転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!

煮卵

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転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!第二話

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お取り込み中のところ失礼致します」
ゼムクがいつの間にやら背後に立っていた。俺は慌ててアーベルを引き剥がす。

「愛を確かめ合ったところで申し訳ないですが、うかうかもしていられません」
「ああ、そういえばそうだったな」

「お嬢様の『挟まれる女作戦』を取れるなら、新婚であることを理由にお嬢様の領内に二人を匿うこともできるのですが…」

「申し訳ないけど、それは受け入れられないよ」
アーベルが再度はっきりと断る
「僕の気持ちも問題だけれど、彼女だっていつか本当に愛し合える人ができるかもしれない。それを阻みたくないんだ」

「元々10代以上続く貴族は同様の血統をもつ貴族とした婚姻できないかと存じますが…」
まあ、それはともかくとゼムクが流す。

「このあとどうなさるおつもりで?」
「僕が父と交渉します。それまでリュシアンを護衛していただけないでしょうか」
「お嬢様もそれをお望みでしょう。しかし、どこに匿いますかね?王宮内ではそう大きく立ち回りはできませんよ?」

「僕の領地の端に使われていない狩猟用の館があります」
アーベルは俺に向き直り、手を取って告げた

「あまり綺麗なところではないけれど、そこで待っていて」
「分かった」
そうして、俺たちは一旦別れ、マリーテレーズの用意した馬車で狩猟用の館に向かうことになった。

「これはこれは……。随分豪奢な馬車ですね」
俺が乗り込むとゼムクが荷物をトランクに詰めながら言った。マリーテレーズは別の馬車に乗るようで、そちらに乗り込んだのが見えた。

「目立つんじゃねえかとは言ったんだがな。」
これ以上悪い馬車に乗せられないと、頑なにこれ以下の馬車は用意しなかった

「なるほど。お付きの者も含めると何人まで乗れるんですか?」
「5人くらいかな」
答えながら座席に腰掛ける。ゼムクも乗り込んでくる。

「まあ、広い方が魔法が放ちやすいですからいいですけれどね。あなたの家を襲った刺客の武器は少し長かったですし、この車内で振り回すのも難しいでしょう」

御者が馬に鞭を打つ音が聞こえて、ガタンと
大きく馬車が揺れ、都市郊外へ向けて出発した。

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