転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない！

転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない！第三話

3

館の中はシンと静まり返っていた。警戒を緩めず進んでいく。
そしてある部屋にたどり着いた
「この部屋です」

俺が扉を開けると……中から出てきたのは、アーベルだった。
「アーベル！」
「もうこっちに来ていたのですか？」
「王族しか使えない神殿の奥にココと繋がっている魔法の移動ゲートがあるんだ」

アーベルの使う神聖魔法はゲートの鍵を持っている人物のみが移動できる移動ゲートを作れる魔法があった。

「道中は何もなかった？」
心配そうなアーベルに、俺とゼムクは顔を見合わせた。
「それが・・・」
追ってきた全身甲冑こと、聖女のことを話す。
「この夜の暗い中、これ以上追ってくると言うことはないと思うけど…」
「”追跡”の魔法を使われているかもしれません念には念を入れましょう。私は乗ってきた馬車で一度城まで戻ります」

「なぜ？」
アーベルが、不安げな顔をした。ゼムクは構わず続ける。
「聖女様が使うとしたら神聖魔法、神聖魔法の”追跡”は物体にかけるものであることを考えると馬車にかけた可能性が高い」
「そんな・・・囮になるようなことはさせられないよ」

「私は夜目も聞きますし、襲われてもそう被害は出ません」
「・・・こんなにしてもらって申し訳ない」

「気になさらず。それにお二人であればこの部屋に”結界”をはれば発見されることは免れるはずです」

”結界”も神聖魔法で術者と接触しているもう一人を敵対者に感知させなくなる魔法だ。

「まあ、ゼムクには申し訳ないが、そうするしかなさそうだな」
馬の鳴き声と車輪の音が遠くなっていくのが聞こえた。

俺は館の中を歩き回り、いろいろな場所に魔法陣を仕掛けていく
「ねえ、リュシアン」
「なんだ？」
俺が振り返ると、アーベルは少し戸惑った様な顔で言った。
「その・・・お願いがあるんだけど」
「？」
暖かい手が、俺の手を包み込む
「一緒に・・・寝てくれないかな・・・」
「・・・え？」
突然の申し出に俺は内心かなり動揺した。

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