147 / 155
いつかの楽しみ
5
しおりを挟む金曜日は放課後、皆でカラオケに集まってケーキを食べたりプレゼントをもらったりした。
優斗にもハンドクリームをもらって、それが良い匂いでセンスがいいなぁと改めて思う。
皆からも祝ってもらって、今年も嬉しいなぁって思ったりして。
「そんで結局明日会うの?一条さんに」
「いやー、まあ、案の定何も言われないよねえ」
「えっマジで?もー、一条さんほんとに誕生日知らないのかなあ」
キキがフライドポテトを頬張りながらつぶやく。
いやそんなこと聞かれたこともないしそもそも私に関心があるのかもわからないし、知らない説が濃厚だと思ってる。
「ったく。何やってんだか」
「何か言った?なな」
「ううん、別に」
若干なながイライラしているようだが、それはカラオケで発散しているみたい。
その日は20時過ぎまでカラオケにいて、帰りは優斗と同じ方向だから一緒に帰った。
まるで告白された事が無かったことになってるみたいに今まで通りの何と言うことのない会話。
でも優斗が無理してるのはわかってたから、私はすぐに家に帰った。
すると家に着いたタイミングで類くんから電話がかかってきて、私はえっと思ってすぐに取る。
「もしもし、どうしたの?」
「…明日、うち来い」
「え?」
「何か予定あるのか?」
「ないけど…」
「じゃあ昼飯食わずに13時にうちで」
そう一方的に告げられ勝手に電話を切られてしまう。
いやもう毎度の事だから驚きはしないんだけど、ほんと自己中すぎて笑えてしまう。
まあ、何にせよ誕生日に類くんに会えることになったのは純粋に嬉しい。
何を着ていこうかな。
どうせ誕生日のことなんて知らず、いつものように気まぐれで呼んだんだろうから期待はせずにいよう。
そして次の日になり、言われた通りの時間にマンションに行ってインターホンを鳴らした。
しばらくして類くんが出てオートロックを開けてくれる。
いつ見ても良いマンションだなと思いつつエレベーターに乗って部屋まで向かうと、インターホンを鳴らす前に類くんが現れておお、とびっくりした。
「やっほ」
「おう」
通常運転で素っ気ない類くん。
でも今日もかっこいいからもう何だっていい。
私は玄関を上がり類くんの後ろを追ってリビングに入った。
するとなんと。
テーブルの上にはすでに、美味しそうな料理が並んでいるではないですか!
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる