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見つかった侍女
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三日後、ゾルガー家から帰宅した私にバナンが慌てた様子で話しかけてきた。
「カリーナが見つかった?」
「はい。騎士団が郊外の教会で見つけたと、昼過ぎに連絡が……」
「それでカリーナは? 無事なの?」
「特に怪我もなく無事だと。ただ……」
ホッとしたのもつかの間、言い淀むバナンに不安という靄が下りてきた。
「何か、あったの?」
「……その、子どもが……」
「子ども?!」
カリーナは全く想定していなかった状況にいた。彼女は町外れの教会に身を寄せていたけれど身籠っていたのだ。名前もリーナと名乗り、屋敷の主人の子を身籠ったが正妻が恐ろしい人なので逃げてきたと言って保護して貰っていた。この手の話はよくあることだからと教会も受け入れ、騎士団の捜索にもその様な人はいないと答えていたらしい。
「それで、その子供の父親って、もしかして……」
「旦那様のようです」
あの生真面目なカリーナに限ってと思っていたし周りもそう思っていただけに驚きしかなかった。そういう事情があったから父は何も話さなかったのかしら? それとも彼女が身を引いて姿を消した?
「お父様は何と?」
「ご報告したのですが……わかったと仰ると暫く一人にして欲しいと……」
「はぁ?! 何よそれ?」
呆れて……ってもう十分すぎるほど呆れているからその先はどう表現すればいいのかしら? こういう時は直ぐに使いをやって様子を確かめて、それから会いに行くとか迎える用意をするとかするものじゃないの? 姉の妊娠がわかってから一層腑抜けになっているわ。
「まだ誰も動いていないのね?」
「はい、旦那様が何も仰いませんので……」
そうよね、当主が何も言わなかったらバナンだって動けないわよね。
「わかったわ、話を聞きに行く準備を。お父様の子なら保護しなきゃいけないからまずは確認が先よね。それとカリーナの気持ちを確認してくれる? ここに戻るのが不安なら別の家を用意するなりしなきゃいけないもの」
「かしこまりました」
さっきよりも表情を明るくしてバナンが侍女を呼んだ。彼ももどかしかったのだろう。カリーナと仲がいい使用人がわからないから様子を見に行く人選はバナンに任せることにした。
「次はお父様ね。バナン、行くわよ」
様子を見に行くにしても一応父の意見も聞かなきゃいけない。どうせ伺いを立てても無視されるか後にしろと言うだろうから突撃するわよ。
「お父様、いらっしゃいますの?!」
部屋に入るとまたしてもカーテンを閉め切って暗かった。この部屋、一番日当たりがいいはずなのにキノコが生えてきそうなくらい暗くて湿っぽいのはどういうことなのよ。
「……イルーゼ、お前っ、また勝手に……」
「勝手もくそもありませんわ!! カリーナが見つかったそうではありませんか。どうして人を遣りもせず引き籠っていますの?」
「い、いや、しかし……」
うじうじしている姿が苛々するわね。最近鬱憤が溜まっているせいかしら。慌てた様子の父を見たらちょっとだけすっきりした。
「それでお父様、カリーナのお腹の子の父親はお父様なのですね?」
「…………」
真っ直ぐ目を見て尋ねたら口元をひきつらせたまま目を逸らされた。これはほぼ間違いなさそうね。
「お心当たりがおありなのですね。彼女はあの通りとても真面目ですから複数の男性と関係を持つなんてあり得ませんものね」
「…………」
「無言は肯定と受け取りますわよ」
「…………」
返事がないってことはそういうことね。全く、いい年した大人がそっぽを向いて口をとがらせても可愛くないし、むしろ張り倒したくなるのだけど。こんな時くらい潔く出来ないのかしら。
「彼女の様子を見に行きます。よろしいですわね?」
「…………」
返事がない。口が利けなくなったのかしら? まぁいいわ、返事がないし止めようともしないのだから是とするわよ。もう暗くなる時間帯だから明日になるけれど。
その後バナンと相談して彼女と仲のいい侍女に話を聞きに行って貰うことにした。母が家にいないのは幸いだったかもしれない。いずれ話さないわけにはいかないけれど事情がはっきりするまでは邪魔されたくない。それにクラウス様の行方が分からない今は姉を一人にしたくないもの。
「それにしても……カリーナの子がお父様の子だとしたら、お父様、来年は子と孫が同時に出来るのね」
子が生まれるのは喜ばしいことだけど、二人揃って訳ありだなんて頭が痛い。お義姉様の子だったらよかったのに、宿った命は姉が麻薬中毒と診断された頃に天に帰っていた。父はどうする気なのかしら? 自分の子だとカリーナが言ったら受け入れる? まさかやることやっていながら俺は知らないとか言い出さないでしょうね。そんなことをしたら二度とそんなこと出来ないようにしてやるんだから。
翌日、カリーナと仲がいい侍女が郊外の教会に向かった。戻ってきたのは夕方近くで、夕食前にカリーナに侍女から話を聞いた。父に声をかけたけれど相変わらず引き籠っているので放っておくわ。
「カリーナは……子供の父親の名を頑なに言いませんでした。旦那様かと尋ねても首を横に振るばかりで……」
「そう」
付き合いの長い同僚に心を痛めた侍女は涙ながらに彼女の状況を語ってくれた。生真面目なカリーナならそう言うかもしれないとの予感はあった。それでも仲がいい侍女なら本音を漏らしてくれるかと思ったのだけど。
「困ったわね。当事者が揃ってだんまりじゃ動けないわ」
カリーナは母への忠誠心もあって否定しているのだろうか。彼女は元々母の実家の侍女でこの家に嫁ぐ前からの付き合いだもの。かと言って我が家の血を引いている可能性のある子を放っておくわけにもいかない。
「お嬢様、お子も今すぐ生まれるわけではありません。暫くは教会で預かって貰ってはいかがでしょう。子が出来たばかりでは環境を変えるのもよくないかもしれません。世話になるのでまずは食料や着替えなど必要な物を差し入れては?」
「そうね……二人の様子じゃ長期戦になるかもしれないし……」
頭が痛いけれど父は相変わらず引き籠って何も言わないからどうしようもない。バナンが話をしに行ったら大人しく聞いていたらしいからカリーナのことは心配しているのだと思うけれど。というかそう思いたいわ。
部屋に戻って今後のことを考えたけれど、二人の考えがわからないから何も決められない。お腹の子の父親が父だとの確証もないし……
「いっそ私が話を聞きに……」
「ダメですよ、イルーゼ様!」
「どうかご自重を」
最後まで言い切る前にロッテやザーラに強く止められてしまった。変装して行けばわからないんじゃないかと思ったけれど、そういう油断が危険なのですとザーラに懇々と説かれてしまった。仕方がないので諦めて父を何とかすることにした。どうせ私に腹を立てても父が私をどうこうすることは出来ないもの。婚約を無しにされて困るのはこの家だし、ヴォルフ様も許さないと思うわ。多分……
その翌々日の朝、ゾルガー家に行く時間になったけれど、私は侍女を連れて父の部屋の扉を開けた。
「お父様、失礼しますわ!!」
「な、何だ、イルーゼ?! お前、またっ……」
「皆、カーテンを、窓を開けて空気の入れ替えを! それから部屋の掃除を徹底的にして!」
「「「畏まりました!」」」
もう何日も掃除をしていないとバナンが嘆くのでまずは父の部屋を徹底的に掃除をすることにした。こんなところで閉じ籠っていたって何も進まないし解決しないのよ。
「お父様は湯あみを! 大至急身支度をお願いしますわ」
「な、何を勝手に……」
「あら、よろしいのですか? 今からヴォルフ様がいらっしゃいますのに?」
「な、な、な……」
「さぁ、急いでくださいまし。まさかそのなりで人前に出ようなんてこと、ありませんよね?」
顔を近づけてそう凄むと、かくかくとぎこちない動きで首を縦に振ったわ。ヴォルフ様はお忙しいのだからいらっしゃるまでには準備を終えて貰うわよ。
「カリーナが見つかった?」
「はい。騎士団が郊外の教会で見つけたと、昼過ぎに連絡が……」
「それでカリーナは? 無事なの?」
「特に怪我もなく無事だと。ただ……」
ホッとしたのもつかの間、言い淀むバナンに不安という靄が下りてきた。
「何か、あったの?」
「……その、子どもが……」
「子ども?!」
カリーナは全く想定していなかった状況にいた。彼女は町外れの教会に身を寄せていたけれど身籠っていたのだ。名前もリーナと名乗り、屋敷の主人の子を身籠ったが正妻が恐ろしい人なので逃げてきたと言って保護して貰っていた。この手の話はよくあることだからと教会も受け入れ、騎士団の捜索にもその様な人はいないと答えていたらしい。
「それで、その子供の父親って、もしかして……」
「旦那様のようです」
あの生真面目なカリーナに限ってと思っていたし周りもそう思っていただけに驚きしかなかった。そういう事情があったから父は何も話さなかったのかしら? それとも彼女が身を引いて姿を消した?
「お父様は何と?」
「ご報告したのですが……わかったと仰ると暫く一人にして欲しいと……」
「はぁ?! 何よそれ?」
呆れて……ってもう十分すぎるほど呆れているからその先はどう表現すればいいのかしら? こういう時は直ぐに使いをやって様子を確かめて、それから会いに行くとか迎える用意をするとかするものじゃないの? 姉の妊娠がわかってから一層腑抜けになっているわ。
「まだ誰も動いていないのね?」
「はい、旦那様が何も仰いませんので……」
そうよね、当主が何も言わなかったらバナンだって動けないわよね。
「わかったわ、話を聞きに行く準備を。お父様の子なら保護しなきゃいけないからまずは確認が先よね。それとカリーナの気持ちを確認してくれる? ここに戻るのが不安なら別の家を用意するなりしなきゃいけないもの」
「かしこまりました」
さっきよりも表情を明るくしてバナンが侍女を呼んだ。彼ももどかしかったのだろう。カリーナと仲がいい使用人がわからないから様子を見に行く人選はバナンに任せることにした。
「次はお父様ね。バナン、行くわよ」
様子を見に行くにしても一応父の意見も聞かなきゃいけない。どうせ伺いを立てても無視されるか後にしろと言うだろうから突撃するわよ。
「お父様、いらっしゃいますの?!」
部屋に入るとまたしてもカーテンを閉め切って暗かった。この部屋、一番日当たりがいいはずなのにキノコが生えてきそうなくらい暗くて湿っぽいのはどういうことなのよ。
「……イルーゼ、お前っ、また勝手に……」
「勝手もくそもありませんわ!! カリーナが見つかったそうではありませんか。どうして人を遣りもせず引き籠っていますの?」
「い、いや、しかし……」
うじうじしている姿が苛々するわね。最近鬱憤が溜まっているせいかしら。慌てた様子の父を見たらちょっとだけすっきりした。
「それでお父様、カリーナのお腹の子の父親はお父様なのですね?」
「…………」
真っ直ぐ目を見て尋ねたら口元をひきつらせたまま目を逸らされた。これはほぼ間違いなさそうね。
「お心当たりがおありなのですね。彼女はあの通りとても真面目ですから複数の男性と関係を持つなんてあり得ませんものね」
「…………」
「無言は肯定と受け取りますわよ」
「…………」
返事がないってことはそういうことね。全く、いい年した大人がそっぽを向いて口をとがらせても可愛くないし、むしろ張り倒したくなるのだけど。こんな時くらい潔く出来ないのかしら。
「彼女の様子を見に行きます。よろしいですわね?」
「…………」
返事がない。口が利けなくなったのかしら? まぁいいわ、返事がないし止めようともしないのだから是とするわよ。もう暗くなる時間帯だから明日になるけれど。
その後バナンと相談して彼女と仲のいい侍女に話を聞きに行って貰うことにした。母が家にいないのは幸いだったかもしれない。いずれ話さないわけにはいかないけれど事情がはっきりするまでは邪魔されたくない。それにクラウス様の行方が分からない今は姉を一人にしたくないもの。
「それにしても……カリーナの子がお父様の子だとしたら、お父様、来年は子と孫が同時に出来るのね」
子が生まれるのは喜ばしいことだけど、二人揃って訳ありだなんて頭が痛い。お義姉様の子だったらよかったのに、宿った命は姉が麻薬中毒と診断された頃に天に帰っていた。父はどうする気なのかしら? 自分の子だとカリーナが言ったら受け入れる? まさかやることやっていながら俺は知らないとか言い出さないでしょうね。そんなことをしたら二度とそんなこと出来ないようにしてやるんだから。
翌日、カリーナと仲がいい侍女が郊外の教会に向かった。戻ってきたのは夕方近くで、夕食前にカリーナに侍女から話を聞いた。父に声をかけたけれど相変わらず引き籠っているので放っておくわ。
「カリーナは……子供の父親の名を頑なに言いませんでした。旦那様かと尋ねても首を横に振るばかりで……」
「そう」
付き合いの長い同僚に心を痛めた侍女は涙ながらに彼女の状況を語ってくれた。生真面目なカリーナならそう言うかもしれないとの予感はあった。それでも仲がいい侍女なら本音を漏らしてくれるかと思ったのだけど。
「困ったわね。当事者が揃ってだんまりじゃ動けないわ」
カリーナは母への忠誠心もあって否定しているのだろうか。彼女は元々母の実家の侍女でこの家に嫁ぐ前からの付き合いだもの。かと言って我が家の血を引いている可能性のある子を放っておくわけにもいかない。
「お嬢様、お子も今すぐ生まれるわけではありません。暫くは教会で預かって貰ってはいかがでしょう。子が出来たばかりでは環境を変えるのもよくないかもしれません。世話になるのでまずは食料や着替えなど必要な物を差し入れては?」
「そうね……二人の様子じゃ長期戦になるかもしれないし……」
頭が痛いけれど父は相変わらず引き籠って何も言わないからどうしようもない。バナンが話をしに行ったら大人しく聞いていたらしいからカリーナのことは心配しているのだと思うけれど。というかそう思いたいわ。
部屋に戻って今後のことを考えたけれど、二人の考えがわからないから何も決められない。お腹の子の父親が父だとの確証もないし……
「いっそ私が話を聞きに……」
「ダメですよ、イルーゼ様!」
「どうかご自重を」
最後まで言い切る前にロッテやザーラに強く止められてしまった。変装して行けばわからないんじゃないかと思ったけれど、そういう油断が危険なのですとザーラに懇々と説かれてしまった。仕方がないので諦めて父を何とかすることにした。どうせ私に腹を立てても父が私をどうこうすることは出来ないもの。婚約を無しにされて困るのはこの家だし、ヴォルフ様も許さないと思うわ。多分……
その翌々日の朝、ゾルガー家に行く時間になったけれど、私は侍女を連れて父の部屋の扉を開けた。
「お父様、失礼しますわ!!」
「な、何だ、イルーゼ?! お前、またっ……」
「皆、カーテンを、窓を開けて空気の入れ替えを! それから部屋の掃除を徹底的にして!」
「「「畏まりました!」」」
もう何日も掃除をしていないとバナンが嘆くのでまずは父の部屋を徹底的に掃除をすることにした。こんなところで閉じ籠っていたって何も進まないし解決しないのよ。
「お父様は湯あみを! 大至急身支度をお願いしますわ」
「な、何を勝手に……」
「あら、よろしいのですか? 今からヴォルフ様がいらっしゃいますのに?」
「な、な、な……」
「さぁ、急いでくださいまし。まさかそのなりで人前に出ようなんてこと、ありませんよね?」
顔を近づけてそう凄むと、かくかくとぎこちない動きで首を縦に振ったわ。ヴォルフ様はお忙しいのだからいらっしゃるまでには準備を終えて貰うわよ。
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