明日あの子どもも別邸に送る。その際に母親から話を聞く」
「お会いになるのですか?」
「話を聞かないことには話が進まない」
「そうですね」
無関係とわかっているけれどヴォルフ様が女性と会うのは嫌だわ。でも、そんなことは言っていられないのよね。そうしないと話が進まないもの。
「一緒に来るか?」
「え?」
「気になっているのだろう?」
顔に出ていた? 嫌だわ、恥ずかしい……心が狭いと呆れられてしまったかしら?
「気になることは言え。お前が不快になることはしたくない」
それは妻として配慮すると約束したから? 行ってもいいの? 具合が悪い時に押しかけたら負担になってしまわないかしら。
「奥様、旦那様お一人では相手を怖がらせてしまうかもしれません。同行していただいた方が相手の負担も少なくて済むかと」
ティオが遠慮がちにそう勧めてきた。それは……否定できないのが複雑な気分ね。ヴォルフ様は見た目がちょっと怖いだけなのに。でもルーディーも怖がってこちらをチラチラ見ていたわね……
「そうだな、お前がいれば緩衝材になるだろう」
「じゃ、ご一緒に……」
「わかった。ティオ」
「かしこまりました」
一緒に行くことになってしまったわ。だったらしっかり見極めないと。初めてのことで動揺してしまったけれど、こんな話はこれから幾らでも出てくるのだから。
「俺の子でないのは確かだ。相手も俺を見れば間違いだと気付くだろう」
そうよね、ヴォルフ様がそう仰るのなら心配はいらないわ。それよりもザイデル伯爵の目的が何なのかを考えないと。明日までにその当時、お義父様が書いた日記を見ることにした。当時のゾルガー家やヴォルフ様の様子、世間の噂話などが無造作に記されたそれ。この中に何か手掛かりになるようなものがあるといいのだけど。
「イルーゼ」
まとわりつく様な重い沈黙の中、名を呼ばれた。はいと答えながら合わせた両手を強く握る。いつもと変わらない声色も今は憂いを払う材料にはならない。いつだってヴォルフ様は冷静だから。きっと隠し子がいても淡々と説明されるわ。
「あの子どもは俺の子ではない」
耳に届いた言葉にはっと顔を上げた。今、何と仰ったのか。見上げた先にあるヴォルフ様の表情はいつものそれと変わりなかった。聞き取った言葉が何かに邪魔されたように頭に入ってこない。今の言葉は現実を受け止めたくない私が作り出した妄想だったら……そう思いたくなるほどに私の都合のいい内容だった。
「もう一度言う。あれは俺の子ではない」
「……う、嘘……」
「お前に嘘はつかん」
視界がぼやけてヴォルフ様の表情が霞んでくる。側に控えていたロッテが近づくのが視界の端に見えた。柔らかい何かが私の頬に当たる。呆然とロッテを見上げると今度は反対の頬にそれが当てられた。ロッテが微かな笑みを浮かべて頷く。ティオが旦那様と囁くのが微かに聞こえた。ロッテからハンカチを受け取って目元を拭いていると急に身体が浮いた。驚いて視線を向けるとヴォルフ様が隣に座り私の顔を覗き込んでいた。
「も、申し訳ございません……」
話の最中で泣いてしまうなんて恥ずかしい。感情を制御出来ないなんて筆頭侯爵夫人として失格なのに。そう思って止めようとするのに涙が止まらない。
「泣くな」
「申し訳……」
「謝らなくていい」
そんな風に言われたら余計に涙が止まらなくなるわ。涙が黒い感情を洗い流していくみたいに心が晴れていく。横でティオが旦那様と再び囁くと、そっと抱きしめられた。これは何? 何が起きているの? いえ、ティオが何か言ったのでしょうけれど。ロッテもいるのに恥ずかしい……
「止まったか?」
混乱して動けなくて暫くそうしていたら声が下りてきた。何のことかと思ったのは一瞬で、確かに涙は止まっていた。待っていて下さったの? だったら嬉しい。ティオに何か言われたのだとわかっているけれど、それもヴォルフ様が私を気にかけて下さったのだから。冷静になってきたら泣いたことが急に恥ずかしくなって思わずヴォルフ様の肩に顔を押し付けた。いつもの香りに心のわだかまりが解け、身体に再び血が巡っていくのを感じる。そっと胸に手を置くと抱きしめる力が強まった。安直だと自分でも思うけれど嬉しいと思う心を止められない。また目元がじんわりと熱くなってきたから目を強く瞑ってそれをやり過ごした。
落ち着いたところでティオがお茶を淹れ直してくれた。ヴォルフ様と並んだままそれを口にするとお茶の熱が身体を一層温めてくれた。私が落ち着いたところでヴォルフ様があの子のことを話してくれた。ヴォルフ様はあの場に居合わせたティオたちから詳しく話を聞いていた。ついでに当時の日記を確かめていたとも。
「それでは、あのお子は……」
「あれは俺の子ではない。八歳だと言っていたが、その頃の俺は女の相手をしている暇などなかった。騎士団に足を向けることもなかったしな」
「では、本当に……」
「ああ。それに言っただろう、種の管理は厳重だと。俺は常に監視されていたし自由になる時間もなかった。父は安全のためだと言っていたがな」
「お義父様が……」
「ゲオルグの出自に疑問を持っていたのもあるだろうが、種をばら撒くことを危惧したのだろう。子に銀髪紫瞳が出ると厄介だからな」
確かにその通りだわ、ヴォルフ様は陛下のお子だから王家の色を持つお子が生まれる可能性がないとは言えない。ゲオルグ様の件を別にしてもお義父様が神経質になるのは当然よね。
「では、どうしてあの子を……」
屋敷に留めると仰るからてっきりそうなのだと思ったわ。それにゾルガーの家紋入りの指輪を持っていたし。
「ザイデル伯爵の意図がわからなかったのが一つ、もう一つはあの指輪だ」
「あの家紋入りの?」
「ああ。確かにあの指輪は本物だ」
やはりそうだったのね、すり減っているのは代々使われてきたからだと思ったけれど。
「だがあの指輪はゲオルグの失踪時に失われている。持って逃げたのだと思っていたが……」
そんな指輪をどうしてザイデル伯爵が……確か夫人はそのゲオルグ様の最初の妻だったわよね。
「それでは、夫人が?」
「あの女が盗み出したのか、持ち出したゲオルグが金に困って売り払ったのをザイデル伯爵が手に入れたのか、その辺りはわからない」
それでは、あの指輪を持ったあの子の正統性は成立してしまうの? でも、それくらいあの指輪には重みがある。
「心配しなくていい。あの指輪は無効だ。王家に紛失届けを出して作り直している」
当主の指輪と次期当主の指輪、どちらも唯一無二のもので複製は厳しく禁じられている。もしかしたらと思ったけれど本物だったのね。紛失届を出しているなら安心かしら。でも気になるわね。
「何の思惑があるのか気になるが、母親にも子供にも影を付けた。怪しい動きをしても直ぐにわかる」
「影を……」
だったら大丈夫ね、ザイデル伯爵が何を企んでも。残念なことに母親が暗殺者……なんて可能性も考えなきゃいけない。本当の親子かも確認出来ていないのだから。
「あれの母親の診断結果も先ほど届いた。病気だけでなく栄養失調で衰弱が激しい。明日にでも別邸に移動する」
「別邸へ? 大丈夫ですの?」
「関係のない者を屋敷に入れるわけにはいかない。だが放ってもおけぬ。ザイデル伯爵の意図がわからないからな」
確かにザイデル伯爵は信用ならないわ。執拗に母親を屋敷に招けと言っていたもの。しかも夫人はゲオルグ様に媚薬を盛った方。疑う理由は十分よね。
「明日あの子どもも別邸に送る。その際に母親から話を聞く」
「お会いになるのですか?」
「話を聞かないことには話が進まない」
「そうですね」
無関係とわかっているけれどヴォルフ様が女性と会うのは嫌だわ。でも、そんなことは言っていられないのよね。そうしないと話が進まないもの。
「一緒に来るか?」
「え?」
「気になっているのだろう?」
顔に出ていた? 嫌だわ、恥ずかしい……心が狭いと呆れられてしまったかしら?
「気になることは言え。お前が不快になることはしたくない」
それは妻として配慮すると約束したから? 行ってもいいの? 具合が悪い時に押しかけたら負担になってしまわないかしら。
「奥様、旦那様お一人では相手を怖がらせてしまうかもしれません。同行していただいた方が相手の負担も少なくて済むかと」
ティオが遠慮がちにそう勧めてきた。それは……否定できないのが複雑な気分ね。ヴォルフ様は見た目がちょっと怖いだけなのに。でもルーディーも怖がってこちらをチラチラ見ていたわね……
「そうだな、お前がいれば緩衝材になるだろう」
「じゃ、ご一緒に……」
「わかった。ティオ」
「かしこまりました」
一緒に行くことになってしまったわ。だったらしっかり見極めないと。初めてのことで動揺してしまったけれど、こんな話はこれから幾らでも出てくるのだから。
「俺の子でないのは確かだ。相手も俺を見れば間違いだと気付くだろう」
そうよね、ヴォルフ様がそう仰るのなら心配はいらないわ。それよりもザイデル伯爵の目的が何なのかを考えないと。明日までにその当時、お義父様が書いた日記を見ることにした。当時のゾルガー家やヴォルフ様の様子、世間の噂話などが無造作に記されたそれ。この中に何か手掛かりになるようなものがあるといいのだけど。
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