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ダンス
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「まさか乗り込んでこられるとはね」
エルマ様が扇で口元を隠しながら呟いた。王族が招待状もなく夜会に飛び入りしたなんて聞いたことがないわ。ゾルガー家やベルトラム家だったらそのままお帰り頂いたかもしれない。ランベルツ侯爵はヴォルフ様と一緒に控室だろうし、どうなさるかしらね。
「イルーゼ嬢、一人になりませんように」
「ありがとうございます、エルマ様。フレディ様も。でも、私やヴォルフ様に用があるとは限りませんわ」
「そうでしたわね。では放っておきましょう」
表情が険しくなったお二人を宥めるようにそう言ったら、エルマ様が笑みを浮かべてリシェル様から視線を外した。実際何が目的でやって来たかなんてわからないもの。お茶会への招待も既にお断りして終わった話だし。取り巻きらしい夫人たちが彼女を囲うように集まってきたわ。その夫らしい方々も熱心に話しかけている。
「あら、ランベルツ侯爵よ」
エルマ様の視線の先にはリシェル様の元に向かうランベルツ侯爵が見えた。ヴォルフ様との話の最中にリシェル様が来たと聞いて慌てて出てきたのかしら。ということはヴォルフ様の耳にも届いているわね。だったらそのうち戻ってこられるわ。そんなことを思っていたら音楽が始まった。このままここにいても仕方がないし、ダンスをしていれば声をかけて来れないわよね。
「フレディ様、いかがですか?」
「叔父上を差し置いてはさすがに……」
「でも、踊っている間は誰も話しかけて来れませんわ」
「そうですわフレディ様。私たちも参りましょう」
エルマ様に声をかけられてフレディ様は戸惑いを残しながらも頷いた。この状態でリシェル様に話しかけられても面倒だと思ったのでしょうね。ヴォルフ様もそのうち戻られるでしょうからそれまでの時間稼ぎにもなるわ。
「……では」
差し出された手に自分のそれを重ねて会場の中心に向かった。エルマ様たちの更に前にはご両親のベルトラム侯爵夫妻の姿も見えた。ドレスの裾が狭いせいか少し歩き難いわね。誘ったのは私だけど足を踏んだりしないかしら……ちょっと早まったかもしれないと思ったけれど今更どうしようもないわね。
「人前で踊るのは初めてでしたわね」
「そういえば、そうだな」
ゾルガー邸で練習相手を何度もして頂いたけれど、こうして公の場で踊るのは初めてだった。今日は足を踏まなければいいのだけど……私も少しは上達したから大丈夫なはずだけどドレスが不安要素ね。
踊りながら周囲を伺うと、ミュンター侯爵夫妻とアルビーナ様、そのお兄様の姿も見えたわ。彼女はお兄様と参加されていたのね。ロミルダ様は婚約者のブレッケル公爵様と参加かしら? でも未成年だからもう帰られた後かもしれないわね。
「リシェル様はまだ叔父上を?」
「どうなのでしょう。ヴォルフ様ははっきり断ったと仰っていましたけれど……」
「でしょうね。リシェル様とでは子を成せませんから」
「え?」
子を成せないって……そんなにはっきり言いきれるものかしら? そりゃあリシェル様はお子を得られなかったけれど。だからといってそんな言い方は……
「フレディ様、それは……」
「ああ、叔父上が戻ってこられましたね。先に踊ったから叔父上が気を悪くされていなければいいのですが……」
音楽が終わった上に話が変わってしまって感じていた疑問も霧散してしまったわ。手を引かれて向かった先にはヴォルフ様がいて真っ直ぐこちらに向かっていた。
「叔父上、申し訳ございません。先に踊ってしまいました」
「構わん。手間をかけたな」
「これくらいお安い御用です」
お礼を言われたフレディ様が表情を一層柔らかくした。相変わらずフレディ様はヴォルフ様が大好きなのね。懐く様子はまるで飼い主と大型犬……いえ、父子のようかしら? どっちにしても微笑ましいわ。
「イルーゼ、行くぞ」
「え?」
返事をする間もなく手を引かれてダンスの輪に連れて来られた。次の曲が流れ出したってことは踊るのよね。せっかく来たのだもの、このまま身を任せることにした。
「…ヴォルフ様、リシェル様が……」
「ああ。招待状も持たずに来るとはな」
ヴォルフ様は呆れを隠さなかった。音楽は軽やかなのに心は真逆の方に向かうわ。やっぱりヴォルフ様に会いに来られたのかしら?
「側を離れるな。あれの周りにいる者の顔は出来るだけ覚えて気を許すな。奴らの身内や親しくしている者もだ」
「は、はい」
それってつまり私の敵ってことよね? ゾルガー家に嫁ぐということは敵が増えることだと夫人教育でも言われたけれど、こうしてその人たちを目の当たりにすると不安になって来るわ。人の悪意には両親たちのお陰で慣れたけれどあの時は嘲笑されるだけで済んだ。でも、これからはそれだけでは済まないのよね。
「お前は俺が守る。だから守られていろ。勝手に動くな。動きたいなら事前に言え」
「わ、わかりました」
守ると言われてときめきそうになったけれど、その後の言葉に引っかかったわ。否を言わせない口調に思わず頷いてしまったけれど、勝手に動いてなんかいないわよ。動く前にヴォルフ様がやってしまうもの。
音楽はあっという間に終わってしまったわ。もう終わるのかと思ったらそのまま次の曲に移り、結局三曲続けて踊ってしまった。これは夫婦や婚約者にしか許されない回数だから明らかに周囲への牽制よね。三曲目に入ると周りがこちらを見て何やら囁いているのが見えたもの。ヴォルフ様の態度に驚いているのかしら? でも一番驚いているのは私だと思うわ。
さすがに四曲目にはいかなかったわ。ヴォルフ様は身体が大きいせいか踊っていても安定感があって踊りやすかったから楽しめたわ。ハリマン様で付いた変な癖が直ったのもあるかしら。ドレスもターンする度に裾が揺れて何だか不思議な感じだけど踊る邪魔にはならなかったわ。それでもさすがに四曲続けてとなると喉が渇いたわね。
「喉が渇いただろう? 少し休むか」
「ええ」
気付いて貰えて嬉しいわ。比べるのは失礼かもしれないけれどハリマン様はご自分のことばかりで私を気遣うことはなかったもの。向かった先にはフレディ様がいて、共にバルコニーに向かった。椅子が幾つか用意されていてその一つに座らされた。マルガが飲み物を乗せたトレイを持って近付いてきた。準備してくれていたのね、有難いわ。
「美味しい……」
冷たい果実水が喉の渇きを癒してくれたわ。ずっと人の目を感じていたから誰もいないこの空間が心地いい。踊りにくいかと思ったけれどそれほどではなかったし、慣れてしまえばあまり気にならないわね。このドレスが流行ればスタイルの良さで勝負するしかないけれど、私顔はともかくスタイルはいい方だもの。
姉が社交界から離れたのは姉にとってもよかったのかもしれないわ。あの体型ではこんなドレスは着れないもの。背が低くてもアルビーナ様のように胸が大きければ問題ないのだけど。
「……叔父上」
フレディ様が小声でヴォルフ様を呼んだ。一瞬向けた視線の先はバルコニーの入り口で、そこには取り巻きを従えたリシェル様がこちらに向かっているのが見えた。その中にはレナーテ様の姿もあるわね。手を引いているのはフェルマー小伯爵かしら?
「ヴォルフ様、ごきげんよう」
「何用だ?」
艶やかな呼びかけに対して答えた声は低く素っ気ないものだった。そんなヴォルフ様の態度に取り巻きたちの中にはムッとした表情を浮かべた方もいたけれど……迂闊ね。ヴォルフ様やフレディ様にも見られているのに。
「用がなければ話しかけてはいけませんの?」
悲し気に眉を下げた姿は可憐で私には真似出来ないものだった。男性はそんな表情に弱いのよね。姉が使う常套手段だったもの。
「そうだな。俺は用がない」
切り捨てるような物言いは不敬と言われても仕方ないものだった。
「ゾルガー侯爵! 不敬ですぞ!」
レナーテ様の隣にいる男性が大きな声を上げ、周りにいる者が賛同するように頷くのが見えた。
エルマ様が扇で口元を隠しながら呟いた。王族が招待状もなく夜会に飛び入りしたなんて聞いたことがないわ。ゾルガー家やベルトラム家だったらそのままお帰り頂いたかもしれない。ランベルツ侯爵はヴォルフ様と一緒に控室だろうし、どうなさるかしらね。
「イルーゼ嬢、一人になりませんように」
「ありがとうございます、エルマ様。フレディ様も。でも、私やヴォルフ様に用があるとは限りませんわ」
「そうでしたわね。では放っておきましょう」
表情が険しくなったお二人を宥めるようにそう言ったら、エルマ様が笑みを浮かべてリシェル様から視線を外した。実際何が目的でやって来たかなんてわからないもの。お茶会への招待も既にお断りして終わった話だし。取り巻きらしい夫人たちが彼女を囲うように集まってきたわ。その夫らしい方々も熱心に話しかけている。
「あら、ランベルツ侯爵よ」
エルマ様の視線の先にはリシェル様の元に向かうランベルツ侯爵が見えた。ヴォルフ様との話の最中にリシェル様が来たと聞いて慌てて出てきたのかしら。ということはヴォルフ様の耳にも届いているわね。だったらそのうち戻ってこられるわ。そんなことを思っていたら音楽が始まった。このままここにいても仕方がないし、ダンスをしていれば声をかけて来れないわよね。
「フレディ様、いかがですか?」
「叔父上を差し置いてはさすがに……」
「でも、踊っている間は誰も話しかけて来れませんわ」
「そうですわフレディ様。私たちも参りましょう」
エルマ様に声をかけられてフレディ様は戸惑いを残しながらも頷いた。この状態でリシェル様に話しかけられても面倒だと思ったのでしょうね。ヴォルフ様もそのうち戻られるでしょうからそれまでの時間稼ぎにもなるわ。
「……では」
差し出された手に自分のそれを重ねて会場の中心に向かった。エルマ様たちの更に前にはご両親のベルトラム侯爵夫妻の姿も見えた。ドレスの裾が狭いせいか少し歩き難いわね。誘ったのは私だけど足を踏んだりしないかしら……ちょっと早まったかもしれないと思ったけれど今更どうしようもないわね。
「人前で踊るのは初めてでしたわね」
「そういえば、そうだな」
ゾルガー邸で練習相手を何度もして頂いたけれど、こうして公の場で踊るのは初めてだった。今日は足を踏まなければいいのだけど……私も少しは上達したから大丈夫なはずだけどドレスが不安要素ね。
踊りながら周囲を伺うと、ミュンター侯爵夫妻とアルビーナ様、そのお兄様の姿も見えたわ。彼女はお兄様と参加されていたのね。ロミルダ様は婚約者のブレッケル公爵様と参加かしら? でも未成年だからもう帰られた後かもしれないわね。
「リシェル様はまだ叔父上を?」
「どうなのでしょう。ヴォルフ様ははっきり断ったと仰っていましたけれど……」
「でしょうね。リシェル様とでは子を成せませんから」
「え?」
子を成せないって……そんなにはっきり言いきれるものかしら? そりゃあリシェル様はお子を得られなかったけれど。だからといってそんな言い方は……
「フレディ様、それは……」
「ああ、叔父上が戻ってこられましたね。先に踊ったから叔父上が気を悪くされていなければいいのですが……」
音楽が終わった上に話が変わってしまって感じていた疑問も霧散してしまったわ。手を引かれて向かった先にはヴォルフ様がいて真っ直ぐこちらに向かっていた。
「叔父上、申し訳ございません。先に踊ってしまいました」
「構わん。手間をかけたな」
「これくらいお安い御用です」
お礼を言われたフレディ様が表情を一層柔らかくした。相変わらずフレディ様はヴォルフ様が大好きなのね。懐く様子はまるで飼い主と大型犬……いえ、父子のようかしら? どっちにしても微笑ましいわ。
「イルーゼ、行くぞ」
「え?」
返事をする間もなく手を引かれてダンスの輪に連れて来られた。次の曲が流れ出したってことは踊るのよね。せっかく来たのだもの、このまま身を任せることにした。
「…ヴォルフ様、リシェル様が……」
「ああ。招待状も持たずに来るとはな」
ヴォルフ様は呆れを隠さなかった。音楽は軽やかなのに心は真逆の方に向かうわ。やっぱりヴォルフ様に会いに来られたのかしら?
「側を離れるな。あれの周りにいる者の顔は出来るだけ覚えて気を許すな。奴らの身内や親しくしている者もだ」
「は、はい」
それってつまり私の敵ってことよね? ゾルガー家に嫁ぐということは敵が増えることだと夫人教育でも言われたけれど、こうしてその人たちを目の当たりにすると不安になって来るわ。人の悪意には両親たちのお陰で慣れたけれどあの時は嘲笑されるだけで済んだ。でも、これからはそれだけでは済まないのよね。
「お前は俺が守る。だから守られていろ。勝手に動くな。動きたいなら事前に言え」
「わ、わかりました」
守ると言われてときめきそうになったけれど、その後の言葉に引っかかったわ。否を言わせない口調に思わず頷いてしまったけれど、勝手に動いてなんかいないわよ。動く前にヴォルフ様がやってしまうもの。
音楽はあっという間に終わってしまったわ。もう終わるのかと思ったらそのまま次の曲に移り、結局三曲続けて踊ってしまった。これは夫婦や婚約者にしか許されない回数だから明らかに周囲への牽制よね。三曲目に入ると周りがこちらを見て何やら囁いているのが見えたもの。ヴォルフ様の態度に驚いているのかしら? でも一番驚いているのは私だと思うわ。
さすがに四曲目にはいかなかったわ。ヴォルフ様は身体が大きいせいか踊っていても安定感があって踊りやすかったから楽しめたわ。ハリマン様で付いた変な癖が直ったのもあるかしら。ドレスもターンする度に裾が揺れて何だか不思議な感じだけど踊る邪魔にはならなかったわ。それでもさすがに四曲続けてとなると喉が渇いたわね。
「喉が渇いただろう? 少し休むか」
「ええ」
気付いて貰えて嬉しいわ。比べるのは失礼かもしれないけれどハリマン様はご自分のことばかりで私を気遣うことはなかったもの。向かった先にはフレディ様がいて、共にバルコニーに向かった。椅子が幾つか用意されていてその一つに座らされた。マルガが飲み物を乗せたトレイを持って近付いてきた。準備してくれていたのね、有難いわ。
「美味しい……」
冷たい果実水が喉の渇きを癒してくれたわ。ずっと人の目を感じていたから誰もいないこの空間が心地いい。踊りにくいかと思ったけれどそれほどではなかったし、慣れてしまえばあまり気にならないわね。このドレスが流行ればスタイルの良さで勝負するしかないけれど、私顔はともかくスタイルはいい方だもの。
姉が社交界から離れたのは姉にとってもよかったのかもしれないわ。あの体型ではこんなドレスは着れないもの。背が低くてもアルビーナ様のように胸が大きければ問題ないのだけど。
「……叔父上」
フレディ様が小声でヴォルフ様を呼んだ。一瞬向けた視線の先はバルコニーの入り口で、そこには取り巻きを従えたリシェル様がこちらに向かっているのが見えた。その中にはレナーテ様の姿もあるわね。手を引いているのはフェルマー小伯爵かしら?
「ヴォルフ様、ごきげんよう」
「何用だ?」
艶やかな呼びかけに対して答えた声は低く素っ気ないものだった。そんなヴォルフ様の態度に取り巻きたちの中にはムッとした表情を浮かべた方もいたけれど……迂闊ね。ヴォルフ様やフレディ様にも見られているのに。
「用がなければ話しかけてはいけませんの?」
悲し気に眉を下げた姿は可憐で私には真似出来ないものだった。男性はそんな表情に弱いのよね。姉が使う常套手段だったもの。
「そうだな。俺は用がない」
切り捨てるような物言いは不敬と言われても仕方ないものだった。
「ゾルガー侯爵! 不敬ですぞ!」
レナーテ様の隣にいる男性が大きな声を上げ、周りにいる者が賛同するように頷くのが見えた。
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読んで下さってありがとうございます。
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また誤字脱字を報告して下さる皆様に感謝申し上げます。
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