56 / 155
君じゃなきゃダメなんだ!
3
しおりを挟むそして次のバイトの出勤日。
今日は類くんも優斗もななも皆いるフル出勤デー。
類くんとも優斗とも顔を合わすのは何となく気が引けるなあ、と早めに出勤すると、既に中には類くんと優斗がいた。
うっわ、今会いたくないベスト2の2人が揃いも揃って……。
入らない方がいいよなぁ、と入り口であたふたしてると優斗の声がした。
「中途半端に弄ぶくらいなら初めからあいつに期待させんなよ」
え、と思ってドアの小窓からひっそりと覗く。
すると優斗は椅子に座ってる類くんの肩を強く掴んでいた。
「期待も何も、あっちが勝手に俺の周りうろついて勝手に期待したんだ。目障りだったからいなくなって清々してる」
類くんは優斗が掴んだ手を軽く払った。
が、優斗は両手で類くんの肩を掴んで言う。
「あいつの気持ち分かってて何でそこまで言えるんだよ!」
「それであんたの出番だろ?あんたが今まで通り面倒見てやればいいし、優しく慰めてやりゃいいじゃん」
ふっと面白がりながら類くんは笑った。
と、後ろからトントンと肩を突かれ振り返るとなながいた。
何してんの?とななが首を傾げると部屋の中からガシャンッと大きな音が聞こえて私は振り返ってドアを開ける。
そこでは類くんを突き飛ばした優斗が彼に乗りかかろうとしていてななが慌てて間に入った。
「ちょっと!2人とも何してんの?!」
状況が掴めないななは床に腰を落としている類くんに手を伸ばす。
類くんはそれでもハハッと馬鹿にしたように笑って、優斗の肩に手を置いて休憩室を出て行こうとした。
そしてドアの前で立ち尽くす私をちらっと見て、何も言わずにホールの方へ行ってしまう。
「優斗、何があったのよ…。手、切れちゃってんじゃん」
ななが心配そうに優斗の手を握り、救急箱から絆創膏を出して付けてあげた。
あんな風に怒る優斗は見たことがなかった。
いつも穏やかだし、私のわがままだって笑って聞き流してくれるような人だから。
「あんなのの、どこがいいんだ…」
ぼそっと優斗がつぶやく。
「…ほんと、見る目なさすぎ」
そうつぶやいて優斗は部屋を出て行って、ななもその後を追った。
1人部屋に残されて、私は唇を噛み締める。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる