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初めての外出
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リシェル様が私を狙っていると聞いてから五日が経った。ゾルガー邸へ通うのも気を遣う毎日になったわ。移動は明るい時間帯だし街中で襲ってくることはないと思うけれど、狙われている事実は気を重くさせる。姉が領地に向かったのは幸いだったわね。家の中に間者がいるようなものだったから。
屋敷に着くと出迎えてくれたブレンにヴォルフ様への目通りをお願いした。今日は相談したいことがあったから。夫人教育の部屋に着くと侍女のスージーと入れ替わるようにブレンが席を外した。ヴォルフ様のところに行ってくれたかしら。いつ呼ばれるかと気になったけれど、昼食の時になるとブレンが教えてくれた。お忙しそうだから仕方がないわ。
「何かあったか?」
いつもよりも少し遅れた昼食はヴォルフ様の忙しさの表れかしら。フレディ様は友人に会いに行っているとかで今日は二人だった。食事が始まると直ぐに尋ねてくれたので一通の手紙をティオに渡した。ティオから手紙を受け取ったヴォルフ様が目を通した。
「リシェル様からお茶会の招待状が届きました」
昨日夫人教育を終えて帰った私を待っていたのは王宮の庭で行われるお茶会の招待状だった。姉のこともあるし、ヴォルフ様とのことで敵対しているも同然の私を誘うなんて何かあると思うのは仕方がないわよね。ヴォルフ様からは気を付けるようにと言われたばかりだもの。
でも、王族からの招待は断れない。私は王宮には殆ど行ったことがないし、王族の茶会も出たことがないのよ。どうすべきか、注意するところは何かを知っておきたかった。
「分かった。俺から断っておく」
思いもしなかった返事に思わず息を呑んだ。王家の誘いなのに断れるの?
「……よろしいのですか?」
「ああ。二度と誘わないよう釘も刺しておく」
断っていいものなの? ヴォルフ様に不都合なことにならないかしら。いずれ辺境に嫁ぐとはいえまだ王族に籍がある方よ。
「大丈夫だ。王も王太子も俺の味方だ。不敬だと言われることもない」
「そ、そうですか」
陛下や王太子殿下がリシェル様よりもヴォルフ様をとると? ちょっと信じられないけれどヴォルフ様がそう仰るのなら大丈夫なのよね?
「王女のことは気にしなくていい。王も王太子も俺がやることに文句は言わない。お前が俺の妻になるのは決定事項だし代える気もない」
はっきりそう言われて心がすっと軽くなったわ。招待状を目にした時から気が重くて仕方がなかったもの。王宮で毒を盛られたりはしないと思うけれど、参加すれば孤立するのは目に見えているし取り巻きから何を言わるかと想像するだけで食欲が落ちたもの。でもヴォルフ様が行かなくていいと仰るならそれに従うわ。
「午後から出かけるぞ」
「え?」
「王太子に観劇の招待を受けた」
「ええっ?」
王太子殿下から? どういうこと? ヴォルフ様と観劇って……
「詫びだそうだ。有難く受け取っておけ」
「は、はい」
いえ、そもそも王太子殿下からのご招待を断れるわけもないのですけれど……それに詫びってどういうこと? 姉のこと、なのかしら……?
その後は侍女に着替えさせられて気が付けばヴォルフ様と王立劇場に来ていた。確か今は大人気の歌劇を上演中だったわよね。上位貴族でも席が取れないと話題になっているのは聞いていたけれど……
ヴォルフ様にエスコートされて中に入ると既に多くの観客が揃っていたけれど、こちらを見た人たちの目が驚きに見開かれるのが見て取れた。でも、気持ちはわかるわ。私だって劇場でヴォルフ様を見つけたら同じ行動をしたと思うもの。ヴォルフ様、実は劇を好まれるのかしら?
「ヴォルフ様はよくこちらに?」
「いや、滅多に来ない。たまに王太子に呼ばれてくるくらいだ」
それって殆ど興味がないってことよね。それでも私のために一緒に来て下さったってこと?
「ど、どうして……」
思わず疑問が口から出てしまったわ。周りが騒がしいし、声も小さかったからヴォルフ様には聞こえてないわよね?
「少しは婚約者らしいことをしろと言われた」
しっかり聞こえていたわ! ヴォルフ様耳が良すぎじゃないかしら。じゃなくて……こ、婚約者らしいことをって……ええっ? それってもしかして王太子殿下が?
「俺には気遣いというものが足らな過ぎるらしい。たまには共に出かけろと言われた」
「そ、そうですか……」
王太子殿下のお膳立てだったのね。ヴォルフ様が自ら思い立って……は私も考えられなかったから納得よ。それでもお忙しいのに私のために時間を割いて下さったのは嬉しいわね。義務でも寄り添おうという意識を持つのはとても大事だと思うの。
案内されて向かった先は……まさかの貴賓席、しかも王族が使う席だった。
「……ヴォルフ様、ここって……」
「今日は王族の観覧はないから問題ない」
問題ないって……いいのかしら? 恐れ多くて腰を下ろせそうにないのだけど……躊躇していたらさっさと手を引かれて隣に座らされてしまったわ。ヴォルフ様と劇を鑑賞出来るなんて思いもしなかったわ。いやだわ、嬉しくて顔がにやけてしまいそう……
劇の内容も俳優も素晴らしかったけれど、貴賓席での待遇も素晴らしかったわ。専用の給仕が付いて飲み物や軽食が付くのも贅沢ね。勿論普段も給仕はつくけれどここまでではないから特別感を味わえたわ。
「とっても素敵な劇でしたわ」
終演後の感動がまだ冷めやらない私はすっかり劇に魅入られていた。ヴォルフ様は黙って劇を見ていらっしゃったけれど、どうお感じになったのかしら?
「ヴォルフ様はいかがでしたか?」
「……よくわからないな。どうして主人公はあんなまどろっこしいことをしたんだ?」
え? 返ってきた答えは想定外のものだったわ。今回の劇は主人公の歌姫が愛する子爵令息のために潔く身を引くところから始まる。平民の主人公が身分差を気に病んでのことだけど、令息は彼女のために知り合いの男爵家に養女として迎え入れるように手配していたのだ。その後紆余曲折があったけれど最終的に二人は結ばれるという恋愛物。主人公は最初に令息に冷たくしてわざと振られるようなことをするのだけど……そのことを指しているのかしら?
「回りくどいことをせず好意を示しておけば済んだ話だ。二人で協力すればどうにでも出来ただろう。既に男はその手はずを整えていた。なのにどうして一方的な思い込みで動くんだ?」
本気でお悩みだったわ。確かに仰る通りだけど、そうなのだけど……
「ヴォ、ヴォルフ様、そうしないと物語になりませんから」
「そういうものか?」
「え、ええ。何でも理詰めで考えては物語が成立しなくなってしまうかと。ままならない過程を楽しむのも物語の醍醐味といいますか……」
多分そうだと思うのよね。私もまどろっこしいとは思うけれど、お互いに思い合うからこそのすれ違いなのだし……
「なるほど」
納得されたのかわからないけれど、今の説明でわかって下さった、と思っていいのかしら? そういえばヴォルフ様、ご自身のこと感情が欠落していると仰っていたわね。これはその一端ということかしら。もしかして今日はヴォルフ様なりにご自身を変えようとなさっているのかしら?
その後は予約してあるというカフェに行ってお茶とケーキを頂いたのだけど、このお店でもヴォルフ様は酷く目立っていたわ。このお店って王都でも今一番流行りの店で中々予約が取れないと言われているわよ。もしかしてこの店も王太子殿下のお勧めだったのかしら?
屋敷に着くと出迎えてくれたブレンにヴォルフ様への目通りをお願いした。今日は相談したいことがあったから。夫人教育の部屋に着くと侍女のスージーと入れ替わるようにブレンが席を外した。ヴォルフ様のところに行ってくれたかしら。いつ呼ばれるかと気になったけれど、昼食の時になるとブレンが教えてくれた。お忙しそうだから仕方がないわ。
「何かあったか?」
いつもよりも少し遅れた昼食はヴォルフ様の忙しさの表れかしら。フレディ様は友人に会いに行っているとかで今日は二人だった。食事が始まると直ぐに尋ねてくれたので一通の手紙をティオに渡した。ティオから手紙を受け取ったヴォルフ様が目を通した。
「リシェル様からお茶会の招待状が届きました」
昨日夫人教育を終えて帰った私を待っていたのは王宮の庭で行われるお茶会の招待状だった。姉のこともあるし、ヴォルフ様とのことで敵対しているも同然の私を誘うなんて何かあると思うのは仕方がないわよね。ヴォルフ様からは気を付けるようにと言われたばかりだもの。
でも、王族からの招待は断れない。私は王宮には殆ど行ったことがないし、王族の茶会も出たことがないのよ。どうすべきか、注意するところは何かを知っておきたかった。
「分かった。俺から断っておく」
思いもしなかった返事に思わず息を呑んだ。王家の誘いなのに断れるの?
「……よろしいのですか?」
「ああ。二度と誘わないよう釘も刺しておく」
断っていいものなの? ヴォルフ様に不都合なことにならないかしら。いずれ辺境に嫁ぐとはいえまだ王族に籍がある方よ。
「大丈夫だ。王も王太子も俺の味方だ。不敬だと言われることもない」
「そ、そうですか」
陛下や王太子殿下がリシェル様よりもヴォルフ様をとると? ちょっと信じられないけれどヴォルフ様がそう仰るのなら大丈夫なのよね?
「王女のことは気にしなくていい。王も王太子も俺がやることに文句は言わない。お前が俺の妻になるのは決定事項だし代える気もない」
はっきりそう言われて心がすっと軽くなったわ。招待状を目にした時から気が重くて仕方がなかったもの。王宮で毒を盛られたりはしないと思うけれど、参加すれば孤立するのは目に見えているし取り巻きから何を言わるかと想像するだけで食欲が落ちたもの。でもヴォルフ様が行かなくていいと仰るならそれに従うわ。
「午後から出かけるぞ」
「え?」
「王太子に観劇の招待を受けた」
「ええっ?」
王太子殿下から? どういうこと? ヴォルフ様と観劇って……
「詫びだそうだ。有難く受け取っておけ」
「は、はい」
いえ、そもそも王太子殿下からのご招待を断れるわけもないのですけれど……それに詫びってどういうこと? 姉のこと、なのかしら……?
その後は侍女に着替えさせられて気が付けばヴォルフ様と王立劇場に来ていた。確か今は大人気の歌劇を上演中だったわよね。上位貴族でも席が取れないと話題になっているのは聞いていたけれど……
ヴォルフ様にエスコートされて中に入ると既に多くの観客が揃っていたけれど、こちらを見た人たちの目が驚きに見開かれるのが見て取れた。でも、気持ちはわかるわ。私だって劇場でヴォルフ様を見つけたら同じ行動をしたと思うもの。ヴォルフ様、実は劇を好まれるのかしら?
「ヴォルフ様はよくこちらに?」
「いや、滅多に来ない。たまに王太子に呼ばれてくるくらいだ」
それって殆ど興味がないってことよね。それでも私のために一緒に来て下さったってこと?
「ど、どうして……」
思わず疑問が口から出てしまったわ。周りが騒がしいし、声も小さかったからヴォルフ様には聞こえてないわよね?
「少しは婚約者らしいことをしろと言われた」
しっかり聞こえていたわ! ヴォルフ様耳が良すぎじゃないかしら。じゃなくて……こ、婚約者らしいことをって……ええっ? それってもしかして王太子殿下が?
「俺には気遣いというものが足らな過ぎるらしい。たまには共に出かけろと言われた」
「そ、そうですか……」
王太子殿下のお膳立てだったのね。ヴォルフ様が自ら思い立って……は私も考えられなかったから納得よ。それでもお忙しいのに私のために時間を割いて下さったのは嬉しいわね。義務でも寄り添おうという意識を持つのはとても大事だと思うの。
案内されて向かった先は……まさかの貴賓席、しかも王族が使う席だった。
「……ヴォルフ様、ここって……」
「今日は王族の観覧はないから問題ない」
問題ないって……いいのかしら? 恐れ多くて腰を下ろせそうにないのだけど……躊躇していたらさっさと手を引かれて隣に座らされてしまったわ。ヴォルフ様と劇を鑑賞出来るなんて思いもしなかったわ。いやだわ、嬉しくて顔がにやけてしまいそう……
劇の内容も俳優も素晴らしかったけれど、貴賓席での待遇も素晴らしかったわ。専用の給仕が付いて飲み物や軽食が付くのも贅沢ね。勿論普段も給仕はつくけれどここまでではないから特別感を味わえたわ。
「とっても素敵な劇でしたわ」
終演後の感動がまだ冷めやらない私はすっかり劇に魅入られていた。ヴォルフ様は黙って劇を見ていらっしゃったけれど、どうお感じになったのかしら?
「ヴォルフ様はいかがでしたか?」
「……よくわからないな。どうして主人公はあんなまどろっこしいことをしたんだ?」
え? 返ってきた答えは想定外のものだったわ。今回の劇は主人公の歌姫が愛する子爵令息のために潔く身を引くところから始まる。平民の主人公が身分差を気に病んでのことだけど、令息は彼女のために知り合いの男爵家に養女として迎え入れるように手配していたのだ。その後紆余曲折があったけれど最終的に二人は結ばれるという恋愛物。主人公は最初に令息に冷たくしてわざと振られるようなことをするのだけど……そのことを指しているのかしら?
「回りくどいことをせず好意を示しておけば済んだ話だ。二人で協力すればどうにでも出来ただろう。既に男はその手はずを整えていた。なのにどうして一方的な思い込みで動くんだ?」
本気でお悩みだったわ。確かに仰る通りだけど、そうなのだけど……
「ヴォ、ヴォルフ様、そうしないと物語になりませんから」
「そういうものか?」
「え、ええ。何でも理詰めで考えては物語が成立しなくなってしまうかと。ままならない過程を楽しむのも物語の醍醐味といいますか……」
多分そうだと思うのよね。私もまどろっこしいとは思うけれど、お互いに思い合うからこそのすれ違いなのだし……
「なるほど」
納得されたのかわからないけれど、今の説明でわかって下さった、と思っていいのかしら? そういえばヴォルフ様、ご自身のこと感情が欠落していると仰っていたわね。これはその一端ということかしら。もしかして今日はヴォルフ様なりにご自身を変えようとなさっているのかしら?
その後は予約してあるというカフェに行ってお茶とケーキを頂いたのだけど、このお店でもヴォルフ様は酷く目立っていたわ。このお店って王都でも今一番流行りの店で中々予約が取れないと言われているわよ。もしかしてこの店も王太子殿下のお勧めだったのかしら?
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