狂うほどに愛したい ~野球部補欠のオレでも超可愛い巨乳美少女マネージャーと熱い恋をしたい~ (健全版)

湯島二雨

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第7章…最後の夏

大会2回戦

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 そして数日後に2回戦。
2回戦の相手は、城ヶ島じょうがしま高校になった。

城ヶ島高校はまだ歴史が浅い新設校だ。今まで対戦したことがない学校なので、どんなチームなのかよくわからない。
数日間の間にデータを集めて、対策しないといけない。


オレたちは1回戦を終え、今日は解散ということで、県営野球場を後にする。

チームメイトと別れ、オレは家へ帰る。
駅に向かって歩いていると、後ろから聞き慣れた声がした。


「お兄ちゃ~ん!!」

「あ、麻耶」

妹の麻耶が、後ろから走ってきた。


「お兄ちゃん、今日の試合大活躍だったね! すっごくかっこよかったよ!!」

美希と同じことを言われた。美少女2人にかっこいいと言われて、オレは照れてしまう。


「お兄ちゃんすごく頑張っていたから、私がご褒美あげちゃうよ!」


……え!? ご褒美!? 麻耶が!?

オレはご褒美と言われて、以前美希にマッサージしてもらったことを思い出した。健全なはずなのになんか妙にいやらしいご褒美だったもんだから少し動揺してしまう。

……いや、変なこと考えるなよ、オレ。エッチ系のご褒美なわけねーだろ常識的に考えて。
麻耶は実の妹だぞ。ガチ清楚な女の子だぞ。


麻耶は、数メートル先にあるコンビニを指さした。

「ご褒美にアイス奢ってあげるよ。そこのコンビニ寄っていこう!」

……
な、なんだ。アイスか。麻耶らしいや。オレはちょっとがっかり……あ、いや、ホッとした。



麻耶はコンビニでアイスを2本買い、そのうちの1本をオレに渡した。

「はい、どうぞお兄ちゃん。アイスキャンディーだよ」

「ありがとう、麻耶」

オレと麻耶はコンビニから出て、2人で一緒にアイスを食べる。


「冷たくておいしいね、お兄ちゃん」

「……そうだな」

細長いアイスキャンディーをペロペロと舐め、口に含んでしゃぶる麻耶。

ちゅ、ちゅっ

「…………」

アイスキャンディーを頬張って食べる麻耶を見て、なんかすごくいやらしいと思ってしまった。こんな時にまでエロいことを考えてしまう自分が悲しい。

顔を赤くして、麻耶から目を逸らす。


「……ん、ふっ……」

ちゅぱ、ちゅぱ……

色っぽい声出すな。いやらしい音立てるな。いや、いやらしいのはオレの頭だけど……


「……? どうしたのお兄ちゃん。早く食べないとアイス溶けちゃうよ?」

麻耶はアイスを口に入れながらオレの顔を覗き込んでくる。

「え、ああ、ごめん……」


オレは慌ててアイスを食う。妹相手に心を乱されすぎで本当に恥ずかしい。

だが麻耶は本当に可愛いんだ。今まで数えきれないくらいの男どもをメロメロにしてきたに違いない。美希に負けないくらいモテそうだ。
しかし、麻耶本人は自分の可愛さを自覚していないみたいだからタチが悪いな。


「なあ麻耶。1つ聞いていいか?」

「なーに?」

麻耶はオレの顔を見て目をパチパチさせる。


「麻耶ってモテるだろ?」

「え? う~ん、どうだろ? 私、男の子から告白されたことは何度かあるけど……私ってモテるのかなぁ?」


……告白されてるんならモテてる方なんじゃないのか。オレなんか一度も告白されたことないんだぞ。

よく告白されるのか。麻耶なら当然か。
……待てよ、告白された経験が多いってことは、もしかして……


「麻耶。お前……彼氏いるのか?」


オレは『いない』と言ってほしかった。可愛い妹に彼氏がいたら、正直ショックな気持ちはある。


「いるよ」


「…………」


……いるのか……知らなかった。オレには彼女がいないのに、妹にはもうすでに彼氏がいるなんて。兄の威厳が崩壊した。先を越されてなんか悔しい。

彼氏がどんな人なのかは、あえて聞かないことにした。

今度は逆に麻耶から質問された。


「そう言うお兄ちゃんはどうなの?お兄ちゃんは、その……彼女とか、いるの?」

「……いねーよ」

「そうなんだ……ま、まあ、お兄ちゃんかっこいいから、彼女くらいすぐにできるよ!」

「……ありがとう。でも、今は野球に集中したいんだ。彼女が欲しいとか考えている場合じゃない」


ウソです。本当はめちゃくちゃ彼女が欲しいです。美希を彼女にしたいです。
彼女がいない理由を野球のせいにして言い訳してるだけだ。


「そっか。次の試合も頑張ってね!! 私、2回戦は学校があるから応援に行けないけど」

「ああ」

とにかく、今は野球! 他のことは考えない。



―――



 ―――数日後。2回戦、城ヶ島高校戦。

エース武井が復活ということで、オレはスタメンから外れた。ピッチャー以外のメンバーは1回戦のときと同じ。



 プレイボール。今回の試合は青葉高校が先攻。


オレはベンチで美希の隣に座った。

美希のいい匂いがオレの鼻を甘く刺激する。美希の匂いを嗅ぐだけで幸せな気分になってしまうオレ。
うん、ベンチも悪くないかも……


―――いや、ダメだ。何考えてるんだオレ。
今は試合中だ。選手たるもの、試合中は常に試合に出たいと思ってなくてはならない。ベンチで満足してるような男に美希が惚れてくれるわけがない。

ブルペンで投球練習をしようと思っていたのだが、監督に
『武井は終盤まで投げさせる予定だから、まだ投球練習はしなくていい』
と言われた。



 1回表、青葉高校は三者凡退で無得点。

城ヶ島高校のピッチャーがかなりの技巧派。
球速は130㎞に届かない程度だが、ナックルやカーブなどの、大きく変化する変化球を投げる。
コントロールも良く、まさにオレとは正反対のタイプだ。


オレはちょっと美希に話しかけてみた。

「なあ、桐生」

「なんですか、竜先輩」

「相手のピッチャー、かなり調子いいな」

「そうですね。よっしーが研究したデータを上回ってますね。これはちょっと攻略するのに手こずりそうです」


オレはごく自然に美希に話しかけられるようになった。つい最近まで美希に話しかけることができなかったこのオレが。

これは大きな進歩だ。オレはヘタレを脱する階段を確実に登れている。



 1回ウラ、城ヶ島高校の攻撃。

こちらもエース武井が危なげなく三者凡退に仕留める。
う~ん、武井のヤツ、調子良さそうだな……オレの出番ないかもしれないな。


試合はサクサク進んでいく。5回ウラまで終わり、両チーム無得点。
どちらのピッチャーも譲らぬ投球をし、完全に投手戦となった。


しかし、6回表に均衡が崩れる。

城ヶ島高校のピッチャーが突然乱調。青葉高校はヒットと2つの四死球で2アウト満塁のチャンス。

ここで5番の南野が2点タイムリーを放ち、2点を先制した。


「よっしゃあっ!!!!」

ベンチが沸き、オレは隣にいる美希とタッチした。


6回ウラ、城ヶ島高校はスクイズで1点を返し、2-1となった。

緊迫した接戦になるのかと思いきや、8回表、青葉高校は打者一巡の猛攻で一挙5点を奪い、7-1として優位に立った。


「おい、滝川」

監督に呼ばれた。

「はい監督」


「武井のトコで代打として出すから、準備しとけ」

「!!  はい!」

やっとオレに出番が来た。点差がついたから、エースの武井を温存する作戦に出たようだ。


「竜先輩、頑張ってくださいね」

美希から激励の言葉をもらう。

「おう!」

オレはヘルメットを被り、バットを持つ。


『バッター、武井君に代わりまして、滝川君』

ウグイス嬢がオレの名をコールする。
武井とハイタッチして、オレはバッターボックスへ向かう。


 打席に立つオレ。
8回表、2アウト1塁。7-1で我ら青葉高校がリード。
ベンチも応援席も盛り上がりを見せていてお祭りムード。この流れに乗ってオレも打ちたい。


相手のピッチャーが投げる。

第1球、内角高めにストライク。
第2球、低めに外れてボール。
第3球、オレはバットを振り、ファウル。
第4球、高めの釣り球に手が出てしまい、空振り。

結果、三振。
8回表、終了。スリーアウトチェンジ。


……打てなかった。

オレは打つのは得意じゃない。練習試合も入れて打率0割台だ。
もちろん練習で打撃練習もしているが、なかなか上手く打てない。

仕方ない。切り替えて本業のピッチングで頑張ろう!


 ……と思いきや、ピッチャーは田所が起用された。オレはレフトを守ることになった。

オレのポジションは基本的にピッチャーだが、一応ファーストと外野も守れる。でも、決して守備は上手くはない。


田所が投げる。

相手バッターは初球を打つ。打球はオレが守るレフトへ。

うぉ、いきなり来た!オレはドキッとする。
オレはボールの落下点に素早く移動し、ボールをキャッチした。アウト。

ふぅ、よかった。ボールを内野に投げる。



―――



 その後はオレに守備機会はなく、ゲームセット。

7-1で青葉高校の勝利。
1回戦に続き、2回戦も突破した。
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