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君じゃなきゃダメなんだ!
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しおりを挟む「類くん!今週の土曜日お祭りあるって!行きたい!」
「いやだ」
間髪入れずに出てきた言葉を、今度は私がジト目で彼を見つめ返す。
どうせそう言い返されるのは分かっていたんだけど。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか先に釘を刺される。
「…祭りなんて人混み、暑いし帰るのは大変だしいい思い出なんてない」
類くんがそういう考えなのも分かってた。
だけど夏といえばお祭りだし、好きな人とは一緒に行きたいものじゃない?
それでも無理矢理連れて行く気にはなれなくてしょんぼりと肩を落とす。
「…そうだよね。類くん絶対そういうの苦手だろうし分かってたけど、好きな人とお祭りに一緒に行くの夢だったんだ……」
しゅん…、と肩を落として緑茶をちびちび飲んでいると、類くんははぁあ…とため息をついてこちらを見た。
「…ちょっと行くだけなら」
「ほんと?!」
「少し歩いたら帰るからな」
「うんうん!」
わーっ!
なんだかんだやっぱり類くんって優しい!
目を輝かせながら、メイクはどうしようとか、浴衣なんか着ちゃおうかなあとか、皆に見られちゃったらどうしよう、とか。
一瞬でキャッキャしながら心をときめかせていると、その内心を冷静な類くんには悟られていて。
「浴衣とか着ようって考えるなよ」
「うっそ!なんで!普通女の子の浴衣って見たいもんじゃないの!」
「目立つじゃん」
「祭りに浴衣は逆に自然だよ!」
もー、類くんは乙女心ってものがわかってないんだから。
でもま、私に合わせようとしてくれてるのは分かってるから、それだけでもありがたいかな。
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