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第4章…新米女教師
13.結衣が好きだ
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「―――南場さん……」
ハァ……ハァ……
「……ッ……! 結衣……ッ!」
ベッドの上。
パンツ一丁で仰向けに寝る流星。
そして、上には下着姿の結衣。
リボンが刺繍された可愛いブラジャーとパンツに身を包んだ結衣が、流星の上に跨っていた。
「好きだ……結衣……ッ!」
「私も……南場さん……」
お互い顔が真っ赤で、息を乱しながら熱い視線を絡ませる。
やや視線を落とすと、圧倒的な重量感、圧倒的なボリュームの乳房がそこにある。谷間から視線を離せなくなる。
重力に従いぶら下がっていていつもよりさらに大きく見えた。
「南場さん……ジロジロ見すぎ……」
「いやだってマジですげえし……」
「ふふっ……なんか元気になってるよ?」
「ッ!」
なんと結衣は流星の股間を撫でてきた。もうパンツを突き破りそうなくらい硬く熱く膨らんでいた。
「あっ……結衣……そこは……!」
「触っちゃダメ?」
「いや! 結衣ならいいッ……むしろ触ってくれ……!」
「ふふっ」
クスクス笑いながら指先で流星の大事な部分をなぞるように触る結衣。
そして、パンツの中に手を入れてきた。
「あっ……! 結衣、それ以上は……!!」
これ以上はまずい。おかしくなってしまう。しかし結衣の妖艶な姿、妖艶な指の動きに抗えるはずもなかった。
「ッ! ヤバイ! ヤバイって―――」
―――
「―――はっ!!」
覚醒する。視界には部屋の天井。
和室のような雰囲気の流星の部屋だった。
「えっ!? あれっ!? 結衣は!?」
キョロキョロと周りを見渡す。残念ながら結衣はいない。自分の部屋、自分1人だけだ。
「……ゆ……夢か……ちくしょう……いいところだったのに……」
目覚めたタイミングが最悪すぎて歯ぎしりして悔しがる。せめてあと1分だけでも夢を見ていれば、結衣と官能の世界に行けたはず。
もう一度寝て夢の続きを見ようと思ったが、もう朝だった。窓から日差しが入ってくる。
仕方なく流星はン~、と唸り声を上げながら上体を起こす。
そこで自分の股間が大きなテントを張っていることに気づいた。
朝から元気な自分の大事なところを見て、呆れたような困ったような微妙な表情をした。
朝勃ちは珍しくないがここまで元気いっぱいだと自分で自分に引く。ドエロな夢も見るし。
昨日は流星にとって目の保養になったり眼福になる光景をいろいろ見た。それが今回見た淫夢の原因だろう。
結衣のパンツもバッチリ見てしまったし、風呂に入ってる結衣の裸までほんの一瞬だけとはいえ見てしまった。
乳首とか大事な部分とか、肝心なところはよく見えなかったが、見えそうで見えなかったからこそ流星の性的興奮が燃え上がった。
脳裏に焼き付いて昨夜からずっと発情している。目を閉じるだけで鮮明に思い出される。
「……」
ムラムラ……
「くっ!!」
流星はもう我慢できなかった。
ズボンもパンツも脱ぎ、下半身丸出しの情けない格好でマスターベーションを始める。
「ハァハァ……結衣ッ……! 結衣ッ……!!」
結衣の名前を呼びながら自身を慰める。結衣のことを考えるだけで、凄まじく捗る。魂が抜けそうなほどの快感で全身を支配された。
自分で自分を全然コントロールできない。一体どうしてしまったのか、自分でもわからない。
なぜ結衣のことを考えるだけでこんなにも欲情するんだ。
流星は最強の不良で、提央祭で何度も優勝してきた。女に困ったことなど一度もない。
そんな流星が、なぜたった1人の女の子にここまで心を乱される?結衣は確かに可愛い。殺人レベルに可愛い。胸もでかいしスタイルも極上。
だがそれがどうした。可愛くて胸がでかい女なんて他にもいる。何も結衣だけの専売特許じゃない。ましてや流星ほどの男なら寄ってくる女なんていくらでもいる。いい女選び放題ヤリ放題だ。
なのになんで流星は結衣に惚れてしまったのか。なんで結衣なんだ。結衣は流星の華やかな人生に傷をつけた女のはずなのに。
流星のキスを嫌がった唯一の女。
流星の提央祭50連覇を阻止した女。
流星にビンタをぶちかました女。
惚れるどころか本来は憎むべきはずの女だ。なのにどうして……
『ケンカの百戦錬磨ならこの程度の作戦に引っかかっちゃダメですよ』
自らスカートをめくり上げたときに言った結衣の言葉が流星の脳内にリピートされる。流星はさらに性的興奮した。
結衣は何もわかっていない。あれのどこがこの程度の作戦だというのか。
結衣のその豊満な乳房と白い太ももがどれだけ流星の理性を惑わせ狂わせているか、結衣には想像もつかないだろう。
屈辱だ。流星がマスターベーションなどするハメになるとは。だが抗えない。
結衣が好きだ。たった1人の女を……会って数日しか経ってない素性もハッキリしていない女を……こんなにも1人の女を好きになってしまったのは初めてだ。
こんなにおかしくなるくらい、狂うくらい心の底から惚れてしまっている。
流星は欲が溜まればいつでも相手してくれる女がいっぱいいる。本来ならマスターベーションなどする必要はない。
なので流星にとってマスターベーションすること自体が屈辱だった。しかし他の女とセックスするより、結衣をオカズにマスターベーションする方が快感が高かった。
流星はそのまま快楽の頂点まで一気に駆け上がり、荒い呼吸をしながらしばらく放心状態だった。
―――
その後、流星は学校に行く。だがその前に結衣を迎えに行く。
しかし流星に元気がない。なんかどんよりとして気が重そうにいつもの道を歩いた。
自慰行為というのはわりと体力を使うようだ。普段は女とセックスばかりしてるから自分でするのがこんなに空しい行為だとは思わなかった。
賢者タイムがヤバかった。疲労感があるし好きな女の子をオカズにしてしまった罪悪感もあるし。朝からもうだるいしこのまま学校サボってしまおうか。
…………
いや、ダメだ。流星は考えを改めて自分に喝を入れた。
自分には結衣を守る使命があると思っている。結衣のためならどんなに辛くても頑張れる。
それに結衣に会いたい。結衣に会えるチャンスを潰しサボるなど論外。そうと決まれば少しでも早く結衣の家に行きたくなった。
流星は気合を入れて歩く。
背後の電柱で、何人か怪しい者がコソコソ隠れていた。5人いる。流星に恨みを持つ不良集団だった。
「おい見ろよ。南場流星が1人でノコノコ歩いてるぜ」
「今月の提央祭優勝できなかったらしいな……」
「今の奴は王じゃねぇ。今ならボコボコにしても問題ねぇ。今までの恨みを晴らすチャンスだ」
今回の提央祭で敗北し王じゃなくなった流星は、敵に狙われやすくなる。非常に危険な状態だ。
「死ねええええ南場ァ!!!!!!」
5人の不良は一斉に背後から流星に襲いかかった。
―――
流星は背中が痛い。昨日哲也に容赦なく蹴られまくったのが効いている。コンディション最悪だ。今の流星は普段の半分の実力も出せないだろう。
そんなことを考えながら辛そうに歩く。
襲ってきた不良はいつの間にか全員ボコボコにされ路上に倒れていた。半分の実力も出せないと言っておきながら襲ってくる不良を余裕で一掃し、何事もなかったかのようにスタスタと歩く。
流星のダメージはすべて哲也から受けたもの。不良たちからは一発も食らうことはなかった。
辛くても結衣に会えれば元気になるだろう。これから結衣に会えると思うと元気も出てきた流星は疲労感も忘れウキウキで結衣の家に向かった。
―――
「結衣ならもう学校に行ったぞ」
「なっ……なんだと……!?」
ウキウキで結衣の家に行ったが、もうすでに結衣はおらず、心底迷惑そうな顔をした兄・哲也しかいなかった。結衣は流星が今日も家に来るのではないかと警戒し、いつもより早く学校に行った。
流星はガッカリする。だがガッカリしてる場合ではない。今結衣は1人で危険だから1秒でも早く会いに行かなければと思った。
「そうか、邪魔したな。早く学校に行かねーと」
学校に行けば今度こそ結衣に会えると思った流星はすぐに立ち去ろうとする。
「おいちょっと待て」
が、哲也に呼び止められた。
「なんだよ? オレ今急いでんだよ」
うざったそうな顔で振り向く流星に哲也は頭の血管が切れそうなほど苛立つ。
「……まさかお前毎朝ウチに来る気か?」
「当たり前だろ。結衣を守るためだ」
真顔で即答する流星。頭痛がしてきた哲也。
「いいかげんにしろよお前。二度と結衣に近づくな! 何が結衣を守るためだ。ただのストーカーだろうが! 昨夜結衣の裸を覗きに来といてよくノコノコと家に来れるな。どういう神経してんだ」
切り裂くような殺気を放つ哲也だが、流星にとって憎まれたり恨まれたりするのは慣れっこなので特に気にしない。
「だーかーらー、オレは覗きに来たんじゃねーって。何度も言ってんだろ盗撮犯を捕まえに来たんだよ。オレがいなかったら逃げられたかもしれねーんだぞ? ちゃんと捕まえたんだからいいだろうが」
「でもお前も結衣の裸見たんだろ?」
流星はギクッとした。少し冷や汗を流す。
「……ゆ……結衣には黙っといてくれ……」
「ホラ見ろやっぱり覗き魔じゃねーか!! 顔赤くしてんじゃねーよ何想像してんだ気持ち悪い!!」
「だ……大丈夫だお兄様! 乳首とかアソコまでは見えなかったから! 結衣の秘密は守られた!」
「何が大丈夫なんだふざけんなこの変態が!!」
沸騰するヤカンのように哲也はキレた。やはりこの変態を生かしてはおけないと確信した。
「まだお仕置きが足りないようだな今度こそぶっ潰してやる!!!!!!」
哲也は怒りの鉄拳を流星に喰らわせようとする。
しかし、至近距離にも関わらず流星は難なく躱した。
「フン、殴れるもんなら殴ってみやがれ」
「あっ、待て!!」
流星は素早く退散する。哲也は追いかけようとするが、逃げ足が速くあっという間に見失ってしまった。
「チッ……! やはり提央祭で叩きのめすしかないか……」
1ヶ月後の提央祭で、必ず流星を倒し結衣を守ると誓った哲也だった。
―――
猛ダッシュで学校に行き、1年校舎の廊下をドドドドドドと走る流星。
「オラオラどけどけェ!! 邪魔だァ!!」
廊下にいる生徒たちを吹っ飛ばす勢いで走り、結衣のクラスに到着した。
「結衣ッ!!!!!!」
「ひゃっ!?」
ドアをバァンッと乱暴に開ける。
教室にはすでに結衣がいて、ビクッと身体を震わせた。
「な……南場さん!?」
「ああ結衣……よかった……」
「は……? よかったって何が……?」
「無事でよかった……」
「? 何言ってんですか」
結衣が好きすぎて過保護になった流星は、結衣が1人で無事に学校に来れてることに安堵した。
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