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第7章…俺は少し勉強ができる
柚希は単位がピンチ
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「柊斗く~ん……テスト近いよヤバイよ~……!」
次の休日、柚希と連絡を取り合っていたら遊びに来ていいと言われて爆速で柚希の家に駆けつけた俺だったが、柚希は勉強に大苦戦していた。
エロしかとりえがないという扱いにされているお色気要員の柚希は、全然勉強ができない。これは原作通りだ。
最近は原作と全然違うじゃねぇか! みたいな要素が多かったから原作で見たシーンと全く同じ光景が見れてちょっとだけ安心する。
苺も梨乃も桃香も俺より頭が良いが、柚希だけはアホ設定にされている。
作者の野郎、巨乳の女の子は栄養が乳に行ってるから頭が悪いみたいな考え方してやがんのか、ふざけんなよ。まあ桃香は頭良いけれども。
「……あの、テスト勉強で忙しいようでしたらやっぱり俺帰ります」
柚希の家に来れてすごく嬉しいけど柚希の勉強の邪魔をするわけにはいかないじゃねぇか。柚希のためにもここは帰った方がいいだろう。
「いいの! 私今単位が大ピンチだけど、柊斗くんがそばにいてくれるだけで私はすごく心強いの! だからいてほしいの!」
「ッ……!!」
これ以上俺の心臓に矢を突き刺すのはやめてくれ。ドキドキしすぎて胸が苦しい。
「もちろん柊斗くんが帰りたいんなら無理にとは言わないけど……」
「いや俺も本当は帰りたくないですけど」
「じゃあいいじゃん。いてください」
「はい」
俺は即答し座った。
「うーん……」
勉強中、柚希は『うーん……』と言いまくっている。持ってるシャーペンがさっきから全然進んでいない。柚希には申し訳ないが悩み苦しんでいる柚希も超可愛い。目の保養だ保養。柚希を見てるだけで視力が上がる。
できれば撮影したいと思ってしまった。失礼だからやらないけど。
「柊斗くんはテストやった?」
「つい最近終わりましたよ」
「どうだった?」
「いやー、全然大したことないですよ」
「そっかぁ、大丈夫だよ私も超バカだから。こんなバカでも高望みしなければ大学行けるから大丈夫。私たちバカ仲間だね!」
「え、あ、はい……」
柚希にギュッと手を握られた。
ちょっ、柚希の手、白くてちっちゃくてしなやかで柔らかい……!
女の子の手の感触だけで股間にグッと来る俺は変態すぎる。仕方ないだろ、前世でオタク童貞だった俺に女の子の手を握った経験なんてあるわけないんだから。
「……で、何点だったの? お姉さんに見せてごらん。恥ずかしがらなくても大丈夫だよ、私も高校生時代赤点取りまくってたから!」
「……まあいいですけど……」
決して自慢するような点数ではないけど柚希が見たいと言うなら見せるよ。柚希に隠し事はしないよ。柚希になら内臓だって見せる覚悟だよ。いや別に見たくねぇか。
カバンの中に成績表入ってたのでそれを柚希に見せる。
「ええっ、めっちゃいい点数じゃん! 大したことなくないじゃんこれ!
キミは仲間だと思ってたのに……裏切り者~……」
「えーっ!?」
バ、バカな……好感度下がった……!? 点数低い方がよかったのか!?
柊斗も赤点常習犯だったからそれに合わせた方が好感度稼ぎやすかったのか……これはしくじったな。
柚希に裏切り者呼ばわりされるなんて俺にとっては死に等しい。絶望の底に叩き落とされる。
くっ……柚希がそう言うのなら、俺もっとバカになるわ。誰よりもバカになってやるわ。
「すいません柚希さん……俺もう二度と勉強しません」
「うそうそ、冗談だよ冗談。柊斗くんすごいじゃん! 勉強頑張ってるんだね、えらいえらい!」
ナデナデ
「!!!!!!」
なんと、柚希は俺の頭をよしよしと撫でてくれた。
一度俺を絶望の底に叩き落としてから優しくナデナデなんて反則すぎる。
あっ……浄化される……蕩けて消えてなくなりそうだ。
俺の頭を撫でて天使の笑顔で褒めてくれた。よかった、好感度下がってなかった。
前世では全然結果出せなかったけど勉強頑張ってきてよかったって心から思えた。
柚希が褒めてくれるならいくらでも勉強頑張る。東大だって行けそうな気がする。ただの錯覚だけど。
「じゃ……じゃあ柊斗くんに勉強教えてもらっちゃおうかな~なんて……」
「!!!!!!」
そうか、これは前世で学習した知識を活かす大チャンス……!
こんな俺でも柚希の役に立てるかもしれない!!
「なんて、高校生の柊斗くんに大学生の授業内容なんて教えられるわけないよね。変なこと言ってごめんね」
「……今柚希さんが勉強しているところ、ちょっと見せてもらってもいいですか」
「え? うん……」
どれどれ……あ、よかった。昔習ったことある科目だ。
「えーっと、この問題はこれをこうして、こうすると解けると思います」
「……! す、すごい……!! 柊斗くん大学レベルの問題わかるの!?」
「ま、まあ……その……たまたま本で読んだといいますか……」
実は一応大卒なんて口が裂けても言えないな……大学レベルの問題を解いたら怪しまれるかもしれない。しかし困ってる柚希を放ってはおけない。
ギュッ!
「!?」
俺はまた柚希に手を握られた。さっきよりも強く。
「すごいよ柊斗くん! ありがとう!! キミは救世主だよ!!」
「い、いや、そんなことは……」
純粋で無垢な、柚希の美しく輝く瞳が、俺をまっすぐ見つめる。その瞳からは感謝と尊敬の気持ちが伝わってくる。
俺は照れる。照れまくる。恥ずかしくて柚希と目を合わせられず、視線が下に逸れる。
「!!!!!!」
いやダメだ! 下を見たらダメだ!!
服の隙間から柚希の胸の谷間がチラッとほんのちょっとだけ見えてしまって、慌てて視線を元に戻す。
あ、危ない危ない……一歩間違えたら押し倒しそうになっていた。
谷間がガッツリ見えたわけじゃないけど、見えたのはほんのちょっとだけだけど、だからこそ俺の情欲を必要以上に刺激された。
女の子の目を見れなくて胸に視線が行ってしまうの、モテない男がやりがちだよな……気をつけないと。
落ち着けよ、俺……そもそも俺は感謝や尊敬の目で見られる資格なんてないんだ。
気持ち悪いオタクが転生してるだけなんだ。栗田柊斗のフリをして騙してるだけなんだ。柚希に隠し事をしたくないとは言ったが、これだけは今はまだ言えない。
でも、いつかは必ず言わなきゃならないとは思っている。
もし栗田柊斗ではない俺が栗田柊斗のフリをしたままで柚希と結ばれたとして、罪の重さに俺が耐えられない。
それに柚希を騙しっぱなしにするような男が柚希を幸せにできるわけがない。
本当のことを伝えたら、柚希に嫌われるかもな……いや普通に考えて確実に嫌われるか。柚希が好きなのは栗田柊斗であって俺は痛いラブコメオタクの別人なんだから。別人が好きな人になりすまして騙してたら誰だって嫌悪感を覚える。
柚希を必ず幸せにすると誓った俺だけど、嫌われたらその時点で完全にアウト。まあ、その時はその時で潔く散る。
いつかは必ず言うから、今だけは……もう少しだけ、柚希と甘い時間を過ごしていたい。
「? どうしたの柊斗くん」
「いえ……なんでもないです。俺でよければ、勉強もっと手伝いますよ」
「ありがとう柊斗くん!」
わぁ、すごく可愛い天使の笑顔……俺の視界に入れることすらおこがましいくらいの天使。死ぬほど可愛いけど、その可愛さが俺に罪悪感を与えた。
この罪悪感が、苦しい……
……―――ええい! 俺って本当に弱虫ヘタレ童貞だな!
嫌われたらどうしようとか、嫌われた時のことを考えたってしょうがねぇだろ!!
ウジウジ考えるのはもうやめだ。騙してるとか罪悪感を感じるとか、二度と考えるな。
俺が栗田柊斗だ!! 俺が本当の栗田柊斗になるんだ!!
柚希にはいつかちゃんと話した上で、柚希を俺に惚れさせる!!
柚希を幸せにできるのは俺だけ!! 俺が絶対に柚希を幸せにするんだ!!
「柚希さんっ!!」
「は、はいっ!?」
俺は柚希の肩をガシッと掴んだ。
「俺でよければ、今日だけじゃなくテストまでずっと勉強お助けしますよ!」
「いや、テストまでまだ1週間はあるんだよ? そこまでお世話になるわけには……」
「俺が好きでやってるからいいんです! 絶対に単位取りましょう!!」
「ほ、本当にありがとう柊斗くん……!」
さっきよりもすごく可愛い天使の笑顔を見せてくれた。
絶対にこの笑顔を曇らせねぇからな。見ててくれよ柚希。
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