72 / 332
王女の目的と結果
しおりを挟む
取り巻きがリシェル様を擁護する声が会場まで届いたのか、バルコニーの窓からは会場内の視線がこちらに向いているのが見えたわ。確かに今のヴォルフ様の態度は不敬ととられても仕方がないかもしれない。辺境に嫁ぐ前の今はまだ王族に籍を置いているのだから。
「フェルマー小伯爵、お静かに」
「で、ですがリシェル様」
「招待状も持たずに押しかけたのは私です。無礼は承知ですわ」
ゆったりと話す様は気品があってフェルマー小伯爵は不満げな表情を浮かべながらもそれ以上は何も言わなかった。
「今日はこれをイルーゼ様にお渡ししたくて参りましたの。フィリーナ様のお忘れ物ですわ」
「姉の?」
急に姉の名が出て驚く私をよそにリシェル様が取り出したのは手のひらほどの大きさの箱だった。忘れ物って何かしら。サロンで忘れていったもの? 本人は何も言っていなかったけれど……あの時は薬のせいでそれどころじゃなかったわね。
「ええ。以前サロンでお忘れになったものですわ。大切な物のようでしたので直接お渡ししたほうがいいかと思いまして」
「そうですか……ありがとうございます」
わざわざこれを届けるために王女であるリシェル様がここまで? 不思議に思いながらも蓋を開けようとしたその時。蓋を叩き落とされた。
「……え?」
何が起きたのかわからないままヴォルフ様を見上げると視線は床に向けられていた。表情が険しい。追った先には床を這う細長い生き物が見えて、次の瞬間それらはアベルの剣で貫かれた。数は……三つ……いえ、四つかしら?
「あの……」
何が起きているのか理解が追い付かない。あれは姉の忘れ物ではなかったの?
「……虫だ」
「え?」
ヴォルフ様の呟きは直ぐには頭に入ってこなかった。ドクムシって……
「触れただけでも皮膚がかぶれ、刺されると激しい痛みを伴い最悪死に至るものだ。暗殺者の中には好んで使う者もいる」
「暗殺……?」
突然降って湧いた恐怖に思考が止まった。あれは姉の忘れものじゃなかったの? それじゃ姉が私を?
「どういうことだ?」
地の底を這うようなヴォルフ様の冷たく厳しい声と視線はリシェル様に向けられていた。向けられた本人は数歩下がったところで酷く戸惑いの色を浮かべていた。
「そ、そんな……違うわ! 中に入れたのはブローチです! 虫なんて知らないわ!」
悲鳴のような声を上げる姿はリシェル様にとっても想定外だったと物語っていた。でもブローチなどどこにも見当たらない。どういうこと?
「話は後で聞く。アベル、ザーラ、王女を拘束しろ。マルガは毒虫の回収を」
「「「はっ」」」
ヴォルフ様の命令に三人は直ぐに動いた。アベルとザーラはリシェル様の腕を掴んだけれど、リシェル様は呆然としているのか抵抗しなかった。マルガは屈んで床で絶命している虫を細い何かで挟んで箱に入れ始めた。
「ランベルツ侯爵、王女を騎士に渡すまで部屋に軟禁する。部屋の用意を頼む」
「わ、わかった。直ぐに用意しよう」
ランベルツ侯爵が従えてきた使用人に話しかけるのが見えた。直ぐに使用人が二人飛び出していった。
「ヴォルフ様、違いますわ! 信じて下さい! 私が渡そうと思ったのは本当にブローチで……」
ようやく我に返ったリシェル様が焦りを露わにしてヴォルフ様に向かって無実を訴えた。その様子は嘘をついているようには見えないわ。でも毒虫を持ち込んだのはリシェル様なのよ。
「仮にそうだとしても箱に入っていたのは人を殺せる毒虫だ。しかも五匹となれば冗談で済む話ではない。今日のことは箝口令を敷くから大人しくしろ。否やというのであれば国王代行権を行使するしかなくなる」
「こ、国王代行権……」
「代行権だと?」
その言葉にリシェル様だけでなくその場にいた皆が息を呑んだ。国王代行権とは王太子殿下と五侯爵家の当主だけが持つもので、当主の判断で国王並みの力を行使出来るものだと言われているわ。それを覆せるのは国王陛下と王太子殿下、他の五侯爵家の七人の内四人が反対した場合のみ。有事でもない限り発動されるなんて滅多にないことでここ暫くは聞いたこともない。
国王代行権が作られたのは百年前の悪虐王の廃位後で、あの時はゾルガー家が中心になって王を追放し王太子を次王に据えたが、二度と王の暴走を起こさないために王の廃位も認めている。それをこんなことで使うのはさすがに大袈裟ではないかしら。
「お、横暴ですぞ、ゾルガー侯爵!!」
立っていられなくなったのかその場に崩れ落ちそうになったリシェル様を支えたのはレナーテ様だった。その隣にはフェルマー小伯爵がヴォルフ様に厳しい視線を向けていた。
「フェルマー小伯爵、控えろ!」
叱咤したのはランベルツ侯爵だった。
「ランベルツ侯爵、しかし……!」
「ゾルガー侯爵が国王代行権を行使するほどのことだと判断したのだ。その意味を理解していないのか?」
ランベルツ侯爵が厳しい口調でフェルマー小伯爵を窘めた。
「で、ですが……」
「これ以上言うなら、私も五侯爵家の当主として君を拘束せねばならない」
「その通りだね」
「……っ!」
ランベルツ侯爵に続いたのは新たに現れたのはエルマ様のお父様のベルトラム侯爵だった。誰かが国王代行権を行使した場合、陛下や王太子殿下、五侯爵の当主は自身の立場を明らかにするのが我が国の決まり。つまりランベルツ、ベルトラムの二家はヴォルフ様に付くと表明したも同じ。
「王と王太子は王女に対し、俺に近付くなと命じている」
ヴォルフ様の言葉にフェルマー小伯爵以外の取り巻きたちが短い悲鳴を上げた。それはつまり陛下も王太子殿下もヴォルフ様側にいると言うこと。これで七者中四者がヴォルフ様側になったわ。ミュンターやアルトナーが異を唱えても覆すことは難しいわね。
「リシェル様、どうかお静かに。代行権を使われれば御身は嫌疑が晴れるまで罪人扱いになります。私としてはそれは避けたい。手荒な真似をしないよう私がお守りします。ご自身の潔白を主張されるのであれば尚のこと今は大人しく従って下さい」
年長者らしい落ち着きのある声でリシェル様に声をかけたのはベルトラム侯爵だった。穏健派でリシェル様の祖母である王太后様の甥であり、国王陛下のいとこに当たられる侯爵は五侯爵当主の中でも最もリシェル様に近しい方でもある。その方に言われてはリシェル様も抵抗しなかった。ベルトラム侯爵と駆けつけたランベルツ家の騎士らと共にリシェル様が会場を後にした。
程なくして近衛騎士がやって来てリシェル様は彼らに守られながら王宮へと戻った。さすがに夜会を続ける雰囲気ではなくなってしまったため、そのままお開きになってしまった。せっかくのランベルツ侯爵の誕生を祝う夜会なのに台無しにしてしまったわ。私のせいではないにしても申し訳ない気持ちになった。
「イルーゼのせいではない。気にするな」
「はい……」
そうは言われても気になってしまうわ。馬車の中はヴォルフ様と二人きりでヴォルフ様も目を閉じて黙り込んでしまわれた。馬車の外の夜闇を眺めながら、あったことを整理してみた。
リシェル様の様子では何も知らなかったように見えた。演技をしているとは思えなかったし、わざわざ人目の多い夜会で自分が不利になるような騒ぎを起こすとは思えない。そこまで愚かな人ではない筈よ。
だったらブローチが入った箱を誰かが毒虫を入れたそれと入れ替えたってことになるわ。そうなると標的は私よね。虫の数が多かったのは確実に殺すためか、周りの人を巻き添えにするためだったのか。ヴォルフ様は暗殺者がよく使うと仰っていたから、仕掛けたのはその道の人ってこと? だったらこれが最後とは限らないわね。
それとも……これはあまり可能性が高くないけれど、犯人の狙いはリシェル様を陥れること、もないとは言い切れないわよね。それなら夜会で騒ぎを起こすのも納得だもの。人の目が多ければ多いほどいいわね。
犯人の狙いは私なのかリシェル様なのか……もしかして両方もありかしら? わからないわ……
「心配するな。お前の守りは固めてある」
黙り込んでしまったのはショックを受けているせいだと思われたのかしら。確かにショックだったけれどまだ実感がないのか恐怖は感じていない。今感じているのは何もわからないのが一番恐ろしいということだった。
「フェルマー小伯爵、お静かに」
「で、ですがリシェル様」
「招待状も持たずに押しかけたのは私です。無礼は承知ですわ」
ゆったりと話す様は気品があってフェルマー小伯爵は不満げな表情を浮かべながらもそれ以上は何も言わなかった。
「今日はこれをイルーゼ様にお渡ししたくて参りましたの。フィリーナ様のお忘れ物ですわ」
「姉の?」
急に姉の名が出て驚く私をよそにリシェル様が取り出したのは手のひらほどの大きさの箱だった。忘れ物って何かしら。サロンで忘れていったもの? 本人は何も言っていなかったけれど……あの時は薬のせいでそれどころじゃなかったわね。
「ええ。以前サロンでお忘れになったものですわ。大切な物のようでしたので直接お渡ししたほうがいいかと思いまして」
「そうですか……ありがとうございます」
わざわざこれを届けるために王女であるリシェル様がここまで? 不思議に思いながらも蓋を開けようとしたその時。蓋を叩き落とされた。
「……え?」
何が起きたのかわからないままヴォルフ様を見上げると視線は床に向けられていた。表情が険しい。追った先には床を這う細長い生き物が見えて、次の瞬間それらはアベルの剣で貫かれた。数は……三つ……いえ、四つかしら?
「あの……」
何が起きているのか理解が追い付かない。あれは姉の忘れ物ではなかったの?
「……虫だ」
「え?」
ヴォルフ様の呟きは直ぐには頭に入ってこなかった。ドクムシって……
「触れただけでも皮膚がかぶれ、刺されると激しい痛みを伴い最悪死に至るものだ。暗殺者の中には好んで使う者もいる」
「暗殺……?」
突然降って湧いた恐怖に思考が止まった。あれは姉の忘れものじゃなかったの? それじゃ姉が私を?
「どういうことだ?」
地の底を這うようなヴォルフ様の冷たく厳しい声と視線はリシェル様に向けられていた。向けられた本人は数歩下がったところで酷く戸惑いの色を浮かべていた。
「そ、そんな……違うわ! 中に入れたのはブローチです! 虫なんて知らないわ!」
悲鳴のような声を上げる姿はリシェル様にとっても想定外だったと物語っていた。でもブローチなどどこにも見当たらない。どういうこと?
「話は後で聞く。アベル、ザーラ、王女を拘束しろ。マルガは毒虫の回収を」
「「「はっ」」」
ヴォルフ様の命令に三人は直ぐに動いた。アベルとザーラはリシェル様の腕を掴んだけれど、リシェル様は呆然としているのか抵抗しなかった。マルガは屈んで床で絶命している虫を細い何かで挟んで箱に入れ始めた。
「ランベルツ侯爵、王女を騎士に渡すまで部屋に軟禁する。部屋の用意を頼む」
「わ、わかった。直ぐに用意しよう」
ランベルツ侯爵が従えてきた使用人に話しかけるのが見えた。直ぐに使用人が二人飛び出していった。
「ヴォルフ様、違いますわ! 信じて下さい! 私が渡そうと思ったのは本当にブローチで……」
ようやく我に返ったリシェル様が焦りを露わにしてヴォルフ様に向かって無実を訴えた。その様子は嘘をついているようには見えないわ。でも毒虫を持ち込んだのはリシェル様なのよ。
「仮にそうだとしても箱に入っていたのは人を殺せる毒虫だ。しかも五匹となれば冗談で済む話ではない。今日のことは箝口令を敷くから大人しくしろ。否やというのであれば国王代行権を行使するしかなくなる」
「こ、国王代行権……」
「代行権だと?」
その言葉にリシェル様だけでなくその場にいた皆が息を呑んだ。国王代行権とは王太子殿下と五侯爵家の当主だけが持つもので、当主の判断で国王並みの力を行使出来るものだと言われているわ。それを覆せるのは国王陛下と王太子殿下、他の五侯爵家の七人の内四人が反対した場合のみ。有事でもない限り発動されるなんて滅多にないことでここ暫くは聞いたこともない。
国王代行権が作られたのは百年前の悪虐王の廃位後で、あの時はゾルガー家が中心になって王を追放し王太子を次王に据えたが、二度と王の暴走を起こさないために王の廃位も認めている。それをこんなことで使うのはさすがに大袈裟ではないかしら。
「お、横暴ですぞ、ゾルガー侯爵!!」
立っていられなくなったのかその場に崩れ落ちそうになったリシェル様を支えたのはレナーテ様だった。その隣にはフェルマー小伯爵がヴォルフ様に厳しい視線を向けていた。
「フェルマー小伯爵、控えろ!」
叱咤したのはランベルツ侯爵だった。
「ランベルツ侯爵、しかし……!」
「ゾルガー侯爵が国王代行権を行使するほどのことだと判断したのだ。その意味を理解していないのか?」
ランベルツ侯爵が厳しい口調でフェルマー小伯爵を窘めた。
「で、ですが……」
「これ以上言うなら、私も五侯爵家の当主として君を拘束せねばならない」
「その通りだね」
「……っ!」
ランベルツ侯爵に続いたのは新たに現れたのはエルマ様のお父様のベルトラム侯爵だった。誰かが国王代行権を行使した場合、陛下や王太子殿下、五侯爵の当主は自身の立場を明らかにするのが我が国の決まり。つまりランベルツ、ベルトラムの二家はヴォルフ様に付くと表明したも同じ。
「王と王太子は王女に対し、俺に近付くなと命じている」
ヴォルフ様の言葉にフェルマー小伯爵以外の取り巻きたちが短い悲鳴を上げた。それはつまり陛下も王太子殿下もヴォルフ様側にいると言うこと。これで七者中四者がヴォルフ様側になったわ。ミュンターやアルトナーが異を唱えても覆すことは難しいわね。
「リシェル様、どうかお静かに。代行権を使われれば御身は嫌疑が晴れるまで罪人扱いになります。私としてはそれは避けたい。手荒な真似をしないよう私がお守りします。ご自身の潔白を主張されるのであれば尚のこと今は大人しく従って下さい」
年長者らしい落ち着きのある声でリシェル様に声をかけたのはベルトラム侯爵だった。穏健派でリシェル様の祖母である王太后様の甥であり、国王陛下のいとこに当たられる侯爵は五侯爵当主の中でも最もリシェル様に近しい方でもある。その方に言われてはリシェル様も抵抗しなかった。ベルトラム侯爵と駆けつけたランベルツ家の騎士らと共にリシェル様が会場を後にした。
程なくして近衛騎士がやって来てリシェル様は彼らに守られながら王宮へと戻った。さすがに夜会を続ける雰囲気ではなくなってしまったため、そのままお開きになってしまった。せっかくのランベルツ侯爵の誕生を祝う夜会なのに台無しにしてしまったわ。私のせいではないにしても申し訳ない気持ちになった。
「イルーゼのせいではない。気にするな」
「はい……」
そうは言われても気になってしまうわ。馬車の中はヴォルフ様と二人きりでヴォルフ様も目を閉じて黙り込んでしまわれた。馬車の外の夜闇を眺めながら、あったことを整理してみた。
リシェル様の様子では何も知らなかったように見えた。演技をしているとは思えなかったし、わざわざ人目の多い夜会で自分が不利になるような騒ぎを起こすとは思えない。そこまで愚かな人ではない筈よ。
だったらブローチが入った箱を誰かが毒虫を入れたそれと入れ替えたってことになるわ。そうなると標的は私よね。虫の数が多かったのは確実に殺すためか、周りの人を巻き添えにするためだったのか。ヴォルフ様は暗殺者がよく使うと仰っていたから、仕掛けたのはその道の人ってこと? だったらこれが最後とは限らないわね。
それとも……これはあまり可能性が高くないけれど、犯人の狙いはリシェル様を陥れること、もないとは言い切れないわよね。それなら夜会で騒ぎを起こすのも納得だもの。人の目が多ければ多いほどいいわね。
犯人の狙いは私なのかリシェル様なのか……もしかして両方もありかしら? わからないわ……
「心配するな。お前の守りは固めてある」
黙り込んでしまったのはショックを受けているせいだと思われたのかしら。確かにショックだったけれどまだ実感がないのか恐怖は感じていない。今感じているのは何もわからないのが一番恐ろしいということだった。
5,686
読んで下さってありがとうございます。
感想・お気に入り登録・エールも励みになります。
また誤字脱字を報告して下さる皆様に感謝申し上げます。
感想・お気に入り登録・エールも励みになります。
また誤字脱字を報告して下さる皆様に感謝申し上げます。
お気に入りに追加
10,504
あなたにおすすめの小説

純白の牢獄
ゆる
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

【完結】領主の妻になりました
青波鳩子
恋愛
「私が君を愛することは無い」
司祭しかいない小さな教会で、夫になったばかりのクライブにフォスティーヌはそう告げられた。
===============================================
オルティス王の側室を母に持つ第三王子クライブと、バーネット侯爵家フォスティーヌは婚約していた。
挙式を半年後に控えたある日、王宮にて事件が勃発した。
クライブの異母兄である王太子ジェイラスが、国王陛下とクライブの実母である側室を暗殺。
新たに王の座に就いたジェイラスは、異母弟である第二王子マーヴィンを公金横領の疑いで捕縛、第三王子クライブにオールブライト辺境領を治める沙汰を下した。
マーヴィンの婚約者だったブリジットは共犯の疑いがあったが確たる証拠が見つからない。
ブリジットが王都にいてはマーヴィンの子飼いと接触、画策の恐れから、ジェイラスはクライブにオールブライト領でブリジットの隔離監視を命じる。
捜査中に大怪我を負い、生涯歩けなくなったブリジットをクライブは密かに想っていた。
長兄からの「ブリジットの隔離監視」を都合よく解釈したクライブは、オールブライト辺境伯の館のうち豪華な別邸でブリジットを囲った。
新王である長兄の命令に逆らえずフォスティーヌと結婚したクライブは、本邸にフォスティーヌを置き、自分はブリジットと別邸で暮らした。
フォスティーヌに「別邸には近づくことを許可しない」と告げて。
フォスティーヌは「お飾りの領主の妻」としてオールブライトで生きていく。
ブリジットの大きな嘘をクライブが知り、そこからクライブとフォスティーヌの関係性が変わり始める。
========================================
*荒唐無稽の世界観の中、ふんわりと書いていますのでふんわりとお読みください
*約10万字で最終話を含めて全29話です
*他のサイトでも公開します
*10月16日より、1日2話ずつ、7時と19時にアップします
*誤字、脱字、衍字、誤用、素早く脳内変換してお読みいただけるとありがたいです

【完結】私の嘘に気付かず勝ち誇る、可哀想な令嬢
横居花琉
恋愛
ブリトニーはナディアに張り合ってきた。
このままでは婚約者を作ろうとしても面倒なことになると考えたナディアは一つだけ誤解させるようなことをブリトニーに伝えた。
その結果、ブリトニーは勝ち誇るようにナディアの気になっていた人との婚約が決まったことを伝えた。
その相手はナディアが好きでもない、どうでもいい相手だった。

殿下、それは私の妹です~間違えたと言われても困ります~
由良
恋愛
「じゃあ、右で」
その一言で、オリヴィアは第一王子アルベルトの婚約者に決まった。
おざなりな決め方とは裏腹に、アルベルトはよき婚約者として振舞っていた。
彼女の双子の妹とベッドを共にしているのを目撃されるまでは。


幼なじみで私の友達だと主張してお茶会やパーティーに紛れ込む令嬢に困っていたら、他にも私を利用する気満々な方々がいたようです
珠宮さくら
恋愛
アンリエット・ノアイユは、母親同士が仲良くしていたからという理由で、初めて会った時に友達であり、幼なじみだと言い張るようになったただの顔なじみの侯爵令嬢に困り果てていた。
だが、そんな令嬢だけでなく、アンリエットの周りには厄介な人が他にもいたようで……。

【完結】美しい人。
❄️冬は つとめて
恋愛
「あなたが、ウイリアム兄様の婚約者? 」
「わたくし、カミーユと言いますの。ねえ、あなたがウイリアム兄様の婚約者で、間違いないかしら。」
「ねえ、返事は。」
「はい。私、ウイリアム様と婚約しています ナンシー。ナンシー・ヘルシンキ伯爵令嬢です。」
彼女の前に現れたのは、とても美しい人でした。
【完結】不貞された私を責めるこの国はおかしい
春風由実
恋愛
婚約者が不貞をしたあげく、婚約破棄だと言ってきた。
そんな私がどうして議会に呼び出され糾弾される側なのでしょうか?
婚約者が不貞をしたのは私のせいで、
婚約破棄を命じられたのも私のせいですって?
うふふ。面白いことを仰いますわね。
※最終話まで毎日一話更新予定です。→3/27完結しました。
※カクヨムにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる