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[Worldtrace2]
VSランド
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はぁ、説得しようと話したけど。魔族の扱いに関して、何の代案も無い今の状態じゃランドが怒っても仕方ない。
ランド「くっ!」
ランドは走り出すと講堂の様な部屋に入る。
とは言ってもサイズ的には学校とかの教室程度だと思う。
因みに今いるのは砦の2階だ。作戦等の会議をする為の講堂と隣には休憩室みたいな部屋がある。ついでに言うと1階は武器庫と食料庫、それに食堂があった。3階は居住空間になっていて兵士が寝泊まり出来る様になっていた。それと屋上って作りだ。俺はランドを追い掛け、講堂の入り口に向かう。
ただの敵なら倒す為に真剣に追い掛けるけど相手は身内でしかも説得したいだけだ。
俺「敵を追い掛けるより疲れるんだよな。」
とにかく警戒しながら部屋に近付く。不意に天井を見ると入り口の梁が目に入った。前にランドと梁の話をした事があった。
"俺「建物内での戦闘?」
ランド「ああ。皆んな魔物が都市に入らない様に頑張ってる。だけどもし侵入されて、更に建物を占拠されたらその狭い空間で魔物を排除しないといけないだろ?」
俺「まぁ、そうだな。建物毎潰し・・。」
ランド「建物を壊せばそこで生活している人達は明日からどう生きるのか。そう考えたら建物は壊せないだろ?」
俺「・・・・。」
ランド「・・・・ん?」
俺「いや、何でも無い。」
作戦として建物毎纏めて潰す。そんな話をしようとしたら言い切る前に却下された。聞こえて無かったみたいだし良いか。
俺「とにかく建物で剣を振るのは難しい。横に振るのは特にな。辛うじて縦なら天井の高さで何とか振れるけど。無意識に振るとここに当たる。」
俺は木剣で梁を叩く。
ランド「そうだな。」
俺「幕末の・・・。」
ランド「バクマツ?」
俺「あ・・・え~と、何て言うべきか。昔、聞いたんだけど。ある剣士が建物の中で戦った時、この梁に剣を取られて負けそうになったらしい。」
ランド「そうなのか?で、その人は?」
俺「その時は何とか生き延びたらしい。ただその時の経験からか、その人は突きを多用する事にしたって聞いた。又聞きだから確かな事なのかは分からないけど。」
ランド「突き?」
俺「ああ、縦でも横でも無く。この狭い扉の真ん中を突く。」
俺は前屈みになり突きを放つ。だけどこういう時に限って間の悪い人間が現れる。
ゲイツ「おう。小僧共。いるか?」
俺・ランド「あ!」
ゲイツ「ん?・・・どわ!危ねぇな!何しやがるクソガキ!」
しかし流石は団長。咄嗟にも関わらず俺の突きを白刃取りで受け止める。
ランド「いや、ごめん。団長。俺がシリウスに聞いたんだ。もし建物に魔物が入り込んだらどうするか?って。」
ゲイツ「ああ?んな物、建物毎潰せば良いだろ。」
ランド「いや、それだとそこで生活してた人は・・・。」
ゲイツ「その後、瓦礫片付けて新しいの建てれば良いじゃないか。」
俺「その金はどっから出すんだよ。」
ゲイツ「はぁ?壊れた原因が俺達の戦闘なら俺が金を出すよ。それくらいは余裕だ。」
俺「う~わ。権力者だ。怖いねぇ~。」
ゲイツ「俺には木剣とはいえ、部屋の中で振り回す輩のが怖いよ。」
俺「今は扉を挟んで廊下の方だから辛うじて部屋では無い。」
ゲイツ「建物の中なら何処だろうが部屋と一緒だろ!」"
そんな感じの話をした。今思えば俺が団長と話てる間、ランドはずっと考え込んでいた気がする。下らない事を思い出していたお陰で初動が遅れた。
ランド「うおぉぉ!」
気が付くと入り口を挟んで準備の整ったランドと向かい合っていた。あ、ヤベ。俺の位置だと梁と壁が邪魔で刀が振れない。
建物を使い俺の動きを封じたランドは突きを放ち、俺は半身になってそれを躱す。
俺は今まで『地球』にいた頃から才能なんて物は持ってなかったし、近くに持ってる奴もいなかった。人の才覚ってのをどう見抜くのか?そんな事は一切分からない。ランドに何か才能があっても俺は気付けない。ただランドを見て思ったのは、こいつは間違い無く努力家だ。何かを学び、自分へと昇華する。常に研鑽を積み、自分を磨いているこいつが突き一発で終わる筈が無い。
最初の突きを躱すと直ぐに軌道を変え2撃目が来る。それも躱すと3段目。やはり幕末の天才剣士の如く3段突きだ。俺はその3段目をカチ上げる。良し!胴がガラ空きだ。腹に峰打ちをしてランドを取り押さえる。そう思った矢先だった。俺の中で警鐘が鳴り、"気を付けろ!来るぞ!"と声がした。
俺はランドの左腕を見る。なんか凄い血管が浮き出るくらい力を込めて剣を握っている。ランドの全身を見ると体勢が崩れていない。ランドは俺の行動を全て読んでいた。追撃が来る。
ランド「はあぁぁ!」
俺に向かって左腕だけで突きを繰り出す。
俺「チッ。こいつ!」
不謹慎だが少し楽しいとか思う。まさか4段突きとはな。俺は胴を狙う為に構えた刀を振り下ろし、突きを叩き落とす。ただその判断は甘かった。俺は突きの対処する為に体勢が崩れていたが、ランドの方は俺が叩き落としてから直ぐに構え直す。恐らくここまで織り込み済みだったんだろう。
ランド「セェェイ!」
正眼の構えから真っ直ぐ諸手突きを放つ。
俺「野郎!」
俺は急いで刀を顔の前に持って行き、最後の突きを鎬で受け止める。
俺「たくっ!まさかの5段突きかよ。」
ランド「それでも、まだ君には届いていない。」
いや、この刀じゃないと多分危なかった。ギリギリ、ガチガチと音を立てながらお互いが押し合う。
ランド「あの時、建物の中で戦う状態の話をしてシリウスは突きの話をした。でも1回程度では役に立たない。だから3段突きを考えた。だけどシリウスには通用しないと思っていたよ。」
俺「だからって2つも増やすか?俺の事、過大評価してないか?」
ランド「フッ、4段突きに対処出来たのは魔族ではアレックス・・・アレクサンダーだけだ。」
え?王子、凄!
ランド「ただそのアレクサンダーも5段目には対処出来なかった。」
あ、あれ?となると?5段目に対処出来たのは?
ランド「君だけだ。全て躱したのは。」
おお!俺って凄い?とか思うけど調子乗ると失敗する。落ち着け、俺。
俺はランドを押し返すと刀を振り被る。それを見たランドもすかさず霞の構えをする。俺はランドの隙を作る為、剣を弾きに向かう。
だが俺の刀が当たった瞬間だった。一瞬で力が抜ける。ランドの剣がランドの手首を軸に目の前で一回転する。これなんて言ったっけ?あ!そうだ慣性の法則だ!動いてる物と止まってる物が打つかると止まってる方に力を持ってかれる奴。とか呑気に考えてる間に俺の刀が弾かれる。弾こうとした俺が逆に弾かれた。
俺「な!ここに来てジークの返しか!」
俺は振り下ろされる剣を半身にして躱すが、ランドはそこからまたも突きを放ち追撃に来る。その突きを受け止め、勢いを利用して距離を取る。
俺「ハッ、初戦で腰抜かしてたのに。・・・強くなったな。」
ランド「さっきも言った。それでもまだ君には届かない。」
ランド「くっ!」
ランドは走り出すと講堂の様な部屋に入る。
とは言ってもサイズ的には学校とかの教室程度だと思う。
因みに今いるのは砦の2階だ。作戦等の会議をする為の講堂と隣には休憩室みたいな部屋がある。ついでに言うと1階は武器庫と食料庫、それに食堂があった。3階は居住空間になっていて兵士が寝泊まり出来る様になっていた。それと屋上って作りだ。俺はランドを追い掛け、講堂の入り口に向かう。
ただの敵なら倒す為に真剣に追い掛けるけど相手は身内でしかも説得したいだけだ。
俺「敵を追い掛けるより疲れるんだよな。」
とにかく警戒しながら部屋に近付く。不意に天井を見ると入り口の梁が目に入った。前にランドと梁の話をした事があった。
"俺「建物内での戦闘?」
ランド「ああ。皆んな魔物が都市に入らない様に頑張ってる。だけどもし侵入されて、更に建物を占拠されたらその狭い空間で魔物を排除しないといけないだろ?」
俺「まぁ、そうだな。建物毎潰し・・。」
ランド「建物を壊せばそこで生活している人達は明日からどう生きるのか。そう考えたら建物は壊せないだろ?」
俺「・・・・。」
ランド「・・・・ん?」
俺「いや、何でも無い。」
作戦として建物毎纏めて潰す。そんな話をしようとしたら言い切る前に却下された。聞こえて無かったみたいだし良いか。
俺「とにかく建物で剣を振るのは難しい。横に振るのは特にな。辛うじて縦なら天井の高さで何とか振れるけど。無意識に振るとここに当たる。」
俺は木剣で梁を叩く。
ランド「そうだな。」
俺「幕末の・・・。」
ランド「バクマツ?」
俺「あ・・・え~と、何て言うべきか。昔、聞いたんだけど。ある剣士が建物の中で戦った時、この梁に剣を取られて負けそうになったらしい。」
ランド「そうなのか?で、その人は?」
俺「その時は何とか生き延びたらしい。ただその時の経験からか、その人は突きを多用する事にしたって聞いた。又聞きだから確かな事なのかは分からないけど。」
ランド「突き?」
俺「ああ、縦でも横でも無く。この狭い扉の真ん中を突く。」
俺は前屈みになり突きを放つ。だけどこういう時に限って間の悪い人間が現れる。
ゲイツ「おう。小僧共。いるか?」
俺・ランド「あ!」
ゲイツ「ん?・・・どわ!危ねぇな!何しやがるクソガキ!」
しかし流石は団長。咄嗟にも関わらず俺の突きを白刃取りで受け止める。
ランド「いや、ごめん。団長。俺がシリウスに聞いたんだ。もし建物に魔物が入り込んだらどうするか?って。」
ゲイツ「ああ?んな物、建物毎潰せば良いだろ。」
ランド「いや、それだとそこで生活してた人は・・・。」
ゲイツ「その後、瓦礫片付けて新しいの建てれば良いじゃないか。」
俺「その金はどっから出すんだよ。」
ゲイツ「はぁ?壊れた原因が俺達の戦闘なら俺が金を出すよ。それくらいは余裕だ。」
俺「う~わ。権力者だ。怖いねぇ~。」
ゲイツ「俺には木剣とはいえ、部屋の中で振り回す輩のが怖いよ。」
俺「今は扉を挟んで廊下の方だから辛うじて部屋では無い。」
ゲイツ「建物の中なら何処だろうが部屋と一緒だろ!」"
そんな感じの話をした。今思えば俺が団長と話てる間、ランドはずっと考え込んでいた気がする。下らない事を思い出していたお陰で初動が遅れた。
ランド「うおぉぉ!」
気が付くと入り口を挟んで準備の整ったランドと向かい合っていた。あ、ヤベ。俺の位置だと梁と壁が邪魔で刀が振れない。
建物を使い俺の動きを封じたランドは突きを放ち、俺は半身になってそれを躱す。
俺は今まで『地球』にいた頃から才能なんて物は持ってなかったし、近くに持ってる奴もいなかった。人の才覚ってのをどう見抜くのか?そんな事は一切分からない。ランドに何か才能があっても俺は気付けない。ただランドを見て思ったのは、こいつは間違い無く努力家だ。何かを学び、自分へと昇華する。常に研鑽を積み、自分を磨いているこいつが突き一発で終わる筈が無い。
最初の突きを躱すと直ぐに軌道を変え2撃目が来る。それも躱すと3段目。やはり幕末の天才剣士の如く3段突きだ。俺はその3段目をカチ上げる。良し!胴がガラ空きだ。腹に峰打ちをしてランドを取り押さえる。そう思った矢先だった。俺の中で警鐘が鳴り、"気を付けろ!来るぞ!"と声がした。
俺はランドの左腕を見る。なんか凄い血管が浮き出るくらい力を込めて剣を握っている。ランドの全身を見ると体勢が崩れていない。ランドは俺の行動を全て読んでいた。追撃が来る。
ランド「はあぁぁ!」
俺に向かって左腕だけで突きを繰り出す。
俺「チッ。こいつ!」
不謹慎だが少し楽しいとか思う。まさか4段突きとはな。俺は胴を狙う為に構えた刀を振り下ろし、突きを叩き落とす。ただその判断は甘かった。俺は突きの対処する為に体勢が崩れていたが、ランドの方は俺が叩き落としてから直ぐに構え直す。恐らくここまで織り込み済みだったんだろう。
ランド「セェェイ!」
正眼の構えから真っ直ぐ諸手突きを放つ。
俺「野郎!」
俺は急いで刀を顔の前に持って行き、最後の突きを鎬で受け止める。
俺「たくっ!まさかの5段突きかよ。」
ランド「それでも、まだ君には届いていない。」
いや、この刀じゃないと多分危なかった。ギリギリ、ガチガチと音を立てながらお互いが押し合う。
ランド「あの時、建物の中で戦う状態の話をしてシリウスは突きの話をした。でも1回程度では役に立たない。だから3段突きを考えた。だけどシリウスには通用しないと思っていたよ。」
俺「だからって2つも増やすか?俺の事、過大評価してないか?」
ランド「フッ、4段突きに対処出来たのは魔族ではアレックス・・・アレクサンダーだけだ。」
え?王子、凄!
ランド「ただそのアレクサンダーも5段目には対処出来なかった。」
あ、あれ?となると?5段目に対処出来たのは?
ランド「君だけだ。全て躱したのは。」
おお!俺って凄い?とか思うけど調子乗ると失敗する。落ち着け、俺。
俺はランドを押し返すと刀を振り被る。それを見たランドもすかさず霞の構えをする。俺はランドの隙を作る為、剣を弾きに向かう。
だが俺の刀が当たった瞬間だった。一瞬で力が抜ける。ランドの剣がランドの手首を軸に目の前で一回転する。これなんて言ったっけ?あ!そうだ慣性の法則だ!動いてる物と止まってる物が打つかると止まってる方に力を持ってかれる奴。とか呑気に考えてる間に俺の刀が弾かれる。弾こうとした俺が逆に弾かれた。
俺「な!ここに来てジークの返しか!」
俺は振り下ろされる剣を半身にして躱すが、ランドはそこからまたも突きを放ち追撃に来る。その突きを受け止め、勢いを利用して距離を取る。
俺「ハッ、初戦で腰抜かしてたのに。・・・強くなったな。」
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