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[Worldtrace2]
八つ当たりVS憂さ晴らし
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ジェイド「最後にもう一度聞くが、本当にあっちを手伝わなくて良いのか?」
俺は改めて皆んな方を見る。皆んな俺無しでしっかり活躍している。
俺「別に俺がいなくたって・・・。」
ジェイド「何?」
俺「フッ。あっちには主人公が3人いるんだ。負けやしないさ。」
ジェイド「フン。意味は分からないが、遠慮は要らない様だな!」
ジェイドは上着を剥ぎ取り床に放り投げる。床に落ちた瞬間、凄い金属音が鳴る。服の中に暗器の類いが入っていたんだろう。そんなに持ってて良く動けるなと感心する一方で、武器を大量に隠し持っているヤバい奴と考えるとちょっと怖い。
武器についてビビってても仕方ない。こいつはそういう奴だと割り切ろう。とにかくジェイドと睨み合う。
不意に戦場で爆発音がなり、それを合図にジェイドが一瞬で距離を詰める。ジェイドが左ジャブを打ち出し、それを俺は左の掌底で弾く。俺はお返しに右ストレートを放つ。
ジェイドがどうするのか、様子見のつもりでもいた。思った通り、躱す選択をしたなと思った瞬間だった。ジェイドの顔が視界から完全に消える。俺は反射的に左腕を顔の横に移動させた。いつの間にかジェイドは逆立ち状態になり、脚が俺の顔の真横に迫っていた。ジェイドは床に手を付きながら右脚で蹴りを放っていた。俺の反射神経も捨てた物じゃない様で、ガードは間に合い左腕が蹴りを受け止める。
俺「うぉ!」
ただジェイドはそれで終わらせる気は無かった。右と入れ替わる様に今度は左の蹴りが迫る。俺は急いで身を引き回避する。
ジェイド「チッ!」
ジェイドはその逆立ちを維持しつつ動きを変え、今度は両脚を揃えてドロップキックをして来る。俺は横に躱し、素通りしようとしたジェイドの腕を掴む。
ジェイド「な!」
腕を掴み俺の視界に入る様引き寄せる。俺はジェイドの顔面に、すかさず右の打ち下ろしを叩き込む。
ジェイド「ぐくっ!・・・ふぉ!」
俺「がっ!」
顔面に拳を喰らった以上、流石にそのまま床へ倒れると思っていた。床に倒れるよりも前に、ジェイドが俺の顔に蹴りを打ち込んで来た。意識が飛ぶ。
思えば変な話だ。ここは異世界だろ?何でこんな所でこんな奴と殴り合いをせねばならないのか?不思議だ。視界の中央に何かが見えた。ゆっくりだが近付いて来てる。何だろうか?・・・拳だな。拳!
俺はバランスを崩しそのまま倒れる。幸か不幸かそれが回避行動になり、ジェイドの拳は俺の鼻先を通り抜ける。
俺「危ねぇ!意識が飛んでた!」
ジェイド「チッ!そのまま大人しくしていれば簡単に終わったんだがな!」
そんな簡単に終われるか!俺は右ストレートのモーションに入り、ジェイドはそれを警戒して構える。俺は直ぐに切り替え左でボディブローを放つ。
ジェイド「ぐふっ!」
俺「フッ、ぐが!」
ボディブローを当て、愉悦に浸っていた所為で今度はジェイドの右ストレートを顔面に受ける。互いにふらつきながら距離を取る。
俺「野郎!・・・痛ぇ。」
ジェイド「フッ。調子に乗ったニヤケ面に叩き込んでやったぞ。」
くそっ!調子に乗って隙を見せた俺も確かに悪い。とにかく落ち着いてジェイドの動きを見極める。さて、どうするかとか考えてる間にジェイドの跳び膝蹴りが迫る。
俺「うぉ!危ねぇ!」
ジェイド「チッ!ゴブリン共から修得したが流石に躱すか!」
ああ、前に見たムエタイに似た格闘技か?ジェイドが続けて振り向き様に左の肘で攻撃を仕掛けて来る。俺は体勢を低くして躱し、その流れで一気に近付くと左脇腹へボディブローを放つ。しかし俺の拳は空を斬る。ジェイドは素早く躱し、今度は右肘を上から落とす。いわゆるエルボーだが、俺も黙ってやられる訳にはいかない。俺はその肘を掌底で受け止めた。
ジェイド「何!」
俺「うおりゃ!」
何とか押し返すとジェイドはその反動を利用し距離を取る。そしてそのまま右の回し蹴りの動きをする。俺も合わせる様に回し蹴りをする。互いの蹴りが打つかり衝撃で双方共に弾かれる。
構え直し今度は俺から仕掛ける。左ジャブから右ストレート。いわゆるボクシングのワンツーだ。ジェイドはジャブを弾き、ストレートを右側に移動しながら避ける。そして避けた瞬間に右手で俺の腕を掴む。
俺は素早く左手を顎の下に持って行き、ジェイドの左のショートアッパーを防ぐ。
俺「ぐっ!」
ジェイド「チッ!」
俺は右腕を引き剥がし、顔面を狙って振り回す。ジェイドは前転する様に躱し、俺の正面に回り込むとタックルをして来た。躱せれば良かったが、一連の流れで体勢が悪かった。モロに喰らい倒される。続けてジェイドは拳を振り上げる。
ジェイド「うぉぉぉ!」
右腕に魔力が集まる。渾身の一撃だ。これ喰らったら死ぬかも。咄嗟に上半身を捻り回避する。
ただここで大事な事を忘れていた。先程の戦闘でハティマスが床にヒビを入れていた。ジェイドの渾身の一撃がそのヒビの入った床を完全に破壊する。
俺「ぬぉ!」
ジェイド「どわ!」
俺は居住区画のベッドの上に落ち、ジェイドは壁を挟んだ隣の部屋へ落ちた。でも気を失ってはいないと思う。壁越しに気迫を感じるからだ。
あっちも俺が気絶して無い事は気付いているだろう。お互い壁を挟んで睨み合う。さっきまで魔力を使っていなかった。それを止めたって事はここからがマジな本番って事だろうな。
魔力線を確認する。壁の向こう側で魔力が動き、線で人の形が形成されて行く。まるで全身を魔力の鎧で覆っている様だ。俺も呼吸を整え、意識を集中し全身に[気]を流す。
構え直すと壁にヒビが入り、ジェイドが腕に電気を纏わせ突っ込んで来た。俺は躱しながら部屋の扉の方へ移動する。
ジェイド「逃すか!」
電気の抜き手が迫り左腕で払う様にガードする。
俺「ぐわ!」
バチッと音の後、左腕に痺れが発生する。腕が動かない。2撃目、3撃目と回避し、ジェイドの腹に前蹴りを入れ押し返す。
ジェイド「ぐふっ!」
再度、左腕に意識を集中する。痺れの元である魔力を[気]で遮断する。意識が甘かった。改めて奴と同じく鎧の様に全身を[気]でコーティングする。身体と外界を遮断するつもりでしっかり纏う。
ジェイドが左の手刀を振り下ろし、それを右腕でガードする。良し!今度は痺れない。きっちり弾いてる。
ジェイド「な!・・・うぉぉ!」
屋上の時の様に両腕を広げ、タックルを仕掛けて来る。俺は捕まるより先に襟を掴み、勢いを利用しながら柔道の如く、巴投げを決めた。
ジェイド「ぐわ!」
部屋の扉をぶち抜き廊下に放り出す。ただ流石は歴戦の猛者、床に着地するなり直ぐに体勢を立て直す。
ジェイド「喰らえ!」
俺が起き上がると同時に、跳び膝蹴りで突っ込んで来る。俺は右脚を踏み込み、身体は低く重心を前に。そして右ストレート。以前、熊に喰らわしたカウンター"熊殺し"(熊は死んで無いけど。)を決める。
ジェイド「ぐは!」
ドカンと音を立て廊下の壁へと叩き付ける。
ジェイド「が!・・はぁ、はぁ!やるな!流石はアーサーとドワイトを倒しただけはあるな。」
俺「これでも鍛えてるからな。・・・お前は魔法を使えないと思っていたよ。」
ジェイド「フン。魔法らしい魔法は使えない。だが、何故か魔力だけはアーサーより持っていた。だからドワイトの変身後の力の使い方を参考にこの技を身に付けた。」
魔力を全身に纏う技、身体強化とは違う感じかな?
ジェイド「アーサーが名付けた。技名は魔装術。人体に影響を与えず魔法を行使する。そういう術だ。」
さっきまで両腕から発していた電気が今度は炎へと変わる。そして両脚に電気を纏わせたのか足元でバチバチと音を出す。魔力のお陰で自分は火傷もしないし、感電もしないって事か。
話が終わった瞬間、ジェイドが視界から消える。あの一瞬で俺の左側面に回り込み回し蹴りを放って来る。俺は伏せて躱し、続けて放たれる炎の手刀を半身になり避ける。ジェイドは再度、踏み込み肘打ちを放つ。俺はガードしながら軽く後ろに跳ぶ。吹っ飛びながら床を転がる。
ジェイドは脚に纏わせた電気を移動に使っている様だ。一瞬で目の前に現れ膝蹴りが来る。両手を重ねて下に押し返すが、続けて右ストレート、左の手刀。その全部を腕で払い除け、次はこちらの番と俺は左ストレートを打つ。
俺「な!」
俺の攻撃は空を斬る。ジェイドはまたも一瞬で射程外へ抜け、俺の空振りを待って再度目の前に現れる。
俺「ぐは!」
ジェイドの縦突きが胸部に当たり、俺は思いっ切り吹っ飛ばされる。
俺「ぐぁ!・・・・痛ってぇ!」
正に"電光石火"だ。奴の今の状態と実際の言葉の意味は違うけど。それにしても本当に凄い速さだ。
[気]のお陰で炎や電気は平気になった。でも物理的な衝撃は別だ。本当に制御が甘い。とは言え気合いでどうにかするにしても限度がある。下手に制御と防御に力を使えば攻撃が出来ない。一層の事、防御捨てるか?
いや、極振りは好きじゃない。それにやるとするなら本当に最後の時だけだ。
はぁ、ここからどう攻めるか?というか今攻められてるのは俺だな。ダメージを受けた箇所に意識を集中し、[気]で治して行く。致命傷を一気に治した状態とは違う。だから後何回かは出来るけど、あまり長引くと危険だろう。俺は決着を付ける為、改めて呼吸を整え集中する。
俺は改めて皆んな方を見る。皆んな俺無しでしっかり活躍している。
俺「別に俺がいなくたって・・・。」
ジェイド「何?」
俺「フッ。あっちには主人公が3人いるんだ。負けやしないさ。」
ジェイド「フン。意味は分からないが、遠慮は要らない様だな!」
ジェイドは上着を剥ぎ取り床に放り投げる。床に落ちた瞬間、凄い金属音が鳴る。服の中に暗器の類いが入っていたんだろう。そんなに持ってて良く動けるなと感心する一方で、武器を大量に隠し持っているヤバい奴と考えるとちょっと怖い。
武器についてビビってても仕方ない。こいつはそういう奴だと割り切ろう。とにかくジェイドと睨み合う。
不意に戦場で爆発音がなり、それを合図にジェイドが一瞬で距離を詰める。ジェイドが左ジャブを打ち出し、それを俺は左の掌底で弾く。俺はお返しに右ストレートを放つ。
ジェイドがどうするのか、様子見のつもりでもいた。思った通り、躱す選択をしたなと思った瞬間だった。ジェイドの顔が視界から完全に消える。俺は反射的に左腕を顔の横に移動させた。いつの間にかジェイドは逆立ち状態になり、脚が俺の顔の真横に迫っていた。ジェイドは床に手を付きながら右脚で蹴りを放っていた。俺の反射神経も捨てた物じゃない様で、ガードは間に合い左腕が蹴りを受け止める。
俺「うぉ!」
ただジェイドはそれで終わらせる気は無かった。右と入れ替わる様に今度は左の蹴りが迫る。俺は急いで身を引き回避する。
ジェイド「チッ!」
ジェイドはその逆立ちを維持しつつ動きを変え、今度は両脚を揃えてドロップキックをして来る。俺は横に躱し、素通りしようとしたジェイドの腕を掴む。
ジェイド「な!」
腕を掴み俺の視界に入る様引き寄せる。俺はジェイドの顔面に、すかさず右の打ち下ろしを叩き込む。
ジェイド「ぐくっ!・・・ふぉ!」
俺「がっ!」
顔面に拳を喰らった以上、流石にそのまま床へ倒れると思っていた。床に倒れるよりも前に、ジェイドが俺の顔に蹴りを打ち込んで来た。意識が飛ぶ。
思えば変な話だ。ここは異世界だろ?何でこんな所でこんな奴と殴り合いをせねばならないのか?不思議だ。視界の中央に何かが見えた。ゆっくりだが近付いて来てる。何だろうか?・・・拳だな。拳!
俺はバランスを崩しそのまま倒れる。幸か不幸かそれが回避行動になり、ジェイドの拳は俺の鼻先を通り抜ける。
俺「危ねぇ!意識が飛んでた!」
ジェイド「チッ!そのまま大人しくしていれば簡単に終わったんだがな!」
そんな簡単に終われるか!俺は右ストレートのモーションに入り、ジェイドはそれを警戒して構える。俺は直ぐに切り替え左でボディブローを放つ。
ジェイド「ぐふっ!」
俺「フッ、ぐが!」
ボディブローを当て、愉悦に浸っていた所為で今度はジェイドの右ストレートを顔面に受ける。互いにふらつきながら距離を取る。
俺「野郎!・・・痛ぇ。」
ジェイド「フッ。調子に乗ったニヤケ面に叩き込んでやったぞ。」
くそっ!調子に乗って隙を見せた俺も確かに悪い。とにかく落ち着いてジェイドの動きを見極める。さて、どうするかとか考えてる間にジェイドの跳び膝蹴りが迫る。
俺「うぉ!危ねぇ!」
ジェイド「チッ!ゴブリン共から修得したが流石に躱すか!」
ああ、前に見たムエタイに似た格闘技か?ジェイドが続けて振り向き様に左の肘で攻撃を仕掛けて来る。俺は体勢を低くして躱し、その流れで一気に近付くと左脇腹へボディブローを放つ。しかし俺の拳は空を斬る。ジェイドは素早く躱し、今度は右肘を上から落とす。いわゆるエルボーだが、俺も黙ってやられる訳にはいかない。俺はその肘を掌底で受け止めた。
ジェイド「何!」
俺「うおりゃ!」
何とか押し返すとジェイドはその反動を利用し距離を取る。そしてそのまま右の回し蹴りの動きをする。俺も合わせる様に回し蹴りをする。互いの蹴りが打つかり衝撃で双方共に弾かれる。
構え直し今度は俺から仕掛ける。左ジャブから右ストレート。いわゆるボクシングのワンツーだ。ジェイドはジャブを弾き、ストレートを右側に移動しながら避ける。そして避けた瞬間に右手で俺の腕を掴む。
俺は素早く左手を顎の下に持って行き、ジェイドの左のショートアッパーを防ぐ。
俺「ぐっ!」
ジェイド「チッ!」
俺は右腕を引き剥がし、顔面を狙って振り回す。ジェイドは前転する様に躱し、俺の正面に回り込むとタックルをして来た。躱せれば良かったが、一連の流れで体勢が悪かった。モロに喰らい倒される。続けてジェイドは拳を振り上げる。
ジェイド「うぉぉぉ!」
右腕に魔力が集まる。渾身の一撃だ。これ喰らったら死ぬかも。咄嗟に上半身を捻り回避する。
ただここで大事な事を忘れていた。先程の戦闘でハティマスが床にヒビを入れていた。ジェイドの渾身の一撃がそのヒビの入った床を完全に破壊する。
俺「ぬぉ!」
ジェイド「どわ!」
俺は居住区画のベッドの上に落ち、ジェイドは壁を挟んだ隣の部屋へ落ちた。でも気を失ってはいないと思う。壁越しに気迫を感じるからだ。
あっちも俺が気絶して無い事は気付いているだろう。お互い壁を挟んで睨み合う。さっきまで魔力を使っていなかった。それを止めたって事はここからがマジな本番って事だろうな。
魔力線を確認する。壁の向こう側で魔力が動き、線で人の形が形成されて行く。まるで全身を魔力の鎧で覆っている様だ。俺も呼吸を整え、意識を集中し全身に[気]を流す。
構え直すと壁にヒビが入り、ジェイドが腕に電気を纏わせ突っ込んで来た。俺は躱しながら部屋の扉の方へ移動する。
ジェイド「逃すか!」
電気の抜き手が迫り左腕で払う様にガードする。
俺「ぐわ!」
バチッと音の後、左腕に痺れが発生する。腕が動かない。2撃目、3撃目と回避し、ジェイドの腹に前蹴りを入れ押し返す。
ジェイド「ぐふっ!」
再度、左腕に意識を集中する。痺れの元である魔力を[気]で遮断する。意識が甘かった。改めて奴と同じく鎧の様に全身を[気]でコーティングする。身体と外界を遮断するつもりでしっかり纏う。
ジェイドが左の手刀を振り下ろし、それを右腕でガードする。良し!今度は痺れない。きっちり弾いてる。
ジェイド「な!・・・うぉぉ!」
屋上の時の様に両腕を広げ、タックルを仕掛けて来る。俺は捕まるより先に襟を掴み、勢いを利用しながら柔道の如く、巴投げを決めた。
ジェイド「ぐわ!」
部屋の扉をぶち抜き廊下に放り出す。ただ流石は歴戦の猛者、床に着地するなり直ぐに体勢を立て直す。
ジェイド「喰らえ!」
俺が起き上がると同時に、跳び膝蹴りで突っ込んで来る。俺は右脚を踏み込み、身体は低く重心を前に。そして右ストレート。以前、熊に喰らわしたカウンター"熊殺し"(熊は死んで無いけど。)を決める。
ジェイド「ぐは!」
ドカンと音を立て廊下の壁へと叩き付ける。
ジェイド「が!・・はぁ、はぁ!やるな!流石はアーサーとドワイトを倒しただけはあるな。」
俺「これでも鍛えてるからな。・・・お前は魔法を使えないと思っていたよ。」
ジェイド「フン。魔法らしい魔法は使えない。だが、何故か魔力だけはアーサーより持っていた。だからドワイトの変身後の力の使い方を参考にこの技を身に付けた。」
魔力を全身に纏う技、身体強化とは違う感じかな?
ジェイド「アーサーが名付けた。技名は魔装術。人体に影響を与えず魔法を行使する。そういう術だ。」
さっきまで両腕から発していた電気が今度は炎へと変わる。そして両脚に電気を纏わせたのか足元でバチバチと音を出す。魔力のお陰で自分は火傷もしないし、感電もしないって事か。
話が終わった瞬間、ジェイドが視界から消える。あの一瞬で俺の左側面に回り込み回し蹴りを放って来る。俺は伏せて躱し、続けて放たれる炎の手刀を半身になり避ける。ジェイドは再度、踏み込み肘打ちを放つ。俺はガードしながら軽く後ろに跳ぶ。吹っ飛びながら床を転がる。
ジェイドは脚に纏わせた電気を移動に使っている様だ。一瞬で目の前に現れ膝蹴りが来る。両手を重ねて下に押し返すが、続けて右ストレート、左の手刀。その全部を腕で払い除け、次はこちらの番と俺は左ストレートを打つ。
俺「な!」
俺の攻撃は空を斬る。ジェイドはまたも一瞬で射程外へ抜け、俺の空振りを待って再度目の前に現れる。
俺「ぐは!」
ジェイドの縦突きが胸部に当たり、俺は思いっ切り吹っ飛ばされる。
俺「ぐぁ!・・・・痛ってぇ!」
正に"電光石火"だ。奴の今の状態と実際の言葉の意味は違うけど。それにしても本当に凄い速さだ。
[気]のお陰で炎や電気は平気になった。でも物理的な衝撃は別だ。本当に制御が甘い。とは言え気合いでどうにかするにしても限度がある。下手に制御と防御に力を使えば攻撃が出来ない。一層の事、防御捨てるか?
いや、極振りは好きじゃない。それにやるとするなら本当に最後の時だけだ。
はぁ、ここからどう攻めるか?というか今攻められてるのは俺だな。ダメージを受けた箇所に意識を集中し、[気]で治して行く。致命傷を一気に治した状態とは違う。だから後何回かは出来るけど、あまり長引くと危険だろう。俺は決着を付ける為、改めて呼吸を整え集中する。
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