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ふたりの秘密
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しおりを挟むデートなんてした事はなかった。
いつも麗華の家に行くばかりで、それでも不満なんかなかった。
元々そんなに出歩くのは好きではなかったし、そういうことができる関係でもないと理解していたから。
この頃になると金曜日だけでなく他の平日も家に行っていて、よく旦那に見つからなかったとさえ思う。
あの日、夏祭りがあった。
この前あんたと行かされたあの祭り。
その日俺は田辺や他の地元の連中に誘われて祭りに行っていた。
ぞろぞろと歩いて、適当に出店で買ってこようと集まる場所を決めて一度解散する。
俺は面倒だったから1人道の端の方でコーラを買って飲んでいた。
すると人混みに紛れて浴衣姿の麗華が俺の前を通っていくのが見えた。
「れい、……っ」
一瞬声をかけそうになってとどまる。
彼女の隣には、いつか家に飾られた写真に写っていた旦那がいたから。
楽しそうな顔をして旦那に寄り添って。
俺と一緒にいる時に見せる顔とは違う表情でくっついて歩いている。
でも俺が飲みかけのコーラをゴミ箱に捨てて出店の方に行こうと歩き出すと。
「類くん?やっぱり」
突然彼女は振り返り俺を呼び止め手を振ってきた。
そしてパタパタと小走りで近づき俺の腕を取る。
「類くんも来てたの?1人?」
「…ちがう、友達と…、ってか離せよ」
びっくりして俺は彼女の手を振り解いた。
その後ろから旦那も来てどうしたの?と麗華に尋ねる。
「彼、近所に住んでる中学生の類くん。前たまたま知り合って、時々家で勉強教えてあげてるの」
「そうだったんだ。こんにちは。妻がお世話になってます」
そう彼は言うと俺に頭を下げてきたから俺も渋々挨拶する。
何が類くんだ。何が勉強だ。
馬鹿みたいに麗華の言うことを信じて、こいつが裏で俺と何してるか知らないくせに平和なこと。
「僕が仕事で忙しいからあまり一緒にいてあげられないんだ。だからまた遊びに来てやってよ」
まじか、と思いつつ俺も都合がよくて頷く。
それからは休日も時々麗華に呼ばれて家に行っていた。
もちろん旦那はいる時もあったけど、旦那がいる時もわざと麗華は俺を煽るような事をしてきた。
「今日は彼がお昼ご飯作ってくれてるの。だからそれまで…」
麗華の住む家は一軒家で、借家だと言っていたけどだだっ広く2人で住むには部屋数も多くて閑散としていた。
麗華はご飯ができるまでの間俺を空き部屋に通すと首に手を回してキスをせがむ。
「類、ちょっと背高くなった?」
「…さあ」
俺も屈んでそれに応える。
彼女を壁に追いやって、何度もキスをして。
脱がしやすいシャツなんか着て、俺はボタンを無造作に開けて胸を露わにした。
「…ふふ、きもちい」
ブラをずらして乳首を舐める。
彼女は背中をそらせて俺の髪に鼻を埋める。
こんなところ見つかったらやばいのに、下の階にいる旦那の存在を感じながら俺たちは馬鹿みたいに興奮してた。
麗華の下を触ってもいつも以上に濡れていて、ショーツをずらして指を入れてもぬるぬると中は蠢いていた。
「…挿れていいの?」
「……うん」
そう言うと彼女は俺がいつも付けているゴムを取り出して渡してくれた。
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