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砦攻略

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明日、砦に攻め込むって事で少し離れた所で野営した。大分はっきり見えてたのに以外と距離が遠く、エレナの魔物退治と行軍だけで1日使った。
今日1日だけで寿命が縮んだ気がする。エレナのオリジナル魔法でアイリスに怒られたからだ。
ここ最近だけでクリスの脳筋化に毒殺未遂事件、親友ランドの裏切りともう既に満塁な感じなのにエレナのサヨナラホームラン的なのまで飛び出した。
もう俺にホームランは要らない。俺は当てにならない神に祈る。もうこれ以上の大事は起きるなよ!と。

トリッシュ「何、熱心に祈ってるの?」

俺「更なる不幸が俺に降り掛かりません様にって、神様にお願いしてんだよ。」

ザック「へぇ、お前。神なんか信じてるのか?」

信じてるというか会ってるというか。

シャノン「そんな事より。」

俺「そんな事?」

シャノン「キースさんは何処に行ったんですか?」

なんか俺の願いが雑な感じだけど。まぁ、掘り下げられても困るから良いか。それはさておきキースはと言うと、俺にも気になる事がある。

俺「君は何でいるの?」

アイリス「え?・・え~と、・・・緊急避難かな?」

俺「ん?」

アイリス「シトラス子爵が来てるの。」

俺「シトラス?何か聞いた事あるな。誰だっけ?」

トリッシュ「あんたねぇ~。キースの実家よ。」

今キースがここにいない事と関係してるのかな?

俺「今って確か兄貴の方が当主だっけ?」

トリッシュ「そう。だから挨拶にでも行ってるんじゃない?キースは。」

俺「でもその子爵は?」

アイリス「私のテント・・・天幕の中。」

俺「ちょっと挨拶したら終わりだろ?」

アイリス「いや、昼間からずっと求婚されてるの!」

俺「はぁ?そいつ子爵だろ?身分が合わないと思うけど?」

キース「ええ。ですが、兄上は今回の戦で伯爵に出世するつもりの様ですよ。それで伯爵になってアイリス様と婚約する気らしいです。」

トリッシュ「ああ、お帰り。追い返したの?」

キース「ええ、もう戻っても大丈夫ですよ。」

クロード「ええ、ここにいなくても大丈夫です。その男の所にいなくても安全ですよ。」

アイリス「一層の事ここで一泊してこうかな?」

クロード「駄目です!」

ザック「駄目だろう!」

シャノン「駄目ですよ!」

トリッシュ「あのここじゃ、何の御持て成し出来ませんから。」

皆んな反対もありアイリスは自分のテントへ帰った。

俺「キースの兄貴、手柄立てるつもりなのか?」

キース「ええ、僕が活躍出来たなら自分も簡単に出世出来ると思った様ですよ。」

俺「安易だな。」

ザック「おい、あいつはキースの家族だが貴族なんだ。気を付けないと処刑されるぞ。」

俺「分かってるよ。」

トリッシュ「怪しい。」

シャノン「アイリス様も御優しい方ですから何も言いませんけど、普通ならあり得ませんからね?」

あいつの場合はそれとは別だと思うけど。まぁ、俺が普段から気にしなさ過ぎなのは確かだ。

俺「気を付けるよ。」

エレナ「話、終わったか?」

さっきまで横で黙ってた思ったら聞いて無かったのか。

エレナ「明日はどうなるんだ?」

俺「ん?とにかくあの砦の攻略だな。その後は魔族の本拠地に攻めるって感じだろ?」

エレナ「でも斥候とかの話だと砦以外には城みたいな建物は見当たらないって話だったぞ?」

キース「ええ。ただ更に東側に建造物らしき物があったらしいので、そこが拠点なんじゃないですか?」

ザック「そこが、ただの民間人が住んでるだけの街じゃなければ良いがな。」

トリッシュ「でもその事、ほとんどの人は気にしてないみたいよ。」

はぁ、なんか色々混み入ってきたな。まだこれからどうするかってのも思い付いて無いし。とにかく明日は砦の攻略だ。なんとかなれば良いけど。



次の日の朝、俺は気になる顔を発見する。

俺「何してんの?」

マット「は、はん!俺は伯爵で剣聖だからな!く、国の一大事となった今、しゅ、出陣しない訳にはいかない。」

カイル「そ、そうだ!わ、我々は国の為にわざわざここまで来たんだ!」

スレイ「か、かか、感謝しろ!」

前の時に活躍したって事で駆り出されたんだろう。若干、可哀想な気もする。ただこれ以上の面倒事は遠慮したい。

俺「お前等、あっちで戦えよ。俺の周りにはいるなよ。」

スレイ「は?な、何でだよ!」

俺「お前達の面倒、見てられないから。それと皆んなの邪魔にならない様に気を付けろよ。」

カイル「つ、冷たいぞ!幼馴染だろ!」

俺「迷惑しか掛けられた記憶が無いけどな。あ!ならあの時の貸し纏めて返せよ。」

マット「な、何!それで許してくれるのか?」

俺「おう!」

マット「何をすれば良い!」

俺「あっちの方で戦って来い。」

スレイ「それじゃ意味無いだろ!」

面倒臭いな。

俺「とっとと行け!」

マット「うわぁぁん!」

3人は泣きながら向かう。

アイリス「こんな事言うのあれかも知れないけど、言い過ぎじゃない?」

俺「それだけ色々やってんだよ。あいつ等。はぁ、一応は気にしておくさ。」

砦の前には魔物達が集結していた。エレナが使った魔法を喰らわず、無事だった魔物を集めて再編したんだろう。砦の屋上には魔族が陣取っている。上から魔法と矢が飛んで来るだろうから、気を付けないとな。そしてまたいつもの様に敵の合図で開戦する。
とにかく皆んなの無事を確認しながら戦う。全員、危なげ無く戦っていた。エレナも威力のデカい魔法は控えているが、なんとか戦っている。

マット「うわぁ!来るな!来るなぁ!」

カイル「止めろ!助けて!助けてぇ!」

スレイ「俺が何したってんだよ!誰かなんとかしてくれ!」

もう少し頑張れよ。とか思うけど、あいつ等だとあれが限界か。まぁ、根性出してここまで来たんだから助けてやるか。3人と魔物の間に割り込むと一太刀で両断する。

マット「ジリウズ~!」

俺「もうお前等は退がって後方支援してろ。行け。」

マット「わ、分がっだぁ!」

俺の言葉に鼻声で答えた後、本陣の方へ走り去る。

エレナ「相変わらずお人好しだな。」

俺「そうか?普通だろ?それにあいつ等あんな醜態晒したからな。この後どうなるかっての考えたら少しは優しくしても良いだろ?」

エレナ「それをお人好しって言うんだろ?」

3人組みを後方に退がらせてからもしばらく戦いは続いた。ある程度の魔物を蹴散らし、砦に攻め入るが中には誰もいなかった。確か何人かの魔族を見た筈だ。誰もいないから罠かとも思ったが何も起きていない。
一段落が付き、屋上に登り辺りを見回す。魔族の拠点になりそうなのはやはりあの都市らしき建造物しかない。砦を攻略したから今度は奥の建造物に向かう事になる。相変わらず和解の糸口も無く、状況は進んで行く。
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