53 / 155
歓迎お断りッ?
9
しおりを挟む「優斗……?」
ぴく、と眉毛が動いた。
あ、いけない。
誤解されちゃう。
「あの、約束通り今は全然誰ともヤったりしてないからね!優斗とも。ていうか優斗は私が失恋した時だけ慰めてくれるって言うか、それだけで」
そんなセフレみたいに好きな時にやる訳じゃないんだよ、と弁解する。
それでも尚、彼の表情は晴れない。
「その慰めてくれる時がすっごい優しくて、その仕方に私は癒されるって言うか。類くんとはまた違うんだけど安心できるって感じで」
ああ、なんて言うか、勝手に口がぺらぺらと喋っていく。
こんな事話すつもりはさらさらなかったのに類くんの顔が徐々に怖くなっていくから、口が止まらなくて。
「優斗優しいから、早く彼女作ったらいいのにって。あ、でもそしたら私が失恋した時誰に慰めてもらうのって話なんだけど」
へへ、と笑っても類くんはこちらを見なくて、そして立ち上がって服を着始めた。
あ…、と思って類くんに手を伸ばすが、彼はつぶやいた。
「……ほんと萎える、帰れよ」
今まで聞いた中で、一番低くドスのきいた声で。
私は思わずびくっと身体を硬直させて、息をするのも忘れてしまう。
どうしよう、怒らせた、類くんを。
優斗とシていたのは過去の話だけど、それちゃんと伝わってなかったのかな。
今でもシてるって思われたのかな。
ちゃんと違うって言いたくて何かを発しようとしても類くんは私に背中を向けたまま見ようともしない。
私は仕方なく散らばった衣服を集めて服を着て、鞄を持って携帯を見ると日付はまたいでいた。
「あ、電車……」
急いで終電を調べたが、ついさっきそれは行ってしまったらしい。
どうしよう、歩いて帰ろうか。
いや、ちょっと距離があるからタクシー?
でも鞄の中から財布を出しても小銭が出てくるだけで、とてもタクシーに乗れそうになかった。
どうしよう……。
そう思っていると机の上に類くんはお札を出して、リビングを出て行こうとする。
「それ使ってタクシーで帰れ」
「っ、でも…」
「早く行けよ」
ぎろ、と睨まれてリビングのドアが閉まった。
だだっ広い部屋に1人残されてしまう。
さっきまで幸せな気持ちだったのに、勘違いさせてしまって口も聞いてもらえなくなってしまった。
私は泣きそうになるのを必死に堪えてお金を手に取って部屋を静かに出た。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる