Worldtrace

mirror

文字の大きさ
上 下
105 / 187
[Worldtrace2]

怒髪天

しおりを挟む
全く、鍬1つで行くから怪我までしてる。俺が見える位置まで来るとエリスが刺されそうになっていた。全速力で近付いて敵の剣を弾く。

魔族「な・・・・!」

エリス「お前!」

ジン「シリウス!」

俺に驚いた魔族は直ぐに距離を取る。俺はいざという時の為の回復薬を出し、エリスに渡す。

エリス「え?何だ?」

俺「ジン!」

ジンは俺の言いたい事を察したらしい。気合いを入れて立ち上がる。

ジン「良し!来い!」

俺はエリスの襟を掴む。

エリス「な!おい!きゃあ!」

そしてエリスをジンの方にぶん投げる。ジンは飛んで来たエリスを受け止める。ダメージの所為だろうか、受け止めた直後にうぐっと声を上げる。

俺「その回復薬飲んで直ぐに教会に行け!」

ジン「だけど!」

俺「今のお前は足手纏いだ!行け!」

俺はエリスを見て顎を動かし促す。

エリス「行くぞジン!」

2人が教会に向かったのを確認して敵に向き直る。一応これでも奴等には睨みを効かせて動かない様に見張っていた。だから決してあいつ等が何かの特撮の如く待ってくれていた訳では無い。

魔族「貴様!何者だ!」

俺「ただのしがない傭兵だよ。」

魔族「傭兵?フッ、そんな奴が状況も分からず飛び込んで来るとはな。」

さっきからずっと喋ってる奴と他に4人、計5人か。

俺「状況ね。何するつもりだったんだ?」

魔族「フン。あの英雄を殺す。だがその前に奴の大事な物を全て壊して自分がどれ程の罪を犯したか知らしめてやろうと思ってな。」

まぁ、どうあれ戦いは避けられないか。それにしても腹の立つ奴だ。

魔族「貴様も奴の友だろう?先ずは貴様を血祭りに上げる。そして絶望した奴を嬲り殺しだ!特に貴様は我々の邪魔をしたのだ!ただで済むと思うなよ!」

俺「ただで済むか?だと!・・・この村は、ジンが故郷を追われた俺やあの町に住んでいた奴等の為に、新しい故郷にして欲しいって思いで作った大事な村だ!その村をこんなにして、ついでに俺の家までぶっ壊したお前等を俺がただで済ますと本気で思ってんのか!」

魔族「な、何!フ、フン!凄んだ所で意味は無い!こっちは5人、お前は1人。お前に勝ち目は無い!」

俺「やってみろよ!」

魔族「お前達、行け!」

お前は来ないのかよ!って言いたいけど今は良い。数が無駄に増えても困る。1人で複数人を相手にする時の基本は、囲まれない様にする事だと思う。
俺の正面に片手剣とラウンドシールドを持った魔族が立つ。左側には槍を持った奴と右側にはロングソードを持った魔族が立つ。そしていつの間にか俺の背後には両手にナイフを持った小柄な魔族が立っていた。
この状況を見れば人は思うだろう。"もう囲まれてるじゃないか!"っと。俺もビックリだ。知らない内に囲まれていた。畜生、会話中もう少し警戒すれば良かった。はぁ~、面倒臭え。
さてどいつが先に仕掛けて来るか。まぁ、大体は決まってる。俺の背後を取ってる双剣士だ。相手の死角にいる以上、そこから仕掛けるのは常識だろう。案の定、双剣士が仕掛けて来る。奴は右、左と続けて突きを放つ。俺は振り返り冷静に2回の突きを払い除けると刀を振り被る。だが俺が振り下ろした時には既に射程外だった。
そもそもこいつはそこまで攻めなくて良い。俺の注意が引ければ、後は両脇の槍と剣が攻めて来る。俺は上から来るロングソードを刀で受ける。そこから身体だけを動かし槍使いの突きを躱す。
剣を刀で受けながら、躱した槍の柄を左手で掴む。今度は正面の剣と盾を持った魔族が突っ込んで来る。槍使いと剣士をそれぞれ思いっ切り押し返し、今度は正面から来る剣を弾く。

剣と盾「む!」

俺は直ぐに攻撃を仕掛けるが、逆に盾で弾かれる。腰を据えて斬り掛かれば盾も切断出来るがこう囲まれスタートだと踏ん張った攻撃は中々出来ない。他に対処出来ないからだ。
追撃を躱し距離を取ると次はまた双剣士だ。左右の突きと斬撃を躱し、こっちが攻めようとすると直ぐに離れる。4人が様子を窺いながら距離を取っている。そして意を決して飛び込んで来たのは剣と盾の魔族だ。こっちの攻撃を盾で弾き、俺の隙を作りながら攻めて来る。いい加減、面倒だ。
俺は敢えて疲れたフリをする。息を切らし少しフラ付いて見せる。他の奴はこれで終わりと安心し俺の様子を見ている。
そして剣と盾の魔族は盾を身体の中心から外し、剣を振り被る。

剣と盾「うおぉー!ぶふ!ふがぁー!」

俺は防御が疎かになった奴の鼻に左手で掌底を叩き込む。急所の1つである鼻を打ち抜いた血も出ている。これでしばらくは動けないだろう。ここで素早く次の行動に出たのが槍使いだ。俺は振り下ろされる攻撃を躱し一気に距離を詰め首の右側を斬る。

槍使い「か!がはぁ!」

槍使いが血を吹き出しながら倒れる。それと同時に今度はロングソードの奴が叫びながら向かって来る。ただまだ距離はあるザッザッと横から足音がする。双剣士だ。俺は、焦って突進して来る双剣士にカウンターで蹴りを入れる。

双剣士「ぐぉ!」

剣士「うおぉー!」

ここまで来ると後は殆ど1対1だ。俺は剣を下から弾き左肩から右脇、一筆書きの様に今度は右肩から左脇にバツの字に斬る。

剣士「ぐは!」

さて後2人だ。

剣と盾「くそ!はぁ、はぁ、うおおー!」

盾を前に構え体当たりの様に走って来る。だが数が減った今なら腰を据えて振れる。俺は盾毎、袈裟斬りにする。

剣と盾「が!は!」

そして足音から双剣士が近付いて来るのが分かる。俺は射程内に入るまで待ち、振り返ると同時に刀を真っ直ぐ振り下ろす。

双剣士「くっそうぉ!」

ナイフをクロスした状態で受け止めに来た。だが手加減していない俺の攻撃は防げず、ナイフ毎真っ二つになる。

魔族「嘘だ!そんな!は、はぁ~!」

ここで逃すと厄介だな。俺は足下を見るとさっき斬ったナイフのカケラがある。俺はそれを逃げた魔族に向かって蹴り飛ばす。

魔族「ぎゃあ!あ、足がぁ!」

蹴ったカケラは奴のふくらはぎに刺さった。普通は狙って出来る事じゃないが俺は"やろう"と思えば出来る。慣れると本当に便利だ。

魔族「あ、が!ま、待て!話し合おう!な?」

俺「さっきまで話す気無かったろ?急にどうした?」

魔族「ここで手打ちにしよう!お互い充分に戦っただろう!」

俺「さっきただじゃ済まさないって言ってたよな?あれはどうなるんだ?」

魔族「あれは、気にするな!何でもない!」

俺「ただ、このままだと俺の気が済まないんだ。」

魔族「ひ、ひぃ~!く、来るな!」

魔族は俺に震える手で剣を向ける。俺はその右手を斬り飛ばす。

魔族「ぎゃあ!はぁ、はぁ!」

呻き声を上げた後這いつくばって逃げる。

俺「お前はやり過ぎた。俺の家族に手を出した以上、ただでは済まさない。」

俺は奴の背中に足を置き押さえ付ける。

魔族「た、助け!た、か!かは!」

魔族の首に刀を突き立て捻る。喉を抉り止めを刺した。

俺「ふぅ、・・・これで和解とか出来るのか?奴等凄い喧嘩腰だし。まぁ、とにかく今は教会に戻るか。」

俺は皆んなの無事を確かめる為、教会に向かう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

スコップ1つで異世界征服

葦元狐雪
ファンタジー
超健康生活を送っているニートの戸賀勇希の元へ、ある日突然赤い手紙が届く。 その中には、誰も知らないゲームが記録されている謎のUSBメモリ。 怪しいと思いながらも、戸賀勇希は夢中でそのゲームをクリアするが、何者かの手によってPCの中に引き込まれてしまい...... ※グロテスクにチェックを入れるのを忘れていました。申し訳ありません。 ※クズな主人公が試行錯誤しながら現状を打開していく成長もののストーリーです。 ※ヒロインが死ぬ? 大丈夫、死にません。 ※矛盾点などがないよう配慮しているつもりですが、もしありましたら申し訳ございません。すぐに修正いたします。

王女殿下の死神

三笠 陣
ファンタジー
 アウルガシア大陸の大国、ロンダリア連合王国。  産業革命を成し遂げ、海洋発展の道を進もうとするこの王国には、一人の王女がいた。  エルフリード・ティリエル・ラ・ベイリオル、御年十六歳の少女は陸軍騎兵中尉として陸軍大学校に籍を置く「可憐」とはほど遠い、少年のような王族。  そんな彼女の隣には、いつも一人の少年の影があった。  リュシアン・エスタークス。  魔導貴族エスタークス伯爵家を継いだ魔術師にして、エルフリード王女と同い年の婚約者。  そんな彼に付けられた二つ名は「黒の死神」。  そんな王女の側に控える死神はある日、王都を揺るがす陰謀に遭遇する。  友好国の宰相が来訪している最中を狙って、王政打倒を唱える共和主義者たちが動き出したのである。  そして、その背後には海洋覇権を巡って対立するヴェナリア共和国の影があった。  魔術師と諜報官と反逆者が渦巻く王都で、リュシアンとエルフリードは駆ける。 (本作は、「小説家になろう」様にて掲載した同名の小説を加筆修正したものとなります。)

無法の街-アストルムクロニカ-(挿し絵有り)

くまのこ
ファンタジー
かつて高度な魔法文明を誇り、その力で世界全てを手中に収めようとした「アルカナム魔導帝国」。 だが、ある時、一夜にして帝都は壊滅し、支配者を失った帝国の栄華は突然の終焉を迎えた。 瓦礫の山と化した帝都跡は長らく忌み地の如く放置されていた。 しかし、近年になって、帝都跡から発掘される、現代では再現不可能と言われる高度な魔法技術を用いた「魔導絡繰り」が、高値で取引されるようになっている。 物によっては黄金よりも価値があると言われる「魔導絡繰り」を求める者たちが、帝都跡周辺に集まり、やがて、そこには「街」が生まれた。 どの国の支配も受けない「街」は自由ではあったが、人々を守る「法」もまた存在しない「無法の街」でもあった。 そんな「無法の街」に降り立った一人の世間知らずな少年は、当然の如く有り金を毟られ空腹を抱えていた。 そこに現れた不思議な男女の助けを得て、彼は「無法の街」で生き抜く力を磨いていく。 ※「アストルムクロニカ-箱庭幻想譚-」の数世代後の時代を舞台にしています※ ※サブタイトルに「◆」が付いているものは、主人公以外のキャラクター視点のエピソードです※ ※この物語の舞台になっている惑星は、重力や大気の組成、気候条件、太陽にあたる恒星の周囲を公転しているとか月にあたる衛星があるなど、諸々が地球とほぼ同じと考えていただいて問題ありません。また、人間以外に生息している動植物なども、特に記載がない限り、地球上にいるものと同じだと思ってください※ ※固有名詞や人名などは、現代日本でも分かりやすいように翻訳したものもありますので御了承ください※ ※詳細なバトル描写などが出てくる可能性がある為、保険としてR-15設定しました※ ※あくまで御伽話です※ ※この作品は「ノベルアッププラス」様、「カクヨム」様、「小説家になろう」様でも掲載しています※

健太と美咲

廣瀬純一
ファンタジー
小学生の健太と美咲の体が入れ替わる話

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

入れ替わった恋人

廣瀬純一
ファンタジー
大学生の恋人同士の入れ替わりの話

処理中です...