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自分が好きな自分って?
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しおりを挟む次の日の学校終わり。
善は急げってなわけで美容院に行って、背中まであった明るい金髪寄りの茶髪をショートにして暗めの赤茶色に染め直した。
小学生ぶりくらいにショートヘアにしたから首元がすーすーして落ち着かない。
でも思ったよりも似合っている気がして背筋がしゃんとする。
メイクも久しぶりに雑誌を買い、最近話題の美容動画も見まくって自分に合うメイクを研究してみた。
それを実践して学校に行くと意外と高評価で。
「明子かわいいっ!前のギャルメイクはちょっと顔浮いてたけど、今のナチュラルメイクのが断然いいよ!元がいいしね」
「ありがとうキキ」
「ほら優斗も見てみてー!」
キキに背中を押されて教室に戻ってきた優斗と翔太の前にポンと放り投げられる。
「ど、どうかな」
「…まあ、元々俺はギャルよりそっちのが合うんじゃって思ってたし」
「うんうん!めーちゃん自まつ毛長いし肌も綺麗だし、こっちのが会うんじゃないー?」
優斗も翔太も良い反応をしてくれて俄然自信が湧いてきた。
こうなったら早く成果を類くんに見てほしい所なんだけど、こういう時に限ってシフトが被らない。
「今日も類くんお休みか…。あ、昨日は入ってたんだ」
バイトの休憩にて。
ホワイトボードに貼ってあった今月のシフト表を指差しながらはあ、とため息をつく。
するとガチャッとドアを開けて社員さんが入ってきた。
「ん?めいちゃん?わ、髪型変えたねー!一瞬わかんなかった!メイクも違うし」
そう言って彼は短くなった私の髪に触れる。
耳に指先が当たってびくっと私はした。
「相変わらず可愛い反応。…ね、今誰とも付き合ってないって噂で聞いたけど、ほんと?」
ぐいぐいこっちの領域に入ってくるのは前とちっとも変わっていない。
実はこの人、前の前の前…くらいに付き合っていた人だったりする。
バイトに入りたての頃に告白されて、半年弱は付き合ったけどある日好きな子が出来たとあっさり振られて終わったのだ。
それ以降は向こうもこっちに絡んでこなかったからそんなに気にしてなかったんだけど……。
「…吉田さんこそ、好きな子と付き合えたって前皆に話してませんでしたかっ」
「あー彼女ね、いるけど最近忙しいみたいで会えてなくて。なんか浮気されてる気がしてさあ」
「そうですか」
これは話していても埒があかないと部屋を出て行こうとしても、知らぬ間に壁際に追いやられていて逃げる隙間がない。
「まだ時間早いから誰も来ないよ」
「…そう言って、昔も店長に見つかりそうになって冷や汗かいた時あったじゃないですか!」
「そーだっけ?」
とぼけた顔して…、と口を尖らすと、何故かちゅっと軽くキスをされる。
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