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失態?

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俺をムスっとした顔で睨むアイリス。美人だからだろう。何しても可愛いな。とか考えてる場合では無い。さっきまでメイドさんもいたけどアイリスが下がらせた。
今は2人っきりだ。だがとても良い雰囲気では無い。それもその筈、いつものお説教タイムだ。

アイリス「で?どういう事?何が起きてるの?」

俺「いや、まぁ、前回色々あっただろ?巻き込んで危ない目に合わせるのは気が引けてさ。」

アイリス「ふ~ん。それで1人で動いて弟に怪我させたの?」

俺「ごめんなさい。」

アイリス「水臭いじゃない!2人で協力すればもっと簡単だったし、それに私もちゃんと戦える!足手纏いにはならないわよ!」

俺「悪かったよ。今度からは気を付ける。」

アイリス「ふぅ、で?何があったの?全部説明して。」

俺は地球で『2』が出てる事とその内容を話す。

アイリス「はぁ、まさか『2』があるなんて。」

俺「正確には予測演算でとんでもない結果が出たから、地球の人間に解析を手伝って貰う事にしたって事で続編を出したんだ。」

アイリス「はぁ~、そして何よりジンがエレナじゃなくて新規加入の敵幹部と恋仲になるなんて。」

俺「ジンとエレナは俺が出会った時からそんな関係じゃないと思うけど?」

アイリス「貴方の影響とかじゃないの?」

俺「確かに俺は2人に関わってるけど好いた惚れたは本人達の自由だろ?」

アイリス「まぁ、とにかく今は良いわ。で?クリスの闇堕ちとランド君の闇堕ち?」

俺「メインのシナリオ的にはその2つが国の命運を賭けた内容だと思う。」

アイリス「で、クリスは大丈夫・・・か。」

俺「ああ、マークは生きてるし、クリスも無事だ。後はランドだけど、釘は刺したからあいつの方は大丈夫だよ。」

アイリス「本当に?いきなり敵側になってるかも知れないわよ?」

俺「え?きっかけは?」

アイリス「それは分からないけど。ジンみたいに魔族の女性と何か関係が出来てたり、色々可能性はあるでしょ?」

俺「いや、無い無い。それに幾ら世界広しと言えど、ジンと同じ理由で俺の友達が敵側に寝返るなんて確率、そうそう無いだろ?」

アイリス「でも、予測だと何もしなければ裏切るのは確定なんでしょ?ならその原因を突き止めて除外しないと解決にならないんじゃない?」

俺「・・・・・。」

アイリス「それに和解するにしても誰とするの?」

俺「う~ん。王子?」

アイリス「6人いるんでしょ?まさかそれぞれと、とか言わないでよ。」

俺「・・・・・。」

アイリス「第一、何処に誰がいるの?」

俺「う・・・・。今、ジンが探してる。」

アイリス「はぁ、人任せ。と言うか完全にノープランね。まぁ、良いわ。とにかくこっちは戦争にならない様に色々動いてみるわ。でも、流れとして決まってる以上何処まで出来るか分からないからね。それまでに魔族の代表を見つけて交渉して。」

俺「はい。分かりました。」

く、空気が重い。理由は明らかに俺だ。だからといって耐えられるかどうかという話になると別の事だ。
話題だ!話題を逸らすんだ!

俺「えっと、・・・そうだ!魔導発電機!あれ凄いな!地球の電気みたいだったぞ。」

アイリス「ああ!フフンッ、凄いでしょ?まぁ、開発したのは雇った開発者だけど。あれがあれば魔力の無い貴方でも、家庭用の魔導具は使える様になるでしょ?」

ここまで言われて気が付く。

俺「あれ、俺の為に作ってくれたの?」

アイリスの顔が少し赤くなり、直ぐに咳払いをする。

アイリス「ま、まぁね。とにかく、これで貴方が生活に困る事は無いでしょ?」

この『世界』に来て仲間達や家族なんかは、俺が困っていると必ず助けてくれた。それは確かにありがたい。でも根本的な解決法を考えた奴はいない。勿論そんな簡単に改善出来る事じゃないから解決しないのは当然だ。だけど、そんな難しい事をわざわざ俺の為に考えてくれた。これが泣かずにいられようか?

アイリス「え!いや、泣かなくても。」

俺「なんか嬉しくて。」

アイリス「まぁ、喜んでくれたなら作った甲斐があったわね。」

アイリスと話し合い、アイリスが時間稼ぎをしてる間になんとか代表と和解する。方針は決まったが何処から手を付けるか。ジンが見つけて説得してくれれば、全部綺麗に納まるんだけど。
気が滅入る。こんな時は久しぶりに仲間達の顔を見て気持ちを切り替えよう。ついでに今後起こるかも知れない色々な事も話しておこう。俺はバイクを走らせ皆んなのいるミルザに向かった。

俺「とりあえず和解を第一に奴等の代表を探すんだけど、間に合わなければ戦争になるかも知れないんだ。」

エレナ「またか、もうウンザリだぞ。」

ザック「全くだ。金にもならないしな。シリウス!さっさと和解しろよ!」

俺「いや、そんなに簡単じゃないんだけど?」

キース「しかし代表を見つけてもどう和解するんですか?」

俺「え?」

キース「いや、条件とか。」

俺「う、う~ん?」

シャノン「まさか!何も考えて無いんですか!」

俺「う、うん。」

トリッシュ「はぁ~、流石シリウスね。」

いや、だって最近まで色々あったし、そんな具体的に考えてる余裕なんか無かったよ?

ザック「改めて思うが、お前、阿呆だな。」

俺「俺だって色々あったんだよ!しょうがないだろ!」

エレナ「まぁ、皆んな落ち着け。戦争に関しては大丈夫だ。いざとなったら私の新技を発動させる。」

え!止めてくれよ!これ以上、アイリスに責められる材料は要らないよ!

キース「まさか先週のゴブリン討伐の時に使った新魔法ですか!」

トリッシュ「あれ、怖かったわね?半球状の結界の中にゴブリンを閉じ込めて・・・何だっけ?太陽光で焼くんだっけ?」

ザック「あれは焼くって言うより溶かしてたけどな。」

俺はエレナに尋ねる。

俺「何したの?」

エレナ「昔、シリウスに聞いた話で太陽の光を"クッセツ"だっけ?色んな方向から光を一点に集めると火を点けられるって聞いたからさ。それを調節したら出来たんだ。」

ああ、またか。皆んなも呆れた感じで"きっかけはやっぱりお前か。"って顔で見てる。はいはい、悪かったよ。

エレナ「因みに今言った新魔法はその魔法じゃないぞ。」

は?じゃあ何よ!というか皆んな俺を睨むなよ。俺だって今初めて聞いたんだからさ。

俺「そんなの無闇矢鱈に使うなよ。」

エレナ「当たり前だ。無闇には使わない。ただ皆んなやお前が危ないとなったら私は構わず使うぞ。」

この子は基本的に良い子なんだけど、考え方が過激なんだよな。

ザック「今更だが、ヤバい兄妹と仲間になっちまったな。」

キース「本当ですよ。」

シャノン「あの時に戻れるならと思った事は星の数程ありました。」

トリッシュ「でも、お陰で退屈してないし、良しとしようじゃない。」

なんか相変わらず、褒められてるのか貶されてるのかよく分からない。だけどこの空気感は落ち着く。全く、良い仲間達だ。

冒険者1「反乱?」

冒険者2「何処だったかな?辺境都市で魔族達が勢い付いて騒ぎになってるんだと。」

冒険者3「魔族との小競り合いはどこの辺境都市でも同じだろ?」

冒険者2「そこは違うんだよ!魔族側に元貴族の人間が参加してるって噂だ。」

盗み聞きは良く無い。だけど話題が聞き捨てならない。何か嫌な予感がする。

冒険者1「で?その元貴族ってのは?」

冒険者2「えっと・・・確か、あ!ランド・レーヴァレスとか言ったかな?」

ふ~ん。長い名前だな。・・・あれ?なんか聞いた事がある気がする。というかランド・レーヴァレス?・・・・は?

俺「ランド!」

また失態か。・・・・これ、俺の失態か?
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