Art Crime Team

煮卵

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A.C.T1

1-8

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グレイ・ケストナー捜査官はFBIの用意したモニターを複数積んだバンの中で埠頭に一台のロールスロイスが入ってくるのを視界に捉えた。その運転席にジュリアンライトマン捜査官の端正な横顔を認めて、一息つく。彼の仕事は「ハンドラー」と呼ばれ潜入操作を行なっているライトマン捜査官を追跡し、有事があれば報告するいわば彼の命綱となることだった。ライトマン捜査官が接触している協力者ジャン・ジャック・ドゥリューの指示によって一時通信が途絶えていたが1日ぶりにその姿を確認できたことで安堵のため息を漏らしたのである。この間に二人はサニーの信頼を得て、デュフィの絵と手持ちの絵を交換する約束を取り付けていた。交換の場は船の上だ。
船内に入れば、あらかじめ船内にクルーとして潜ませている同局員に新たな通信機を渡してもらえる手筈だった。まあこれも何かことが起これば前回同様あの赤毛の同乗者に叩き潰されるかもしれないが。ロールスロイスの後部に座る10年来の友人の顔をみて、ケストナーは苦笑した。青い瞳が一瞬こちらに向けられた気がしたがきっと気のせいだろう。
あと数分。紙コップのコーヒーを飲みながら、手塩にかけて育てた後輩への細い糸がつながる瞬間を画面を静かに凝視しながら待つ。
数日ぶりに繋がった後輩の声は思ったよりも落ち着いていた。
船の上でのもてなしが気に入ったのか、サニー達は終始ご機嫌だった。こちらに買う意思があり、その財力もあることを十分に示せたことになる。「ミュンヘンで発見された」シーレも活躍した。目利きに自信があるとともにヨーロッパの裏社会に繋がりがあることも匂わせられ、話は大いに弾んだそうだ。
「丁度良い個室」に案内して欲しいと言われたため、5分後に二人で向かうと言う
数十分通信が途絶えたあと、再びバンに入ってきたのは後輩の声ではなかった。FBI本部からの通信で、それは最悪の連絡だった。
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