15 / 17
終幕
逃亡
しおりを挟む
アンゼルが朝目覚めると、部屋の中に人気がなかった。
「レナート?」
アンゼルは不安になりながら、レナートを探し始める。
クローゼットの裏にも、ベッドの影にもいない。
仕方なく着替えをクローゼットから引っ張り出し、自分で着る。
「疲れて別の部屋に寝てしまったのかな・・・」
自分で着替えられないわけではないが、毎朝レナートが優しく
自分の指を動かす必要がないほど丁寧に着替えさせてくるので調子が狂う。
部屋を出て、屋敷の中を探すと、地下に鎖で繋がれているレナートがいた。
「アンゼル様……」
「何があった? これは一体どういうことだ!」
アンゼルは怒りをあらわにして言う。
「どういうことか、教えて欲しいのはこちらの方だ。捕虜であるお前が見張りも鎖もつけずに
ふらついているのはどういうことなのかをな」
するとそこに一人の男が現れる。その男はアンゼルの兄アベル・フォン・ルブランだった。妻帯と共に聖騎士団を引退し、
今は地方の領主をしているはずだった。
「兄上……どうしてここに」
「お前を迎えに来たんだ。さぁ帰ろう」
そう言って、手を差し出す。
「嫌です! 私は帰りません!」
アンゼルは断固として拒否した。
しかし、それは許されないことだった。
「そうか……。では仕方がない。力ずくでも連れて行くぞ」
アベルは剣を抜き、アンゼルに斬りかかる。
「くっ!」
アンゼルは何とかそれをかわすが、すぐに次の攻撃が来る。
(強い)
アンゼルは必死になって避け続ける。壁にかかっていた装飾用の剣を取ると、
振り回す。
だが、簡単に避けられてしまう。
「弱いな」
アベルはその一言だけ言い放つと、再び攻撃を仕掛ける。
アンゼルはギリギリでそれを避ける。
アベルの一撃で棚が崩れ、天井から鎖や皿が落ちてくる。
「しまった!」
落下物がアベルの進行を防いでいる間にアンゼルはレナートのもとに戻り
拘束を解く。
「大丈夫か?」
「はい。なんとか……」
「とりあえずここから出るぞ」
アンゼルたちは出口に向かって走る。
馬に乗り、館の塀を越えて飛び出す。館を出てしばらく走り続け森に入る。
「レナート?」
アンゼルは不安になりながら、レナートを探し始める。
クローゼットの裏にも、ベッドの影にもいない。
仕方なく着替えをクローゼットから引っ張り出し、自分で着る。
「疲れて別の部屋に寝てしまったのかな・・・」
自分で着替えられないわけではないが、毎朝レナートが優しく
自分の指を動かす必要がないほど丁寧に着替えさせてくるので調子が狂う。
部屋を出て、屋敷の中を探すと、地下に鎖で繋がれているレナートがいた。
「アンゼル様……」
「何があった? これは一体どういうことだ!」
アンゼルは怒りをあらわにして言う。
「どういうことか、教えて欲しいのはこちらの方だ。捕虜であるお前が見張りも鎖もつけずに
ふらついているのはどういうことなのかをな」
するとそこに一人の男が現れる。その男はアンゼルの兄アベル・フォン・ルブランだった。妻帯と共に聖騎士団を引退し、
今は地方の領主をしているはずだった。
「兄上……どうしてここに」
「お前を迎えに来たんだ。さぁ帰ろう」
そう言って、手を差し出す。
「嫌です! 私は帰りません!」
アンゼルは断固として拒否した。
しかし、それは許されないことだった。
「そうか……。では仕方がない。力ずくでも連れて行くぞ」
アベルは剣を抜き、アンゼルに斬りかかる。
「くっ!」
アンゼルは何とかそれをかわすが、すぐに次の攻撃が来る。
(強い)
アンゼルは必死になって避け続ける。壁にかかっていた装飾用の剣を取ると、
振り回す。
だが、簡単に避けられてしまう。
「弱いな」
アベルはその一言だけ言い放つと、再び攻撃を仕掛ける。
アンゼルはギリギリでそれを避ける。
アベルの一撃で棚が崩れ、天井から鎖や皿が落ちてくる。
「しまった!」
落下物がアベルの進行を防いでいる間にアンゼルはレナートのもとに戻り
拘束を解く。
「大丈夫か?」
「はい。なんとか……」
「とりあえずここから出るぞ」
アンゼルたちは出口に向かって走る。
馬に乗り、館の塀を越えて飛び出す。館を出てしばらく走り続け森に入る。
17
お気に入りに追加
155
あなたにおすすめの小説


皇帝陛下の精子検査
雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。
しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。
このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。
焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?

博愛主義の成れの果て
135
BL
子宮持ちで子供が産める侯爵家嫡男の俺の婚約者は、博愛主義者だ。
俺と同じように子宮持ちの令息にだって優しくしてしまう男。
そんな婚約を白紙にしたところ、元婚約者がおかしくなりはじめた……。

美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。


愛人は嫌だったので別れることにしました。
伊吹咲夜
BL
会社の先輩である健二と達哉は、先輩・後輩の間柄であり、身体の関係も持っていた。そんな健二のことを達哉は自分を愛してくれている恋人だとずっと思っていた。
しかし健二との関係は身体だけで、それ以上のことはない。疑問に思っていた日、健二が結婚したと朝礼で報告が。健二は達哉のことを愛してはいなかったのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる