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またやり直し
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あれから姉の答えを待ったけれど、答えられなかった姉が泣き出して話どころではなくなってしまった。全く、都合のいい時に涙が出せるなんて器用なことね。結局また後でということになってしまい、私は部屋に戻るように言われてしまった。
部屋に戻るとロッテは気持ちが落ち着くお茶を淹れてくれた。優しい香りと味が昂った気持ちを静めてくれる。
それにしてもつまらない。あの後姉が何を言うか、お父様がどう決断なさるのか、そこが一番知りたかったのに。こうなると姉のことだから両親を丸め込んで自分が思う方に誘導しようとするだろう。そして両親も上目遣いで泣き真似をしてねだれば姉の言うことを聞いてしまう。忌々しいけれど、あちらが上手だからどうしようもない。
唯一よかったと思えたのは、両親が私の主張を珍しく汲んでくれたことだろうか。それは少し嬉しかった。最近は何を言っても無駄だと諦めて、言い返すのも時間と労力の無駄だと思い何もしなかったから。もっとも、姉が何を言い出すかわからないから安心出来ないけれど。
「お姉様の本命、やっぱりフレディ様だったわね」
カップの中で揺れる琥珀色を眺めながら、選ばれなかった我が婚約者の顔を思い出した。
「はい。フィリーネお嬢さまらしいかと」
「全くだわ。儚げなふりをして野心家だもの。お金と権力の臭いには敏感よね」
ゾルガー侯爵家は我が国の五大侯爵家の筆頭。我が国の公爵は臣籍降下した王子のための一代限りの地位で、その子の代には侯爵家、孫の代以降は伯爵家にと爵位が下がる。そうしないと公爵家が際限なく増えてしまうからで、決して立場は強くない。資産も王子時代の個人資産と臣籍降下した際の下賜金が原資で、自力で領地を富ませないと先細りになるという現実的な事情もある。
姉はゾルガー様に苦手意識はあっても、次期当主夫人となれば王妃様に次ぐ影響力を持つことになる。そんな美味しい立場をハリマン様程度で手放すとは思えない。シリングス公爵は元王子ではあってもゾルガー家に遠く及ばないし、その令息のハリソン様は見た目だけ、家を盛り上げて資産を増やす能力なんてないだろう。だから私との婚約が成ったのだから。
「お父様はどうするかしら。このままハリマン様と婚約を継続しろと言うかしら?」
ルーク叔父様の例を出したから拒否反応を示したけれど、実際に自分たちが嫁ぐわけじゃない。姉に丸め込まれて何もなかったことにされる可能性は小さくない気がする。
「せめて夫人のどちらかが侯爵家の方だったらよかったのに」
「でも、奥様のご友人は伯爵家の方ばかりですから」
母は気を使うからと侯爵家以上の家格の夫人との交流をあまりしない。それでもシリングス公爵夫人は穏やかな気質だし、ゾルガー侯爵家に夫人はいらっしゃらないから縁談には乗り気だった。ゾルガー家当主は独身だけど、フレディ様は当主の兄の子で正式な後継者だ。姉は結婚すれば直ぐにゾルガー侯爵家の夫人としての立場を手にする。当主がいるから今すぐ好き勝手は出来ないだろうけど、姑がいない気楽さは魅力だ。
「こうなると、婚約が継続されるかもしれないわね……」
姉の本命がフレディ様だから、私とハリマン様との婚約は白紙に出来ないだろう。せっかくの機会だったけれど不発に終わったと思った方がよさそうだ。悔しさに胃の底から苦くて重い物が込み上げてくる。
「また……計画を立てなきゃ」
ため息とともに出た呟きに、ロッテが小さく眉を顰めた。彼女も同じ気持ちだろう。それでも彼女がいてくれるから諦めずに立っていられるけれど。
「ここで決められるとよかったのだけどね」
この先は今回のように簡単にはいかないだろう。両親と兄を抑えている姉の方が上手だし、今後は警戒するだろうから。大人しくなるか、それとも図に乗るか。これまで順風満帆だったから後者かしら。そうなったら付け入る隙も期待出来そうだけど。
「いっそ家を出てしまおうかしらね」
「その時はお供いたします」
それがどれほど難しいことかきっとロッテの方がわかっているだろうに、迷いなくそう言ってくれた気持ちが嬉しい。
「ありがとうロッテ。あなたのお陰でまだ頑張れそうよ」
自分だけなら修道院に逃げ込むことも考えるけれど、ロッテまで巻き込めない。苦労している彼女には人並みに幸せになって貰いたいから。だったらもう少しここで足掻くしかないわね。まだ父の意向もわからないし、手持ちの札を全て失ったわけじゃない。
「心配しないでロッテ。まだ諦めないわ」
見た目ではわからないけれど私を心配してくれている彼女を励ますようにそう告げると、頬のこわばりが緩んだ。両親ですらここまで私に心を寄せてくれない。彼らが大切に思うのは嫡男の兄と自慢の娘の姉だけ。だったら私は私の好きにする。
「まだ手はあるわ。そうね、まずはハリマン様ね。お姉様も自分と同じ気持ちだと信じて疑いもしないから、今頃公爵様に泣きついていると思うわ。明日にでも公爵様がいらっしゃるかもしれない」
姉との逢瀬が父に露見したからには、ハリマン様は行動に移るだろう。
「ふふっ、ナルシストのハリマン様よ。今頃は意に染まぬ婚約から姉を救い出す勇者気分かもしれないわね」
「それではお嬢様は魔王ですか?」
「まぁ、私が魔王に? いやだわ、ハリマン様を勇者になんかしたくないわね。でも力があるなら魔王もいいわね。あのプライドの高い心をバキバキに折って差し上げるわ」
心が折れて打ちひしがれる姉やハリマン様を想像して思わず吹き出してしまった。ロッテも頬に力を入れて笑いをこらえている。
「私からすれば魔王はフィリーネお嬢様、ハリマン様は手下その一です」
「まぁ、それじゃ私が勇者?」
それは素敵ね。私は守られるお姫様よりも自分で戦って運命を切り開ける勇者になりたいわ。
「イルーゼ様こそお姫様ですわ。誰よりも気高く尊い……私が男なら勇者に立候補します」
「ロッテが私を助け出してくれるの? ふふっ、ハリマン様なんかよりもずっと頼もしいわ」
ロッテが男性だったらきっと強くて有能な勇者になるだろう。私、今時の男性は苦手なのよね。ハリマン様がその筆頭だけど、なよなよしていてちっとも心がときめかないもの。でも、ロッテが勇者なら姫として助け出されるのもいいわ。
「お姉様の本音もわかったし、また色々考えなきゃ。まずはハリマン様とシリングス公爵がどう動かれるかしらね」
ハリマン様は姉との再婚約を望むだろうし、公爵も社交界で評判のいい姉を望むだろう。私って何なのかしらと思うけれど、嘆いていたって事態はよくならないわね。だったら動くしかないのよ。
部屋に戻るとロッテは気持ちが落ち着くお茶を淹れてくれた。優しい香りと味が昂った気持ちを静めてくれる。
それにしてもつまらない。あの後姉が何を言うか、お父様がどう決断なさるのか、そこが一番知りたかったのに。こうなると姉のことだから両親を丸め込んで自分が思う方に誘導しようとするだろう。そして両親も上目遣いで泣き真似をしてねだれば姉の言うことを聞いてしまう。忌々しいけれど、あちらが上手だからどうしようもない。
唯一よかったと思えたのは、両親が私の主張を珍しく汲んでくれたことだろうか。それは少し嬉しかった。最近は何を言っても無駄だと諦めて、言い返すのも時間と労力の無駄だと思い何もしなかったから。もっとも、姉が何を言い出すかわからないから安心出来ないけれど。
「お姉様の本命、やっぱりフレディ様だったわね」
カップの中で揺れる琥珀色を眺めながら、選ばれなかった我が婚約者の顔を思い出した。
「はい。フィリーネお嬢さまらしいかと」
「全くだわ。儚げなふりをして野心家だもの。お金と権力の臭いには敏感よね」
ゾルガー侯爵家は我が国の五大侯爵家の筆頭。我が国の公爵は臣籍降下した王子のための一代限りの地位で、その子の代には侯爵家、孫の代以降は伯爵家にと爵位が下がる。そうしないと公爵家が際限なく増えてしまうからで、決して立場は強くない。資産も王子時代の個人資産と臣籍降下した際の下賜金が原資で、自力で領地を富ませないと先細りになるという現実的な事情もある。
姉はゾルガー様に苦手意識はあっても、次期当主夫人となれば王妃様に次ぐ影響力を持つことになる。そんな美味しい立場をハリマン様程度で手放すとは思えない。シリングス公爵は元王子ではあってもゾルガー家に遠く及ばないし、その令息のハリソン様は見た目だけ、家を盛り上げて資産を増やす能力なんてないだろう。だから私との婚約が成ったのだから。
「お父様はどうするかしら。このままハリマン様と婚約を継続しろと言うかしら?」
ルーク叔父様の例を出したから拒否反応を示したけれど、実際に自分たちが嫁ぐわけじゃない。姉に丸め込まれて何もなかったことにされる可能性は小さくない気がする。
「せめて夫人のどちらかが侯爵家の方だったらよかったのに」
「でも、奥様のご友人は伯爵家の方ばかりですから」
母は気を使うからと侯爵家以上の家格の夫人との交流をあまりしない。それでもシリングス公爵夫人は穏やかな気質だし、ゾルガー侯爵家に夫人はいらっしゃらないから縁談には乗り気だった。ゾルガー家当主は独身だけど、フレディ様は当主の兄の子で正式な後継者だ。姉は結婚すれば直ぐにゾルガー侯爵家の夫人としての立場を手にする。当主がいるから今すぐ好き勝手は出来ないだろうけど、姑がいない気楽さは魅力だ。
「こうなると、婚約が継続されるかもしれないわね……」
姉の本命がフレディ様だから、私とハリマン様との婚約は白紙に出来ないだろう。せっかくの機会だったけれど不発に終わったと思った方がよさそうだ。悔しさに胃の底から苦くて重い物が込み上げてくる。
「また……計画を立てなきゃ」
ため息とともに出た呟きに、ロッテが小さく眉を顰めた。彼女も同じ気持ちだろう。それでも彼女がいてくれるから諦めずに立っていられるけれど。
「ここで決められるとよかったのだけどね」
この先は今回のように簡単にはいかないだろう。両親と兄を抑えている姉の方が上手だし、今後は警戒するだろうから。大人しくなるか、それとも図に乗るか。これまで順風満帆だったから後者かしら。そうなったら付け入る隙も期待出来そうだけど。
「いっそ家を出てしまおうかしらね」
「その時はお供いたします」
それがどれほど難しいことかきっとロッテの方がわかっているだろうに、迷いなくそう言ってくれた気持ちが嬉しい。
「ありがとうロッテ。あなたのお陰でまだ頑張れそうよ」
自分だけなら修道院に逃げ込むことも考えるけれど、ロッテまで巻き込めない。苦労している彼女には人並みに幸せになって貰いたいから。だったらもう少しここで足掻くしかないわね。まだ父の意向もわからないし、手持ちの札を全て失ったわけじゃない。
「心配しないでロッテ。まだ諦めないわ」
見た目ではわからないけれど私を心配してくれている彼女を励ますようにそう告げると、頬のこわばりが緩んだ。両親ですらここまで私に心を寄せてくれない。彼らが大切に思うのは嫡男の兄と自慢の娘の姉だけ。だったら私は私の好きにする。
「まだ手はあるわ。そうね、まずはハリマン様ね。お姉様も自分と同じ気持ちだと信じて疑いもしないから、今頃公爵様に泣きついていると思うわ。明日にでも公爵様がいらっしゃるかもしれない」
姉との逢瀬が父に露見したからには、ハリマン様は行動に移るだろう。
「ふふっ、ナルシストのハリマン様よ。今頃は意に染まぬ婚約から姉を救い出す勇者気分かもしれないわね」
「それではお嬢様は魔王ですか?」
「まぁ、私が魔王に? いやだわ、ハリマン様を勇者になんかしたくないわね。でも力があるなら魔王もいいわね。あのプライドの高い心をバキバキに折って差し上げるわ」
心が折れて打ちひしがれる姉やハリマン様を想像して思わず吹き出してしまった。ロッテも頬に力を入れて笑いをこらえている。
「私からすれば魔王はフィリーネお嬢様、ハリマン様は手下その一です」
「まぁ、それじゃ私が勇者?」
それは素敵ね。私は守られるお姫様よりも自分で戦って運命を切り開ける勇者になりたいわ。
「イルーゼ様こそお姫様ですわ。誰よりも気高く尊い……私が男なら勇者に立候補します」
「ロッテが私を助け出してくれるの? ふふっ、ハリマン様なんかよりもずっと頼もしいわ」
ロッテが男性だったらきっと強くて有能な勇者になるだろう。私、今時の男性は苦手なのよね。ハリマン様がその筆頭だけど、なよなよしていてちっとも心がときめかないもの。でも、ロッテが勇者なら姫として助け出されるのもいいわ。
「お姉様の本音もわかったし、また色々考えなきゃ。まずはハリマン様とシリングス公爵がどう動かれるかしらね」
ハリマン様は姉との再婚約を望むだろうし、公爵も社交界で評判のいい姉を望むだろう。私って何なのかしらと思うけれど、嘆いていたって事態はよくならないわね。だったら動くしかないのよ。
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