狂うほどに愛したい ~野球部補欠のオレでも超可愛い巨乳美少女マネージャーと熱い恋をしたい~ (健全版)

湯島二雨

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第17章…文化祭

国本麗奈とお化け屋敷

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 「お願いします滝川先輩! ちょっとだけでいいですから。10分、いや5分だけ! だから私のクラスに遊びに来てください」

「いや、ちょっと……」

「お願いします~」


国本さんはオレの腕を引っ張ってくる。おとなしそうな子に見えるのに国本さんめっちゃグイグイ来る……!

なんだこれ。ついにオレにもモテ期到来か……!?

美希と付き合う前のオレならめっちゃデレデレしただろうな。女の子に引っ張られて誘われるなんて男なら誰でも憧れるシチュエーションなのではないか。


「いいじゃないですか。せっかくの文化祭なんですからいろんなクラスに遊びに行った方が楽しいと思いますよ?」

「う……」

確かにそうだ。オレは文化祭大好きだ。せっかくならたくさんのクラスを回って楽しみたい。


「私はただ、憧れの先輩に文化祭を楽しんでもらいたいだけなんです。そのために頑張って準備してきました。絶対楽しい自信があります。ちょっとだけでいいのでぜひ来てください」


……別に難しく考える必要はない。
後輩の子に客引きされてるだけだ。オレは客でしかない。客を逃さないようにしてるだけだ。

オレはお化け屋敷にも興味はある。行ってみたい気持ちはある。ちょっとだけって言ってるしだったら別に断る理由はない。

断ったらノリが悪いとか空気読めないとか思われる。それはちょっとイヤだ。


「……お願いします滝川先輩。ダメですか……?」

「っ……!」


捨てられた子犬みたいな目で見るな。それは卑怯だぞ。そんな目で見られたら断れなくなる。


「……じゃあ、ちょっとだけ……」

「やったぁ! ありがとうございます!!」


結局オレは断れなかった。こういう時オレは本当に弱い。昔から断れずにパシられるとかよくあったし。
美希もお昼まではメイド喫茶で働いてるだろうし、お化け屋敷行ってからでも遅くはないよな……

……いろいろ言い訳したけど美希より他の女の子を優先したみたいな感じになっててオレは自己嫌悪が凄まじかった。



―――



 1年A組にやってきた。
自信あるって言ってたけど確かにすごくクオリティ高い。教室の外からでもよくできてるなぁというのがよくわかる。

「……じゃあさっそく行ってくる」

オレは受付を済ませてお化け屋敷に入ろうとする。
なぜか国本さんもついてきた。


「なんで1人で行こうとするんですか。私と一緒に行きましょう」

「え!? いやなんで?」

「なんではこっちのセリフですよ。2人で行った方が絶対楽しいですよ」


……まあそうかもしれないけど、だったら美希と一緒に行きたいんだが……

でも女の子をチェンジするのも失礼だし、国本さんと2人きりでお化け屋敷に入ることになった。

なんで美希以外の女の子と2人でこんなことしてるんだオレ……?
自己嫌悪がさらに強くなる。


「ふふふ、覚悟しておいてくださいね。すごく怖いですから」

国本さんはそう言ってオレにピタリとくっついてきた。


「……あの、国本さん? 近いんだけど……」

「……だって、怖いですから……」

国本さんはガクガク震えててガチで怖がってるように見えた。

自分のクラスの出し物でこんなに怖がるものなのか? 準備してるんだから内容知ってるんじゃないのか?
それとも演技か? オレを楽しませようとする演出か?


「……滝川先輩、なんだかこれってデートみたいですね」

「……!?」


国本さんさあ、オレに彼女がいるのわかっててそんなこと言うのか!?
国本さんって意外と小悪魔系? からかってるのか? 国本さんがどういうつもりなのかさっぱりわからない。

とにかくお化け屋敷を楽しむか。中は真っ暗で、青白い光を放ち、段ボールで作ったと思われるお墓が所々にある。中もやはりよくできている。


「う~ら~め~し~や~……」


あ、お化け出た。つーか出るの早いな。

顔を真っ白に塗って、血を垂らしてるかのように白い着物に赤い絵の具をつけた男子生徒が、オレたちの前に現れた。


「きゃあああああ!!!!!!」


―――むぎゅっ


「っ!?」


国本さんは悲鳴を上げてオレに抱きついてきた。


「ちょっ、何してんの!? 離れてくれ!」

「怖い、怖いです~!」

離れるどころかもっと強く抱きついてきた国本さん。

これも演技か!? 演出か!? それともガチで怖がってるのか!?
オレの頭は混乱しすぎてキャパシティを超えている。


ずっと密着され、国本さんの匂いがする。いい匂いだ。
だけど美希の匂いじゃない。なんか違う。

国本さんの胸がふにっと押し当てられる。
おっぱい星人のオレはどうしてもそこに意識が行ってしまう。

美希より小さくて控えめな胸だ。でも柔らかさと膨らみをハッキリと感じ取ってしまう。いい感触だと思ってしまう。控えめな大きさの乳も悪くないと思ってしまう。
だけど美希の胸じゃない。なんか違う。


今オレの隣にいるのは美希じゃない。
オレの細胞すべてが違和感まみれでおかしくなってきた。


「―――っ、離れろって!!」


ドンッ!

「きゃっ……」


オレは国本さんを突き飛ばしてしまった。
突き飛ばした瞬間、オレはハッとする。


「……っ、た、滝川先輩……」


国本さんは悲しそうな、泣きそうな表情をする。


「えっ……!? え……えっと……」

お化け役の男子生徒がとても気まずそうな顔をする。
気まずい空気が流れる。この空気を自分でなんとかしなくてはいかない。


「ご、ごめん! 大丈夫か国本さん!」

オレは真っ先に国本さんを心配する。国本さんは俯いたまま動かない。


「……麗奈」

「え?」


「……麗奈って呼んでください。そうじゃなきゃ許さないです」


国本さんにいきなりそう言われた。言う通りにした方がよさそうだ。


「……っ、麗奈、ちゃん! 麗奈ちゃん大丈夫か!?」

「……いえ、私の方こそすみませんでした。文化祭で気分が浮ついてて、憧れの先輩に会えて舞い上がって、調子に乗ってしまいました」

「いや、突き飛ばしたオレが悪いんだって! 本当にごめん!」

「私は大丈夫ですから! せっかくの文化祭ですし盛り上がっていきましょう!」


麗奈ちゃんは明るさを取り戻し、オレの手を引っ張ってズンズンと先に進んでいった。



 お化け屋敷のゴールにたどり着き、オレと麗奈ちゃんは教室から出た。


「滝川先輩っ、お化け屋敷は楽しかったですか?」

「あ、ああ……」


オレはぎこちない返事をしてしまった。

確かにお化け屋敷はすごかったしおもしろかった。だが、麗奈ちゃんに抱きつかれてドキドキしてしまってあまり集中できなかった。


「……じゃ、じゃあオレは美希のクラスに行くから」

「はい、また会いましょうね滝川先輩っ!」


麗奈ちゃんは笑顔で手を振ってくれた。それがまたとても可愛いと思ってしまった。



―――



 オレは1年A組から離れ、美希のクラスへ向かう。

麗奈ちゃんに心を乱されてしまった。麗奈ちゃんに抱きつかれてから必死に隠してきたが、股間がしっかりと勃ち上がってしまっている。


……やっぱり男って下半身は別の生き物なんだな。
オレの心は美希じゃなきゃダメなんだって叫んでいるが、股間の方は麗奈ちゃんでも大きく反応している。

勃起したってことは、麗奈ちゃんに欲情したんだ。
オレの愚息は麗奈ちゃんを欲しているんだ。麗奈ちゃんでもいいって言ってるんだ。心が違和感を感じて拒否しても下半身は受け入れた。可愛い女の子なら誰でもいいってことなんだ。

美希が好き、美希を愛しているって散々言ってきたくせに麗奈ちゃんに欲情した。
そんな自分が許せなかった。激しい自己嫌悪に陥る。


オレは本当に最低だ。どのツラ下げて美希に会いに行けばいいんだ。

美希に隠し事なんてしたくない。美希に会ったら正直にこのことを話して謝ろう。

美希は怒るだろうか? そりゃ怒るだろうな。
他の女の子と2人でデートみたいなことして、抱きつかれて興奮しちまったんだから。
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