61 / 155
君じゃなきゃダメなんだ!
8
しおりを挟むバフッと類くんの胸の中に顔が収まる。
お風呂上がりの優しい香りがふんわりと鼻先をかすめた。
「…抱きしめるって、どういう感じ」
「へ?」
何を言い出すのか。
今あなたがやってるのがそっくりそのまま抱きしめるって事だけど。
「あんたの幼馴染が抱きしめたって、どういう感じ」
「…優斗が……」
少しイラッとした表情で類くんは聞いてきた。
どういう感じって聞かれても、今回の優斗はいつもと違って何か冷静じゃなかったというか。
強引で、らしくなく焦った表情で、無理矢理私にキスして…。
そんな事を思い出していると、類くんはチッと舌打ちして、
「…やっぱいい」
「え?もー何それ。ほんと類くんってわかんな」
私がそう言いかけて、それを遮るように類くんは私の上にごろんと覆い被さって抱きしめた。
そんでぎゅううっと腕の力を強く入れてきて、私はギブギブ!と彼の胸を叩く。
「プハッ!死ぬかと思ったじゃん!」
「…っふ」
「何笑ってんのよー」
機嫌悪くなったり、しゅんとしたり、怒ったり、笑ったり。
私はまだまだ全然類くんの表情の変化にはついていけてない。
でもまあ、最後に笑ってくれたらそれでいいのかも、なんて私まで笑えてくる。
そして安心したらなんだか眠くなってきて、この温かくて柔らかい布団に包まれて私はうとうとし始めた。
「眠いか?」
「ん…、そりゃあんだけ働いた後だとねえ…。あ、類くんシたいの?」
抱きしめられたまま横になってたからか、類くんの大きくなったソレが私の太ももに当たっていて元気だなぁと思う。
あ、でも、男の人は疲れてる時ほどしたくなるんだっけ?
仕方なくそれに手を伸ばそうとすると、類くんにぎゅっとまた抱きしめられた。
「ぅぐ…っ」
「いい、寝ろ」
「…いいの?てかあんなに働いた後なのに元気だね」
「……そりゃ、あんたのこんな姿見たら誰でも…」
「え?」
ごにょごにょ言ってるから聞こえなくて、聞き返したらほっぺをむにっと摘まれる。
そして唇を食べられるようにぱくっとキスされて。
「いいから黙って寝ろ」
「…おーぼー…」
私はそうつぶやいて、それでも心の中ではにやけてにやけて仕方がなかった。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる