【完結】【R18】明子はへこたれないッ

倉田

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君じゃなきゃダメなんだ!

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そして次のバイトの出勤日。

今日は類くんも優斗もななも皆いるフル出勤デー。

類くんとも優斗とも顔を合わすのは何となく気が引けるなあ、と早めに出勤すると、既に中には類くんと優斗がいた。

うっわ、今会いたくないベスト2の2人が揃いも揃って……。

入らない方がいいよなぁ、と入り口であたふたしてると優斗の声がした。


「中途半端に弄ぶくらいなら初めからあいつに期待させんなよ」


え、と思ってドアの小窓からひっそりと覗く。

すると優斗は椅子に座ってる類くんの肩を強く掴んでいた。


「期待も何も、あっちが勝手に俺の周りうろついて勝手に期待したんだ。目障りだったからいなくなって清々してる」


類くんは優斗が掴んだ手を軽く払った。

が、優斗は両手で類くんの肩を掴んで言う。


「あいつの気持ち分かってて何でそこまで言えるんだよ!」

「それであんたの出番だろ?あんたが今まで通り面倒見てやればいいし、優しく慰めてやりゃいいじゃん」


ふっと面白がりながら類くんは笑った。

と、後ろからトントンと肩を突かれ振り返るとなながいた。

何してんの?とななが首を傾げると部屋の中からガシャンッと大きな音が聞こえて私は振り返ってドアを開ける。

そこでは類くんを突き飛ばした優斗が彼に乗りかかろうとしていてななが慌てて間に入った。


「ちょっと!2人とも何してんの?!」


状況が掴めないななは床に腰を落としている類くんに手を伸ばす。

類くんはそれでもハハッと馬鹿にしたように笑って、優斗の肩に手を置いて休憩室を出て行こうとした。

そしてドアの前で立ち尽くす私をちらっと見て、何も言わずにホールの方へ行ってしまう。


「優斗、何があったのよ…。手、切れちゃってんじゃん」


ななが心配そうに優斗の手を握り、救急箱から絆創膏を出して付けてあげた。

あんな風に怒る優斗は見たことがなかった。

いつも穏やかだし、私のわがままだって笑って聞き流してくれるような人だから。


「あんなのの、どこがいいんだ…」


ぼそっと優斗がつぶやく。


「…ほんと、見る目なさすぎ」


そうつぶやいて優斗は部屋を出て行って、ななもその後を追った。

1人部屋に残されて、私は唇を噛み締める。
 
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