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[Worldtrace2]
最終局面突入
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俺は『地球』にいた頃から運が良く無い。
ツイてない事ばかり起きる。
この『世界』でもそれは変わらない様で。
俺「・・・・・。」
クリス「・・・・・。」
アイリス「・・・・・。」
今、俺はテントの中でクリスと一緒にアイリスの前で正座させられていた。事の発端はクリスが合流した1時間程前の事だった。
アイリス「やっぱりあそこに行くしかないかな?」
屋上で辺りを見回す俺にアイリスが言う。確かに他にそれらしい施設は見当たらない。
クロード「お嬢様。クリス様が到着致しました。」
俺「え?クリス来たの?」
クロード「貴様には言っていない!」
相変わらずの悪態だが今はクリスだ。出迎えの為、急いで砦の外に出るとクリスが笑顔で立っていた。クリスは公爵の私兵も連れて来たらしい。戦力が増えたのは良いけど、これからどうするか色々決まっていない。無駄足にならなければ良いんだけど。
俺「よう。仕事は片付いたのか?」
クリス「ええ、すっかり片付きましたよ。」
アイリス「そう。それじゃあ、後は例のブロートとか言う奴ね。」
クリス「彼の事なら心配には及びませんよ。僕が倒しました。止めはマークが刺しましたけど。」
え!そうなの?
流石は主人公!これで厄介な仕事が1つ片付いた。
ただ何か寒気が走る。俺の背中が突き刺された様に痛い。
クリス「あ、あれ?・・・い、いや!話せば分かります!待って下さい!」
クリスが俺の方を見て狼狽えている。というか見てるのは俺の後ろだけど。俺もゆっくり振り返る。そこには鬼の形相の彼女がいた。
という事で俺達は反省するまで正座する事になった訳だ。反省か。
俺「クリス?反省した?」
クリス「え?・・・あ!はい!」
俺「良し!じゃあ今日はもう終わり!解散!」
アイリス「良いから。・・・座って。」
俺「・・・・・はい。」
クリス「全然駄目じゃないですか!一騎討ちで魔王を倒した筈の先生が何で姉様に気圧されてるんですか!」
最近は姉上と呼んでいた筈のクリスが昔の言い方になるくらい動揺してる。だけど俺もそう簡単には行かない。
俺「馬鹿!あの状態のアイリスに誰が物申せるんだよ!」
クリス「確かにあの状態の姉様を宥められるのは、亡くなった母様だけだったそうです。」
俺「それなら俺には無理だろ?・・・・ここはお前がなんとか言えよ。」
クリス「え!う~ん。・・・・姉上。」
アイリス「何?」
クリス「僕はとにかく姉上や、先生の負担が少しでも無くなる様にと・・・・。」
アイリス「へぇ~。それで?」
クリス「・・・・・。」
アイリス「・・・・・。」
クリスは言葉の抵抗も虚しく座り直す。
アイリス「あのね。別に私の事を思って助けてくれるのは良いの。でもね?私に黙って危ない事をしていたっていうのが気に入らないの!」
クリス「でも、話せば止めましたよね?」
アイリス「当たり前でしょ!」
2人の話し合いは続く。とにかくこれで矛先が俺の方へ来なければ問題無い。胸を撫で下ろし静かにしていると、アイリスの後ろに控えているクロードと目が合う。何か嫌な予感がする。
クロード「お嬢様。責任ならば間違い無くこの男にあると思いますよ。」
俺「あ!お前!俺を売りやがったな!」
クロード「何を言っているんです?貴方の首に売る程の価値はありませんよ。私は無償で情報提供しただけです。」
俺「この野郎!」
アイリス「2人共、落ち着いて。まぁ、確かにシリウスがクリスに教えなければ心配しないで済んだかもね。」
俺「いやいや、下手したら死んでた可能性もあるだろ?そうならない為の手助けをしたんだよ。」
アイリス「はぁ、確かにそれについては有り難かったけど。・・・良い?今後は勝手な事はしないでよ。」
俺「はい。」
クリス「分かりました。」
アイリス「うん。宜しい。」
クリス「でも、クロードは知っていたよね?僕がハーベイと戦う事。」
アイリス「・・・は?どういう事?」
アイリスが怒気を込めながら振り返る。クロードはあまりの衝撃に咳き込んだ。俺はざまぁ見ろとは思うが口には出さない。また怒られたら堪らん。
クロード「い、いえ。クリス様が何か仕事が残っていると仰っていたので頑張って頂きたいと応援しただけでして。詳細は知りませんでした。」
クリス「え!そんな!クロードが気付かないなんて事、無いだろう?」
仕方ない。俺も口添えしてやるか。
俺「諦めて白状しろ。吐けば楽になる。」
クロード「五月蠅い!貴様は黙ってろ!」
朝から昼に掛け砦の攻略。昼から夕方に掛けてクリスの事でアイリスからの説教。今日も色々あった。これからどうなるかは明日の結果次第だけど。
とにかく大部隊であの東にある街に行くと面倒になりそうだ。ここからは話し合いだろうし、少数で行って代表と話が出来れば多分問題無い。そう思っていたが、事態は早朝に突然動き出した。
朝方、緊急事態という事で叩き起こされた。まだ準備が終わっていないこのタイミングで魔物と魔族の軍勢が目の前に現れた。多分、以前の城が突然現れたのと同じだと思う。存在を隠蔽して整列させ、朝になると同時に魔法を解除したんだろう。
全員が慌てている中、魔族の号令が木霊する。
魔族「全軍!突撃!」
このままだと負ける。そう思った時だった。複数の火の玉が魔物達に当たる。
エレナ「落ち着け!魔法使いの中で直ぐに攻撃出来る者は最前列の魔物を狙え!倒せなくても良い!少しでも時間を稼ぐんだ!その間に盾を持ってる前衛と弓使いは急いで準備しろ!」
アイリス「準備が出来たら前衛は目の前の敵を抑えて!弓使いはその援護!残りはその間に戦闘準備!」
2人が冷静で助かった。いきなりの開戦で全滅するかもとは思ったが、それはなんとか避けられそうだ。
しばらく敵を蹴散らしていると何処からか視線を感じた。
地球ではただの一般人で、視線なんて気にした事も無い俺がそれを感じられる様になっている。慣れって怖いね。
とにかく俺は振り返ると、砦の近くにランドが立っていた。顎で砦の方を指し移動する。"こっちに来てくれ。"って事だろう。
俺「ちょっとここ離れる。」
アイリス「な!どこ行くの!」
俺「ランドがいた。話して来る。」
トリッシュ「何でこっちよりそっちが優先なのよ!」
ゲームだとプレイヤーがクリスを選ぶと、部下達と一緒にランドを倒す事になる。だが、ランドを選ぶと必ずクリスと一騎討ちをして倒す。要するにランドはクリスを確実に仕留められるとレコードに記録されている存在だ。放ってはおけない。
俺「とにかくあっちも重要だから行って来る。そっちはそっちで何とかしてくれ。」
トリッシュ「もう!」
文句を言う仲間を置いてランドを追う。ブロートの件は片付いてる。後はランドの説得だけ。だと思いたい。
ツイてない事ばかり起きる。
この『世界』でもそれは変わらない様で。
俺「・・・・・。」
クリス「・・・・・。」
アイリス「・・・・・。」
今、俺はテントの中でクリスと一緒にアイリスの前で正座させられていた。事の発端はクリスが合流した1時間程前の事だった。
アイリス「やっぱりあそこに行くしかないかな?」
屋上で辺りを見回す俺にアイリスが言う。確かに他にそれらしい施設は見当たらない。
クロード「お嬢様。クリス様が到着致しました。」
俺「え?クリス来たの?」
クロード「貴様には言っていない!」
相変わらずの悪態だが今はクリスだ。出迎えの為、急いで砦の外に出るとクリスが笑顔で立っていた。クリスは公爵の私兵も連れて来たらしい。戦力が増えたのは良いけど、これからどうするか色々決まっていない。無駄足にならなければ良いんだけど。
俺「よう。仕事は片付いたのか?」
クリス「ええ、すっかり片付きましたよ。」
アイリス「そう。それじゃあ、後は例のブロートとか言う奴ね。」
クリス「彼の事なら心配には及びませんよ。僕が倒しました。止めはマークが刺しましたけど。」
え!そうなの?
流石は主人公!これで厄介な仕事が1つ片付いた。
ただ何か寒気が走る。俺の背中が突き刺された様に痛い。
クリス「あ、あれ?・・・い、いや!話せば分かります!待って下さい!」
クリスが俺の方を見て狼狽えている。というか見てるのは俺の後ろだけど。俺もゆっくり振り返る。そこには鬼の形相の彼女がいた。
という事で俺達は反省するまで正座する事になった訳だ。反省か。
俺「クリス?反省した?」
クリス「え?・・・あ!はい!」
俺「良し!じゃあ今日はもう終わり!解散!」
アイリス「良いから。・・・座って。」
俺「・・・・・はい。」
クリス「全然駄目じゃないですか!一騎討ちで魔王を倒した筈の先生が何で姉様に気圧されてるんですか!」
最近は姉上と呼んでいた筈のクリスが昔の言い方になるくらい動揺してる。だけど俺もそう簡単には行かない。
俺「馬鹿!あの状態のアイリスに誰が物申せるんだよ!」
クリス「確かにあの状態の姉様を宥められるのは、亡くなった母様だけだったそうです。」
俺「それなら俺には無理だろ?・・・・ここはお前がなんとか言えよ。」
クリス「え!う~ん。・・・・姉上。」
アイリス「何?」
クリス「僕はとにかく姉上や、先生の負担が少しでも無くなる様にと・・・・。」
アイリス「へぇ~。それで?」
クリス「・・・・・。」
アイリス「・・・・・。」
クリスは言葉の抵抗も虚しく座り直す。
アイリス「あのね。別に私の事を思って助けてくれるのは良いの。でもね?私に黙って危ない事をしていたっていうのが気に入らないの!」
クリス「でも、話せば止めましたよね?」
アイリス「当たり前でしょ!」
2人の話し合いは続く。とにかくこれで矛先が俺の方へ来なければ問題無い。胸を撫で下ろし静かにしていると、アイリスの後ろに控えているクロードと目が合う。何か嫌な予感がする。
クロード「お嬢様。責任ならば間違い無くこの男にあると思いますよ。」
俺「あ!お前!俺を売りやがったな!」
クロード「何を言っているんです?貴方の首に売る程の価値はありませんよ。私は無償で情報提供しただけです。」
俺「この野郎!」
アイリス「2人共、落ち着いて。まぁ、確かにシリウスがクリスに教えなければ心配しないで済んだかもね。」
俺「いやいや、下手したら死んでた可能性もあるだろ?そうならない為の手助けをしたんだよ。」
アイリス「はぁ、確かにそれについては有り難かったけど。・・・良い?今後は勝手な事はしないでよ。」
俺「はい。」
クリス「分かりました。」
アイリス「うん。宜しい。」
クリス「でも、クロードは知っていたよね?僕がハーベイと戦う事。」
アイリス「・・・は?どういう事?」
アイリスが怒気を込めながら振り返る。クロードはあまりの衝撃に咳き込んだ。俺はざまぁ見ろとは思うが口には出さない。また怒られたら堪らん。
クロード「い、いえ。クリス様が何か仕事が残っていると仰っていたので頑張って頂きたいと応援しただけでして。詳細は知りませんでした。」
クリス「え!そんな!クロードが気付かないなんて事、無いだろう?」
仕方ない。俺も口添えしてやるか。
俺「諦めて白状しろ。吐けば楽になる。」
クロード「五月蠅い!貴様は黙ってろ!」
朝から昼に掛け砦の攻略。昼から夕方に掛けてクリスの事でアイリスからの説教。今日も色々あった。これからどうなるかは明日の結果次第だけど。
とにかく大部隊であの東にある街に行くと面倒になりそうだ。ここからは話し合いだろうし、少数で行って代表と話が出来れば多分問題無い。そう思っていたが、事態は早朝に突然動き出した。
朝方、緊急事態という事で叩き起こされた。まだ準備が終わっていないこのタイミングで魔物と魔族の軍勢が目の前に現れた。多分、以前の城が突然現れたのと同じだと思う。存在を隠蔽して整列させ、朝になると同時に魔法を解除したんだろう。
全員が慌てている中、魔族の号令が木霊する。
魔族「全軍!突撃!」
このままだと負ける。そう思った時だった。複数の火の玉が魔物達に当たる。
エレナ「落ち着け!魔法使いの中で直ぐに攻撃出来る者は最前列の魔物を狙え!倒せなくても良い!少しでも時間を稼ぐんだ!その間に盾を持ってる前衛と弓使いは急いで準備しろ!」
アイリス「準備が出来たら前衛は目の前の敵を抑えて!弓使いはその援護!残りはその間に戦闘準備!」
2人が冷静で助かった。いきなりの開戦で全滅するかもとは思ったが、それはなんとか避けられそうだ。
しばらく敵を蹴散らしていると何処からか視線を感じた。
地球ではただの一般人で、視線なんて気にした事も無い俺がそれを感じられる様になっている。慣れって怖いね。
とにかく俺は振り返ると、砦の近くにランドが立っていた。顎で砦の方を指し移動する。"こっちに来てくれ。"って事だろう。
俺「ちょっとここ離れる。」
アイリス「な!どこ行くの!」
俺「ランドがいた。話して来る。」
トリッシュ「何でこっちよりそっちが優先なのよ!」
ゲームだとプレイヤーがクリスを選ぶと、部下達と一緒にランドを倒す事になる。だが、ランドを選ぶと必ずクリスと一騎討ちをして倒す。要するにランドはクリスを確実に仕留められるとレコードに記録されている存在だ。放ってはおけない。
俺「とにかくあっちも重要だから行って来る。そっちはそっちで何とかしてくれ。」
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