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観劇の夜◆
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観劇に誘われた日の夜遅く、王宮も静謐な闇に覆われる頃、俺は王太子の私室に呼び出されていた。
「どうして妃まで連れてきた」
王太子から婚姻祝いだと言われて観劇の招待を受けた。素性を隠すようにと指定してきたから来るのだろうとは思っていたが、まさか妃も一緒とは思わなかった。妃はミュンターの爺の娘が嫁ぎ先で産んだ娘で、今は息子の養女になっている。しかもあのリシェルと親しくしていた女だ。そんな女を何故イルーゼに近づける? こんなことなら誘いを断ればよかった。
「そう怒らないでよ。コルネリアはミュンターに利する気はないから。同じ伯爵家の出のイルーゼちゃんに親近感を持っているだけで敵対する気はないから。」
妃に心を開いていなかった筈だがどういう風の吹き回しだ? それとも何か裏があるのか?
「何を企んでいる?」
「怖っ! そう睨むなよ!」
「正直に話せ」
睨みつけると情けない顔をして謝ってきたが謝罪などいらない。それよりも理由を話せと睨みつけたままいるとぼそぼそと理由を話し始めた。
王太子の話はこうだ。妃はミュンターの爺の孫で今はミュンターの養女になっている。あの爺は妃にも内々にミュンターの利になるよう王太子や国王夫妻を丸め込めと指示していた。最近はそれが顕著になり、生家の実弟のことまでちらつかせるほどになったらしい。妃は耐え切れず夫の王太子に相談したという。
「それを信じるのか?」
「ミュンターからの手紙は全て目を通したよ。君も見ていい。ほら」
そう言って手渡された手紙の束。差出人は妃の実家の母親、あの爺の娘の名だ。手紙の中には母親の物以外にもメモのような物が同封されていた。そこには法案や次の会議の議題などが記されているだけでどうしろという指示らしきものは一切ないが家の有利になるように根回ししろということだろう。警戒心の強い爺らしい。これだけを見ても罪には問えないな。母親からの手紙には弟を案じるようなことがぼかして書かれている。高圧的な爺からの指示と母親の弟を心配する手紙。言うことを聞かなければ弟を害すると言いたいのだろう。弟も爺の孫だろうに。
「それで、どうする気だ?」
「コルネリアに情はないけど王子を二人産んでくれたからね。このまま離婚せずに妃として遇するよ。他に適任者もいないし。今から別の妃を娶って王子が生まれれば面倒でしかないからね」
確かに妃をこのまま置いておく方が面倒はないな。どうしてもと言うならこいつを断種するしかないと思っていたが、それならその必要はないか。
「王太子の妃にまで指示をしてくるような爺さんは見過ごせない。王家を軽んじ過ぎだ。父上は祖父とは違いゾルガー重視なんだから。即位式に来ると言うのならここで息の根を止めたい。ゲオルグ殿の件、証拠は固まったんだろう?」
「ああ」
異母兄が父の血を継いでいないことはランベルツの婚姻式の少し前に判明した。その父親があの爺だということも。証拠がない上、領地から出てくることがない爺相手では死ぬまで待つのも手かとは思っていたが、即位式に来ると言うならこの機会を逃す手はない。
「王家はこの件に関してフレディに責はないことを認め不問とする。父上からそう約束を取り付けたよ。はい、これがその公文書」
差し出された文書の中身を確かめた。特に不足はないな。これと俺が不問にすると言えば誰もフレディを咎めることは出来ない。
「フレディには申し訳ないことになったけど、元々はうちの爺さんも加担していたからね。この件は王家と君、ミュンターの当主辺りに留めて表に出ない様にしたいと思っている」
「そうしてくれると助かる」
世間に広まってはあれの立場がない。いくら俺が擁護しても醜聞はあれを苦しめるだろう。それを跳ねのける強さはない。それはあれのいいところでもあるのだろうが。
「フレディにはこのことを?」
「話すべきだとは思うが、知れば悩み家を出ると言うだろう。出来れば死ぬまで伏せておきたい」
「そんな感じだよね。本当にあの爺さんの血を受け継いでいるのかと思っちゃうよ」
「そうだな。性格は先々代に似ているな」
「ああ、レナート殿ね。そうだなぁ、確かにそんな感じだ」
先王と爺に侮られた俺の祖父。よほどそっちの方が似ている。皮肉なものだな。あの爺に似た方が楽に生きられただろうに。
「フレディも気の毒だよなぁ。本人にはどうにも出来ないことなんだから。あ、そのフレディなんだけど、好きな令嬢が出来たらロジーナとの婚約、白紙にしていいから」
「急にどうした? ロジーナが嫌がってるのか?」
「そういう訳じゃないんだけど、父上がフレディに同情的というか。まぁ、元は祖父も片棒を担いでいたわけだろ? それもあって気の毒に思ったんだと思う」
確かに王からすればフレディは叔母の孫に当たる。ゾルガーの血は引いていないが王家の血は引いているのだ。先王をよく思っていなかっただけにフレディもその被害者と感じているのだろう。
「ロジーナはどうする?」
「要はロジーナの子が生まれなきゃいいんだから、子が出来ない様にすればいい。そうすれば誰にでも嫁げる。まだ十二だ。慌てる必要はないよ」
「ロットナーを使ってフレディの本音を聞き出せ。俺やお前には言わないだろう」
フレディは自分が俺の枷になっていると思い込んで俺を優先する考える癖がついている。だが枷だとは思っていない。もっと好きにすればいいと思う。元凶となる爺がいなくなるんだ。嫁くらい好きに選べばいいだろう。祖父が変わったところで王家の血を引いているあれの血筋の良さは変わらない。同年代なら禁忌になる相手もいないから問題もないだろう。
「爺さんはどう出るかな」
「証拠を出してもあの爺は白を切るだろうな。日記など捏造か王女の創作だと言いそうだ」
「その可能性は高いね。でもいい自白剤があるんだ。ロミルダ嬢に使ったやつ」
「あの爺が飲むか?」
「一人じゃ警戒して飲まないだろうけどね。俺たちが飲めば飲まざるを得ないだろう?」
自白剤をお前が? 余計なことを話しそうで信用出来ないのだが……
「それでは他にも影響が出るだろう」
「大丈夫だよ、そこは任せて」
「失敗は許されないぞ。イルーゼを巻き込むなよ」
「分かってるって。過保護だよなぁ。そんなに気に入ったの?」
ニヤついた顔を向けてきたが面倒くさい奴だ。気に入った、んだろうな。特にあの物怖じしないところが。些細なことで泣く女は邪魔にしかならない。そんな女を隣には置けない。
「はぁ、また無視? 全くイルーゼちゃんはこんな奴のどこがよかったんだか……」
一人でブツブツ言い始めたな、相変わらず面倒くさい奴だ。イルーゼの気持ちは俺にもわからない。知りたければ本人に……いや、聞かれてもイルーゼが困るだろう。
「クラウスの居場所が掴めた」
さっさと要件を終わらせて帰るか。こっちは忙しいんだ。
「そっか。どこ?」
「王都の端にある古い貴族の屋敷だ。部下が姿を確認している。だが一度だけだ」
一度だけでは確証が持てない。既に移動している可能性もある。誰かの支援を得ているのは間違いないが出入りの業者も決まった者だけしか出入りさせない念の入れようだ。下手に近付くと姿を消すかもしれないと今は遠巻きに様子を伺っている。
「ミュンターが領地から出てきたら動きがあるかもしれない」
「そっか。リシェルはそこにいそう?」
「今はまだ何とも言えない。警戒が厳しくて迂闊に近づけない」
「そっか」
歯痒いがあの爺が絡んでいるなら相当警戒しているだろう。出入りの業者も仲間だろうから接触するにも慎重を要する。だがせっかく見つけたんだ、確実に捕らえるためにも今は注意深く動くしかない。
「じゃ、そっちは任せるよ」
「そうしてくれ。いいと言うまで影も寄こすな」
「わかった。早くあの爺さんを片付けたいよ。そうすれば君もやっと命を狙われない生活が送れるだろう?」
「そうだな」
実際はそんなことにはならないのだが。命を狙われない生活とはどんなものなのだろうな。
「どうして妃まで連れてきた」
王太子から婚姻祝いだと言われて観劇の招待を受けた。素性を隠すようにと指定してきたから来るのだろうとは思っていたが、まさか妃も一緒とは思わなかった。妃はミュンターの爺の娘が嫁ぎ先で産んだ娘で、今は息子の養女になっている。しかもあのリシェルと親しくしていた女だ。そんな女を何故イルーゼに近づける? こんなことなら誘いを断ればよかった。
「そう怒らないでよ。コルネリアはミュンターに利する気はないから。同じ伯爵家の出のイルーゼちゃんに親近感を持っているだけで敵対する気はないから。」
妃に心を開いていなかった筈だがどういう風の吹き回しだ? それとも何か裏があるのか?
「何を企んでいる?」
「怖っ! そう睨むなよ!」
「正直に話せ」
睨みつけると情けない顔をして謝ってきたが謝罪などいらない。それよりも理由を話せと睨みつけたままいるとぼそぼそと理由を話し始めた。
王太子の話はこうだ。妃はミュンターの爺の孫で今はミュンターの養女になっている。あの爺は妃にも内々にミュンターの利になるよう王太子や国王夫妻を丸め込めと指示していた。最近はそれが顕著になり、生家の実弟のことまでちらつかせるほどになったらしい。妃は耐え切れず夫の王太子に相談したという。
「それを信じるのか?」
「ミュンターからの手紙は全て目を通したよ。君も見ていい。ほら」
そう言って手渡された手紙の束。差出人は妃の実家の母親、あの爺の娘の名だ。手紙の中には母親の物以外にもメモのような物が同封されていた。そこには法案や次の会議の議題などが記されているだけでどうしろという指示らしきものは一切ないが家の有利になるように根回ししろということだろう。警戒心の強い爺らしい。これだけを見ても罪には問えないな。母親からの手紙には弟を案じるようなことがぼかして書かれている。高圧的な爺からの指示と母親の弟を心配する手紙。言うことを聞かなければ弟を害すると言いたいのだろう。弟も爺の孫だろうに。
「それで、どうする気だ?」
「コルネリアに情はないけど王子を二人産んでくれたからね。このまま離婚せずに妃として遇するよ。他に適任者もいないし。今から別の妃を娶って王子が生まれれば面倒でしかないからね」
確かに妃をこのまま置いておく方が面倒はないな。どうしてもと言うならこいつを断種するしかないと思っていたが、それならその必要はないか。
「王太子の妃にまで指示をしてくるような爺さんは見過ごせない。王家を軽んじ過ぎだ。父上は祖父とは違いゾルガー重視なんだから。即位式に来ると言うのならここで息の根を止めたい。ゲオルグ殿の件、証拠は固まったんだろう?」
「ああ」
異母兄が父の血を継いでいないことはランベルツの婚姻式の少し前に判明した。その父親があの爺だということも。証拠がない上、領地から出てくることがない爺相手では死ぬまで待つのも手かとは思っていたが、即位式に来ると言うならこの機会を逃す手はない。
「王家はこの件に関してフレディに責はないことを認め不問とする。父上からそう約束を取り付けたよ。はい、これがその公文書」
差し出された文書の中身を確かめた。特に不足はないな。これと俺が不問にすると言えば誰もフレディを咎めることは出来ない。
「フレディには申し訳ないことになったけど、元々はうちの爺さんも加担していたからね。この件は王家と君、ミュンターの当主辺りに留めて表に出ない様にしたいと思っている」
「そうしてくれると助かる」
世間に広まってはあれの立場がない。いくら俺が擁護しても醜聞はあれを苦しめるだろう。それを跳ねのける強さはない。それはあれのいいところでもあるのだろうが。
「フレディにはこのことを?」
「話すべきだとは思うが、知れば悩み家を出ると言うだろう。出来れば死ぬまで伏せておきたい」
「そんな感じだよね。本当にあの爺さんの血を受け継いでいるのかと思っちゃうよ」
「そうだな。性格は先々代に似ているな」
「ああ、レナート殿ね。そうだなぁ、確かにそんな感じだ」
先王と爺に侮られた俺の祖父。よほどそっちの方が似ている。皮肉なものだな。あの爺に似た方が楽に生きられただろうに。
「フレディも気の毒だよなぁ。本人にはどうにも出来ないことなんだから。あ、そのフレディなんだけど、好きな令嬢が出来たらロジーナとの婚約、白紙にしていいから」
「急にどうした? ロジーナが嫌がってるのか?」
「そういう訳じゃないんだけど、父上がフレディに同情的というか。まぁ、元は祖父も片棒を担いでいたわけだろ? それもあって気の毒に思ったんだと思う」
確かに王からすればフレディは叔母の孫に当たる。ゾルガーの血は引いていないが王家の血は引いているのだ。先王をよく思っていなかっただけにフレディもその被害者と感じているのだろう。
「ロジーナはどうする?」
「要はロジーナの子が生まれなきゃいいんだから、子が出来ない様にすればいい。そうすれば誰にでも嫁げる。まだ十二だ。慌てる必要はないよ」
「ロットナーを使ってフレディの本音を聞き出せ。俺やお前には言わないだろう」
フレディは自分が俺の枷になっていると思い込んで俺を優先する考える癖がついている。だが枷だとは思っていない。もっと好きにすればいいと思う。元凶となる爺がいなくなるんだ。嫁くらい好きに選べばいいだろう。祖父が変わったところで王家の血を引いているあれの血筋の良さは変わらない。同年代なら禁忌になる相手もいないから問題もないだろう。
「爺さんはどう出るかな」
「証拠を出してもあの爺は白を切るだろうな。日記など捏造か王女の創作だと言いそうだ」
「その可能性は高いね。でもいい自白剤があるんだ。ロミルダ嬢に使ったやつ」
「あの爺が飲むか?」
「一人じゃ警戒して飲まないだろうけどね。俺たちが飲めば飲まざるを得ないだろう?」
自白剤をお前が? 余計なことを話しそうで信用出来ないのだが……
「それでは他にも影響が出るだろう」
「大丈夫だよ、そこは任せて」
「失敗は許されないぞ。イルーゼを巻き込むなよ」
「分かってるって。過保護だよなぁ。そんなに気に入ったの?」
ニヤついた顔を向けてきたが面倒くさい奴だ。気に入った、んだろうな。特にあの物怖じしないところが。些細なことで泣く女は邪魔にしかならない。そんな女を隣には置けない。
「はぁ、また無視? 全くイルーゼちゃんはこんな奴のどこがよかったんだか……」
一人でブツブツ言い始めたな、相変わらず面倒くさい奴だ。イルーゼの気持ちは俺にもわからない。知りたければ本人に……いや、聞かれてもイルーゼが困るだろう。
「クラウスの居場所が掴めた」
さっさと要件を終わらせて帰るか。こっちは忙しいんだ。
「そっか。どこ?」
「王都の端にある古い貴族の屋敷だ。部下が姿を確認している。だが一度だけだ」
一度だけでは確証が持てない。既に移動している可能性もある。誰かの支援を得ているのは間違いないが出入りの業者も決まった者だけしか出入りさせない念の入れようだ。下手に近付くと姿を消すかもしれないと今は遠巻きに様子を伺っている。
「ミュンターが領地から出てきたら動きがあるかもしれない」
「そっか。リシェルはそこにいそう?」
「今はまだ何とも言えない。警戒が厳しくて迂闊に近づけない」
「そっか」
歯痒いがあの爺が絡んでいるなら相当警戒しているだろう。出入りの業者も仲間だろうから接触するにも慎重を要する。だがせっかく見つけたんだ、確実に捕らえるためにも今は注意深く動くしかない。
「じゃ、そっちは任せるよ」
「そうしてくれ。いいと言うまで影も寄こすな」
「わかった。早くあの爺さんを片付けたいよ。そうすれば君もやっと命を狙われない生活が送れるだろう?」
「そうだな」
実際はそんなことにはならないのだが。命を狙われない生活とはどんなものなのだろうな。
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