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悪縁契り深し
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叔父の命を奪ったのは、弟子であり、身の回りの世話をする稚児でもあった翠嵐だと聞いていた。
「貴様・・・が・・・なぜ・・・」
「金剛薩埵宝瓶の使い方は薄荷家に伝わる経典に書かれている。出してもらおうか」
「誰が・・・貴様などに・・・」
そう拒否するのに、体が言うことを聞かない。時子は自分が傀儡の術をかけられていることを悟った。
「く・・・」
よたよたと奥の襖を開けようとした瞬間。
襖横に置かれた壺に腕を突っ込む。
腕を突っ込んだ壺は、蠱毒の壺。
毒虫や毒蛇、毒ガエルを一つのツボに入れ、殺し合わせる呪いのつぼである。
たちまち他を押し退け殺して生き残っていた毒蛇と毒虫数匹が踊り込んできた新しい獲物に噛み付く。
「ぐぁ・・・ああああああ」
白い着物の袖が、途端に毒の色と赤に染まる。
時子は毒によって絶命した。
翠嵐が舌打ちする
「強情な血筋だ」
壺から這い出そうとする毒虫たちを潰し、時子の髪を引いて引き摺り出す。
ふと、その手に持っている文に気がついた。
読み上げる。
彼女の異母弟の春勢に宛てた手紙で、彼が近く屋敷に来るらしいことと
天狗を二体調伏したことなどが書かれていた
「春勢・・・秋英の兄か。やつから聞き出すとしよう」
時子の遺体を抱き上げ、針を抜くと血を拭い死化粧をする。
首筋の辺りにもう一度針を刺し直すと、時子の瞳が開いた。
「貴様・・・が・・・なぜ・・・」
「金剛薩埵宝瓶の使い方は薄荷家に伝わる経典に書かれている。出してもらおうか」
「誰が・・・貴様などに・・・」
そう拒否するのに、体が言うことを聞かない。時子は自分が傀儡の術をかけられていることを悟った。
「く・・・」
よたよたと奥の襖を開けようとした瞬間。
襖横に置かれた壺に腕を突っ込む。
腕を突っ込んだ壺は、蠱毒の壺。
毒虫や毒蛇、毒ガエルを一つのツボに入れ、殺し合わせる呪いのつぼである。
たちまち他を押し退け殺して生き残っていた毒蛇と毒虫数匹が踊り込んできた新しい獲物に噛み付く。
「ぐぁ・・・ああああああ」
白い着物の袖が、途端に毒の色と赤に染まる。
時子は毒によって絶命した。
翠嵐が舌打ちする
「強情な血筋だ」
壺から這い出そうとする毒虫たちを潰し、時子の髪を引いて引き摺り出す。
ふと、その手に持っている文に気がついた。
読み上げる。
彼女の異母弟の春勢に宛てた手紙で、彼が近く屋敷に来るらしいことと
天狗を二体調伏したことなどが書かれていた
「春勢・・・秋英の兄か。やつから聞き出すとしよう」
時子の遺体を抱き上げ、針を抜くと血を拭い死化粧をする。
首筋の辺りにもう一度針を刺し直すと、時子の瞳が開いた。
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