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絶対落としてみせるから!
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しおりを挟むドキドキと心臓の音がうるさく跳ねる。
類くんの表情は一瞬動揺を見せて、また戻って、ふ、と崩れるように笑った。
「あんた、馬鹿なの?それともただのヤリマン?自信あるの?テクに」
そんなのわかんないよ。
いろんな人とは経験あるけど、言われた通りにしてきただけだし、ましてや本気で好きな人とちゃんとしてきたかなんて今となっては自信がない。
でも。
「……損はさせない、…と、思う」
そう言うと類くんはまたふっと馬鹿にしたように笑った。
そして辺りを見渡してから私の腕を引いた。
「わかった。そこまで言うんなら抱いてやる」
いちばんそこから近くにあったラブホテルに入る。
あっという間に彼は部屋を選んで気づいたらエレベーターの中で。
「ただし、後悔させんなよ」
耳元で類くんはつぶやいた。
その低い耳を震わすような声を聞くだけで、身体の芯が火照ってしまいそうで。
また手を引かれて彼は部屋の中に私を通した。
まさかこんな事になるなんて、さすがの私も考えてはいなかったんだけども。
ごくりと喉が鳴る。
ほんとに、ほんとにほんとに。
今からこの究極イケメンとシてしまうのかぁっ?!!
「早く中入れよ、今更びびってんの?」
「…な、わけないじゃないの、何言ってるの」
「そうだよなあ。あんな啖呵切ってくれたんだから、相当楽しませてくれるんだよな」
ハハハ、と軽く笑って類くんは中に入っていった。
いやここは冷静に自分のペースを保ってね。
何も私だってラブホがはじめての生娘じゃないんだから、これがただの男ならこうもならないんだけど。
相手があの一条類さんだから……って。
「え、ちょ、なんでここで脱いでんの?」
「ヤるんだろ。さっさとあんたも脱げよ」
「いやシャワー浴びさせてよ」
「俺は今ヤりたいんだけど」
すでに半裸の類くんに手を握られ早速ペースを乱されそうになる。
が、半裸に惑わされないように。
「バイト上がりは煙臭いから絶対やなの!」
そう言って私はシャワールームに走りシャッとカーテンを閉める。
ドッドッドッドッ、と類くんの上半身裸を見ただけで高鳴るウブな心臓を鳴り止まらせるには一回シャワーに入るしかない。
とりあえずシャワーを浴びて冷静に…と蛇口を捻り汗を流しつつ頭を冷やしていると、風呂場のドアが開いた。
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