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王族との会食◆
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「そんなに警戒するな。夫人をどうこうするつもりはない」
「左様ですか」
苦笑しながら王がそう言うがだったら何だというのだ? 婚約の話を持っていった時は何も言わなかったのに何故今になって話題にあげる?
「侯爵、ご心配なく。父上も母上も心配しているだけですよ」
ブレッケルがにこにこしながらそう言い、王太子が反対側からそうだよと呟いたのが聞こえた。悪意がないのか? 邪魔さえしてくれなければそれでいいが。
「両陛下の憂いを払えたのでしたら幸いです。当家のことはご心配には及びません。そのお心遣いはお身内に向けていただきたく」
人のことよりもあの王女を何とかしろと思う。生死がわからないのが一番面倒だ。期限のない警戒はどれほど気を引き締めてもいつかは解れる。相手はその時を待つだけでいい。
「リシェルのことでは迷惑をかけた」
あっさりと王が謝ってきた。既に侍従や護衛は部屋から出て今ここには俺たち五人だけになっている。このために呼んだのか。
「私からも謝罪を。あの子に自分を重ねて好きにさせてしまったわ。そのせいであなたと夫人に迷惑をかけました」
王妃が頭を下げたので気にしないように伝えた。別に王妃のせいではないだろう。王女を増長させたのは王太后だ。王女が帰国した直後、王妃は政争の種になる前にどこかに嫁がせるか修道院に入れるべきだと言っていたと聞く。
「それを言うならわしもだ。泣きながら一年でいいから自由にさせてほしいと言われて絆されてしまった。すまなかった」
二人に再び頭を下げられた。王と王妃は容易に頭を下げるものではないが使用人がいないのは幸いか。いや、その為に部屋から出したのだろうな。
「殿下の捜索を。遺体がなければ弔うこともままならないでしょう」
彼らにとっては実子であり妹だ。せめて遺体だけでもと思うものだろう。それに遺体が見つかれば俺の懸念も一つ減る。生死不明の状態で生きているのが一番厄介だ。以前なら俺一人が警戒すればよかったが今はそういう訳にはいかない。守らねばならない者が増えるのはそれだけで大きな負担になる。それが行動力のある者なら尚更だ。
「勿論だ。あれの捜索を優先するように命じてある。見つからなければ死んだと公表する。その後で現れても他人の空似だ」
「かしこまりました」
つまり王が公表した後で現れても偽物としてどうしようと関知しないということか。それならまだ動きやすい。死んだところで責任を問われないのだから。
「明日にでも王女が行方不明になったと公表する予定だ。一月経っても名乗り出ない場合は死んだと発表する。後は侯爵のいいように」
黙って頭を下げた。王が死んだと公表してしまえばいかようにも対処が出来る。王としては苦渋の決断だろうが王女は一線を越えてやり過ぎた。何度も忠告したと王太子が言っている。王の意向に沿えない者は王族に籍を置くことなど出来ないの。
その後国王夫妻は次の公務があるといって出て行き、再び王太子の部屋に連れていかれた。何故かブレッケルが一緒に付いてきた。侍従は茶を淹れると部屋を出て行った。
「王と王妃が同席するとは聞いていなかったぞ」
知っていればさっさと帰ったものを。
「悪かったって、そう睨むなよ」
「睨んでなどいない」
「睨んでるって。悪かったよ、言わなかったことは。でも父上も母上も君を祝いたいって言うんだ。そうでもしなきゃ、君、父上と母上に会おうとしないだろう?」
用がないのに会う理由がないだろうが。必要な時は都度謁見を申し入れている。
「だったらイルーゼも呼べばよかっただろう」
「勿論近いうちにイルーゼちゃんも呼んで晩餐会を開く予定だよ。なんたって筆頭侯爵家の夫人が誕生したんだから」
「だったらその時でよかっただろう」
「そうなんだけど、父上も母上も先に君にお祝いを言いたかったんだよ」
先に祝われて何かが変わるわけではないだろうに。
「妃はどうした?」
「ああ、下の王子が熱を出してね。声をかけたけど側にいてやりたいって言うから」
「そうか」
妃が来ないと踏んで声をかけたのだろうな。下の王子はよく熱を出すが妃が子から離れないのはいつものことだ。それにしても何故ブレッケルがいる?
「あ、エーリックが気になった? 君にお礼を言いたいと言ってね」
「礼?」
「はい。ミュンター侯爵令嬢の件です。婚約の白紙を提案して下さってありがとうございました」
兄よりも青みの強い紫眼を真っすぐに向けてきた。何かと思ったらそんなことか。
「別にお前のためではないから気にするな」
「それでもですよ。私はミュンター嬢との婚約が嫌で仕方なかったんです。父上に言っても話が進まなくて……侯爵が言って下さったお陰で父上がやっと動いてくれたんです。一生の恩人です」
「気にするな。こっちに利があってのことだ」
一生の恩人だなんて大袈裟だろう。そんなことを言うと恩に着せてこき使うぞ。そもそもあれはミュンターの爺を揺さぶるためにやったことだ。しかし……
「あの娘に何をした?」
「何を、とは?」
笑顔を崩さずにいるところを見ると隠す気はないらしい。
「自白剤でも飲ませたか?」
「よくわかりましたね」
「エーリック、お前、そんなことやったのか!?」
王太子が慌ててブレンゲルに詰め寄ったが、言われた方は平気な顔をしていた。
「大切な婚姻式で騒ぎを起こしたことは謝ります。ですが……提案して下さったのならこのくらいは大目に見て下さるかと思いまして。それに侯爵にはいい材料になったでしょう?」
笑顔で答える様子から全く悪いと思っていないとわかる。厚かましいとは思うがこいつはフレディとも仲がいいし、ミュンターを糾弾するいい材料が増えたのは事実だ。
「エーリック、お前なぁ……こいつは婚姻式がどうなろうと気にしないだろうが、結婚っていうのは相手がいるんだぞ? 花嫁に申し訳ないだろうが」
王太子が盛大にため息をついて弟を嗜めた。
「そこは申し訳なく思っています。夫人には何かお詫びさせていただきます」
「好きにしろ。だが次はないぞ」
あの暗殺者に比べれば大したことではないがイルーゼは気にしているかもしれない。こいつには釘を刺しておいた方がいいだろう。あれに余計な苦労を掛けるのはわかり切っている。予想される憂いは出来るだけ遠ざけておくべきだろう。
「わかりました。近いうちにお詫びの品をお贈りします。伺っても?」
「構わんが先触れはしろよ」
来るのは構わないがフレディと同じ感覚では困る。
「もちろんです。ありがとうございます」
「いいなぁ、俺も行きたい……」
「兄上は仕方ありませんよ。私とは立場が違いますから」
「はぁ、何だよ二人とも。羨ましい……」
盛大にため息をついたが仕方がないだろう。誰かが王位に就かなければならないんだ。
「兄上よりも侯爵の方が王に向いていたかもしれませんね」
「そうだよね! そう思うだろう!」
王太子が目を輝かせたが何を言っているんだ。
「そんな窮屈な立場は御免だ」
「そんなぁ……」
「侯爵、考える余地もなしですか。兄上、諦めて下さい。いいじゃないですか、侯爵がいて下さるから兄上の治世は安泰ですよ。逆に侯爵の仕事、兄上に出来るんですか?」
「そうだな、暗殺者が忍んで来る生活だ。退屈はしないだろう」
王太子とブレッケルが黙り込んだ。何だ?
「どうした?」
「いや……君が冗談を言うなんて思わなくて……」
「ええ、私も驚きました……」
事実を言っただけで冗談を言ったつもりはないのだが。どうしてそうなる?
「ふふ、君が少しでも変わってくれたなら嬉しいよ」
「そうですね、父上も母上も喜びますよ」
二人して嬉しそうだがどういう意味だ? 話が見えん。が、問い詰める価値はないように思える。この二人なら尚更だ。
「はぁ、後は姉上かぁ……生きているのなら早く出て来て欲しいよ」
「……そうだな。可能性は低そうだけど……」
王女の不明は国王夫妻の表情にも影を落としていた。いずれ死ぬと決まっていたとはいえこんな死に方は望んでいなかっただろうし遺体が見つからないのでは諦めも付かないだろう。
「左様ですか」
苦笑しながら王がそう言うがだったら何だというのだ? 婚約の話を持っていった時は何も言わなかったのに何故今になって話題にあげる?
「侯爵、ご心配なく。父上も母上も心配しているだけですよ」
ブレッケルがにこにこしながらそう言い、王太子が反対側からそうだよと呟いたのが聞こえた。悪意がないのか? 邪魔さえしてくれなければそれでいいが。
「両陛下の憂いを払えたのでしたら幸いです。当家のことはご心配には及びません。そのお心遣いはお身内に向けていただきたく」
人のことよりもあの王女を何とかしろと思う。生死がわからないのが一番面倒だ。期限のない警戒はどれほど気を引き締めてもいつかは解れる。相手はその時を待つだけでいい。
「リシェルのことでは迷惑をかけた」
あっさりと王が謝ってきた。既に侍従や護衛は部屋から出て今ここには俺たち五人だけになっている。このために呼んだのか。
「私からも謝罪を。あの子に自分を重ねて好きにさせてしまったわ。そのせいであなたと夫人に迷惑をかけました」
王妃が頭を下げたので気にしないように伝えた。別に王妃のせいではないだろう。王女を増長させたのは王太后だ。王女が帰国した直後、王妃は政争の種になる前にどこかに嫁がせるか修道院に入れるべきだと言っていたと聞く。
「それを言うならわしもだ。泣きながら一年でいいから自由にさせてほしいと言われて絆されてしまった。すまなかった」
二人に再び頭を下げられた。王と王妃は容易に頭を下げるものではないが使用人がいないのは幸いか。いや、その為に部屋から出したのだろうな。
「殿下の捜索を。遺体がなければ弔うこともままならないでしょう」
彼らにとっては実子であり妹だ。せめて遺体だけでもと思うものだろう。それに遺体が見つかれば俺の懸念も一つ減る。生死不明の状態で生きているのが一番厄介だ。以前なら俺一人が警戒すればよかったが今はそういう訳にはいかない。守らねばならない者が増えるのはそれだけで大きな負担になる。それが行動力のある者なら尚更だ。
「勿論だ。あれの捜索を優先するように命じてある。見つからなければ死んだと公表する。その後で現れても他人の空似だ」
「かしこまりました」
つまり王が公表した後で現れても偽物としてどうしようと関知しないということか。それならまだ動きやすい。死んだところで責任を問われないのだから。
「明日にでも王女が行方不明になったと公表する予定だ。一月経っても名乗り出ない場合は死んだと発表する。後は侯爵のいいように」
黙って頭を下げた。王が死んだと公表してしまえばいかようにも対処が出来る。王としては苦渋の決断だろうが王女は一線を越えてやり過ぎた。何度も忠告したと王太子が言っている。王の意向に沿えない者は王族に籍を置くことなど出来ないの。
その後国王夫妻は次の公務があるといって出て行き、再び王太子の部屋に連れていかれた。何故かブレッケルが一緒に付いてきた。侍従は茶を淹れると部屋を出て行った。
「王と王妃が同席するとは聞いていなかったぞ」
知っていればさっさと帰ったものを。
「悪かったって、そう睨むなよ」
「睨んでなどいない」
「睨んでるって。悪かったよ、言わなかったことは。でも父上も母上も君を祝いたいって言うんだ。そうでもしなきゃ、君、父上と母上に会おうとしないだろう?」
用がないのに会う理由がないだろうが。必要な時は都度謁見を申し入れている。
「だったらイルーゼも呼べばよかっただろう」
「勿論近いうちにイルーゼちゃんも呼んで晩餐会を開く予定だよ。なんたって筆頭侯爵家の夫人が誕生したんだから」
「だったらその時でよかっただろう」
「そうなんだけど、父上も母上も先に君にお祝いを言いたかったんだよ」
先に祝われて何かが変わるわけではないだろうに。
「妃はどうした?」
「ああ、下の王子が熱を出してね。声をかけたけど側にいてやりたいって言うから」
「そうか」
妃が来ないと踏んで声をかけたのだろうな。下の王子はよく熱を出すが妃が子から離れないのはいつものことだ。それにしても何故ブレッケルがいる?
「あ、エーリックが気になった? 君にお礼を言いたいと言ってね」
「礼?」
「はい。ミュンター侯爵令嬢の件です。婚約の白紙を提案して下さってありがとうございました」
兄よりも青みの強い紫眼を真っすぐに向けてきた。何かと思ったらそんなことか。
「別にお前のためではないから気にするな」
「それでもですよ。私はミュンター嬢との婚約が嫌で仕方なかったんです。父上に言っても話が進まなくて……侯爵が言って下さったお陰で父上がやっと動いてくれたんです。一生の恩人です」
「気にするな。こっちに利があってのことだ」
一生の恩人だなんて大袈裟だろう。そんなことを言うと恩に着せてこき使うぞ。そもそもあれはミュンターの爺を揺さぶるためにやったことだ。しかし……
「あの娘に何をした?」
「何を、とは?」
笑顔を崩さずにいるところを見ると隠す気はないらしい。
「自白剤でも飲ませたか?」
「よくわかりましたね」
「エーリック、お前、そんなことやったのか!?」
王太子が慌ててブレンゲルに詰め寄ったが、言われた方は平気な顔をしていた。
「大切な婚姻式で騒ぎを起こしたことは謝ります。ですが……提案して下さったのならこのくらいは大目に見て下さるかと思いまして。それに侯爵にはいい材料になったでしょう?」
笑顔で答える様子から全く悪いと思っていないとわかる。厚かましいとは思うがこいつはフレディとも仲がいいし、ミュンターを糾弾するいい材料が増えたのは事実だ。
「エーリック、お前なぁ……こいつは婚姻式がどうなろうと気にしないだろうが、結婚っていうのは相手がいるんだぞ? 花嫁に申し訳ないだろうが」
王太子が盛大にため息をついて弟を嗜めた。
「そこは申し訳なく思っています。夫人には何かお詫びさせていただきます」
「好きにしろ。だが次はないぞ」
あの暗殺者に比べれば大したことではないがイルーゼは気にしているかもしれない。こいつには釘を刺しておいた方がいいだろう。あれに余計な苦労を掛けるのはわかり切っている。予想される憂いは出来るだけ遠ざけておくべきだろう。
「わかりました。近いうちにお詫びの品をお贈りします。伺っても?」
「構わんが先触れはしろよ」
来るのは構わないがフレディと同じ感覚では困る。
「もちろんです。ありがとうございます」
「いいなぁ、俺も行きたい……」
「兄上は仕方ありませんよ。私とは立場が違いますから」
「はぁ、何だよ二人とも。羨ましい……」
盛大にため息をついたが仕方がないだろう。誰かが王位に就かなければならないんだ。
「兄上よりも侯爵の方が王に向いていたかもしれませんね」
「そうだよね! そう思うだろう!」
王太子が目を輝かせたが何を言っているんだ。
「そんな窮屈な立場は御免だ」
「そんなぁ……」
「侯爵、考える余地もなしですか。兄上、諦めて下さい。いいじゃないですか、侯爵がいて下さるから兄上の治世は安泰ですよ。逆に侯爵の仕事、兄上に出来るんですか?」
「そうだな、暗殺者が忍んで来る生活だ。退屈はしないだろう」
王太子とブレッケルが黙り込んだ。何だ?
「どうした?」
「いや……君が冗談を言うなんて思わなくて……」
「ええ、私も驚きました……」
事実を言っただけで冗談を言ったつもりはないのだが。どうしてそうなる?
「ふふ、君が少しでも変わってくれたなら嬉しいよ」
「そうですね、父上も母上も喜びますよ」
二人して嬉しそうだがどういう意味だ? 話が見えん。が、問い詰める価値はないように思える。この二人なら尚更だ。
「はぁ、後は姉上かぁ……生きているのなら早く出て来て欲しいよ」
「……そうだな。可能性は低そうだけど……」
王女の不明は国王夫妻の表情にも影を落としていた。いずれ死ぬと決まっていたとはいえこんな死に方は望んでいなかっただろうし遺体が見つからないのでは諦めも付かないだろう。
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