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[Worldtrace2]
VSランド2
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俺はランドの攻撃を受け流し、刀を峰に返すと肩や胴を狙う。しかし、ランドはそれ等を簡単に防ぐ。"返す"という動作を入れるからか俺が一歩遅れる。ランドはその隙を利用し防御していた。とは言ってもランドが対処出来てるのは俺の無駄な動きだけが原因じゃないだろう。
鑑定眼と本人の実力も関係していると思う。前に聞いたけど、鑑定眼については相手の情報以外に動きも見極められるとか。相当鍛えて進化しているんだ。
そして実力の面で言うと、今は違うけど元々は貴族だ。環境そのものが人を育てるには非常に適していた筈。学問や剣術だってちゃんとした師が付いていただろう。なんと言えば良いか、伝統ある正統派の剣術だ。凄いのは当然だろう。
・・・それと比べると、俺のはゲームや映画を模倣しただけのいわゆる喧嘩殺法みたいな物だ。なんか泣けてくるな。
ただそんな適当剣術でここまで生き延びた訳だから、良くやってるなと自分を褒めても良いのでは?とか偶に思ったりもする。
ランド「ハァ!」
ランドが振り下ろすのに合わせ、刀で防ぎに行く。ただ考えが甘かった。剣が刀に当たる瞬間、ランドは一歩身を退き改めて突きを放つ。
俺「チッ!」
軌道を変えたランドの突きが、刀の下から迫る。俺は咄嗟に首を動かし躱す。
ランドはそのままさっきと同じく連続突きを放つ。今度の3段目の突きは打ち上げず叩き落とした。
ただその後気付いた。ここで叩き落としても突きの回数が減るだけだ。それにランドとしては打ち上げられるより、叩き落とされた方が立て直しやすいだろう。
ランドは綺麗に構え直し踏み込んで来る。また突きだ。俺はランドの剣を防ぐ為に刀を振る。だが今回は音もしなければ打つかった衝撃も無い。というかランドの姿そのものが視界から消えた。
俺「な!くそ!」
3段突きを囮にランドは俺の振った刀の下に潜り込む。狙いは俺の脚だ。俺は急いでジャンプする。回避したのは良いが、言わずもがな今は空中。俺には何も出来ない。
ランド「おお!」
俺「ぐわ!」
ランドは空中に浮いた所をショルダータックルを嚙ましてくる。喰らった俺はそのまま地面を転がる。
ランド「はぁ、はぁ!」
俺「ふぅ。」
互いに呼吸を整える。少し落ち着いた。しかし皆んなが今、どうなっているか分からないのにこれ以上の時間は掛けたくない。
何かイライラして来た。構え直しランドを見る。
ランド「フッ。」
俺「何だよ!」
ランド「やっとその顔になったな。」
俺「顔?」
ランド「君は身内、『家族』を大事にしている。血の繋がりとかじゃない。本当に『家族』と言える人達の為なら命を掛けてる。」
俺「?」
ランド「そして敵には容赦をしない。君は敵と『家族』の両方を天秤に掛ければ、迷う事なく敵を捨てる。今の君はそういう時の顔をしているよ。」
そんなの意識した事無いな。
俺「はぁ、今一度言うぞ。降伏しろ。」
ランド「断る!」
俺は走り出す。ランドは射程距離に入ると三度の突きを放つ。
ランド「!」
ランドの突きに合わせ俺も突きを放つ。剣と刀の切っ先が打つかる。まぁ、俺が狙って当てたんだけど。
ランド「うお!」
ここで退けばまた連続突きだ。さっきは警戒したのと、ランドを斬りたく無いって理由で退がった。だがこれ以上は付き合っていられない。攻める。でも俺の中では、他にも選択肢があるんじゃないか?と思う所もあった。いや、今は先にランドを黙らせる。
俺は直ぐに刀から左手を外しランドの見える位置で握り拳を作り、力を込めて固める。
ランド「は!すぅ・・・く!」
ランドは息を吸い覚悟を決めると腹に力を入れた。それを確認した所で俺はランドの右脚
を踏み付ける。
ランド「ぐあ!・・・がは!」
俺はすかさずボディブローを入れた。ランドは堪らず倒れ込み、転がりながら距離を取る。
ランド「は!ぐは!・・・・はぁ、はぁ、酷い攻撃だ。」
俺「俺は傭兵だぜ?お前と違って正攻法じゃ戦えない。」
ランド「俺に拳を見せて腹を狙うと意識させた。」
俺「ああ、あの位置から一撃で終わらせる急所は顎だ。だけど・・・」
ランド「頭全体を守る為にある硬い頭蓋骨。その頭蓋骨を何の布地も無しに殴れば拳の骨が駄目になる。だから狙うなら柔らかい腹。君に言われた事は全て覚えているよ。」
俺「だろうな。お前なら俺が拳を作れば狙いは腹だと気付くと信じていた。」
ランド「だから脚を攻撃した。腹に意識と力を集中している時、他の場所を攻撃すればその部分に全て持っていかれる。」
俺「後は意識と力の抜けた腹に思いっ切り叩き込めば良い。」
ランド「ははっ!やっぱり君は凄い!」
たくっ。何、楽しそうにしてんだ。
俺「分かってると思うけどこっちも時間が無い。いい加減終わりにしよう。・・・正直お前を斬りたく無い。」
ランド「俺の仲間達が抑えられなくなるからか?」
俺「それもある。だけどもっと簡単な理由だ。仲間を斬りたく無い。」
ランド「ハッ!随分な言い草だな。」
俺「何?」
ランド「はぁ、はぁ。まるで決まってるみたいな言い方だ。それに俺はリディアを裏切らない。決めたんだ!俺は君に勝って彼女を守る!」
俺「はぁ。この頑固者め!」
鑑定眼と本人の実力も関係していると思う。前に聞いたけど、鑑定眼については相手の情報以外に動きも見極められるとか。相当鍛えて進化しているんだ。
そして実力の面で言うと、今は違うけど元々は貴族だ。環境そのものが人を育てるには非常に適していた筈。学問や剣術だってちゃんとした師が付いていただろう。なんと言えば良いか、伝統ある正統派の剣術だ。凄いのは当然だろう。
・・・それと比べると、俺のはゲームや映画を模倣しただけのいわゆる喧嘩殺法みたいな物だ。なんか泣けてくるな。
ただそんな適当剣術でここまで生き延びた訳だから、良くやってるなと自分を褒めても良いのでは?とか偶に思ったりもする。
ランド「ハァ!」
ランドが振り下ろすのに合わせ、刀で防ぎに行く。ただ考えが甘かった。剣が刀に当たる瞬間、ランドは一歩身を退き改めて突きを放つ。
俺「チッ!」
軌道を変えたランドの突きが、刀の下から迫る。俺は咄嗟に首を動かし躱す。
ランドはそのままさっきと同じく連続突きを放つ。今度の3段目の突きは打ち上げず叩き落とした。
ただその後気付いた。ここで叩き落としても突きの回数が減るだけだ。それにランドとしては打ち上げられるより、叩き落とされた方が立て直しやすいだろう。
ランドは綺麗に構え直し踏み込んで来る。また突きだ。俺はランドの剣を防ぐ為に刀を振る。だが今回は音もしなければ打つかった衝撃も無い。というかランドの姿そのものが視界から消えた。
俺「な!くそ!」
3段突きを囮にランドは俺の振った刀の下に潜り込む。狙いは俺の脚だ。俺は急いでジャンプする。回避したのは良いが、言わずもがな今は空中。俺には何も出来ない。
ランド「おお!」
俺「ぐわ!」
ランドは空中に浮いた所をショルダータックルを嚙ましてくる。喰らった俺はそのまま地面を転がる。
ランド「はぁ、はぁ!」
俺「ふぅ。」
互いに呼吸を整える。少し落ち着いた。しかし皆んなが今、どうなっているか分からないのにこれ以上の時間は掛けたくない。
何かイライラして来た。構え直しランドを見る。
ランド「フッ。」
俺「何だよ!」
ランド「やっとその顔になったな。」
俺「顔?」
ランド「君は身内、『家族』を大事にしている。血の繋がりとかじゃない。本当に『家族』と言える人達の為なら命を掛けてる。」
俺「?」
ランド「そして敵には容赦をしない。君は敵と『家族』の両方を天秤に掛ければ、迷う事なく敵を捨てる。今の君はそういう時の顔をしているよ。」
そんなの意識した事無いな。
俺「はぁ、今一度言うぞ。降伏しろ。」
ランド「断る!」
俺は走り出す。ランドは射程距離に入ると三度の突きを放つ。
ランド「!」
ランドの突きに合わせ俺も突きを放つ。剣と刀の切っ先が打つかる。まぁ、俺が狙って当てたんだけど。
ランド「うお!」
ここで退けばまた連続突きだ。さっきは警戒したのと、ランドを斬りたく無いって理由で退がった。だがこれ以上は付き合っていられない。攻める。でも俺の中では、他にも選択肢があるんじゃないか?と思う所もあった。いや、今は先にランドを黙らせる。
俺は直ぐに刀から左手を外しランドの見える位置で握り拳を作り、力を込めて固める。
ランド「は!すぅ・・・く!」
ランドは息を吸い覚悟を決めると腹に力を入れた。それを確認した所で俺はランドの右脚
を踏み付ける。
ランド「ぐあ!・・・がは!」
俺はすかさずボディブローを入れた。ランドは堪らず倒れ込み、転がりながら距離を取る。
ランド「は!ぐは!・・・・はぁ、はぁ、酷い攻撃だ。」
俺「俺は傭兵だぜ?お前と違って正攻法じゃ戦えない。」
ランド「俺に拳を見せて腹を狙うと意識させた。」
俺「ああ、あの位置から一撃で終わらせる急所は顎だ。だけど・・・」
ランド「頭全体を守る為にある硬い頭蓋骨。その頭蓋骨を何の布地も無しに殴れば拳の骨が駄目になる。だから狙うなら柔らかい腹。君に言われた事は全て覚えているよ。」
俺「だろうな。お前なら俺が拳を作れば狙いは腹だと気付くと信じていた。」
ランド「だから脚を攻撃した。腹に意識と力を集中している時、他の場所を攻撃すればその部分に全て持っていかれる。」
俺「後は意識と力の抜けた腹に思いっ切り叩き込めば良い。」
ランド「ははっ!やっぱり君は凄い!」
たくっ。何、楽しそうにしてんだ。
俺「分かってると思うけどこっちも時間が無い。いい加減終わりにしよう。・・・正直お前を斬りたく無い。」
ランド「俺の仲間達が抑えられなくなるからか?」
俺「それもある。だけどもっと簡単な理由だ。仲間を斬りたく無い。」
ランド「ハッ!随分な言い草だな。」
俺「何?」
ランド「はぁ、はぁ。まるで決まってるみたいな言い方だ。それに俺はリディアを裏切らない。決めたんだ!俺は君に勝って彼女を守る!」
俺「はぁ。この頑固者め!」
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