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[Worldtrace2]

VSフェンリル

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シリウスがハティマスと戦う数分前の事だ。ジンとエレナ、そしてエリスの3人はフェンリルの方へと向かった。

エリス「思っていた以上の巨体だな。」

エレナ「どんな物でも一飲みに出来そうだ。」

ジン「怖がるなよ。あれより凄い奴なんてもう見飽きたろ?」

3人が地面に降りるとフェンリルが口を開く。

フェンリル『やっと来たか。大分退屈していたぞ。さぁ、そろそろメインイベントを始めるとしよう。』

ジン「めいん?いべんと?良く分からないけど、とにかくお前を倒せば終わりなんだろ?」

フェンリル『ああ、そうだ。だが、言う程容易くは無いぞ。』

脚元の影から狼が現れ、ジン達へと一斉に襲い掛かる。ジンは光の剣を出し横薙ぎに一振りする。狼達は一瞬で姿を消す。

フェンリル『ほう。』

エレナ「相手が闇の魔物だから光の剣で消えたのか?」

ジン「そんなの知らないよ。俺に聞かれたって、仕組みが分かる訳無いだろ?とにかくこの剣が通用する事は分かった。今はそれで良いんじゃないか?」

エリス「そんな話をしている場合では無さそうだぞ!次が来た!」

ジンとエレナ、そしてエリスはそれぞれ敵と向かい合う。ジンは光の剣で、エレナは光属性の魔法で難なく敵を蹴散らして行く。だが問題はエリスだった。脚元から岩を出現させ狼の腹を突き刺すが、どういう訳か狼はまだ生きている。続けて炎の槍で頭の半分を吹き飛ばすが、まだ敵意を剥き出しにしていた。

エリス「く!まだ生きてるのか!」

今一度、炎の槍を当て今度こそ仕留める。予想外にしぶとい敵に恐怖する。魔法を3発当ててやっと1体だ。このままではジンを支援する所では無くなる。考え込んでいると声が掛かる。

エレナ「おい!何してる!来てるぞ!」

エリス「え?・・・な!」

目の前に狼が口を開きながら飛び掛かって来た。やられる!と感じた瞬間、狼は消えて無くなる。

ジン「エリス!無事か!」

エリス「ジン!あ、ああ。」

フェンリルに向かっていたジンが、エリスの危険に気付き戻って来たのだ。エリスの存在は今この場において完全に足手纏いだった。

エリス「ジン!私に構うな!奴を倒さなければこの戦いは終わらないぞ!」

ジン「何言ってる!そんな訳に行くかよ!」

エレナ「ハッキリ言って、私もこいつを助けているとあの狼の相手は出来ない。」

ジン「エレナまで何言うんだよ!」

フェンリル『ハハハハ。仲間割れか?開始早々に面白い物が見れた。しかしそろそろ飽きて来たぞ。』

ジン「人の気も知らないで!」

エリス「私はお前を助ける為にここまで来た。なのにここで脚を引っ張るなんて嫌だ!」

エレナ「ジン。選ぶべきかも知れない。進んで勝つか、止まって負けるか。」

ジン「そんなのどっちも駄目だ!」

エリス「ジン!私の事は気にしなくて良い!行け!」

エレナ「問答をしてる場合じゃないみたいだぞ!次が来た!」

敵を簡単に蹴散らすジンとエレナ。だが、やはりエリスは2人の様にはいかない。次第に囲まれて行く。
ジンは考える。確かにこのままでは勝てない。しかし、エリスを見捨てる事は出来ない。自然と聖剣を持つ手に力が入る。そこで不意に聖剣の幾つかの機能を思い出す。刃の形を変えたり、柄の長さが変わる。そしてもう1つ、機能が残っていた。はっと気付いたジンは聖剣の真ん中を左に回す。

ジン「エリス!」

ジンは聖剣の下半分をエリスへと放る。エリスはそれを受け取ると使い方を思い出す。ジンは聖剣を手に入れてから、ずっと弄って遊んでいた。遊ぶなと注意もした。だからどうすれば良いか、ハッキリ覚えている。先端を右に回し光の刃を出現させた。

エリス「はぁぁ!」

剣を1回転しながら横薙ぎに振り、自分の周りにいる狼を纏めて一掃する。

ジン「エリス!大丈夫か?」

エリス「魔族も使える聖剣か。大丈夫だ。これで私も戦える!」

エレナ「フッ。やるじゃないか。」

ジン「良し!やるぞ!2人共!」

エリス「ああ!任せろ!」

エレナ「おう!」
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