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だって君が大切だから
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しおりを挟むバイトに向かいながら私はななの半歩後ろを歩きながら考えていた。
優斗の好きな人って、もしかしてなななんじゃないかって。
だってそういえばお祭りも一緒に行ってたみたいだし、何となくクールな所も似てるし、それに前何か2人の雰囲気がいつもと違う時があってそれを聞くと優斗にははぐらかされたし。
あらー。そういうことだったのかー!
「ななってさ」
「ん?」
にこにこしながら私はななって好きな人っているの?と聞きかけたけど、いや優斗が告白されて今すぐ聞くのは何か不自然すぎるかもと思って口を閉ざす。
「いやごめん、なんでもない」
はは、と笑うと変なの、とななに笑われた。
バイトに着くと休憩室に類くんがいて、私は彼を見つけた瞬間他のことは吹っ飛んで類くんだー!と浮かれて飛びついた。
「いきなり暑苦しいんだけど」
「昨日さ!学祭があったんだ!大学もそういうのってあるの?」
腕を引き剥がされたけど私は構わず隣に座って頬杖をつく。
ななは私を置いてさっさと更衣室に入って行った。
「あるけど。大学祭」
「そうなんだー!いついつ?類くんもなんかやるの?」
「まあ、ゼミで模擬店出すらしいからそれやらされるんだろうな」
「え、行きたい!行ってもいい?」
「嫌だっつっても勝手に来るんだろ」
くっつこうとする私を拒絶しながらため息混じりに類くんは言う。
楽しみができたなーと浮かれていると、もうバイトの時間なのか類くんは立ち上がって言った。
「…今日、うち来るか?」
目を合わさないまま、類くんはつぶやく。
ん?
今この人何て言った?
もしかして私……。
類くんに、家に誘われている……ッ?!
「うん行く!超行く!」
「上がる時間一緒だと思うから」
そう言って彼はドアの向こうへ行ってしまった。
しばし呆然とする私を、更衣室から出てきたななが訝しげに見つめる。
「ちょっと明子、早く準備しないと…」
「類くんが……っ」
「なに?変な顔して。一条さんにまた何かされたの?」
「ついに類くんがデレた……ッ」
クッとこの喜びを噛み締めていると、ななは変な顔、と言って笑っていた。
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