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宝石商の使用人
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屋敷に戻るとバナンが姉の侍女をしていたデリカが私の専属になったと教えてくれた。早速姉のことを聞いてみたわ。姉はずっとハリマン様に憧れていたこと、私との婚約が決まってから暫くは荒れていたこと、ハリマン様を誘惑したのは姉だったこと、フレディ様は好みではなかったけれど権力と財産目当てで結婚する気でいたことなど、知っているものもあれば初めて聞くものまで様々だったわ。
姉がハリマン様に憧れていたのは知らなかった。それなら早く言ってくれればよかったのに。そうしていたらとっくに結婚して今頃はハリマン様のお子がいたかもしれないのにね。まぁ、野心家な姉だからあの事件がなければフレディ様と素知らぬ顔で結婚していたのでしょうけれど。
「フィリーネお嬢様は旦那様や奥様と仲がいいと言われていましたけれど……フィリーネお嬢様ご自身はあまりご両親のことはお好きではなかったようです」
「お姉様が?」
それはこの日聞いた話の中で一番信じられないものだった。いつも三人で行動していたのに。
「確証はないのですが、その、フィリーネ様は特に旦那様を苦手に思われていたようで……」
「お父様を?」
「はい、フィリーネ様は決して旦那様と二人きりにはなられませんでした。私たち侍女にも旦那様がいる時は必ず二人は側にいるようにと仰っていましたから」
「……」
意外過ぎて信じられなかったわ。父とは恋人同士のようにすら見えたのに。侍女を二人以上って、そこまで姉は父を警戒していたの? 姉は父には常に笑顔を向けていたし、ことある毎に父におねだりしてドレスだ何だと買ってもらっていた。ハリマン様との婚約だってそうだったのに。
他にもあの父の部屋の絵の女性は母の姉ではないかと侍女たちが囁いているのを聞いたとデリカは言った。噂をしていたのは洗濯を担っていた侍女で古参の侍女が以前そう言っていたのだとか。
母に姉がいたなんて初めて聞いたけれどそれなら姉に似ていてもおかしくないわ、叔母と姪だもの。侍女の話では若くして亡くなったというけれど、両親から伯母の話を聞いたことがない。存在すら知らないなんて不可解だわ。バナンなら知っていそうだけど彼は絶対に口を割らないわね。隠されると余計に気になるわ。デリカに噂でいいから姉や伯母に関する話をそれとなく探ってくれるようにお願いした。
カリーナはどこにいるのかしら。騎士団も探しているのにまだ見つからない。彼女は母の実家で侍女をしていたから伯母のことも知っているわよね。父の様子からも彼女が父を害したとは思えない。早く無事に見つかって欲しい。
それから十日が過ぎて婚姻式まで二月を切った。婚約者になってからは危険だからと外出も控えていたけれど、毒虫の件で益々それが顕著になって鬱々とした気分を感じることが増えた。早く解放されたい、そんな風に考えていたのがいけなかったのかしら……目の前の光景を他人事のように眺めながら私はそんなことを考えていた。
事が起きたのはお昼過ぎ。いつも通り夫人教育を終えると三人で昼食を摂った。その後宝石商が来ると言うのでヴォルフ様と客間に向かったわ。
この日は婚姻式に使う宝飾品の最終確認をすることになっていた。首飾りに耳飾り、指輪や髪飾りは代々ゾルガー家に伝わる物で、それを手直しして使う予定になっていた。前回使ったのはもう二十年以上前だったからかなり大掛かりな直しをすることになった。どれも見たこともない立派な物ばかりで顔が引き攣りそう。これを身に着けるなんて緊張するし式が終わるまで気が気じゃないわね。
「お嬢様、まずは着けて頂きましょう」
宝石商が箱から豪奢な耳飾りを取り出しながらそう言うと、連れてきた侍女が耳飾りを渡されて私の後ろに周った、その時だった。
「動くな」
室内の温度を下げるような低い威嚇の声が耳に届いた。何事かと声の主に視線を向けて息を呑んだ。そこにはソファに座ったまま侍女の喉元に短剣よりもずっと細い何かを突きつけるヴォルフ様がいたからだ。少しでも動けば皮膚を破りそうなほど先端が食い込み、侍女は僅かに口を開いた状態で目だけをヴォルフ様に向けていた。
「こ、侯爵様、何を……」
「この者は最近雇った者か?」
「さ、左様でございますが……」
宝石商も突然のことに目も口も開いたまま二人を見ていた。
「刺客だ」
「し、かく……?」
呆然と宝石商が呟いたのが聞こえた。侍女が口の端を上げた様に見えた瞬間、風が起きて侍女の姿が消えた。侍女は身を翻して宙を回ると壁際に降り立ったけれど、そのまま不自然な態勢で床に膝をついた。左手を添えた右腕には……さっきヴォルフ様が喉に突きつけていた細いナイフのようなものが刺さっていた。憤怒の表情を露わにした侍女は服の中から小さな何かを取り出してこちらに向かってこようとしたけれど、その体は三歩目を迎える前に床に崩れ落ちた。
「手足を縛って猿ぐつわをしてから牢に放り込んでおけ」
「は」
アベルと護衛騎士が慣れた手つきで侍女を回収して去って行ったのを私はまだ呆然と眺めていた。まるで落としたコップを片付けるように淡々と進む光景と暗殺者という聞き慣れない言葉が結び付かない。あの侍女は誰を狙ったの? どうして? いきなり倒れたのは何故?
「あれの身柄は預かる」
「……も、申し訳ございません、侯爵様。まさかあのような者を雇い入れていたとは……」
宝石商がテーブルに当たりそうなくらいに頭を下げた。気の毒なほどに顔色を青くして今にも倒れそうなほどだ。
「気にするな。あれは本物だ。一般の者は見分けらないだろう」
「……ご厚情感謝いたします」
宝石商が再び深く頭を下げたけれど話が見えないわ。説明を求めてヴォルフ様を見上げると緑の目がこちらを向いた。
「あれはプロの暗殺者だ」
「暗殺者? あれが? 普通の侍女に見えましたけれど」
「ああやって標的に近付くんだ」
その言葉にゾッとしたわ。毒虫の時も驚いたけれど屋敷の中に、それも常に警戒しているこの家の中にまで入って来たなんて。
「急に倒れましたが……」
「即効性の痺れ薬だ。あのナイフに塗ってあった」
「……痺れ薬?」
「動きを封じるため、何よりも自殺されないためだ」
死んだのかと思ったけれど生きているのね。よかったと言っていいのかわからないけれど。どうしてそんなものがあるのかしら。常に用意しているってこと?
「……あれを投げたのは?」
「俺だ」
やっぱりそうなのね。アベルや護衛騎士は壁際にいたからあの角度は無理だもの。暗殺者が現れたことよりもそっちの方が驚きなのだけど……どうしてそんなことが出来るの? そんなに簡単に刺さるものなのかしら?
床に落ちた耳飾りを回収した宝石商は傷がないことを確かめたけれど、毒を塗られた可能性があるとヴォルフ様が言ったため試着は後日になった。この前は毒虫を贈られたけれど、今度は宝飾品に毒だなんて……物語の話だと思っていたことが次々と目の前で起きていて実感が追い付いてこないわ……
「怖いか?」
「……どう、なのでしょう。まだ実感がないせいか、怖いとは……」
「そうか」
実感が湧かないせいかその時は怖いとは思わなかった。これまでも襲撃される可能性は聞いていたし、近付く者は顔見知りでも注意しろ、初めての相手は警戒しろと言われていたから。ヴォルフ様やアベルたちはあの侍女を最初から警戒していたのね。だから直ぐに動けたのだわ。
恐怖が襲ってきたのは寝静まった真夜中のことだった。風で揺れる窓枠が軋む音に突然不安が込み上げてきた。ヴォルフ様の動きがほんのわずかでも遅れていたら私は死んでいたかもしれない。はっきりとそう意識した時、これまで感じたことのなかった寒気を感じたわ。ガタガタと窓枠を揺らす音が耳に障る。意識がなくなったのは風が止んで空が白み始めたと感じた後だった。
姉がハリマン様に憧れていたのは知らなかった。それなら早く言ってくれればよかったのに。そうしていたらとっくに結婚して今頃はハリマン様のお子がいたかもしれないのにね。まぁ、野心家な姉だからあの事件がなければフレディ様と素知らぬ顔で結婚していたのでしょうけれど。
「フィリーネお嬢様は旦那様や奥様と仲がいいと言われていましたけれど……フィリーネお嬢様ご自身はあまりご両親のことはお好きではなかったようです」
「お姉様が?」
それはこの日聞いた話の中で一番信じられないものだった。いつも三人で行動していたのに。
「確証はないのですが、その、フィリーネ様は特に旦那様を苦手に思われていたようで……」
「お父様を?」
「はい、フィリーネ様は決して旦那様と二人きりにはなられませんでした。私たち侍女にも旦那様がいる時は必ず二人は側にいるようにと仰っていましたから」
「……」
意外過ぎて信じられなかったわ。父とは恋人同士のようにすら見えたのに。侍女を二人以上って、そこまで姉は父を警戒していたの? 姉は父には常に笑顔を向けていたし、ことある毎に父におねだりしてドレスだ何だと買ってもらっていた。ハリマン様との婚約だってそうだったのに。
他にもあの父の部屋の絵の女性は母の姉ではないかと侍女たちが囁いているのを聞いたとデリカは言った。噂をしていたのは洗濯を担っていた侍女で古参の侍女が以前そう言っていたのだとか。
母に姉がいたなんて初めて聞いたけれどそれなら姉に似ていてもおかしくないわ、叔母と姪だもの。侍女の話では若くして亡くなったというけれど、両親から伯母の話を聞いたことがない。存在すら知らないなんて不可解だわ。バナンなら知っていそうだけど彼は絶対に口を割らないわね。隠されると余計に気になるわ。デリカに噂でいいから姉や伯母に関する話をそれとなく探ってくれるようにお願いした。
カリーナはどこにいるのかしら。騎士団も探しているのにまだ見つからない。彼女は母の実家で侍女をしていたから伯母のことも知っているわよね。父の様子からも彼女が父を害したとは思えない。早く無事に見つかって欲しい。
それから十日が過ぎて婚姻式まで二月を切った。婚約者になってからは危険だからと外出も控えていたけれど、毒虫の件で益々それが顕著になって鬱々とした気分を感じることが増えた。早く解放されたい、そんな風に考えていたのがいけなかったのかしら……目の前の光景を他人事のように眺めながら私はそんなことを考えていた。
事が起きたのはお昼過ぎ。いつも通り夫人教育を終えると三人で昼食を摂った。その後宝石商が来ると言うのでヴォルフ様と客間に向かったわ。
この日は婚姻式に使う宝飾品の最終確認をすることになっていた。首飾りに耳飾り、指輪や髪飾りは代々ゾルガー家に伝わる物で、それを手直しして使う予定になっていた。前回使ったのはもう二十年以上前だったからかなり大掛かりな直しをすることになった。どれも見たこともない立派な物ばかりで顔が引き攣りそう。これを身に着けるなんて緊張するし式が終わるまで気が気じゃないわね。
「お嬢様、まずは着けて頂きましょう」
宝石商が箱から豪奢な耳飾りを取り出しながらそう言うと、連れてきた侍女が耳飾りを渡されて私の後ろに周った、その時だった。
「動くな」
室内の温度を下げるような低い威嚇の声が耳に届いた。何事かと声の主に視線を向けて息を呑んだ。そこにはソファに座ったまま侍女の喉元に短剣よりもずっと細い何かを突きつけるヴォルフ様がいたからだ。少しでも動けば皮膚を破りそうなほど先端が食い込み、侍女は僅かに口を開いた状態で目だけをヴォルフ様に向けていた。
「こ、侯爵様、何を……」
「この者は最近雇った者か?」
「さ、左様でございますが……」
宝石商も突然のことに目も口も開いたまま二人を見ていた。
「刺客だ」
「し、かく……?」
呆然と宝石商が呟いたのが聞こえた。侍女が口の端を上げた様に見えた瞬間、風が起きて侍女の姿が消えた。侍女は身を翻して宙を回ると壁際に降り立ったけれど、そのまま不自然な態勢で床に膝をついた。左手を添えた右腕には……さっきヴォルフ様が喉に突きつけていた細いナイフのようなものが刺さっていた。憤怒の表情を露わにした侍女は服の中から小さな何かを取り出してこちらに向かってこようとしたけれど、その体は三歩目を迎える前に床に崩れ落ちた。
「手足を縛って猿ぐつわをしてから牢に放り込んでおけ」
「は」
アベルと護衛騎士が慣れた手つきで侍女を回収して去って行ったのを私はまだ呆然と眺めていた。まるで落としたコップを片付けるように淡々と進む光景と暗殺者という聞き慣れない言葉が結び付かない。あの侍女は誰を狙ったの? どうして? いきなり倒れたのは何故?
「あれの身柄は預かる」
「……も、申し訳ございません、侯爵様。まさかあのような者を雇い入れていたとは……」
宝石商がテーブルに当たりそうなくらいに頭を下げた。気の毒なほどに顔色を青くして今にも倒れそうなほどだ。
「気にするな。あれは本物だ。一般の者は見分けらないだろう」
「……ご厚情感謝いたします」
宝石商が再び深く頭を下げたけれど話が見えないわ。説明を求めてヴォルフ様を見上げると緑の目がこちらを向いた。
「あれはプロの暗殺者だ」
「暗殺者? あれが? 普通の侍女に見えましたけれど」
「ああやって標的に近付くんだ」
その言葉にゾッとしたわ。毒虫の時も驚いたけれど屋敷の中に、それも常に警戒しているこの家の中にまで入って来たなんて。
「急に倒れましたが……」
「即効性の痺れ薬だ。あのナイフに塗ってあった」
「……痺れ薬?」
「動きを封じるため、何よりも自殺されないためだ」
死んだのかと思ったけれど生きているのね。よかったと言っていいのかわからないけれど。どうしてそんなものがあるのかしら。常に用意しているってこと?
「……あれを投げたのは?」
「俺だ」
やっぱりそうなのね。アベルや護衛騎士は壁際にいたからあの角度は無理だもの。暗殺者が現れたことよりもそっちの方が驚きなのだけど……どうしてそんなことが出来るの? そんなに簡単に刺さるものなのかしら?
床に落ちた耳飾りを回収した宝石商は傷がないことを確かめたけれど、毒を塗られた可能性があるとヴォルフ様が言ったため試着は後日になった。この前は毒虫を贈られたけれど、今度は宝飾品に毒だなんて……物語の話だと思っていたことが次々と目の前で起きていて実感が追い付いてこないわ……
「怖いか?」
「……どう、なのでしょう。まだ実感がないせいか、怖いとは……」
「そうか」
実感が湧かないせいかその時は怖いとは思わなかった。これまでも襲撃される可能性は聞いていたし、近付く者は顔見知りでも注意しろ、初めての相手は警戒しろと言われていたから。ヴォルフ様やアベルたちはあの侍女を最初から警戒していたのね。だから直ぐに動けたのだわ。
恐怖が襲ってきたのは寝静まった真夜中のことだった。風で揺れる窓枠が軋む音に突然不安が込み上げてきた。ヴォルフ様の動きがほんのわずかでも遅れていたら私は死んでいたかもしれない。はっきりとそう意識した時、これまで感じたことのなかった寒気を感じたわ。ガタガタと窓枠を揺らす音が耳に障る。意識がなくなったのは風が止んで空が白み始めたと感じた後だった。
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