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転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!第三話

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夜も更けて、二人で暖炉の前で暖をとりながら眠ることにした。
アーベルが毛布を持ってきてくれたので、二人で同じ毛布に入る。
「流石に二人だと狭いね」
「ああ・・・悪いな」
手を繋いだまま器用に2枚の毛布をかける。
底冷えがしないように、二人の下にアーベルが纏っているマントを敷いていた。
秋口の冷気が石の床を伝って忍び込む。
寒さでブルリと震えると、
「寒い?」
心配そうにアーベルの腕が肩に周り、引き寄せられる
パチパチと燃える火を見つめながら、ぎゅっと抱きしめられる。
心臓の鼓動が聞こえるほど密着する。
ドキドキと、自分の心臓の音が聞こえる。
「アーベル・・・?」
少し顔を横に向けると、すぐ近くに形のいい耳が見えた。
「その……ありがとう……な」
恥ずかしくて小さくなっていく声量で言うと、うん、と頷いてさらに強く抱きしめられた。
ああ、なんかこの空気は・・・まずい。俺が俺でなくなる気がする。
恥ずかしさに耐えられず、俺は話を逸らすことにした。
「……国王を説得するって言ってけど。結局大丈夫だったのか?」
「アルノルト叔父さんがとりなしてくれて、一旦保留にはなったけど、もっと決定的な理由がなければ取り消しはできないって」
「そりゃそうだよな。とりあえず仮面夫婦になって愛人にでもしろと俺も国王と王弟の立場ならそう言う」
「……」
「でも、そうしたくないんだろ?」
「うん」
少し間を開けてアーベルは答えた。なぜかその答えを聞いてほっとした。
「なら、なんとかしねえとな」
「リュシアン……」
「ま、幸い俺たちだけ孤立してるってわけじゃない」
「うん」
アーベルは、少しだけ安心したように体の力を抜いた。俺は続けた。
「ま、なんとかなるだろ」
「・・・本当に?」
「多分な」
ぎゅっと抱きしめ返すと、アーベルも強く抱き返してくる。顔が肩口にうずめられて表情をみることはできなかったが、小刻みに震える肩を見て、喜んでいるのがわかった。
しばらくそうして二人で暖をとっていたがやがて眠気に抗えなくなり、いつの間にか眠りに落ちていた。

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