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はろーまいぷりんす!
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しおりを挟む「ねえどーーーー思う?!?!!酷くない?!てか私文句も言わずに出てくるとか良いオンナじゃない?!」
「バッカねぇ。それを言うならどうでもいいオンナでしょ」
「ひどい!ななもひどすぎる!」
次の日の学校は、それはそれは荒れたもんだった。
昨日は終電にギリギリ間に合って泣きながら帰ったから顔は浮腫んでるし目は真っ赤だし、髪もぼさぼさでとにかく見るに耐えない感じ。
昨日の悲惨すぎる状況を一から皆に説明するけど、またかって反応で誰一人真面目に聞いてはくれないのだ。
「つまりあれでしょ?今回もよく知らない人に突然告白されて、付き合ってから明子は好きになったけど相手は身体だけが目当てだったっていういつものやつでしょ?」
「……最初はちゃんとめいちゃんって呼んでくれたりキスしてくれたりデート連れてってくれたよ?一応」
「いやそれ当たり前だから。それ特別なことじゃないからマジで」
キキは私の前の席で椅子をカタカタしながら、おちょくるように私のほっぺをむにむにする。
ムー。
自分は長く付き合ってる彼氏がいるからってさ、いつも私のこと馬鹿にするんだから。
「いい加減明子も男見る目磨きなって。いつも痛い目見てるんだから」
「だって、好きって言われたら嬉しいじゃん」
「ただでさえ顔とおっぱいはモテるんだからちゃんとしたやつ選別しなさい」
隣の席からなながシャーペンで私の胸をつつく。
ななはそう言うけど、そんなの見た目だけじゃわかんないよ付き合ってみないと。
「なになに?まさかまためーちゃん振られたの?ドンマイ☆」
「こりねぇなあ」
「ちょっ、決めつけないでよ翔太、優斗!…まあ事実なんだけどさ」
ケケケと楽しそうに笑って翔太はカバンを席に置いてキキの椅子に座る。
2人は中学の時から付き合っててもう3年?くらいになるのかな。
とにかく仲がいい。
そして私の隣にカバンを下ろしたのが私の幼馴染の優斗。
「今回何ヶ月?」
「……2ヶ月ちょっと」
「まー、もった方なんじゃないの?その前はなんだっけ?1週間?」
「もう、優斗いっつも馬鹿にするんだから」
「俺だけじゃなくて皆思ってるよ。『アホでビッチな明子ちゃん』って通り名、そろそろ払拭したほうがいいんじゃない?」
ふ、と優斗は笑う。
そんなのわかってる。
だけど運命の人はきっと数を打たなきゃ当たらないってのが私の真理。
だからとにかくこんな失恋でへこたれてる場合ではないのだ。
「いいもん!次は絶対絶対私に一途な男を捕まえてみせるんだから!」
「がんばれめーちゃん☆」
「次も同じように泣きをみてるに1票!」
「右に同じく」
「キキもななももうちょっと応援してよー!」
そんなこんなで先生が入ってきて朝礼が始まった。
あーあ、4月も始まったばっかなのに生い先真っ暗。
ポジティブにいきたいけどこればっかりは何度やっても結構堪える。
まだ涙だって出てくるし。
友達と喋ってないとしんみりしてきてしまって、ぼうっと筆箱を眺めてると右隣から優斗が私の脇腹をペンでつついた。
『なぐさめてやろっか』
頬杖をつきながら顔をこちらに向けて。
口をパクパクさせてそうつぶやく。
私はそれをじっと見つめて。
いつものようにこくっと小さく頷いた。
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