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転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!第二話

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「それを今からお話ししようかと思っております」
「お話ししようかって…本人がいないじゃねえか」
「いらっしゃってますよ」
「へ?」
部屋の扉の外で衛兵が叫んだ
「アーベル王子がマリーテレーズ様をお尋ねです」

衛兵が案内する間もなく、王子はやってきた。
「リュシアン!ここにいたんだね!」
俺の姿を認めると駆け寄って抱きしめる。
「アーベルどうして……」
「君の家を訪ねたら誰もいなかったから何かあったんじゃないかと慌てて捜索したんだ」
無事で良かった…ともう一度きつく抱きしめたあと、
マリーテレーズに向き直る
「マリーテレーズ皇女…僕は」
人の可聴域を超えた叫び声をあげているマリーテレーズと王子の間にゼムクがスッと入る。
「お嬢様はショックでまともにお話しできる状態ではないので、私がお話しします」
跪くと、先ほどの婚約をこのまま続ける提案を王子に告げた。
王子は暫く黙った後

「その提案は受け入れられません」
とはっきり告げた。

「それは、不誠実だと思うんです。リュシアンにもそうですが、何よりマリーテレーズ殿下、貴女に対して。貴女にだって貴女を愛する人と結ばれる権利がある。もし今婚姻をしてしまえば離婚はそう簡単に許されません。僕の立場を想って言ってくれるのはとてもありがたいのですが、貴女にそこまでしてもらうわけには……」


「うぐ…かはぁ!」
突然マリーテレーズが心臓を抑えてうずくまる
「!マリーテレーズ皇女?!」
「おい!」
「ああ!お嬢様!」
「今度はどうした!?」

「と…お……と…い」
「推しを摂取しすぎたことによる一時的な発作だそうです。命には全くかかわりませんので隣の部屋に運び込みましょう」
「……そうかい」
「難病を抱えていらっしゃるんですね」
まあ難を抱えた病であることに変わりはないが…何か勘違いして心配げなアーベル。

隣室から騎士団のメンバーらしき男達が入ってくる。
アーベルに跪き、一礼を丁寧にしたあと、患者を取り囲む。
よいさっと担ぎ上げると
神輿よろしくマリーテレーズを隣室に運び込んで行ってしまった。

俺はアーベルと部屋に二人きり、取り残された。

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