Worldtrace

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主人公クリストファー・スワロウ

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突然、戦場に遠吠えが響き渡ると事態は急変した。何処からか狼達が現れ、その場にいた者達へ襲い掛かった。

クロード「な!魔族の増援か!」

クリス「いや、違う!あそこを見ろ!」

確認すると魔族も狼に襲われていた。

アイリス「じゃあこれは、第三勢力?」

クリス「恐らく。」

皆が必死で敵を蹴散らす。しかし次々と現れる狼達は全員の体力と精神力を削って行く。

クロード「く!こんな時にあの男は何をしている!」

クリス「フッ。クロードでも先生を頼る事があるんだね?」

クロード「ち、違います!ただ殲滅するだけなら少しは役に立つという話です!」

だが確かにこのままでは全滅してしまう。クリスは何か打開策は無いか?と辺りを見渡した。すると魔族の代表、王子アレクサンダーと目が合った。クリスは直感する。彼は自分と同じ事を考えていると。

アイリス「クリス?」

クロード「クリス様!」

クリスは王子に近付くと同じく王子もクリスへと歩み寄る。

クリス「僕は次期公爵、クリストファー・スワロウです。恐らくこの場にいる人族の中で1番身分の高い人間です。」

アレクサンダー「私は魔族の王、アーサーの第一子アレクサンダーだ。今現在、魔族の代表をさせて貰っている。」

双方共に向かい合う。
アレクサンダーは目閉じ何かを考える。そして意を決し、話掛け様とした時だった。

クリス「お願いします!僕達に力を貸して下さい!」

アイリス「クリス!」

クロード「クリス様!」

アレクサンダー「な、何故、お前が頭を下げる!」

クリスは考えていた。この一件が片付けば魔族と和解する。しかしここでアレクサンダーに頭を下げさせれば、魔族は人族に借りを作る事になる。クリスの考えた和解の条件とこれからの事を考えるとそれは都合が悪かったからだ。

アレクサンダー「代表のお前が頭を下げる意味が分かっているのか?」

クリス「ええ。ハッキリ言えば全て計算尽くです。」

クリスはそう言うとニコリと笑う。

アレクサンダー「フッ、良いだろう。お前のその計算が何処まで合ってるか見届けてやる。その申し出、受けるぞ。」

魔族「な!王子!よろしいのですか?」

アレクサンダー「ならばどうする?このまま死者を出すのか?私はこれ以上、同胞に死んで欲しくない。」

魔族「!・・・分かりました。」

アレクサンダー「皆の者!これより人族と停戦し、目の前の脅威に共に立ち向かう!」

クリス「皆さん!私はスワロウ公爵家、嫡男のクリストファーです!」

クリスとアレクサンダーはそれぞれ戦いを止め、相手と協力して狼達と戦うと伝える。
だがその時、狼の1頭がアレクサンダーに不意打ちを仕掛ける。

魔族「王子!」

アレクサンダー「くそっ!こんな時に!」

しかしその牙はアレクサンダーに届く事は無かった。飛び掛かった狼は複数の線に撃ち抜かれた。

クリス「隙だらけですよ。」

アレクサンダー「お前・・・。」

アイリス「クリス!」

クリス「うわ!」

だが、今度はクリスに狼が襲い掛かる。
それを見たアレクサンダーは弓矢で狼の頭を撃ち抜いた。

アレクサンダー「お前も人の事は言えないぞ。」

クリス「はぁ、全くその通りですね。」

アレクサンダー「皆の者!見たな!あの男は私を助けた!」

クリス「皆さん!ご覧の通り、彼等は味方です!今討つべきは・・・。」

アレクサンダー「あの狼だ!・・・・全軍、我に続けぇ!」

クリス「さぁ、・・・行くぞぉ!」

人族と魔族関係なく雄叫びを上げ全員で狼へと向かって行く。

アイリス「ふぅ、皆んな何とか纏まったみたいね。・・・・どうしたの?」

クロード「いえ。お嬢様の後ろを歩いていた筈の坊っちゃまが、いつの間にか立派になられていたんだなと少し感動を・・・。」

アイリス「まだ終わってないのに泣くのは早いわよ。」

クロード「ええ。そうですね。」

少し状況を持ち直しアイリスの心も若干落ち着いた所で着信音が鳴る。

アイリス「シリウス?・・・・アテナ様!」

スマホの画面を見ると自分をこの『世界』に送った神、アテナからだった。内容は、あるアプリを入れたから活用して欲しいという物だった。こんな時に何だろう?とは思うがとにかく確認する。

アイリス「これは!」

クロード「お嬢様?」

クリス「姉上?」

アイリス「ここ、お願い。」

クリス「え!どちらへ?」

アイリス「使徒を討つ!」
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