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どうやら夏はまだ終わらない
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しおりを挟む彼女はそう言って、ふわりとスカートをひるがえしてマンションを出て行った。
私は言葉の意味があまり理解できなくて、目をぱちぱちさせる。
そしてはっとして私は類くんの部屋へと向かった。
彼の部屋を見つけてピンポーン、とチャイムを鳴らす。
鳴らしたら割とすぐに彼はドアを開けた。
「なに?忘れもん…」
私を見るなりまた怪訝な顔をする。
私は私で、上半身裸の類くんが出てきてものすごく嫌な顔をして睨んだ。
類くんはドアをすぐに閉めようとして、私が無理矢理身体をねじ込んで入るとすぐに諦めて中に入っていってしまう。
ずかずかと私も追いかけて類くんの腕を掴むとバッと振り解かれた。
「こんな事したって、意味ないって自分でも分かってるくせに」
冷たい声で私が言うと、彼はソファの前で立ち止まる。
嫌な沈黙が続く。
類くんは何も言わないし、時計の針の静かな音だけが部屋に響いていた。
「あの人に、愛してるって言われたことあるの?どうせあの人の都合の良い時しか会えてないんでしょ」
こんなふうに類くんを責めたいわけじゃない。
類くんの表情は見えないけど、どんな顔してるのかは想像がつくから。
「あの人は、類くんのことをペットくらいにしか……っ」
「……そうだよ」
ソファに脱ぎ捨ててあったシャツを拾い上げて、類くんは羽織りながらつぶやく。
ここで今まで2人が何してたのかなんて、この状況を見たら誰でも分かってしまう。
まさかそんな返答がくるなんて思ってなかったから、私は動揺してしまった。
「なんで、そんな……、分かってるのに…」
「分かってても、馬鹿らしくても、好きだったんだろうな」
まるで他人事みたい。
類くんは深く息を吐いてソファに腰掛けて、私をゆっくりと見上げる。
「聞きたいんだろ?」
もうどうでもいい。
そんな空気が彼の周りを包んでいた。
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