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[Worldtrace2]
一方、その頃
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情報を頼りにジンとエリスは森に入る。魔族の目撃情報を街で手に入れたからだ。王子達を探すにしても手掛かりが無い。そこで先ずは王子の所在を知っている魔族を探す事にした。
ジンは情報を集めながら人と魔族との関係性について考えていた。自分達の村でエリスは普通に生活が出来ていた。しかし他の街で魔族は、魔物の上位種として扱われている。エリスが街で情報を集める時、問題が起こらない様に自ら顔を隠していた。エリスが普通に生きるには、どうすれば良いのか本気で考えなければならないそう思った。
シリウスの言う和解が出来れば問題は無い。しかしお互いに憎み合う両者をどう納得させるのか?そこが問題だ。
ただジンはそれを考えてふと思う。自分はどちらかと言えば肉体労働派だ。考えるのはシリウスに任せる事にしようと。
今は大陸の中央にある魔物の棲む森。その森を東に進む。確か森の中を少し行った辺りで見かけたと聞いた。ジンはそこから真っ直ぐ行けば発見出来ると思っていたが少し当てが外れた様だ。
エリス「ジン。方角はこっちで合ってるのか?」
ジン「う~ん?話の通りならこの辺を真っ直ぐ行けば何かあると思ったんだけど。」
エリス「はぁ、何も考えて無かったか。」
しかしここまで来たのだ。もう少し行こう。そう考え歩く。
エリス「いや!待て!」
ジン「どうした?」
エリス「この木の幹だ。」
何か削った後がある。
例えそこで生活していても、場所が森の中なら道に迷う事はある。それは集落に住む者が付けた目印だった。
エリス「当たりだ。これは集落に向かう為の目印だ。」
ジン「何て書いてあるんだ?」
エリス「いや、別に文字で書いてある訳じゃないさ。魔族は基本、文字が必要の無い生活をしている。それに覚えるとしても人族の言語だ。下手に書いて場所を特定されれば大変な事になる。」
他の目印を探しながら更に東へと進む。
ジン「お!エリス!何かあったぞ!」
エリス「ああ!あった!集落だ!ここで王子達の事で何か分かれば良いが。」
ジン「なんとかなるさ。」
エリスの心配を余所にジンは集落へ向かう。
魔族1「え!・・・おい!あいつ!人族だ!人族が現れたぞ!」
魔族2「大変だ!皆んなに知らせて来る!」
エリス「あ!おい、ジン!顔!」
ジン「え?・・・あ!やべ!隠すの忘れてた!」
エリスに人族と知られると騒ぎになるかも知れない。だから顔は隠すべきだと言われていた。しかしジンはその事をすっかり忘れていた。
今回の件はジンが顔を隠していない事に気付かなかったエリスも悪いのだが。
魔族1「き、貴様!ここに何しに来た!」
エリス「待て。私の話を聞いてくれ。」
エリスが自分の顔を晒す。
魔族1「な、あんたは?何で人族と一緒にいる?まさか!捕まったのか!」
ジン「俺ってそんなに悪党面かな?」
エリス「安心しろ。顔の問題じゃない。それに私は・・・充分だ。」
エリスの顔が少し赤くなる。
ジン「エリス。」
お互い恥ずかしそうに見つめ合う。
魔族3「で?何の用だ?」
集落から別の魔族が現れる。
エリス「あ、貴方は!」
ジン「え?誰?」
魔族3「俺はガストル。」
エリス「彼はガストル第二王子殿下だ。」
ガストル「殿下は要らない。王子なんて柄じゃないしな。」
魔族2「ですが!」
ガストル「それより、そいつ等だろ?人と魔族が一緒に何しに来たのか、聞きたいね。」
エリス「私達は・・・。」
ジン「戦争を止める為に来た。」
ガストル「戦争?・・・・ああ、アレックスの奴がやってる?」
ジン「誰?」
エリス「第一王子だ。アーサー様と第一婦人との子でガストル様とは同じ年に産まれたが時期と母親の順番からアレクサンダー様が第一王子という事になっている。」
ガストル「一応、お袋が第二婦人だから第二って呼ばれてるが歳は同じだ。」
?「どうしたガストル?揉め事か?」
ガストル「ホルクス」
ジンは今一度エリスの方を見る。
エリス「彼はホルクス第三王子殿下だ。ガストル様の双子の弟だ。」
ここに来て連続で王子の2人目と会えるとは思ってなかった。
エリス「確かお2人共、今年で17歳の筈だ。」
ジン「え!・・歳下?」
エリス「・・・・私は18だぞ。」
ジン「嘘!同い歳だと思ってた。」
エリス「私が老けてると言いたいのか?」
ジン「いえ!滅相もございません!」
歳下だが自分より貫禄がある王子達や、しっかりしているエリス。今日は色々と驚かされている。しかし、今はそれよりも話さなければならない事がある。
ジン「まぁ、良いや。改めて、俺はジン。あんた等と話したい事があるんだ。」
ガストル「待て。お前の話を聞く前に少し勝負をしよう。」
エリス「な!」
ジン「勝負?」
ホルクス「お前は人族だ。俺達が良くても、無条件で中に入れたら仲間達が納得しないだろ?」
ジン「確かに。」
エリス「おい!ジン!和平交渉をする為にここまで来たんだ!ここで諍いは駄目だ!」
ジン「必ずそうなるとは言えないだろ?」
エリス「私が言うべきでは無いかも知れないが、魔族は血の気の多い奴ばかりだ。何も起きない訳が無い。」
ガストル「お!来たな。」
他の魔族が台を運んで来る。
ガストル「俺と反対側で同じ様に立て。少し腰を落として台に肘を置くそして俺の手を掴む。そうだ。」
ジンとガストルは台を挟み向かい合う。中腰で立ち、肘を台に付けながら互いに手を握る。
ガストル「手を押し合い、台に相手の手の甲を押し当てた方が勝ちだ。」
いわゆるアームレスリング、腕相撲だ。
ジン「フッ、良いぞ!やろう!」
エリス「え?殴り合うとか剣を出して決闘とかじゃないのか?」
ガストル「何を言っている?お前達は戦いに来た訳じゃないんだろ?」
ジン「おう。」
ホルクス「なら無理に血を流す必要は無いだろ?」
驚愕しているエリスを置き去りにジンとガストルの腕相撲対決が始まる。
ホルクス「始め!」
ガストル「うおぉ!」
ジン「どりゃあ!」
お互い魔法も使わずに純粋な力比べをする。ほぼ真ん中から動かない。正に拮抗という状況だった。その時、何処かでミシリと音がした。そしてバキッと音を鳴らしながら台が割れる。
ジン「うわ!」
ガストル「ぬお!」
2人は手を繋いだまま地面に倒れる。
ガストル「痛ぇ。」
ジン「はぁ、どうなったんだ?」
ホルクス「ガストルの負けだ。」
ジン・ガストル「え!」
ガストルの手の甲が地面に着いた状態で2人は倒れていた。
ガストル「はぁ~、マジか。」
ジン「え?俺の勝ちで良いの?」
ホルクス「ああ、次は俺が相手だしな。」
ガストル「お前が勝負したいだけだろ!」
新しい台を用意してジンとホルクスによる2回戦をする事になった。
台が置かれるとホルクスは左肘を置く。
ジン「!」
ホルクス「悪いな。俺は左利きでな。」
ジン「いや、大丈夫だ。シリウスに、友達に身体は満遍なく鍛えろって言われてるからな。利き手じゃないから字は書けないけど、力を込めるだけの単純な作業なら簡単だ。」
ホルクス「フッ、なら遠慮なく本気で行くぞ!」
ジン「うらぁ~!」
ホルクス「おおぉ~!」
勝敗が決した頃には夕暮れになっていた。結果はジンの2連勝、王子2人に勝ったお陰でジンは集落の魔族達に認められた。
しかしこれから交渉となると夜だ。流石に夜の森を移動して帰るのは危険だ。なので今日は集落で泊まる事になった。交渉も含め話は全て明日するという事した。
ジンとエリスは客人として迎えられる事になり、ささやかだが宴を用意して貰った。ジンは王子達と、エリスは集落の女性達と話していた。やはり久しぶりの同族との会話は楽しいのかエリスに笑顔が見える。
ホルクス「お前の女か?」
ジン「え?まぁ、いつかは所帯を持ちたいとは思ってる。」
ガストル「はっ、くくっ。」
ジン「な、何が可笑しいんだよ。」
ガストル「魔族と所帯なんて言う人族には今まで会った事が無い。」
ホルクス「ああ。全くだ。・・・だが悪く無い。」
ガストル「和平交渉だったな?正直俺達は戦争に参加する気は無い。」
ジン「そうなのか?」
ホルクス「だが、もしアレックスが助けてくれと言った時は何があっても助けに行く。家族だからな。」
ジン「そうか。」
ガストル「俺達は無理に人族と事を構える気は無い。言わせて貰うが問題なのは人族の方だと思うぞ。」
ホルクス「確かに魔族にも人族を恨む奴はいるが話し合いをすると言うならこちらはいつでも応じるつもりはある。」
ガストル「先ずは人族をなんとかするべきじゃないか?」
ジン「う~ん。俺、考えるの苦手だからな。そういうのは友達に頼むよ。」
ホルクス「そいつが人族をなんとかしてくれるのか?」
ジン「きっと和解の為に色々考えてくれてるさ。だから俺はこのまま他の王子と話がしたい。お前達の他の弟にも会わせてくれ。」
ガストル「お前、変わってるな。」
ホルクス「ああ、凄く変な奴だ。」
ジンは2人の幼馴染を思い出す。
ジン「いや、あいつ等と比べたら・・・俺はまだ普通さ。大丈夫、俺はまだ普通だ。」
次の日の朝。ジンとエリスは他の王子達の居場所を聞き、向う事にした。
エリス「ちゃんとした書類も無く出て来て良かったのか?ただの口約束だろ?」
ジン「え?参加しないって言ってたから大丈夫だろ?」
エリス「はぁ~、そう言う問題じゃないだろう?」
ジン「大丈夫だって。とにかく他の王子と話を付ければ、後はシリウスがなんとかするさ。」
エリスは頭を抱える。この楽観主義は誰に似たのか?ジンの両親を思い浮かべるが多分、違う。そして次に浮かんだ顔はジンの幼馴染で自分の嫌いなあの男だった。
エリス「あいつかぁ~!」
ジン「うん?どうした?」
エリスは思う。あいつのお陰でジンと自分が苦労をしている。今度会ったら1発ぶん殴ってやると。
とにかくジン達は戦争を止める為、残りの王子を探しに行く。
ジン「あいつ等、大丈夫かな?・・・・気にしても仕方ないか、今は俺に出来る事をやろう。さぁ、張り切って行くぞ!」
ジンは情報を集めながら人と魔族との関係性について考えていた。自分達の村でエリスは普通に生活が出来ていた。しかし他の街で魔族は、魔物の上位種として扱われている。エリスが街で情報を集める時、問題が起こらない様に自ら顔を隠していた。エリスが普通に生きるには、どうすれば良いのか本気で考えなければならないそう思った。
シリウスの言う和解が出来れば問題は無い。しかしお互いに憎み合う両者をどう納得させるのか?そこが問題だ。
ただジンはそれを考えてふと思う。自分はどちらかと言えば肉体労働派だ。考えるのはシリウスに任せる事にしようと。
今は大陸の中央にある魔物の棲む森。その森を東に進む。確か森の中を少し行った辺りで見かけたと聞いた。ジンはそこから真っ直ぐ行けば発見出来ると思っていたが少し当てが外れた様だ。
エリス「ジン。方角はこっちで合ってるのか?」
ジン「う~ん?話の通りならこの辺を真っ直ぐ行けば何かあると思ったんだけど。」
エリス「はぁ、何も考えて無かったか。」
しかしここまで来たのだ。もう少し行こう。そう考え歩く。
エリス「いや!待て!」
ジン「どうした?」
エリス「この木の幹だ。」
何か削った後がある。
例えそこで生活していても、場所が森の中なら道に迷う事はある。それは集落に住む者が付けた目印だった。
エリス「当たりだ。これは集落に向かう為の目印だ。」
ジン「何て書いてあるんだ?」
エリス「いや、別に文字で書いてある訳じゃないさ。魔族は基本、文字が必要の無い生活をしている。それに覚えるとしても人族の言語だ。下手に書いて場所を特定されれば大変な事になる。」
他の目印を探しながら更に東へと進む。
ジン「お!エリス!何かあったぞ!」
エリス「ああ!あった!集落だ!ここで王子達の事で何か分かれば良いが。」
ジン「なんとかなるさ。」
エリスの心配を余所にジンは集落へ向かう。
魔族1「え!・・・おい!あいつ!人族だ!人族が現れたぞ!」
魔族2「大変だ!皆んなに知らせて来る!」
エリス「あ!おい、ジン!顔!」
ジン「え?・・・あ!やべ!隠すの忘れてた!」
エリスに人族と知られると騒ぎになるかも知れない。だから顔は隠すべきだと言われていた。しかしジンはその事をすっかり忘れていた。
今回の件はジンが顔を隠していない事に気付かなかったエリスも悪いのだが。
魔族1「き、貴様!ここに何しに来た!」
エリス「待て。私の話を聞いてくれ。」
エリスが自分の顔を晒す。
魔族1「な、あんたは?何で人族と一緒にいる?まさか!捕まったのか!」
ジン「俺ってそんなに悪党面かな?」
エリス「安心しろ。顔の問題じゃない。それに私は・・・充分だ。」
エリスの顔が少し赤くなる。
ジン「エリス。」
お互い恥ずかしそうに見つめ合う。
魔族3「で?何の用だ?」
集落から別の魔族が現れる。
エリス「あ、貴方は!」
ジン「え?誰?」
魔族3「俺はガストル。」
エリス「彼はガストル第二王子殿下だ。」
ガストル「殿下は要らない。王子なんて柄じゃないしな。」
魔族2「ですが!」
ガストル「それより、そいつ等だろ?人と魔族が一緒に何しに来たのか、聞きたいね。」
エリス「私達は・・・。」
ジン「戦争を止める為に来た。」
ガストル「戦争?・・・・ああ、アレックスの奴がやってる?」
ジン「誰?」
エリス「第一王子だ。アーサー様と第一婦人との子でガストル様とは同じ年に産まれたが時期と母親の順番からアレクサンダー様が第一王子という事になっている。」
ガストル「一応、お袋が第二婦人だから第二って呼ばれてるが歳は同じだ。」
?「どうしたガストル?揉め事か?」
ガストル「ホルクス」
ジンは今一度エリスの方を見る。
エリス「彼はホルクス第三王子殿下だ。ガストル様の双子の弟だ。」
ここに来て連続で王子の2人目と会えるとは思ってなかった。
エリス「確かお2人共、今年で17歳の筈だ。」
ジン「え!・・歳下?」
エリス「・・・・私は18だぞ。」
ジン「嘘!同い歳だと思ってた。」
エリス「私が老けてると言いたいのか?」
ジン「いえ!滅相もございません!」
歳下だが自分より貫禄がある王子達や、しっかりしているエリス。今日は色々と驚かされている。しかし、今はそれよりも話さなければならない事がある。
ジン「まぁ、良いや。改めて、俺はジン。あんた等と話したい事があるんだ。」
ガストル「待て。お前の話を聞く前に少し勝負をしよう。」
エリス「な!」
ジン「勝負?」
ホルクス「お前は人族だ。俺達が良くても、無条件で中に入れたら仲間達が納得しないだろ?」
ジン「確かに。」
エリス「おい!ジン!和平交渉をする為にここまで来たんだ!ここで諍いは駄目だ!」
ジン「必ずそうなるとは言えないだろ?」
エリス「私が言うべきでは無いかも知れないが、魔族は血の気の多い奴ばかりだ。何も起きない訳が無い。」
ガストル「お!来たな。」
他の魔族が台を運んで来る。
ガストル「俺と反対側で同じ様に立て。少し腰を落として台に肘を置くそして俺の手を掴む。そうだ。」
ジンとガストルは台を挟み向かい合う。中腰で立ち、肘を台に付けながら互いに手を握る。
ガストル「手を押し合い、台に相手の手の甲を押し当てた方が勝ちだ。」
いわゆるアームレスリング、腕相撲だ。
ジン「フッ、良いぞ!やろう!」
エリス「え?殴り合うとか剣を出して決闘とかじゃないのか?」
ガストル「何を言っている?お前達は戦いに来た訳じゃないんだろ?」
ジン「おう。」
ホルクス「なら無理に血を流す必要は無いだろ?」
驚愕しているエリスを置き去りにジンとガストルの腕相撲対決が始まる。
ホルクス「始め!」
ガストル「うおぉ!」
ジン「どりゃあ!」
お互い魔法も使わずに純粋な力比べをする。ほぼ真ん中から動かない。正に拮抗という状況だった。その時、何処かでミシリと音がした。そしてバキッと音を鳴らしながら台が割れる。
ジン「うわ!」
ガストル「ぬお!」
2人は手を繋いだまま地面に倒れる。
ガストル「痛ぇ。」
ジン「はぁ、どうなったんだ?」
ホルクス「ガストルの負けだ。」
ジン・ガストル「え!」
ガストルの手の甲が地面に着いた状態で2人は倒れていた。
ガストル「はぁ~、マジか。」
ジン「え?俺の勝ちで良いの?」
ホルクス「ああ、次は俺が相手だしな。」
ガストル「お前が勝負したいだけだろ!」
新しい台を用意してジンとホルクスによる2回戦をする事になった。
台が置かれるとホルクスは左肘を置く。
ジン「!」
ホルクス「悪いな。俺は左利きでな。」
ジン「いや、大丈夫だ。シリウスに、友達に身体は満遍なく鍛えろって言われてるからな。利き手じゃないから字は書けないけど、力を込めるだけの単純な作業なら簡単だ。」
ホルクス「フッ、なら遠慮なく本気で行くぞ!」
ジン「うらぁ~!」
ホルクス「おおぉ~!」
勝敗が決した頃には夕暮れになっていた。結果はジンの2連勝、王子2人に勝ったお陰でジンは集落の魔族達に認められた。
しかしこれから交渉となると夜だ。流石に夜の森を移動して帰るのは危険だ。なので今日は集落で泊まる事になった。交渉も含め話は全て明日するという事した。
ジンとエリスは客人として迎えられる事になり、ささやかだが宴を用意して貰った。ジンは王子達と、エリスは集落の女性達と話していた。やはり久しぶりの同族との会話は楽しいのかエリスに笑顔が見える。
ホルクス「お前の女か?」
ジン「え?まぁ、いつかは所帯を持ちたいとは思ってる。」
ガストル「はっ、くくっ。」
ジン「な、何が可笑しいんだよ。」
ガストル「魔族と所帯なんて言う人族には今まで会った事が無い。」
ホルクス「ああ。全くだ。・・・だが悪く無い。」
ガストル「和平交渉だったな?正直俺達は戦争に参加する気は無い。」
ジン「そうなのか?」
ホルクス「だが、もしアレックスが助けてくれと言った時は何があっても助けに行く。家族だからな。」
ジン「そうか。」
ガストル「俺達は無理に人族と事を構える気は無い。言わせて貰うが問題なのは人族の方だと思うぞ。」
ホルクス「確かに魔族にも人族を恨む奴はいるが話し合いをすると言うならこちらはいつでも応じるつもりはある。」
ガストル「先ずは人族をなんとかするべきじゃないか?」
ジン「う~ん。俺、考えるの苦手だからな。そういうのは友達に頼むよ。」
ホルクス「そいつが人族をなんとかしてくれるのか?」
ジン「きっと和解の為に色々考えてくれてるさ。だから俺はこのまま他の王子と話がしたい。お前達の他の弟にも会わせてくれ。」
ガストル「お前、変わってるな。」
ホルクス「ああ、凄く変な奴だ。」
ジンは2人の幼馴染を思い出す。
ジン「いや、あいつ等と比べたら・・・俺はまだ普通さ。大丈夫、俺はまだ普通だ。」
次の日の朝。ジンとエリスは他の王子達の居場所を聞き、向う事にした。
エリス「ちゃんとした書類も無く出て来て良かったのか?ただの口約束だろ?」
ジン「え?参加しないって言ってたから大丈夫だろ?」
エリス「はぁ~、そう言う問題じゃないだろう?」
ジン「大丈夫だって。とにかく他の王子と話を付ければ、後はシリウスがなんとかするさ。」
エリスは頭を抱える。この楽観主義は誰に似たのか?ジンの両親を思い浮かべるが多分、違う。そして次に浮かんだ顔はジンの幼馴染で自分の嫌いなあの男だった。
エリス「あいつかぁ~!」
ジン「うん?どうした?」
エリスは思う。あいつのお陰でジンと自分が苦労をしている。今度会ったら1発ぶん殴ってやると。
とにかくジン達は戦争を止める為、残りの王子を探しに行く。
ジン「あいつ等、大丈夫かな?・・・・気にしても仕方ないか、今は俺に出来る事をやろう。さぁ、張り切って行くぞ!」
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