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当主になった経緯
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ヴォルフ様がゾルガーの影? 当主なのに? それともゾルガー家はそこまでするものなの? ヴォルフ様の手が離れていきそうになって思わず強く掴んでしまった。今はこの手を離したくなかった。
「俺が父に、養父に引き取られた経緯は知っているな?」
「え、ええ……」
それは王宮で陛下たちから伺ったわ。双子で黒髪緑目の悪虐王と同じ色だったから、迷信深い先王様から守るためにお義父様が秘かに引き取ったと。
「養父が俺を引き取った時、王は俺を決して表舞台に出さないようにと頼んだそうだ」
「表舞台にって……それじゃ、お義父様のお子として引き取ったわけではなかったのですか?」
てっきりお義父様とメリア様の間に生まれたお子として育てるつもりだったのだと思っていたわ。いくら公に出来ないといっても陛下と王妃様の間に生まれた由緒正しい血統の王子、しかも隣国の王家の血も引いているのよ。粗雑な扱いなんか出来ないわ。
「ああ。間が悪いことに当時メリアは妊娠していたんだ」
「妊娠? もしかして、そのお子って……」
「四男のヴォルフだ」
思わずヴォルフ様をまじまじと見上げてしまった。その眼はいつものように凪いでいる。どういうこと? それじゃ、ここにいる王子だったヴォルフ様とメリア様の産んだヴォルフ様は……
「メリアの妊娠は既に周知されていた。だから養父は俺を実子として貴族院に届けることが出来なかった」
確かにそれでは届け出るのは無理だわ。かと言って別の女性の子にするのは難しかったのも確か。第一夫人のナディア様はまだご存命だったから。メリア様を娶ったのは第一夫人のナディア様が子作りを拒んだせい。だから先王様も渋々了承したと聞いたわ。そこで他の女性との間に生まれた子を引き取れば……どんな難癖を付けられたかわかったものじゃないわね。
「じゃあ、お義父様はお二人を入れ替えたのですか?」
「そうではない。さすがに生まれたばかりとはいえ赤子と胎児を入れ替えるのは無理があるだろう。結果としてはそうなったがな。ヴォルフと名付けられた四男はメリアの子として産まれてゾルガー家の別邸で育ち、五歳の時に母親と共に死んでいる」
告げられた言葉が室内の空気を重く冷やした気がした。お義父様のお子のヴォルフ様は……あの時本当に亡くなっていた? それでは……
「ミュンターの爺の言葉は真実を突いていた。俺は死んだヴォルフの身代わりだ」
騎士団の資料に嘘はなかったと……メリア様が産んだヴォルフ様はあの時亡くなっていたのね。
「俺は領地の孤児院に預けられた。王家ともゾルガー家とも無関係の、ただの捨て子としてだ」
王子として認められず産まれて直ぐに外に出されただけではなく、孤児として扱われたなんて……そこまでしなければいけなかったの? そりゃあ先王様に知られたらお義父様が誘拐犯として処刑されたかもしれないけれど。
「ゾルガーでは孤児の中から見込みのありそうな者を引き取って使用人として育てている。俺は小さい頃から体格もよかったし走るのも早かった。八歳の時、騎士見習いにならないかと誘われたんだ」
「騎士見習いに……」
それって……そうすることでお義父様は騎士になったヴォルフ様を手元に置こうとお考えになったから?
「それから騎士として訓練を受けながら必要な教育を受けた」
「だったらどうして影に……」
「十一の時に、見習いとして夜盗討伐に同行したんだ」
「夜盗討伐?」
どういうこと? 突然話が飛んだけれど。影になったのと夜盗討伐と関係があるの?
「ああ。まだ見習いだから雑用係としてだ。だが、その夜盗は想定以上に強かった。俺たちは野営をしているところを襲撃されたんだ」
「襲撃? 夜盗が?」
それこそ驚きだわ。本当に夜盗だったの? 貴族家の騎士、しかも隊を組んでいる相手を夜盗が襲撃なんかするかしら?
「どういう流れでそうなったのかはわからない。だが、俺たちは寝込みを襲われて十分な対応を取れなかった。今にして思えば騎士の中に裏切り者がいたんだろうな」
なるほど、見張りが夜盗を手引きしたなら直前まで気付けなくても仕方がないかもしれない。
「見習いも関係なく襲われた。俺たちも必死で身を守るしかなかった」
そこからは凄惨な話だった。ヴォルフ様も必死に応戦したけれど、仲間が次々と倒れていったという。ヴォルフ様も傷だらけになって最後は気を失ってしまったという。目が覚めた時には病室にいて、助かったのはヴォルフ様お一人だったそうだ。
「その時だ。俺が感情を失ったのは」
何の言葉も、息すらも出てこなかった。そんな凄惨な場面で死の恐怖に晒されれば仕方がないのかもしれない。まだ十一歳で死に直面するなんて……どれほど恐ろしく苦しかったか、想像も出来ないわ。
「俺が初めて人を殺したのはその時だ。何人殺したのかも覚えていない。その時に俺は再び死んだことにされた。そこで与えられた名前がファオだった」
「そんな……! どうして死んだことに?」
「あの夜盗はただの夜盗ではなかった。背景がわからなかったから養父は万が一を考えて俺を死んだことにしたんだ」
そんな……どうしてそこまで? もしかして……先王様やミュンターの可能性を考えたのかしら?
「でも、それはあんまりではありませんか? どうせ死んだことにしたのなら領内で静かに暮らせるようにすることも出来たでしょうに!」
「……そうするには、多分俺は強すぎたんだろう」
「強すぎた?」
「ああ。後で聞いた話だが、生き残っていたのは俺一人だった。夜盗も全て死に絶えていた。俺は覚えていないが、養父らは俺が皆殺しにしたと思ったのかもしれない。どっちにしても能力を買われて、影としての技術を叩きこまれた」
それからは影として諜報活動や暗殺などにも加わったという。そんな環境の元でもヴォルフ様は優秀だったらしい。年の割には大きくても大人から見れば小柄だし、感情を失っているから常に冷静で人を殺すことも厭わないし失敗もしない。いくら伏せていても裏事情は秘かに広まる。次第に裏社会でも名が知れるようになっていったという。ある意味理想的な影になったんだろうなと他人事のようにヴォルフ様が仰った。
「それでは、この前の暗殺者が言っていたのは……」
「興味はないがそんな風に言う輩がいるのは知っている。お陰で今でも時折襲い掛かって来る奴もいる」
「い、今でも?」
「ああ。伝説の暗殺者を倒せば箔が付く。そう考える阿呆が多いんだ」
それは……迷惑以外の何物でもないわ。でも噂って一度広まってしまうと中々消えないものだわ。この場合、否定も出来ないわね……
「俺がヴォルフとしてゾルガーに戻ったのは十三の時、ゲオルグが恋人と駆け落ちして行方不明になってからだ。それまで俺は自分が貴族の血を引いていることも知らなかった」
「そんな……勝手すぎますわ」
「貴族などそんなものだろう。それにあの頃のゾルガー家は力も弱く見る影もなかった。立て直すには俺が適任だと思ったのだろう」
「そんな……」
そうかもしれないけれど、実際そうなったけれど、それにしても勝手すぎないかしら? そりゃあ、あのままずっと影として生きるよりはマシだったのかもしれないけれど、あまりにも都合よく扱いすぎだわ。ヴォルフ様は物じゃないのに。悔しいわ、結果としてはよかったはずなのに酷く理不尽に感じる……
「俺は人殺しだ。しかも暗殺もしていた最低な部類の」
ヴォルフ様の口調が自嘲を含んでいた。珍しいわ、そんな言い方をされるなんて。
「でも、それはヴォルフ様が自ら望んだわけじゃありませんわ」
「だが、結果は同じだ」
「そうかもしれませんが、嬉々としてやるのと仕事としてやるのは大きく違います。ヴォルフ様は……ご自身から相手を傷つけたいと望まれましたの?」
「そんなことはないが」
「だったらヴォルフ様は命令に従っただけです」
「俺が父に、養父に引き取られた経緯は知っているな?」
「え、ええ……」
それは王宮で陛下たちから伺ったわ。双子で黒髪緑目の悪虐王と同じ色だったから、迷信深い先王様から守るためにお義父様が秘かに引き取ったと。
「養父が俺を引き取った時、王は俺を決して表舞台に出さないようにと頼んだそうだ」
「表舞台にって……それじゃ、お義父様のお子として引き取ったわけではなかったのですか?」
てっきりお義父様とメリア様の間に生まれたお子として育てるつもりだったのだと思っていたわ。いくら公に出来ないといっても陛下と王妃様の間に生まれた由緒正しい血統の王子、しかも隣国の王家の血も引いているのよ。粗雑な扱いなんか出来ないわ。
「ああ。間が悪いことに当時メリアは妊娠していたんだ」
「妊娠? もしかして、そのお子って……」
「四男のヴォルフだ」
思わずヴォルフ様をまじまじと見上げてしまった。その眼はいつものように凪いでいる。どういうこと? それじゃ、ここにいる王子だったヴォルフ様とメリア様の産んだヴォルフ様は……
「メリアの妊娠は既に周知されていた。だから養父は俺を実子として貴族院に届けることが出来なかった」
確かにそれでは届け出るのは無理だわ。かと言って別の女性の子にするのは難しかったのも確か。第一夫人のナディア様はまだご存命だったから。メリア様を娶ったのは第一夫人のナディア様が子作りを拒んだせい。だから先王様も渋々了承したと聞いたわ。そこで他の女性との間に生まれた子を引き取れば……どんな難癖を付けられたかわかったものじゃないわね。
「じゃあ、お義父様はお二人を入れ替えたのですか?」
「そうではない。さすがに生まれたばかりとはいえ赤子と胎児を入れ替えるのは無理があるだろう。結果としてはそうなったがな。ヴォルフと名付けられた四男はメリアの子として産まれてゾルガー家の別邸で育ち、五歳の時に母親と共に死んでいる」
告げられた言葉が室内の空気を重く冷やした気がした。お義父様のお子のヴォルフ様は……あの時本当に亡くなっていた? それでは……
「ミュンターの爺の言葉は真実を突いていた。俺は死んだヴォルフの身代わりだ」
騎士団の資料に嘘はなかったと……メリア様が産んだヴォルフ様はあの時亡くなっていたのね。
「俺は領地の孤児院に預けられた。王家ともゾルガー家とも無関係の、ただの捨て子としてだ」
王子として認められず産まれて直ぐに外に出されただけではなく、孤児として扱われたなんて……そこまでしなければいけなかったの? そりゃあ先王様に知られたらお義父様が誘拐犯として処刑されたかもしれないけれど。
「ゾルガーでは孤児の中から見込みのありそうな者を引き取って使用人として育てている。俺は小さい頃から体格もよかったし走るのも早かった。八歳の時、騎士見習いにならないかと誘われたんだ」
「騎士見習いに……」
それって……そうすることでお義父様は騎士になったヴォルフ様を手元に置こうとお考えになったから?
「それから騎士として訓練を受けながら必要な教育を受けた」
「だったらどうして影に……」
「十一の時に、見習いとして夜盗討伐に同行したんだ」
「夜盗討伐?」
どういうこと? 突然話が飛んだけれど。影になったのと夜盗討伐と関係があるの?
「ああ。まだ見習いだから雑用係としてだ。だが、その夜盗は想定以上に強かった。俺たちは野営をしているところを襲撃されたんだ」
「襲撃? 夜盗が?」
それこそ驚きだわ。本当に夜盗だったの? 貴族家の騎士、しかも隊を組んでいる相手を夜盗が襲撃なんかするかしら?
「どういう流れでそうなったのかはわからない。だが、俺たちは寝込みを襲われて十分な対応を取れなかった。今にして思えば騎士の中に裏切り者がいたんだろうな」
なるほど、見張りが夜盗を手引きしたなら直前まで気付けなくても仕方がないかもしれない。
「見習いも関係なく襲われた。俺たちも必死で身を守るしかなかった」
そこからは凄惨な話だった。ヴォルフ様も必死に応戦したけれど、仲間が次々と倒れていったという。ヴォルフ様も傷だらけになって最後は気を失ってしまったという。目が覚めた時には病室にいて、助かったのはヴォルフ様お一人だったそうだ。
「その時だ。俺が感情を失ったのは」
何の言葉も、息すらも出てこなかった。そんな凄惨な場面で死の恐怖に晒されれば仕方がないのかもしれない。まだ十一歳で死に直面するなんて……どれほど恐ろしく苦しかったか、想像も出来ないわ。
「俺が初めて人を殺したのはその時だ。何人殺したのかも覚えていない。その時に俺は再び死んだことにされた。そこで与えられた名前がファオだった」
「そんな……! どうして死んだことに?」
「あの夜盗はただの夜盗ではなかった。背景がわからなかったから養父は万が一を考えて俺を死んだことにしたんだ」
そんな……どうしてそこまで? もしかして……先王様やミュンターの可能性を考えたのかしら?
「でも、それはあんまりではありませんか? どうせ死んだことにしたのなら領内で静かに暮らせるようにすることも出来たでしょうに!」
「……そうするには、多分俺は強すぎたんだろう」
「強すぎた?」
「ああ。後で聞いた話だが、生き残っていたのは俺一人だった。夜盗も全て死に絶えていた。俺は覚えていないが、養父らは俺が皆殺しにしたと思ったのかもしれない。どっちにしても能力を買われて、影としての技術を叩きこまれた」
それからは影として諜報活動や暗殺などにも加わったという。そんな環境の元でもヴォルフ様は優秀だったらしい。年の割には大きくても大人から見れば小柄だし、感情を失っているから常に冷静で人を殺すことも厭わないし失敗もしない。いくら伏せていても裏事情は秘かに広まる。次第に裏社会でも名が知れるようになっていったという。ある意味理想的な影になったんだろうなと他人事のようにヴォルフ様が仰った。
「それでは、この前の暗殺者が言っていたのは……」
「興味はないがそんな風に言う輩がいるのは知っている。お陰で今でも時折襲い掛かって来る奴もいる」
「い、今でも?」
「ああ。伝説の暗殺者を倒せば箔が付く。そう考える阿呆が多いんだ」
それは……迷惑以外の何物でもないわ。でも噂って一度広まってしまうと中々消えないものだわ。この場合、否定も出来ないわね……
「俺がヴォルフとしてゾルガーに戻ったのは十三の時、ゲオルグが恋人と駆け落ちして行方不明になってからだ。それまで俺は自分が貴族の血を引いていることも知らなかった」
「そんな……勝手すぎますわ」
「貴族などそんなものだろう。それにあの頃のゾルガー家は力も弱く見る影もなかった。立て直すには俺が適任だと思ったのだろう」
「そんな……」
そうかもしれないけれど、実際そうなったけれど、それにしても勝手すぎないかしら? そりゃあ、あのままずっと影として生きるよりはマシだったのかもしれないけれど、あまりにも都合よく扱いすぎだわ。ヴォルフ様は物じゃないのに。悔しいわ、結果としてはよかったはずなのに酷く理不尽に感じる……
「俺は人殺しだ。しかも暗殺もしていた最低な部類の」
ヴォルフ様の口調が自嘲を含んでいた。珍しいわ、そんな言い方をされるなんて。
「でも、それはヴォルフ様が自ら望んだわけじゃありませんわ」
「だが、結果は同じだ」
「そうかもしれませんが、嬉々としてやるのと仕事としてやるのは大きく違います。ヴォルフ様は……ご自身から相手を傷つけたいと望まれましたの?」
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