Worldtrace

mirror

文字の大きさ
上 下
128 / 187
[Worldtrace2]

接触

しおりを挟む
"イージス"の外壁、森の近くにて雑用仕事を粛々と続ける。

俺「ぬぁ~!面倒臭ぇ~!」

ダン「文句言うなよ。俺達も同じ気持ちだよ。」

ジーク「諦めろ。」

ティム「ジーク、ダン。ちょっと手伝ってくれ。」

そして誰もいなくなった。

俺「くそ。やるか。」

現代社会で生きた身としては上司から言われた以上やるしかない。文句を言っても終わらないし、そればかりは仕方ない。

俺「はぁ~、ついてねぇ~。」

?「貴様か、剣聖魔人という大層な名を名乗っているのは?」

俺「別に名乗って無いよ。団長が悪ふざけで触れ回ってるだけさ。」

振り返るとそこには馬に乗った身なりの良い男がいた。服装から多分、貴族だと思う。

?「私はブロート・ハーベイ伯爵である。頭が高いぞ、小僧。」

こいつが例の俺達をこき使ってる伯爵か。

俺「馬に乗って俺より高い位置から話してんのに頭が高いとはよく言えたな。」

ブロート「フッ、噂以上だな。」

俺「噂?」

ブロート「失礼が服を着た様な奴だという話だったからな。」

誰だそんなふざけた事を言った奴は!見つけてシメてやりたいが今はそんな場合じゃない。不意にブロートと目が合う。睨み合いをしてる訳じゃないけどなんかここで目を逸らすと負ける気がする。
しかし、やたらと俺の顔を見ているというか目を合わせ様としている。俺は試しに目を凝らし魔力の流れ、魔力線を見てみる。ブロートの目がガッツリ光っていた。

俺「うお!眩しい!お前今、魔法使ってるだろ!」

ブロート「フンッ、よく分かったな。その通りだ。私はいわゆる邪眼という物を持っている。」

よく真顔で言えるな。邪眼か、話に聞いた物だと効力はほとんどが状態異常の筈だ。

俺「まさかとは思うけど、あんたがランドに何かしたんじゃないだろうな?」

ブロート「フッ、希望を持たせて悪いが、私の邪眼はそんなに万能では無いんだ。」

俺「どういう意味だ?」

ブロート「先ず、発動中は魔力を使う。効力も長くは続かない。それと1番の問題はこの能力は魔力の少ない人間にはあまり効かないのだ。奴は傭兵だろう?この世界で魔力の少ない人種はほぼ傭兵になるからな。」

魔力があれば冒険者になるし、魔力が必要無い力仕事は傭兵か。なんか他にも選択肢がある気もするけど、基本傭兵をやる奴は深く考えないからな。・・・なんか自分で自分を貶めてる気がする。それより奴の話だ。

俺「なぁ、魔法の類いなんだろ?普通は魔力のある奴の方が、耐性とかあるんじゃないのか?」

ブロート「そこから先は自分で考えるんだな。とにかく私では人を裏切る様に行動させる事は出来ない。」

俺「じゃあ何で俺に使ったんだ?」

ブロート「半分は遊び、半分は実験だ。」

俺「お前ふざけんてんのか?」

ブロート「フッ、それではな。貴様の活躍、期待しているぞ。」

話を強制終了して去って行く。あいつ思っていた以上にイカれてるのか?
魔力の少ない傭兵には効かない。俺にも効果が無かったと思う。邪眼なんだから多分、精神異常の系統だよな?精神って事は体内で起きる事だ。外的要因により体内で効果を発揮する物と考えると1つ思い出す。そういえばこの『世界』の回復薬は摂取すると、体内の魔力を集め傷を塞ぐ様に働き掛ける。あいつの能力はもしかして外から人の体内の魔力に干渉して直接、脳に指令を出して操るとかか?だとすると魔力袋の無い俺に効かなかった説明にはなる。

俺「とは言え初対面の相手に対して、いきなり魔法掛けに来るかね?」

ゲイツ「おい、小僧。」

俺「ん?」

ゲイツ「今、伯爵と話してなかったか?」

俺「ああ、少し話したよ。」

ゲイツ「動くなって言ったよな?」

俺「俺の所為みたいに言うなよ。あっちから話し掛けて来たんだから。」

ゲイツ「で?」

俺「何だよ。」

ゲイツ「お前の印象は?」

俺「まぁ、中々の悪党じゃないか?」

冗談みたいに言っていたけど、俺に魔法を使ったのは事実だ。何かしらの悪意を持って動いている。そう思える。奴がランドを嵌めたのは確かだろう。状況的にシナリオ通りに進める為、演出したって所か。

俺「どっちにしても話は聞かないと行けないよな。」

あの伯爵の目を盗んでランドの話を聞く。難しいよな。一層の事、戦場で直接話を聞くか?なんかその方が早い気がする。
後は野となれ山となれって事で良いよな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スコップ1つで異世界征服

葦元狐雪
ファンタジー
超健康生活を送っているニートの戸賀勇希の元へ、ある日突然赤い手紙が届く。 その中には、誰も知らないゲームが記録されている謎のUSBメモリ。 怪しいと思いながらも、戸賀勇希は夢中でそのゲームをクリアするが、何者かの手によってPCの中に引き込まれてしまい...... ※グロテスクにチェックを入れるのを忘れていました。申し訳ありません。 ※クズな主人公が試行錯誤しながら現状を打開していく成長もののストーリーです。 ※ヒロインが死ぬ? 大丈夫、死にません。 ※矛盾点などがないよう配慮しているつもりですが、もしありましたら申し訳ございません。すぐに修正いたします。

王女殿下の死神

三笠 陣
ファンタジー
 アウルガシア大陸の大国、ロンダリア連合王国。  産業革命を成し遂げ、海洋発展の道を進もうとするこの王国には、一人の王女がいた。  エルフリード・ティリエル・ラ・ベイリオル、御年十六歳の少女は陸軍騎兵中尉として陸軍大学校に籍を置く「可憐」とはほど遠い、少年のような王族。  そんな彼女の隣には、いつも一人の少年の影があった。  リュシアン・エスタークス。  魔導貴族エスタークス伯爵家を継いだ魔術師にして、エルフリード王女と同い年の婚約者。  そんな彼に付けられた二つ名は「黒の死神」。  そんな王女の側に控える死神はある日、王都を揺るがす陰謀に遭遇する。  友好国の宰相が来訪している最中を狙って、王政打倒を唱える共和主義者たちが動き出したのである。  そして、その背後には海洋覇権を巡って対立するヴェナリア共和国の影があった。  魔術師と諜報官と反逆者が渦巻く王都で、リュシアンとエルフリードは駆ける。 (本作は、「小説家になろう」様にて掲載した同名の小説を加筆修正したものとなります。)

無法の街-アストルムクロニカ-(挿し絵有り)

くまのこ
ファンタジー
かつて高度な魔法文明を誇り、その力で世界全てを手中に収めようとした「アルカナム魔導帝国」。 だが、ある時、一夜にして帝都は壊滅し、支配者を失った帝国の栄華は突然の終焉を迎えた。 瓦礫の山と化した帝都跡は長らく忌み地の如く放置されていた。 しかし、近年になって、帝都跡から発掘される、現代では再現不可能と言われる高度な魔法技術を用いた「魔導絡繰り」が、高値で取引されるようになっている。 物によっては黄金よりも価値があると言われる「魔導絡繰り」を求める者たちが、帝都跡周辺に集まり、やがて、そこには「街」が生まれた。 どの国の支配も受けない「街」は自由ではあったが、人々を守る「法」もまた存在しない「無法の街」でもあった。 そんな「無法の街」に降り立った一人の世間知らずな少年は、当然の如く有り金を毟られ空腹を抱えていた。 そこに現れた不思議な男女の助けを得て、彼は「無法の街」で生き抜く力を磨いていく。 ※「アストルムクロニカ-箱庭幻想譚-」の数世代後の時代を舞台にしています※ ※サブタイトルに「◆」が付いているものは、主人公以外のキャラクター視点のエピソードです※ ※この物語の舞台になっている惑星は、重力や大気の組成、気候条件、太陽にあたる恒星の周囲を公転しているとか月にあたる衛星があるなど、諸々が地球とほぼ同じと考えていただいて問題ありません。また、人間以外に生息している動植物なども、特に記載がない限り、地球上にいるものと同じだと思ってください※ ※固有名詞や人名などは、現代日本でも分かりやすいように翻訳したものもありますので御了承ください※ ※詳細なバトル描写などが出てくる可能性がある為、保険としてR-15設定しました※ ※あくまで御伽話です※ ※この作品は「ノベルアッププラス」様、「カクヨム」様、「小説家になろう」様でも掲載しています※

健太と美咲

廣瀬純一
ファンタジー
小学生の健太と美咲の体が入れ替わる話

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

入れ替わった恋人

廣瀬純一
ファンタジー
大学生の恋人同士の入れ替わりの話

処理中です...