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第4章…物語の歴史を変えようとしている俺
メインヒロインと婚約者という設定
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善郎に言われなくてもわかってる。俺と苺が婚約者という設定であることを。
柚希ルートに行くためには苺との婚約関係を破棄し、小雀家を出ていかなければならない。それができて初めてスタートラインに立つことができる。
苺に伝えなくてはならない。俺の本当の気持ちを。
いつも通りの夜。
苺はスマホを見ながらソファでくつろいでいた。
すげぇヒマそうだし、今はリビングに俺と苺の2人しかいないし、今が話すチャンス。
さあ、早く話せ俺。どっちにしろ言わなくてはならないんだから早く言え。苺を選ぶ気がないのに苺の家で世話になるなんて論外だ。これ以上苺の家に迷惑をかけないためにも早く言え。
「……何? さっきからジロジロ見て」
「あ、いや……」
話すタイミングを窺っていたら苺に怪訝そうな目で見られた。
早く言わなきゃ……と思えば思うほど、緊張してなかなか言い出せないクソザコの俺であった。
「キモいんだけど」
「……そうだな、確かに俺はキモい」
「は!? 何なの、マジでキモいんだけど。あんたそんなに卑屈な男だったかしら?」
「大切な話があるのにすぐに言い出せないのは確かにキモい」
「……大切な話……?」
「ああ、大切な話だ」
俺は苺と向かい合って座る。苺も姿勢を正してくれた。
「……まず、俺とお前は婚約者なんだよな」
「そうね、マジで気持ち悪くて無理だけど、家の事情でそういうことになってるわ」
家の事情……そうだな。
苺はいいところのお嬢様で、そんな苺の婚約者になっている柊斗もそれなりに財力のある家の息子だ。普通じゃない特別な家に生まれ、お互いの家の利益のために柊斗と苺を結婚させようとしている。
原作ではお互いに両想いになって無事に結ばれて、お互いの家はかなりパワーアップしてハッピーエンドとなる。それが一番丸く収まる。
しかし申し訳ないが俺が主人公になるならそうはならない。俺はその未来を変えるつもりだ。金持ちとの婚約を蹴り、一般人の女の子を選ぼうとしている。
栗田家にも小雀家にも迷惑をかけることはわかっている。敵に回す覚悟はできている。勘当されても構わない、すべてを失っても構わない。どうせ俺は前世が底辺だし大して変わらん。
すべては柚希のため、柚希を幸せにするためだ。
「単刀直入に言うが、俺とお前の婚約を解消させてほしい」
「…………は?」
ああ、『は?』ってなるのも当然だ。本来の栗田柊斗なら口が裂けても言わない、本来の原作では絶対にありえない展開だからな。
「……は、え……何?」
「ごめん、俺はもうキミの婚約者でいるわけにはいかないんだ」
「な……何? 何なのよ? なんで謝るわけ? それじゃまるであたしがあんたと結婚したがってるみたいじゃない、冗談じゃないわ!!
婚約解消したいですって……? あ、あたしだってそうしたいのは山々よ! 誰があんたなんかと……でも、仕方ないじゃない? パパとママに従わなきゃならないんだから……そう、仕方なくよ! やむを得ず嫌々あんたと婚約してるってのに、何なのよあんた、意味わかんないわよこのバカ!」
苺はとにかく素直じゃない。すごく強がっているが動揺してるのがバレバレで心が痛くなる。
苺の言う通り確かに仕方ない。これ以上苺と婚約関係を続けたらその方が苺を傷つける。だから仕方ないんだ。これは苺のためでもある。
「ああ、お前が俺と結婚したくねぇなら無理にする必要はねぇだろ。ちょうどいいじゃねぇか」
「いや……ちょっ……ちょっと、待ちなさいよ……」
ごめん、苺は本当は柊斗のことが好きなのをわかっててその上でイジワルするようなことを言っている。
「……なんで……なんで今さら……? 意味わかんないんだけど……」
ああ、本当に今さらだ。このラブコメが終盤に突入しててほぼ苺ルートが確定したところで俺が転生しちまったからな。苺視点じゃゴミクズ野郎もいいとこだし物語としてもゴミ展開である。
「ねぇ、なんで……? 理由を教えてよ」
「好きな女の子がいる」
「……誰よそれ……まさか龍崎さん?」
「違う」
「じゃあ誰よ」
「それは……」
「教えなさいよ。あたしは婚約者なんだからそれくらい知る権利あるでしょ」
「武岡柚希さんだ」
「……武岡……さん……? ……あの胸が大きい女子大生?」
「……まあ、そうだけど……」
善郎もそうだったけど『柚希=おっぱい』って認識なんだな……
苺も柚希とは絡みが少ない。名前を聞いて思い出すのにちょっと時間がかかるほどだ。苺にとってはその程度の存在。柚希の出番が少ない弊害が出ている。
「へぇー……あの巨乳の女が好きなんだ……」
露骨に苺の機嫌が悪くなっていった。苺に胸の話は禁句だったな。善郎がそれをネタにして半殺しにされたこともある。
俺も正直怖くて逃げたいが逃げるわけにはいかない。
「……それってさ、胸が大きい女の子の方がいいってこと?」
「…………」
言われたくないことを容赦なく突っつかれた。
柚希はお色気要員だ。お色気要員を選ぶということは、カラダ目当てとか乳に釣られたとか思われても仕方ない。
まあ間違いではない。豊満な乳だってれっきとした柚希の一部なんだから、俺は絶対にそこを否定しない。俺は柚希のすべてを絶対に否定しない。
「で、どうなのよ。大きいのが好きなわけ?」
「……悪いのかよ」
「別に。悪くはないけど」
悪くはないとか言いながら思いっきり軽蔑してるような目で俺を見てるじゃねぇか。
苺は柚希のことをよく知らないから、胸が大きいって情報しかないから、印象が悪いのも無理はない。エロしかとりえがないって設定にされてるからどうしようもない。
確かに柚希の胸も好きだけどそれだけじゃないのに。他にもいいところはたくさんあるのに。俺は不満だ。
不満だけど、苺の好感度が激減してるのは俺にとっては好都合。
苺が俺のことを嫌いになればそれで万事解決だ。俺が柚希を選んでも苺が傷つくこともないし負けヒロインになることもない。俺のことを好きになってくれるのは柚希だけでいい。
そうだ、もっと嫌われればいいんだ。そうすれば後腐れなく別れることができる。
「そうだよ、おっぱいが大きい方が好きで何が悪い。ペッタンコで凶暴なお前なんかより優しくてナイスバディなお姉さんの方がいいに決まってるだろうが!」
バキッ!!
俺は顔面を殴られた。ギャグ描写で無駄に遠くまで吹っ飛んで無駄に出血した。
「死ねバカ柊斗!! 二度とウチの敷居を跨ぐな!!」
般若のような形相をした苺に、わずかにうっすらと涙が浮かんでいるような気がしたが、俺はそれから目を背けた。
よし、これでいいんだ。なんとか苺ルートをへし折った。
まだあと2人……梨乃と桃香にも同じようなことをしなくてはならないな……気が重い。
さて、この家に未練はない。さっさと出るか……いや、まだやることがあった。
苺の親にもちゃんと言わなくてはならない。これが一番キツいイベントかもしれん。
苺の父親は超多忙でほとんど家に帰ってこないが、今日はたまたま早めに帰ってきた。本音を言えばずっと帰ってこなくてもいいのにとか思っちゃうけどそうもいかない。
苺の父親に会い、婚約を解消したいと伝えた。
父親の反応は……あまり興味がなさそうだった。あまり相手にされなかった。
苺の父親は厳格な性格で、柊斗と苺が結婚するのをあまりよく思っていない。
政略結婚なのに、親が決めた結婚なのに苺の父親が納得してないのはなんかおかしいけど、ビジネスではメリットがあっても親としては複雑……って感じのようだ。親心って何なんだろうな。俺童貞だからわからん。
苺ルートの原作ではこの父親がラスボス的なポジションにいた。しかし俺にとっては都合がいいかもしれない。どうせ父親には好かれてないんだから婚約解消してもあまり文句を言われないかもしれないというのはとても助かる。
まあいい、苺の家の方にはちゃんと言った。残るは俺の家の方だ。俺の家っていうか柊斗の家だ。転生した以上俺の親ってことになるんだけど全然ピンとこない。
原作でもほとんど出番なかったし俺もどんな人なのかよく知らない。よく知らない人が急に親になるのなんか怖ぇな。
ちなみに前世の方の親とはあまり仲良くなかった。子供部屋おじさんだったから内心ウザがられてたかもな。俺が死んでせいせいしてるだろう。
とにかく俺は柊斗の家に帰って、柊斗の親に婚約解消の件を伝えた。
「ははは、なんだお前、苺ちゃんとケンカしたのか! そんで追い出されたのか!」
「…………」
「まあ若い男女が一緒に暮らしてたらそういうこともあるだろう。あとでちゃんと仲直りしろよ?」
「……いや、そうじゃなくて……」
「少しの間ならウチにいても構わんができる限り早く苺ちゃんの機嫌を直して苺ちゃんの家に復帰するんだぞ、わかったか柊斗」
「違ぇよ父さん! ケンカじゃなくてあいつとは別れたんだ! 婚約解消したんだ!」
「ああ、わかるぞ柊斗……父さんも昔母さんと結婚する前……母さんと大ゲンカしてもう二度と会うものかって思ってたことがあったよ。でも少し時間を置いて頭を冷やしたら寂しくなって母さんに会いたくなって仲直りしたんだ。
だから大丈夫、お前たちも絶対仲直りできる」
大丈夫じゃねぇし何もわかってねぇよこのオヤジ……
善郎もそうだったが俺が苺と結ばれるって確信してやがる。
そうか……この世界はラブコメ世界。メインヒロインは苺。
苺が世界の中心だから、世界の運命で苺が勝つようになってるんだ。
登場人物みんな苺が勝つ前提で動いている。梨乃も桃香も、そして柚希も、自分が苺に勝てないこと、うすうすわかってるんだ。
俺が多少行動したところで、運命は簡単には変わらない。
苺ルートは、まだ折れてはいない。
柚希ルートに行くためには苺との婚約関係を破棄し、小雀家を出ていかなければならない。それができて初めてスタートラインに立つことができる。
苺に伝えなくてはならない。俺の本当の気持ちを。
いつも通りの夜。
苺はスマホを見ながらソファでくつろいでいた。
すげぇヒマそうだし、今はリビングに俺と苺の2人しかいないし、今が話すチャンス。
さあ、早く話せ俺。どっちにしろ言わなくてはならないんだから早く言え。苺を選ぶ気がないのに苺の家で世話になるなんて論外だ。これ以上苺の家に迷惑をかけないためにも早く言え。
「……何? さっきからジロジロ見て」
「あ、いや……」
話すタイミングを窺っていたら苺に怪訝そうな目で見られた。
早く言わなきゃ……と思えば思うほど、緊張してなかなか言い出せないクソザコの俺であった。
「キモいんだけど」
「……そうだな、確かに俺はキモい」
「は!? 何なの、マジでキモいんだけど。あんたそんなに卑屈な男だったかしら?」
「大切な話があるのにすぐに言い出せないのは確かにキモい」
「……大切な話……?」
「ああ、大切な話だ」
俺は苺と向かい合って座る。苺も姿勢を正してくれた。
「……まず、俺とお前は婚約者なんだよな」
「そうね、マジで気持ち悪くて無理だけど、家の事情でそういうことになってるわ」
家の事情……そうだな。
苺はいいところのお嬢様で、そんな苺の婚約者になっている柊斗もそれなりに財力のある家の息子だ。普通じゃない特別な家に生まれ、お互いの家の利益のために柊斗と苺を結婚させようとしている。
原作ではお互いに両想いになって無事に結ばれて、お互いの家はかなりパワーアップしてハッピーエンドとなる。それが一番丸く収まる。
しかし申し訳ないが俺が主人公になるならそうはならない。俺はその未来を変えるつもりだ。金持ちとの婚約を蹴り、一般人の女の子を選ぼうとしている。
栗田家にも小雀家にも迷惑をかけることはわかっている。敵に回す覚悟はできている。勘当されても構わない、すべてを失っても構わない。どうせ俺は前世が底辺だし大して変わらん。
すべては柚希のため、柚希を幸せにするためだ。
「単刀直入に言うが、俺とお前の婚約を解消させてほしい」
「…………は?」
ああ、『は?』ってなるのも当然だ。本来の栗田柊斗なら口が裂けても言わない、本来の原作では絶対にありえない展開だからな。
「……は、え……何?」
「ごめん、俺はもうキミの婚約者でいるわけにはいかないんだ」
「な……何? 何なのよ? なんで謝るわけ? それじゃまるであたしがあんたと結婚したがってるみたいじゃない、冗談じゃないわ!!
婚約解消したいですって……? あ、あたしだってそうしたいのは山々よ! 誰があんたなんかと……でも、仕方ないじゃない? パパとママに従わなきゃならないんだから……そう、仕方なくよ! やむを得ず嫌々あんたと婚約してるってのに、何なのよあんた、意味わかんないわよこのバカ!」
苺はとにかく素直じゃない。すごく強がっているが動揺してるのがバレバレで心が痛くなる。
苺の言う通り確かに仕方ない。これ以上苺と婚約関係を続けたらその方が苺を傷つける。だから仕方ないんだ。これは苺のためでもある。
「ああ、お前が俺と結婚したくねぇなら無理にする必要はねぇだろ。ちょうどいいじゃねぇか」
「いや……ちょっ……ちょっと、待ちなさいよ……」
ごめん、苺は本当は柊斗のことが好きなのをわかっててその上でイジワルするようなことを言っている。
「……なんで……なんで今さら……? 意味わかんないんだけど……」
ああ、本当に今さらだ。このラブコメが終盤に突入しててほぼ苺ルートが確定したところで俺が転生しちまったからな。苺視点じゃゴミクズ野郎もいいとこだし物語としてもゴミ展開である。
「ねぇ、なんで……? 理由を教えてよ」
「好きな女の子がいる」
「……誰よそれ……まさか龍崎さん?」
「違う」
「じゃあ誰よ」
「それは……」
「教えなさいよ。あたしは婚約者なんだからそれくらい知る権利あるでしょ」
「武岡柚希さんだ」
「……武岡……さん……? ……あの胸が大きい女子大生?」
「……まあ、そうだけど……」
善郎もそうだったけど『柚希=おっぱい』って認識なんだな……
苺も柚希とは絡みが少ない。名前を聞いて思い出すのにちょっと時間がかかるほどだ。苺にとってはその程度の存在。柚希の出番が少ない弊害が出ている。
「へぇー……あの巨乳の女が好きなんだ……」
露骨に苺の機嫌が悪くなっていった。苺に胸の話は禁句だったな。善郎がそれをネタにして半殺しにされたこともある。
俺も正直怖くて逃げたいが逃げるわけにはいかない。
「……それってさ、胸が大きい女の子の方がいいってこと?」
「…………」
言われたくないことを容赦なく突っつかれた。
柚希はお色気要員だ。お色気要員を選ぶということは、カラダ目当てとか乳に釣られたとか思われても仕方ない。
まあ間違いではない。豊満な乳だってれっきとした柚希の一部なんだから、俺は絶対にそこを否定しない。俺は柚希のすべてを絶対に否定しない。
「で、どうなのよ。大きいのが好きなわけ?」
「……悪いのかよ」
「別に。悪くはないけど」
悪くはないとか言いながら思いっきり軽蔑してるような目で俺を見てるじゃねぇか。
苺は柚希のことをよく知らないから、胸が大きいって情報しかないから、印象が悪いのも無理はない。エロしかとりえがないって設定にされてるからどうしようもない。
確かに柚希の胸も好きだけどそれだけじゃないのに。他にもいいところはたくさんあるのに。俺は不満だ。
不満だけど、苺の好感度が激減してるのは俺にとっては好都合。
苺が俺のことを嫌いになればそれで万事解決だ。俺が柚希を選んでも苺が傷つくこともないし負けヒロインになることもない。俺のことを好きになってくれるのは柚希だけでいい。
そうだ、もっと嫌われればいいんだ。そうすれば後腐れなく別れることができる。
「そうだよ、おっぱいが大きい方が好きで何が悪い。ペッタンコで凶暴なお前なんかより優しくてナイスバディなお姉さんの方がいいに決まってるだろうが!」
バキッ!!
俺は顔面を殴られた。ギャグ描写で無駄に遠くまで吹っ飛んで無駄に出血した。
「死ねバカ柊斗!! 二度とウチの敷居を跨ぐな!!」
般若のような形相をした苺に、わずかにうっすらと涙が浮かんでいるような気がしたが、俺はそれから目を背けた。
よし、これでいいんだ。なんとか苺ルートをへし折った。
まだあと2人……梨乃と桃香にも同じようなことをしなくてはならないな……気が重い。
さて、この家に未練はない。さっさと出るか……いや、まだやることがあった。
苺の親にもちゃんと言わなくてはならない。これが一番キツいイベントかもしれん。
苺の父親は超多忙でほとんど家に帰ってこないが、今日はたまたま早めに帰ってきた。本音を言えばずっと帰ってこなくてもいいのにとか思っちゃうけどそうもいかない。
苺の父親に会い、婚約を解消したいと伝えた。
父親の反応は……あまり興味がなさそうだった。あまり相手にされなかった。
苺の父親は厳格な性格で、柊斗と苺が結婚するのをあまりよく思っていない。
政略結婚なのに、親が決めた結婚なのに苺の父親が納得してないのはなんかおかしいけど、ビジネスではメリットがあっても親としては複雑……って感じのようだ。親心って何なんだろうな。俺童貞だからわからん。
苺ルートの原作ではこの父親がラスボス的なポジションにいた。しかし俺にとっては都合がいいかもしれない。どうせ父親には好かれてないんだから婚約解消してもあまり文句を言われないかもしれないというのはとても助かる。
まあいい、苺の家の方にはちゃんと言った。残るは俺の家の方だ。俺の家っていうか柊斗の家だ。転生した以上俺の親ってことになるんだけど全然ピンとこない。
原作でもほとんど出番なかったし俺もどんな人なのかよく知らない。よく知らない人が急に親になるのなんか怖ぇな。
ちなみに前世の方の親とはあまり仲良くなかった。子供部屋おじさんだったから内心ウザがられてたかもな。俺が死んでせいせいしてるだろう。
とにかく俺は柊斗の家に帰って、柊斗の親に婚約解消の件を伝えた。
「ははは、なんだお前、苺ちゃんとケンカしたのか! そんで追い出されたのか!」
「…………」
「まあ若い男女が一緒に暮らしてたらそういうこともあるだろう。あとでちゃんと仲直りしろよ?」
「……いや、そうじゃなくて……」
「少しの間ならウチにいても構わんができる限り早く苺ちゃんの機嫌を直して苺ちゃんの家に復帰するんだぞ、わかったか柊斗」
「違ぇよ父さん! ケンカじゃなくてあいつとは別れたんだ! 婚約解消したんだ!」
「ああ、わかるぞ柊斗……父さんも昔母さんと結婚する前……母さんと大ゲンカしてもう二度と会うものかって思ってたことがあったよ。でも少し時間を置いて頭を冷やしたら寂しくなって母さんに会いたくなって仲直りしたんだ。
だから大丈夫、お前たちも絶対仲直りできる」
大丈夫じゃねぇし何もわかってねぇよこのオヤジ……
善郎もそうだったが俺が苺と結ばれるって確信してやがる。
そうか……この世界はラブコメ世界。メインヒロインは苺。
苺が世界の中心だから、世界の運命で苺が勝つようになってるんだ。
登場人物みんな苺が勝つ前提で動いている。梨乃も桃香も、そして柚希も、自分が苺に勝てないこと、うすうすわかってるんだ。
俺が多少行動したところで、運命は簡単には変わらない。
苺ルートは、まだ折れてはいない。
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